【マンチェスター・ユナイテッド】移籍市場で苦戦する4つの要因【2020】

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こんにちはMasaユナイテッドです。

9月20日にスタートする20-21シーズンに向けてファン・デ・ベークに続く新戦力の獲得を目指しているユナイテッド。今年の移籍の目玉であるドルトムントのジェイドン・サンチョ獲得が、ここにきて怪しくなってきました...。

さらにターゲットとしていたレアルの左サイドバック、セルヒオ・レギロンもスパーズに持っていかれる形に...。

チェルシーやシティ、アーセナルなどはしっかりとターゲットとの交渉をまとめ、チームの強化を図っているなか、なぜユナイテッドは移籍市場でこうも苦戦を強いられるのでしょう?

今回はその苦戦の要因を4つ挙げてみました。

以下項目です。

①SDを設置していない

まず1点目はSD(スポーツ・ダイレクター)を置いていない点。

SDとはクラブの編成、強化に関する総責任者で、監督の招へいや移籍に関する他クラブとの交渉、現所有選手の契約の見直しなどを行ういわば強化部門のトップの事。シティのチキ・べギルスタインやセビージャのモンチ、インテルのジョゼッペ・マロッタなどが有名です。ユナイテッドはクラブ創設140年の歴史で、一度もSD職を置いた事がありません。

ユナイテッドは伝統的にCEO(経営最高責任者)が監督人事や移籍交渉、チーム編成に関しても関与してきたクラブの1つです。サー・アレックス政権時はマーティン・エドワーズ、ピーター・ケニオン、デイビッド・ギルといったCEOがファーガソン監督と文字通り2人3脚でクラブの強化に当たってきました。SDを置かないリスクとして、“現場”の意向が吸い上げれずに、アンバランスなチーム編成が行われてしまうという事があります。しかし、ファーガソン時代のCEO達はマネージャーであるファーガソンの意見に常に耳を傾け補強を行い、常勝軍団を作り上げていきました。

選手を獲得する→チームが強くなる→タイトルを取る→大金が入る→さらなる強化費用が出来る

というサッカークラブの理想的なお金のフローをよく理解していたのがギルを始めとするCEO達でした。

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しかし2013年にギルが退任し、元やり手の銀行員であるエド・ウッドワード氏がクラブの副会長兼CEOに就任すると事態は一変します。オーナーのグレイザー家によりCEO職に任命されたウッドワードですが、財務に関する知識は豊富でもサッカーに関しては素人です。それ故に強化戦略は一貫したビジョンやポリシーに欠け、その時々で監督の意向を聞いたり聞かなかったり…。ターゲットも代理人の売り込みに応じて決めたりと前時代的なやり方が散見されます。

(実際の移籍交渉は2016年に移籍交渉担当に就任したマット・ジャッジが行なっていますが、)交渉相手のクラブに足元を見られ、言い値で法外な移籍金を支払わされることもしばしば。シュナイデルランやデパイ、ディ・マリア、サンチェス、ムヒタリアンなど高額な不発弾も多く、また監督であるファン・ハールやモウリーニョの移籍要請を無視するなど、サッカークラブの強化担当としては全くと言って良いほど評価されていません(笑)。

ウッドワード(ジャッジ)の移籍交渉はとにかく遅いです。もちろん色々と裏では交渉に交渉を重ねているはずですが、紙面でターゲットに上がってから実際の交渉成立まで、驚くほど時間が掛かります。昨年夏のマグワイアや冬のブルーノの移籍にしても市場が閉まるギリギリに決まっています。それでいてほぼ相手の言い値で買っているという...。

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スールシャール監督になってからは、監督の意向に沿った補強戦略をとっているように見えますが、SDを置くべきだという声はなくならないでしょう。昨年の夏にはダレン・フレッチャーリオ・ファーディナンドなどのクラブOBをSD(TD)の候補としているという報道もありましたが、立ち消えになっています。

仮に今回のサンチョの移籍が破談になれば、その声は容赦なくウッドワードとグレイザー家を襲うことになるでしょう。経営の手腕は評価できるウッドワードにはそちらに専念してもらって、チーム編成に関してはサッカーに精通したSDを置いて行う方が誰の目にも合理的なはずです。

ユナイテッドが移籍市場で苦戦する要因の1つ目はSD職を置いていない。つまりはサッカーの素人が移籍を担当していることが挙げられます。

②マンチェスターという立地

2つ目は「マンチェスター」という立地面です。

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太陽がサンサンと降り注ぎ、年中温暖で過ごしやすく、おいしいレストランも数多くあり、娯楽施設も豊富にある街と、短い夏以外は毎日のように曇りや雨で肌寒く、冬は長く寒さは厳しく、食べ物もさほどおいしくなく、遊ぶ場所も限られている街。あなたならどちらに生活の基盤を置きたいでしょう?多くの方は前者だと思います(もちろん後者がマンチェスターです)。

サッカー選手といえども例外ではなく、いくら高額な給料をもらって大好きなサッカーができると言っても、生活環境は大事な要素でしょう。奥さんや子供がいればなおさら自分だけの意見で移籍先を決める事は難しいでしょうし、良い気候やおいしい食事は奥様方にとって重要度は高いと思います。

国内の移籍が多かった時代はとっくに終わって、国外から有望な選手が続々参戦してくるプレミアリーグ。太陽がないと生きていけないスペイン人や、おいしいパスタがないと飢えてしまうイタリア人がなかなかユナイテッドにやってこないのはマンチェスターという土地柄も大きいと思います。海外からプレミアに挑戦するならせめてロンドンでという選手も少なからずいるはずです(笑)。チェルシーがこの夏大型補強できているのはチームの魅力ではなくロンドンのおかげです(負け惜しみ)。

