【FAカップ準々決勝】vsノリッジ戦 失敗に終わったスールシャールの試み

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こんにちはMasaユナイテッドです。

今回はコラムです。

FAカップ準々決勝ノリッジ・シティ戦は120分の激闘の末ユナイテッドが2-1で辛くも勝利し、準決勝に駒を進めました。

試合前、楽観的な雰囲気が漂っていましたが蓋を開ければ苦戦を強いられたユナイテッド。この試合、勝つことと共にスールシャール監督が試したかった事がありました。

「ローテーションが上手くいくのか?」

という事です。

比較的スタメン固定の傾向があるスールシャール監督ですが、今回の試合では大胆なローテーションを敢行しました。

結果的に上手くいったとは言えませんが、なぜ失敗したのか。そして今後の戦いにどの様な影響を与えるかなどについて書いていきます。

以下項目です。

①スールシャールの目論見

3-0で快勝したプレミアリーグ第31節シェフィールド・ユナイテッド戦で現在のベスト布陣を発見したユナイテッド。もう一つの目標である伝統のFAカップ優勝に向けてキャロウ・ロードでのノリッジ・カウンティ戦に中2日で臨みました。

再開後37日間で10試合という過密日程を戦うユナイテッドはシェフィールド戦から8枚先発を入替えて試合に臨みました。この試合におけるスールシャール監督の目論見は

✔出場時間の少ない選手にプレーさせること
✔ローテーションしたメンバーで試合に勝つこと
✔主力選手を休ませること

の3つ。

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ノリッジvsユナイテッド ラインナップ

ベンチメンバー
ノリッジ:マクガバン、スティパーマン、トリブル、デュダ、エルナンデス、ライトナー、ブランチッチ、ドルミッチ、イダー
ユナイテッド:デ・ヘア、ウィリアムズ、フォス=メンサー、マティッチ、ペレイラ、ポグバ、マルシャル、グリーンウッド、ラッシュフォード

試合内容は、前半からボールを支配したユナイテッドでしたが、引いてコンパクトなブロックを敷いて守るノリッジを中々崩せず、後半50分にようやくイガロのゴールで先制しますが、75分にノリッジMFカントウェルに同点のミドルを決められます。

何としても90分で決着をつけたいユナイテッドは78分にマティッチ、ポグバを投入しますが、全員で自陣に引いて守るノリッジをこじ開けられません。89分にはイガロを引っ張って倒したティム・クローゼが一発退場になりますが、10人になったノリッジをそれでも崩せず試合は延長へ。

延長からマルシャルを入れて、結局シェフィールド戦から入替えたメンバー8人の内6人を交代する事になったユナイテッドは、118分にようやくキャプテン、マグワイアがゴールを決め120分の激闘に終止符を打ちました。

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スールシャール監督の試合前の青写真では、

①選んだ先発メンバーで危なげなく試合を進める
②もしもの事態に備えてベンチに置いた主力選手を極力使わない
③ブルーノ、ショーなどは試合展開によって早めに休ませる

というものだったはずです。

再開後のノリッジの不調とユナイテッドの充実度を考えても「苦戦」の可能性は余り考えていなかったと思います。

②3つの誤算

ではなぜスールシャールの目論見は外れたのでしょうか?誤算だった3つの事を取り上げます。

2-1.先発メンバーのクオリティ不足

1つ目は先発で出た選手のクオリティ不足です。

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スターティング・メンバー11人の中でバイリー、リンガード、ダロト、の3人は怪我や不調でコンスタントにプレーできていません。ユナイテッドでの将来にも疑問符が付いており、良いパフォーマンスを見せて信頼を得る必要のある3人でした。

バイリーに関しては立ち上がりこそボールが足に付かない感じでしたが、次第に落ち着きを取り戻しまずまずのパフォーマンスでした。リンガードとダロトに関してはクオリティ不足を露呈したと言わざるを得ません。リンガードは良く動いてプレスバックなどの献身性は見せましたが、2列目の選手として攻撃への関与が少なすぎる上に自信がないのか判断の遅さが目立ちました。

ダロトはキックの質が悪すぎ…。オーバーラップの回数は多かったですが、ダロトにボールが渡ってもチャンスになる気配がまるでありませんでした。

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さらに、こういうゲームにこそ頼りにしたかったベテランのマタも不発。監督の期待に応えられませんでしたね。真ん中を固めているノリッジに対して、リンガードもマタも中に集まりすぎて渋滞を起こしていた上に、2人とも持ち場を離れる事もあっていてほしい時にサイドにいない事も…。こういった密集地帯を掻い潜るテクニックは2人にないことは明白ですね。

