こんにちはMasaユナイテッドです。
UEFAチャンピオンズ・リーグ グループステージ2回戦はホームでドイツの成長著しい新進チームRBライプツィヒと対戦したユナイテッド。
前半21分にグリーンウッドのゴールで先制に成功したユナイテッド。後半途中出場のラッシュフォードのハットトリックとマルシャルのPKで得点を重ね、5-0の快勝を収めました。
試合の詳細はユナイテッド公式を参照下さい。
今回はこの試合のマッチレビューです。
少し長くなってしましまいましたが、両チームの戦術が垣間見れるので是非最後まで読んで下さい!
以下項目です。
👿ラインナップ

ベンチメンバー
ユナイテッド:ヘンダーソン、メンギ、ウィリアムズ、フォス=メンサー、トゥアンゼベ、マタ、マクトミネイ、ブルーノ、ラッシュフォード、カバーニ、ジェームズ、イガロ
RBライプツィヒ:マルティネス、チャウナー、マルテル、オルバン、ヴォシュ、サビツァー、アダムス、クライファート、サマルジッチ、ボルコフスキ、スロース、ヒチャン
①前半
1-1.ライプツィヒの基本戦術と狙い
現在ブンデスリーガで首位を走るライプツィヒ。2年目のユリアン・ナーゲルスマン監督が率いるハイ・エナジーチームの戦術と狙いについてまずは見ていきます。
この試合、ライプツィヒは3-1-4-2システムを選択。今シーズンは基本的に3バックでスタートしているライプツィヒ。その戦術的特徴はストーミング、もしくはゲーゲンプレスと呼ばれる攻→守の切り替えで、人数を掛けて即座にボールを奪い返し攻撃に転じる戦術で、ナーゲルスマンの代名詞となっています。
ユナイテッド戦でも立ち上がりから、特にユナイテッド陣内では複数で囲い込み激しく奪い返しにいくシーンが度々見られました。
ライプツィヒのビルドアップはサイドが起点。両WBが幅をとり、CBもしくはアンカーからそこにボールを繋ぎます。そしてボールサイドに人数を掛け、オーバーロード(過密)状態を作り、ボールを失ってもすぐにプレスが掛けられるようにしておきます。
そこから先のファイナルサードは、ユナイテッド戦では上手く機能せず、結局どうやって崩したかったのかハッキリわかりませんでしたが、これまでの戦い方だと、ライン間に一度当ててからアイソレーション(手薄)の逆サイドに展開してそこからクロスやシュートというのが定石のようですね。

ユナイテッド戦では、ライン間にボールを入れる事がほとんどできませんでしたし、理想的に逆サイドに展開できたのも1.2回しか記憶にありません。ほとんどがサイドで潰されるか、アンカーのカンプルに戻してやり直しという感じでした。
敵陣でのゲーゲンプレスを掻い潜られると、ライプツィヒは素早く5-3-2でブロックを作って撤退守備をします。横幅をコンパクトにして中央を閉め、カウンターを狙うのが引いた時の狙いです。
これが基本的なライプツィヒのプレースタイルとなっています。
1-2.ユナイテッドの対策
では、そういった戦術を敷いてくるライプツィヒに対してユナイテッドはどのように試合に臨んだのでしょう?
まず、ユナイテッドが選んだフォーメーションは4-3-1-2で、中盤をダイヤモンド型にした形でした。通常の4-2-3-1ではなく3センターにしたのは真ん中を閉めて使わせないという意図があります。先述した様にライプツィヒの戦術でライン間にボールを入れる事は一種の攻撃スイッチとなっていてとても重要です。それがこの試合ほとんどできなかったのは、ユナイテッドの3センターがボールサイドにスライドして蓋をしていたためです。
ライプツィヒのビルドアップに対しては、前から同数でハメにいくやり方を採用。ライプツィヒの3CBに対してはマルシャル、グリーンウッドに加えて、ファン・デ・ベークがアンカーのカンピルへのパスコースを消しながらウパメカノにアプローチします。ライプツィヒはそもそもサイド起点のビルドアップのチームですが、ユナイテッドが3センターにしている事で、なおさらサイドにボールを出すことになります。
そしてWBのアンヘリーニョやヘンリクスに出たところでプレスに出ていくのがインサイドハーフ(IH)の2人、フレッジとポグバでした。これはほとんどの場合センターサークル付近、ならびにライプツィヒ陣内でWBにボールが出たケースに行われました。SBのワン=ビサカが出ていくのではなく、中盤の3人がボールサイドへスライドする事で、IHが長い距離をプレスに出ていく戦略は特に前半効果的でした。フレッジは何度もインターセプトを決めて起点を潰しています。