マンチェスターの立地。これも移籍市場で苦戦を強いられる要因の1つだと思います。もちろんそれに関係なく、ユナイテッドでの成功を夢見て来てくれる選手もたくさんいます。そしてそんな選手はより応援しようとも思いますね。

③クラブの魅力

3つ目は、2つ目とも関係しますがクラブの魅力です。

じゃあなぜ、同じマンチェスターを本拠地とするシティはチームを強化出来ているのか?その答えがここにあります。

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ユナイテッドは、全世界に6億5900万人のファンを持ち(2011年調査データ)、クラブ収益もレアル、バルサに次ぐ3番目の7億1150万ユーロ(874億円*18-19シーズン)を誇るまぎれもないメガクラブです。しかし2013年以降プレミアリーグのタイトルはおろか、チャンピオンズ・リーグの出場すらままならない状況なのはご存じの通り。毎週のように勝つチームとベッカム、ロナウド、ルーニーなどの人気でファン数を伸ばしたのは過去のもの。近年のパッとしない試合ぶりを見て、あるいはポグバやラッシュフォードのプレーに魅せられてファンになった人がどれぐらいいるでしょう?SNSやインターネットの普及により、一部ではファンが増えていますが、人気は確実に落ちています

振るわない成績は移籍にも影響します。選手からしたらタイトルを狙えるチームに移籍することがキャリアのステップアップになるのは当然の事。さらに「監督」というのも大きな移籍ファクターになります。決してスールシャール批判を展開したいのではないのですが、冷静に見てペップやクロップの方がカリスマ性がありますし、選手なら指導を受けてさらに成長したいと思うはず。スールシャールにはまだまだ経験が足りませんし、実績も足りません。同じマンチェスターでもシティの方が魅力的なのは成績(強さ)と監督が原因として上げられます。

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移籍市場でも各クラブやメディアはユナイテッドの名前をバンバン使いますが(○○にユナイテッドが関心!とか)、実際に獲得に結びつくのはごく僅か。かつてあった移籍市場での権威も落ちている印象を受けます。というよりチェルシー、シティ、パリ、バイエルンなどがユナイテッドを追い抜いていったと言った方がしっくりきますね。

このように、

成績不振→人気が下がる→クラブの魅力が下がる→移籍市場で苦戦

という負のスパイラルに陥っているのが近年のユナイテッドです。

 ④難易度の高いターゲット

4つ目はそもそも移籍ターゲットの獲得難易度が高いということ。

サンチョにしても、レギロンにしてもウパメカノにしてもユナイテッドが狙っていると言われる選手たちは若くて、しっかり成績も残しチームの主力として活躍する人気銘柄ばかりです。当然所属先のクラブの要求する移籍金は高くなりますし、やり手の代理人を雇っている事が多く、高額な給料と手数料を条件に出してきます。

昨シーズンでいうとマグワイアとブルーノは人気銘柄を射止めた移籍と言えますが、それぞれ8000万ポンドを支払っています...。

ファーガソン時代は、アカデミー出身選手でチームの基盤を作った時期を経て、ルーニーやファーディナンドのようなビッグネームの獲得もありました。一方でロナウドや、エブラ、ヴィディッチなど無名に近く、まだ実績も残していない選手を取ってきて一流の選手に育てるのも上手かったです。育成と補強のバランスが絶妙でした。

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結果がすぐに求められる今の時代では難しい面もありますが、無名とまではいかなくてももう少し獲得難易度を下げたターゲット選考があっても良いと思います(サポーターの要求は高いですが)。

難易度が高い例としてサンチョの件に触れておくと、ドルトムントは1億2000万ユーロの移籍金を下げる気が一切ありませんし、サンチョを現金化する必要もありません。ユナイテッドはどうしても欲しいなら払うしか手はありません。ただ補強の予算は決まっているはずなので、払いたくても払えないというのが現状でしょう。

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ユナイテッドがターゲットを獲得できる時は、その選手が来たがっている場合で、相手クラブの言い値を払える場合に限られています。

交渉力がないにも関わらず、このように難易度の高いターゲットをリストアップしている事が、移籍市場で苦戦する要因の4つ目です。

👿まとめ

以上、移籍市場で苦戦する要因4つを見てきました。これらの要素が複合的に合わさって、思うような補強が出来なくなっていますが、最大の要因は①のSDの件です。「試合の成績は、我われのコマーシャル面のビジネスにほぼ影響がない」と豪語してしまうウッドワードを移籍関係の仕事から遠ざける事が必要です。

今夏に関してはもちろんコロナの影響はあると思いますが、サンチョの一件はユナイテッドの現在の移籍市場での力を表す象徴的な出来事です。サンチョ獲得が失敗に終われば、

#GlazersOutWoodwardOut

の声はますます大きくなるでしょう。

ウッドワードが強化担当になって6年間でリーグ戦のタイトルを獲得できていないという事実が、チーム強化に失敗している何よりの証拠です。

こちらの記事も参考にどうぞ

【マンチェスター・ユナイテッド】グレイザー・ファミリーが嫌われる理由【ウッドワード込み】
ユナイテッドの悪名高きオーナー「グレイザー・ファミリー」はなぜ嫌われているのか?経済のお話しです。

最後まで読んで頂きありがとうございました!

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