こんにちはMasaユナイテッドです。
*この記事は2020年3月にnoteで公開しました。
今シーズン4回目となるマンチェスター・ダービー。
ホーム、オールド・トラッフォードでの対戦は、マルシャル と、マクトミネイのゴールで2-0で勝利しました!
👿フォーメーション・ラインナップは下図
今回は勝利のポイントを5つ挙げて振り返ります。
①組織的なユナイテッドの守備
最初に挙げるポイントは、ユナイテッドの「守備」です。サッカーの場合、「攻撃」、「守備」という概念ではないので、正確に表現すると、守備というか、非保持のシステムについてですね。
シティ戦のユナイテッドの非保持のシステムは、今まで見た事がないほど整備されていました。これにより、最後までシティは自分達の強みが出る形のボール保持が出来ませんでした。具体的に見ていきましょう。
■ユナイテッド非保持の約束事
①基本的にはマンツーマン
②前プレは外に誘導
③シティのSBにはWBが出ていく(シティ陣内)
④ロドリはブルーノが見張る
⑤シティのWGにはWBがマーク(ユナイテッド陣内)
⑥中央を使わせない
この試合、上記の6つの約束事が徹底されていました。強豪との対戦では度々使っている3-4-1-2で臨んだユナイテッド。シティの4-3-3システムにがっちりハマる形なので、基本的にはマークする相手がハッキリしています。
前線からのプレスも、意図が感じられる動き方をしていて、シティが必ず後方から繋いでくるチームであることを逆手に取った印象です。SBにボールが出るようにジェームズ、マルシャルがCBにプレッシャーに行き、SBに出たところを、ワン=ビサカ、ウィリアムズが抑えに出ていきます。あれだけ迷いなく、素早く前に出れるのは、計画された形だったからでしょう。

とても連動性の高い、非保持システムを用意したユナイテッドですが、開始15分ごろから、シティの左SBであるジンチェンコが、ボランチの位置に絞り始めます(ビルドアップ時)。これも、シティがよく使う方法なのですが、これに対しても
フレッジがジンチェンコまで出ていく
⇒ギュンドアンがフリー
⇒ワン=ビサカが付く
⇒スターリングが大外に張る
⇒リンデロフが対応する
という風にスムーズにマークの受け渡しが出来ていました。

ユナイテッドの目的は、シティに中央を使わせないこと。ギュンドアンとベルナルド・シルバに対応したフレッジとマティッチの激しいデュエルと、パスの出どころであるロドリをブルーノが抑え込んだことで、シティに付け入るスキを与えませんでした。
試合のほとんどの時間でシティがボールを保持することは、分かりきっていたことです。ならば、それに対してしっかり対策を立てておけば、戦えるとスールシャールを始め、コーチ陣達は考えたはずです。これは前回対戦のリーグ戦と同様のコンセプトの様でしたが、積極的なプレッシングという意味で、引いてカウンターを狙い続けた前回とは違いました。
組織的な非保持のシステムによって、シティのボール保持のシステムを無効化したという意味で試合の大きなポイントでした。
②先制点
どんな試合でも先制点は大きなポイントになりますが、この試合も、ユナイテッドの選手が自信を持てたという意味で大きかったです。
先制点が生まれたのは前半30分でした。ボックスの左45度の場所で、フリーキックを得たユナイテッドは、サインプレーで、ブルーノがディフェンス裏に柔らかい浮き球を出します。ピッタリのタイミングで走り出したマルシャルが裏へ抜けてダイレクトでシュート。エデルソンの手をはじいてゴールになりました。
試合後のスールシャールのコメントは「セットプレーのルーティンはあって、彼らが今日のようなプレーをしたのを見たことがある。」というものだったので、選手同士で打ち合わせたのでしょう。恐らく合図を出したのはフレッジです。フレッジが手を上げた瞬間ブルーノもマルシャルも反応して動き出しています。
先制点によってユナイテッドの選手達は、よりいっそう気持ちの入ったプレーに変わりました。逆にシティの選手たちは、前へ出たいのに、ユナイテッドのプレスに押されて、思うようにプレーできず、ミスも多くなっていきました。
先制点が2つ目のポイントになりましたね。
③ユナイテッドのカウンター
3つ目のポイントに上げるのは、ユナイテッドのカウンターについてです。
前半と後半で、カウンターの種類が違います。まず、前半は①で見たように前からプレッシャーを掛けて、奪ったら素早く攻め込むショートカウンターが主体でした。
シティは、いつものように左のスターリングにボールを集めます。これにともない、ユナイテッドの右サイドは引くと思いきや、前へ出て、奪ったらシティの左SB裏のスペースへというのを徹底していました。これは、先述したように、ボランチ化する、ジンチェンコの空けたスペースを上手く使うという意味で効果的でした。

