【20-21UEFAチャンピオンズリーグ】パリ・サンジェルマンvsマンチェスター・ユナイテッド マッチレビュー

Embed from Getty Images

こんにちはMasaユナイテッドです。

20-21シーズンのUEFAチャンピオンズリーグが遂に開幕。ユナイテッドはパルク・デ・プランスで昨シーズンのCLファイナリスト、パリ・サンジェルマンと対戦しました。

ブルーノのPKとラッシュフォードのゴールでパリに1-2で勝利を飾っています。

試合の詳細はユナイテッド公式を参照下さい。

www.manutd.com

今回はこの試合の戦術的要素を中心にしたマッチレビューです。

以下項目です。

👿ラインナップ

f:id:masachesterutd:20201024131852p:plain
パリvsユナイテッド ラインナップ

ベンチメンバー
パリSG:レテリエ、リコ、バッカー、マリキーニョス、ペンベレ、ダグバ、ルイス=アティル、ドラグスラー、ラフィーニャ、ファディガ、サラビア、キーン
ユナイテッド:ヘンダーソン、ウィリアムズ、フォス=メンサー、マタ、マティッチ、ポグバ、ファン・デ・ベーク、ジェームズ、イガロ、ペリストリ

スタメン、ベンチメンバーは上の通り。

パリは ヴェラッティ、パレデス、イカルディ、ベルナト、ケーラーが怪我の為欠場。キャプテンで守備の要のマルキーニョスも怪我明けでベンチからのスタートに。主力を多く欠きメンバー選考に苦労したトゥヘル監督。一方のユナイテッドもマグワイア、バイリー、グリーンウッド、リンガードが怪我。古巣対戦となる新加入カバーニは、まだフィットネスが整わず遠征に帯同しませんでした。

①前半

1-1.ユナイテッドのフォーメーション

昨シーズンのチャンピオンズリーグ ファイナリストのパリ・サンジェルマンとの一戦。スールシャール監督はこの試合に3-4-1-2で臨みました。このシステムは、これまで強豪チームとの対戦で使用し、結果を出してきたシステム。守備時には5バックになりレーンを埋めるこのフォーメーション がネイマール、ムバッペ、ディ・マリアというワールドクラスのアタッカーを有するパリ相手にどこまで通用するのかが注目されました。

ユナイテッドが3-4-1-2を採用した目的は2つ。

✅パリの433にはめ合う形にする事で、マンツーマンで人に付け、守備の基準点を明確にする事。
✅5バックのブロック守備から、素早く両WBを押し上げ攻撃に転じる事

f:id:masachesterutd:20201023232916p:plain
フォーメーションの噛み合い

図のように、両チームのフォーメーション はガッチリ噛み合う形。この事により、ユナイテッドの選手は自分のマーカーがハッキリします。もちろんパリの前線の3人はじっとしているわけではなく配置を変えるので、ユナイテッドの選手はゾーンで対応する必要も出てきますが、「1対1では絶対にやらせない」という責任感を持たせる事に成功していました。

前半のネイマールに対応したワン=ビサカや、ムバッペを止めたトゥアンゼベのパフォーマンスは、この事を良く表すシーンでしたね。

Embed from Getty Images

また5バックにしてブロックを作る事で、ハーフスペースに入り込もうとするネイマール、ディマリアにも対応しやすくなります。この堅守からボールを奪ったら前線の3人に素早くボールを渡し攻撃に移行します。その際、両WBのテレスとワン=ビサカも前方が開けているので押し上げやすいというのも、このシステムのメリットとなっていました。

1-2.ユナイテッドの組立て

前半ユナイテッドのビルドアップは左サイドを押し上げる振り子の動きを使いました。3CBの左に入ったショーがいつもの様に左SBに移動し、テレスをWGの位置まで押し上げます。いわば左寄りの4-2-2-2の様な形で前進。ショーは自分の前にできたスペースを、ボールを持って持ち上がったり、縦パスを通すなど左サイドの攻撃に関与します。前方へのパスは最多の13回。5つのファイナルサードへのパス。1つのキーパスを記録しています。

f:id:masachesterutd:20201023232948p:plain
ユナイテッドのビルドアップ(前半)