2-2.ノリッジの粘り

2つ目はノリッジの粘り強い戦い方です。

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先制点が入った後も良く走り、中央を固めた守備からのカウンターを狙い続け、退場者を出し10人になった後も守護神クルルのファインセーブなどもあり、決してあきらめないディフェンスを見せていました。

プレミアでは降格が決定的ですが、その分FAカップのタイトルに賭ける思いが強かったと思います。10人になった後はとにかく120分耐えてPK戦になれば、PKストッパーとして名高いクルルがいるノリッジの方に勝機があると踏んでいたはずです。

ノリッジの粘りはスールシャール監督を始めコーチ陣達を大いに苦しめました。

2-3.ブルーノの不調

3つ目はブルーノの不調です。

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良くボールに触り、崩しの局面で様々なアイデアを持っているブルーノですが、今回の試合に関してはキックが少しズレる事が多かったですね。イメージ通りに蹴れていないシーンがかなり目立ちました。

決してブルーノを責めるつもりはなく、自陣深くまで守備にもよく戻って参加し、一番走った選手だったと思います。しかしスールシャール監督からしたら、できるだけ早い時間帯でブルーノを下げたかったはず。結局90分どころか120分もプレーさせる事になり、水曜日(現地火曜日)のブライトン戦(リーグ戦)の出場に支障が出る可能性があります。

本調子のブルーノであったなら、もう少し早い段階で試合を決められたかもしれません。ブルーノの不調もスールシャールにとって誤算だったでしょう。

③スールシャールが支払った代償

スールシャールの目論見が外れた結果、

ポグバ、マティッチ-42分
ラッシュフォード-57分
マルシャル-24分
マグワイア、ショー、ブルーノ-120分

もの時間をプレーする事になりました。ポグバ、ラッシュフォードに関しては怪我から復帰し、プレー時間を得る必要があるので、最初からプレー時間を与えるつもりだったかもしれません。しかし本音は主力は極力出さずに勝負を決めたかったでしょう。

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中2日で迎えるブライトン戦(アウェー)へ向けたコンディション調整に影響を与える事になります。

④明らかになった課題

シェフィールド戦から代わって出場した8名は、現段階でユナイテッドの「控え」選手として位置付けされています。その選手たちが期待に応えられなかったという事で、控え組とスタメン組に明らかなクオリティの差があることを露呈してしまいました。

厳しい言葉で書けばスカッドがまだまだ貧弱であるという事です。特に、引いた相手に対する崩しのクオリティは、今日のようにブルーノが不発に終われば著しく低下してしまいます。サンチョやグリーリッシュ、ファン・デ・ベークなど攻撃的MFの獲得がなぜ必要なのかという根拠を示した試合にもなりました。

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試合後、スールシャール監督はウェンブリーでの準決勝に進出できた事を称える一方で、今後はチョン、ガーナー、ゴメス、メンギなどの若手にチャンスを与えると発言しています。今回の試合で真っ先に代えられたリンガード、マタ、ダロトはしばらくチャンスを貰えないかもしれません。

👿まとめ

再開後の過密日程を結果を出しながら戦っていくには「ローテ―ション」が大きなカギとなります。在任中のこれまでの戦い方を見ると、決してローテーションが得意とは言えないスールシャール監督。今回はタイトルがほしいFAカップ。でも主力は休ませたいというジレンマの中で、控え選手のモチベーションに期待し、戦力を見極める為に勇気を出した決断をしました。

師匠であるファーガソン監督はとてもこのローテーションが上手く、誰が試合に出ても一定のクオリティーを確保し、また主力に代わって出た選手も、らしさを発揮し活躍するっていう事も多かった気がします(思い出が美化されてる??)。

今回のローテーションが上手くいかなかった事で、スールシャールは今後の試合でスタメンの戦力を落とせないという不安がついて回ることになります。

「ローテーションしても大丈夫」

という確証を得ることができなかったスールシャール監督。プレミア4位以内、FAカップ優勝、EL優勝という目標達成の為に果たして戦力は十分なのか疑問符が付く結果となってしまいました。

最後まで読んで頂きありがとうございました!

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