【19/20PL第32節】ブライトン戦に見る戦術の進化【マンチェスター・ユナイテッド】

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こんにちはMasaユナイテッドです。

PL第32節、ブライトン&ホーヴ・アルビオンとアウェーで対戦したユナイテッド。見事な戦い振りで3対0の快勝を飾りました!

正にスキのないゲーム運びでの完勝でしたが、前節のシェフィールド戦と同様、チームがまとまっている事が伺えます。そしてそこには戦術面での進化も垣間見られています。

今回はその戦術進化を分析してみます。

以下項目です。

まずはラインナップから。

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ブライトンvsユナイテッド ラインナップ

 ベンチメンバー
ブライトン:ブットン、スケロット、ベルナルド、マーチ、ムーイ、グロス、トロッサール、モペイ、マレイ
ユナイテッド:ロメロ、ウィリアムズ、バイリー、ペレイラ、マクトミネイ、マタ、フレッジ、ジェームズ、イガロ

①ファイナルサードのボール保持~崩し

まず最初はファイナルサードでのボール保持から崩しの局面です。

ブライトン戦のユナイテッドの崩しは左右、中央すべての領域で機能していました。

ユナイテッドのファイナルサードでの特徴は、左サイドのオーバーロードです。プレーエリアも左に寄る方が多く、今節も左49%右33%中央18%と割合的には今までと変わりませんが、どの領域でも数的優位を作り「囮」を上手く使ってフリーマンを生み出していました

1-1.左サイド

まずは前半の給水タイムまで良く機能していた左サイドから見ていきます。

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ユナイテッドの左サイドの崩し

ビルドアップはマティッチから始まります。マティッチがボールを持つとブライトンの右SHランプティーが寄せてきます。この時点でショーがフリーになるのでそこにボールが出ます。そこから

プロパーがショーに寄せる→ブルーノが左サイドに寄ってくる→ボールを持ったブルーノにプロパーが戻って寄せる→ショーがフリーになりチャンネルランで裏へ抜け出す

という形が度々見られました。そしてこの間、ラッシュフォードは左サイドに張って(今回は幅担当でした)ブライトンの右SBモントーヤをピン止めしています。前半のショーはチャンネル(CBとSBの間)への侵入を繰り返しますが、この形から29分の2点目のブルーノのゴールが生まれました。そしてこのショーの積極的な上がりを可能にしていたのがマティッチのカバーリングでした。

1-2.右サイド

続いて右サイド。右の幅担当はワン=ビサカ。この試合ワン=ビサカもかなり高い位置をキープして攻撃に参加していましたね。WGのグリーンウッドは右に張り付いている事は少なく、中央や左サイドまで顔を出していました。先制点はそのグリーンウッドの素晴らしいショットでしたが、シュートまでの流れは完全に右サイドを崩しています。

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このシーンでキーとなったのはリンデロフのオーバーラップ。サイドでボールを持ったワン=ビサカを追い越して前へ出たリンデロフ。ブライトンの左SBバーンは完全にリンデロフに釣られます。そして一瞬フリーになったグリーンウッドにパスが出てシュートという流れでした。リンデロフがここまで上がるのは珍しいですが、この試合記憶にあるだけで2回はあったと思います。

1-3.センター

最後に中央。中央のキーマンは何といってもブルーノとポグバですね。ユナイテッドのポゼッション時には、ブルーノと同じ高さまで上がってくるポグバ。ポグバがバイタルでボールを持つことで相手のマークが引き付けられ、ブルーノがフリーになるという形。

22分のブルーノのポスト直撃のシュートも、2点目もこの形でしたね。中央からでも崩せるようになったのはもちろんブルーノの加入が大きいですが、ポグバと組むことで威力が増しています。そしてこのポグバの上がりを可能にしているのもマティッチの存在であることを忘れてはいけません。

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このように引いた相手に対してどこからでも崩しができるように進化したユナイテッド。それは躊躇なく前に人数を掛けられているからです。そしてその裏には次項で取り上げる守備面の進化が大きく影響しています。

②組織的ディフェンス

今節の勝利により公式戦15試合無敗を継続。内11試合でクリーンシートと守備面の安定を手に入れたユナイテッド。組織的に整備された感のあるディフェンス面を見ていきましょう。

2-1.カバーリング

シェフィールド戦もそうでしたが、自分の担当ポジションを外れた選手のカバーリングがしっかりなされています。例えば、ワン=ビサカが上がった裏のスペースはリンデロフとポグバがカバーします。

シェフィールド・U戦はこちら

【19-20PL第31節】マンチェスター・U vsシェフィールド・U 勝利のポイント5つ
プレミアリーグ第31節シェフィールド・U戦を5つのポイントで振り返ります!