しかし、左サイドの攻撃に厚みをもたらせたこのこのビルドアップの形は22分の先制点までで、その後は徐々にショーはCBのポジションに腰を据えます。得点後パリが攻勢に出てきた事もあって、ショーを上げるリスクを取ることはできなくなっていきました。

Embed from Getty Images

1-3.パリの中盤

前半は内容的にはほぼ互角といった印象。しかしブルーノのやり直しのPKで先制し、思惑通りに試合を進めたのはユナイテッドの方でした。

一方のパリは前線の3人や左サイドバックのクルザワの鋭い攻撃はありましたが、全体的に攻撃に厚みを持たせる事ができませんでした。

パリの中盤はダニーロ、ゲイエ、エレーラの3人。中盤の要のヴェラッティを欠いていた事もあり、3人のメインのタスクは中盤でのフィルターで、攻撃をオーガナイズさせる事は二の次といった印象。エレーラは運動量で中盤と前線をリンクさせる役割を担いましたが、マッチアップしたフレッジに抑えられ効果を発揮できませんでしたね。中盤からボールを運べないのでネイマールが下がって受けるシーンも多かったです。

ネイマールが左の中盤に下がって受けて前を向き、同じ左サイドに張ったムバッペとコンビネーションと個のスキルでユナイテッド・ディフェンスをこじ開けようとするパリ。パリのプレーエリアの47%が左サイドに寄っていて、ネイマールとムバッペのプレーエリアはほぼ同じ位置となっています。しかし、ユナイテッドはこちらサイドのワン=ビサカ、マクトミネイ、トゥアンゼベが高い集中力でパリのアタックを凌ぎました。

f:id:masachesterutd:20201023220515p:plain
リアル・ポジショニング

まぁそもそもパリはベストメンバーを組めなかったこともあり、得点に関しては強力3トップに任せるのが基本的なゲームプランだったと思います。ヴェラッティやパレデスのいる中盤だったらもう少し攻撃に厚みが出たでしょう。

②後半

2-1.トゥヘルの修正

先制を許したトゥヘル監督は、後半開始と共に修正を加えます。中盤のゲイエを下げてフォワードのモイーゼ・キーンを投入。さらにシステムもネイマールをトップ下に置いた4-2-3-1(4-2-1-3に近い)に変更します。

f:id:masachesterutd:20201023232936p:plain
パリの修正(後半)

マンツーマンで噛み合ってしまっているシステムを変更して、人的ギャップを作る事で流れを変える作戦に出ます。もう一つ、推測できる理由は、ダブルボランチにすることでサイドの守備もカバーできます。前半ほとんど上がれなかった右サイドバックのフロレンツィに攻撃参加させる目的もあったのかなと思います。後半テレスが高い位置を取れなくなったのはその影響かなと…。

この修正により、後半開始からパリは流れを引き寄せます。ネイマールが左のハーフスペースで受けてムバッペと左サイドを攻略に掛かります。48分にはムバッペに鋭いシュートを打たれますが、デ・ヘアがファインセーブ。押し込むパリに対してカウンターを繰り出すユナイテッドでしたが、55分にパリのコーナーからマルシャルがきれいにヘディングで合わせ(笑)同点に追いつかれます。

Embed from Getty Images

2-2.スールシャールの修正

それに対してスールシャール監督は、マクトミネイとフレッジのポジションを入替えます。正確には50分からなので結果的にその後に同点にされてはいますが…。前半はマクトミネイがネイマールとマッチアップすることが多かったですが、後半は同胞のフレッジがネイマール番になりました。

f:id:masachesterutd:20201023232930p:plain
ユナイテッドの修正(後半)