後半のユナイテッドのカウンターはロングカウンターに変わります。
77分にシティは、ジンチェンコに代えてメンディを入れ、大外のレーンに出し、スターリングを中に入れるシステムに変更します。この修正により、中央に人数を掛けられるようになったシティは、ユナイテッド陣内に押し込みますが、前掛かりになったメンディはさらにスペースをジェームズに与えることになりました。

そして、奪ったら、ブルーノに預けて、そこから広大なスペースを持つジェームズ へとパスを出し、カウンターに繋げていました。
(しかしカウンターでジェームズがどフリーのブルーノに出さなかった場面がありましたが、あそこはブルーノに出してほしかったですね...。)
この前、後半で使い分けたカウンターの攻撃から、得点できたわけではないですが、シティの空けるスペースを分かって、そこにジェームズを配置するというカウンター戦術は見事でした。
④シティの停滞
4つ目のポイントは、シティの停滞です。
シティのパフォーマンスが上がらなかった事により、ユナイテッドは逃げ切りに成功しました。
スタッツで見ると、ポゼッションは、72%と圧倒していますが、放ったシュートはわずかに7本(ユナイテッドは12本)。シティが、対戦相手よりシュート本数が少ないのは、極めて珍しいのではないでしょうか?
シティはこの試合、中央を閉められ、思うように攻撃できませんでしたが、その原因は
①アグエロの孤立
②デ・ブライネの不在
③消されたハーフスペース
の3点。
アグエロは、マグワイアがしっかり見ており、自由を与えて貰えませんでしたが、マグワイアが集中できたのは、ショーがしっかりカバーしていたお陰もありました。
デ・ブライネの不在は、最大の要因でしょう。ギュンドアンも、ベルナルド・ジルバも良い選手ですが、デ・ブライネには及びません。その高いキック精度がなかった事は、ユナイテッドにとってはラッキーでした。
12月の対戦の時もそうですが、フレッジとマティッチは、シティにハーフスペースを使わせませんでした。シティの崩しの生命線を断つことに成功したので、シティはひたすらサイドからの崩しになりました。クロスは31本も放っていますが、成功したのはたったの2本。クロスを入れられても中で跳ね返し続けましたね。
このように、シティの攻撃をサイドに限定し、真ん中を固めた事で、シティの攻撃を停滞させたのが4つ目のポイントでした。
⑤メンタリティの勝利
最後のポイントはメンタリティです。
ダービーで気合が入るのは当たり前ですが、今日のユナイテッドは、1人1人から、献身性や、「シティの好きにはさせない」という気概が伝わってきました。
ワン=ビサカの1対1や、リンデロフの集中力を切らさない守備、ショーの上下動、フレッジの走行距離(12.18km!)、ジェームズの最後までカウンターを狙う姿勢などに、気持ちの強さを感じる事ができましたね。
ビッグゲームでは、こういったメンタリティが試合の結果に影響を与えます。
あんなに一体感のある、オールド・トラッフォードは久し振りでした。
シティに対するシーズンダブルは、ファーガソ時代から10年振り。あの頃のメンタリティが垣間見れた勝利でした。
👿まとめ
5つのポイントを挙げて振り返りましたが、1番のポイントはユナイテッドの組織的な守備でした。後半は、シティに押し込まれ、5バックで引いて、カウンター狙いになりましたが、マクトミネイを入れて、中盤を3枚にして中央を閉めたのも良いシステム変更でしたね。
4位チェルシーとの勝ち点は変わりませんが、10年振りのシーズンダブル、公式戦10試合無敗、内8試合クリーンシートと好調を維持しています。
次節は、3月16日1:30から、ここ5試合勝ちがないスパーズと対戦です。しっかり勝利したいですね。カモン!ユナイテッド!!
*この記事は2020年3月にnoteで公開しました。
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