これまでポグバはこういった守備を怠りがちでしたが、再開後の試合ではユナイテッドの非保持時にはボランチとして深い位置をキープしている上に、しっかりプレスも掛けるなど守備意識が向上しています(今だけでない事を願います…)。そして左サイドはショーの裏をマグワイアとマティッチがカバーしています。チーム全体のリスク管理能力が上がっているように感じますね。

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ユナイテッドのカバーリング

2-2.ネガティブ・トランジッション

シェフィールド戦の記事でも書いたのですが、ボールロストした時のトランジッションはかなりスピードが上がり、判断も的確になっています。ここでもマティッチの危機管理能力が威力を発揮しているのもあります。この試合ボランチのポグバとマティッチの2人のボールリカバリー回数は6回ずつで、両チームの中で最多を記録しています。

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ボールを失ってもすぐに回収し再攻撃を仕掛ける。これが再開後のユナイテッドの進化した部分の一つです。さらに失った時の陣形により、ゲーゲンプレスに行くか、リトリートするのかという判断も的確。この辺りはもう少し研究したいところですが、守備の局面における主原則や準原則が整理された印象があります。

2-3.ハイプレス

最後はハイプレス。ブライトン戦では24分の給水タイム後、ブライトンのビルドアップに対して前線の4人はハイプレスを仕掛けました。繋ぐ意識の高いブライトンなので、後方からのビルドアップに対してはハイプレスを掛ける事を決めていたと思いますが、マルシャル、ブルーノがサイドに追い込んでグリーンウッド、ラッシュフォードが自由に前進させない効果的なプレッシングが出来ていました。プレスの回数は

ブルーノ・・・30回
マルシャル・・・18回
ラッシュフォード・・・17回
グリーンウッド・・・11回

と前線の4人が上位にランクインしています。

プレスに関しても秩序が見えるところに進化が伺えます。

この守備面の進化(チーム全員が同じ方向を向いて守備が出来ている)によって、崩しにも思い切って人数が掛けられるようになりました。さらに、ユナイテッドはリトリート時にディフェンスの人数を6人にしていました。つまり前の4人は積極的な守備への関与は行わない形を採用していたという事です。そしてリトリート時は結構深くまでバックラインを下げ、10人全員が自陣に入ることも多かったです(特に後半)。これは次項で取り上げるカウンターに繋がっていきます。

③伝家の宝刀カウンター

今シーズンのユナイテッドはカウンターが代名詞でした。ユナイテッドが最も得意とする形で、チェルシーやシティ相手にも威力を発揮してきましたね。

ブライトン戦の3点目はまさに伝家の宝刀のカウンターが炸裂したゴール。ブライトンのロング・ボールをマグワイアがヘディングで跳ね返し、そのボールをマティッチが胸トラップからダイレクトで左サイドのグリーンウッドへ。そのまま一気に前線4人がスプリントし、グリーンウッドの柔らかいクロスをブルーノがダイレクト・ボレーでゴールに叩きこみました。4人のスピードも見事でしたが、ラッシュフォードとマルシャルはニアに入り囮になったのも効果的でした。

このゴール後、OBのギャリー・ネビルは「アーセナル戦で見せたルーニー、ロナウド、パクのカウンターアタックのようだ」と言っていますが、この時のグリーンウッドは70ヤード(64m)を7.36秒でスプリントしているそうで、他の3人よりも速く、ルーニー、ロナウド、パクよりも速かったそうです。

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これまで、カウンターの時はジェームズのスピードも大きな武器でしたが、18歳グリーンウッドが入ったカウンター・ユニットもスピードと、誰でも質の高いフィニッシュができるという意味でも相手に脅威を与えますね。ユナイテッドのカウンターも進化しています。

ちなみにグリーンウッドは今シーズンRWで出場した公式戦は9試合ありますが、8G3Aを記録しています。サンチョ獲得に失敗した場合、もしかしたらこのワンダーキッドが7番を背負い、スタメンを張っているかもしれません。

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 👿まとめ

シェフィールド戦に続き3-0で快勝したユナイテッド。ブルーノ加入によるブーストだけでなく、ゲームモデルの主原則や準原則が整備されたのかな(スタメン組と控え組で差が大きいので微妙ですが…)と感じさせる戦術的進化を見ることができました。

恐らく中断期間にスールシャールとコーチ陣はある程度の戦術的見直しを行ったのではないでしょうか?これまで戦術の骨格は見えていても、選手個人任せな感じが漂っていましたが、チーム全体で意思統一され、研ぎ澄まされた印象を受けるブライトン戦でした。

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ブライトンvsユナイテッド スタッツ出典:プレミアリーグ公式

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試合結果出典:ユナイテッド公式

この結果ユナイテッドは5位のままですが、3位レスターと4位チェルシーが負けたため32節終了時点で3位に3ポイント、4位に2ポイント差に詰めました。CL出場権が見えてきました!

次節33節は7月4日(土)23:00からオールド・トラッフォードでのボーンマス戦。バッチリライブで見られる時間帯です!皆さん応援よろしくお願いします!

カモン!ユナイテッド!!

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