パリのシステム変更によりボランチの1枚は余る形になります。ネイマールはトップ下に入っても左に寄ることがほとんどなので、前半ネイマールにファールを犯して1枚イエローを貰っていたマクトミネイをそのまま付けておくのは危険と判断したのではないでしょうか?さらに前半にマクトミネイはコンタクトを片方落とし、片目しか見えない状態だったこともあるかもしれませんね。

Embed from Getty Images

フレッジはネイマール番をしっかりこなしつつ、ライン間やサイドのエリアのカバーも精力的にこなしました。守備面での貢献は素晴らしかったですね。フレッジのディエル勝率は56%。タックル成功率は71%でした。

2-3.ポグバ投入

Embed from Getty Images

同点の状況を打開すべく先に動いたのはスールシャール監督。67分にテレスに代えてポグバを投入します。それと同時にシステムを4-3-1-2に変更。ポグバは左のインサイドハーフに入りました。しかし、IHの位置にいるのはブロック守備の場面だけで、ボール保持の場面では左サイド、トップ下、右サイドとフリーマンとしてライン間を広範囲に動き回り、ユナイテッドのポゼッションに大きく貢献しました。さらに前へ出てくるようになったフロレンツィを再度押し込むためにポグバがハイプレスを仕掛けていましたね。このポグバ投入によるシステム変更が試合の流れを変えたのは間違いないでしょう。

f:id:masachesterutd:20201023232942p:plain
ポグバの役割

前掛かりになったパリは自陣にスペースが出来ていて、ユナイテッドはボールを奪ったらラッシュフォード、マルシャル、ブルーノの3人がカウンターを常に狙っている状態でしたが、ポグバの投入によりポゼッションでも押し込めるようになります。後半スタートからポグバ投入までのユナイテッドのボール支配率は30.6%ですが、ポグバ投入後の10分間は46.8%まで上がっているのは偶然ではないでしょう。

87分に決めたラッシュフォードの勝ち越しゴールをアシストしたのもポグバでした。

👿まとめ

インテンシティとアグレッシブさを取り戻し、見事アウェーで昨年のファイナリストを破ったユナイテッド。スールシャール監督はアウェー10連勝という新記録を樹立しました。この試合に対してしっかり準備し戦術を練ってきたことがわかる試合でしたし、試合中の修正も見事にハマったと言えます。

スタッツはこちら

www.uefa.com

f:id:masachesterutd:20201023221036p:plain
試合結果
出典:ユナイテッド公式

1人1人が高い集中力で、守備を遂行しましたが、中でもワン=ビサカの対人守備は完璧でしたね。またトゥアンゼベも久し振りの(約10ヶ月振り)の実戦にも関わらずムバッペとのスピード勝負にも勝つ素晴らしい守備を披露しました。デ・ヘアもビッグセーブでチームを救い、大舞台での経験を活かす活躍を披露。

ユナイテッド・デビューとなったアレックス・テレスは高精度のクロスとコーナーキックでアピールに成功。特にコーナーはほぼマクトミネイに合わせており、ユナイテッドのコーナーキックはパリに脅威を与えていました。

攻撃陣はマルシャル以外(笑)は素晴らしいパフォーマンス。ラッシュフォードはコンディションも良く、今回の2トップの方がやり易く見えましたね。(まぁ引いた相手だとまた違うと思いますが...)。ブルーノも初キャプテンとして高いメンタリティを見せましたし、フレッジ、マクトミネイ、ショー...みんな良かったです(笑)。

勝利のポイントとなったのはユナイテッドのフォーメーション選択と、ポグバ投入、そしてパリのテンションの低さ(笑)。守備の基準点がハッキリし、カウンターを繰り出しやすい5バックは、やはり強豪との対戦では有効だという事を改めて示してました。

この勢いで、週末のチェルシー戦、CLライプツィヒ戦にも良い結果を期待しましょう!

次の試合は10月25日(日)1:30からプレミアリーグ第6節 オールドトラッフォードでのチェルシー戦 リーグ戦も勝ち点積み上げたいですね!カモン!ユナイテッド!!

最後まで読んで頂きありがとうございました!

コメント

タイトルとURLをコピーしました