ユナイテッドはライプツィヒのゲーゲンプレスに対しても対策していました。ユナイテッドの取った対策は、
「ゲーゲンプレスにはゲーゲンプレスを」
作戦です(笑)。この試合、ライプツィヒのお株を奪うかのような素早いトランジッションと激しいプレスを見せたユナイテッド。先制のグリーンウッドのシュートに繋がる起点となったのは、ポグバがプレスでオリモからボールを奪ったところからでした。
さらに特徴的だったのは、ボールを奪った瞬間にプレスに来るライプツィヒの選手をいなすのに、剥がすドリブルを多くの場合入れていた事です。すぐにパスを出すのではなく、数メートル持ち上がる事で相手を引き付け、フリーの味方を作る事に成功していました。
このような対策をユナイテッドは準備していましたが、スールシャールを始めコーチ陣は、綿密に戦略をたてトレーニングしたことを想像させます。
1-3.ナーゲルスマンの修正
試合の方はユナイテッドが前半21分にグリーンウッドのゴールで先制します。その後、ナーゲルスマン監督は即座に修正を加えました。もともと中盤の左IHだったヌクンクを右ワイドに出します。列もトップと並ぶ高さに配置し、右に寄った3トップのような形。その結果WBのヘンリクスは少し下がり目になりSBのポジションを取ります。ビルドアップの形を見ると4バックの様に見えました。

ヌクンクを右サイドに入れる事でグルっと時計回りに選手を旋回させ、システムを変えるやり方です。フォーメーション表記はしにくい形ですが、WhoScoredの表記では4-1-4-1になっていました。しかし個人的にはしっくりきませんね(笑)。この修正の目的はサイド(特に右)のレーンに2人の選手を配置し、優位性を確保するためだと考えられます。ライプツィヒのプレーゾーンは右に寄る事が多く、この試合も44%が右側でした。
失点するまでは、要の右サイドでオーバーロードを作っている割に主導権を握れておらず、ナーゲルスマン監督はこれを修正したかったと思います。ユナイテッドはポグバやフレッジをサイドまで出すことで起点となるサイドを潰しており、ここにWB(SB)ともう一人配置する事で打開しようとしたと考えられます。右はヌクンクとヘンリクス、左はアンヘリーニョとヘルステンベルグといった形で。
実際この修正以降、前半の間はライプツィヒが完全にゲームを支配します。失点前の支配率が52.6%なのに対して失点後、ハーフタイムまでは61.1%となっています。
②後半
2-1.スールシャールの修正
後半開始と同時にスールシャール監督も修正を加えます。フォーメーションを4-2-3-1に変更。ポグバを左WGに出して、グリーンウッドを右WGに。これは、前半にナーゲルスマン監督が行った修正に対応しての事です。前半はサイドの人数を増やしたライプツィヒに対してユナイテッドの中盤の3センターは、スライドする事での対応を強いられましたが、ボールと逆サイドは対応できない状態でした。後半はバランスを崩して4-3-1-2を貫くよりは4-2-3-1に変えたほうが両サイドで数的同数を保てます。

さらに、ライプツィヒの4バックに対して前線の4人を当てたかったのもあるのかなぁと想像します。この試合、ユナイテッドはある程度人を決めてマッチアップしています。フォーメーション的には噛み合っていないのですが、守備の基準点を明確にすることと、個の能力ではユナイテッドに分があることから、マンツーマン気味の方が戦いやすかったと思います。
組織力で戦いたいナーゲルスマンに対して、個の力でねじ伏せたいスールシャール。そんな構図にも見えました。
そしてパリ戦同様、63分という早めに交代カードを切ったスールシャール監督。マティッチとグリーンウッドを下げてマクトミネイとラッシュフォードを投入します。マティッチはカードを1枚貰っていたため。グリーンウッドはサイドに出てからほとんどボールに絡めていませんでした。そして68分にはファン・デ・ベークを下げてブルーノを投入して、追加点を狙いにいきました。
2-2.ユナイテッドの可変システム
63分、65分にザビツァーとスロースを投入したナーゲルスマン監督。ザビツァーを右サイドバックに、スロースをトップに入れて4-1-4-1に変更します。しかしブルーノ投入で流れはユナイテッドへ。74分にカウンターからラッシュフォードに2点目を決められます。
その失点後、ライプツィヒはクライファートを入れて3-1-4-2にシステムを戻しているのですが、これに呼応してユナイテッドも4-3-1-2に戻します。このようにスールシャール監督は徹底してナーゲルスマン監督のシステム修正の逆手を取り、主導権を渡しませんでした。ユナイテッドは4-3-1-2と4-2-3-1を細かく使い分けますが、ポイントとなるのはポグバとラッシュフォードのポジション。この2人のポジショニングで今どちらのフォーメーションなのかわかるといった感じです。
3-0になり81分にポグバを下げてカバーニを入れた時には、4-4-2あるいは4-3-3気味のシステムも使っており、これまで4-2-3-1一辺倒だったユナイテッドでしたが可変システムも使いこなせるというところを見せました。

👿まとめ
昨シーズンのCLベスト4でブンデスで首位を走るライプツィヒ。33歳にしてドイツ最高の監督と評されるナーゲルスマン監督の采配にも大きな注目が集まりましたが、終わった見れば5-0の大敗となってしまいました。試合後ナーゲルスマン監督も語ったように2失点目で集中力が切れたように思います。失点シーンはウパメカノやザビツァーなど評価の高い選手のミスでもありました。身体能力に頼った守備が得意なウパメカノやコナテは、対応の軽さや集中力の欠如が指摘されてもいます。ムキエレ、ライマー、クロスターマンなどの主力を欠いたというエクスキューズもありますが、クラブとしての国際大会の経験の差が出たといった印象。
後半前掛かりになったライプツィヒは自陣にスペースが出来ていて、ユナイテッドの格好の「エサ」になってしまったのも反省点に挙げられます。まだ若いチームなのでこの経験を今後に活かしてほしいですね。
一方、パリ戦に続いて、スールシャールの戦術と采配が見事ハマった試合となったユナイテッド。両チーム共に目まぐるしく変わるフォーメーション の応酬は見応えがありましたね。
選手たちも素晴らしい戦いを見せてくれました。クリーンシートに抑えた守備陣達はもちろん、先発出場となったファン・デ・ベークも高いボールキープ力を見せてくれました。
しかし何といってもキャリア初となるハットトリックを達成したラッシュフォードでしょう。データサイト「OPTA」によると、ラッシュフォードは途中出場ではCL史上最速となる27分間でハットトリックを達成。また、ユナイテッドの選手で途中出場からハットトリックを達成したのは1999年2月にプレミアリーグのノッティンガム・フォレスト戦で現指揮官のスールシャール監督が達成して以来、2人目の記録とのこと。
そしてもう一人称賛に値するのがフレッジ。12回のファイナルサードへのパス、3回のインターセプトをマークしていますが、数字以上に果たした戦術面での役割は大きいです。豊富な運動量と激しいプレッシングで文字通りチームを支えました。チームの3点目はフレッジのボール奪取からでしたね。
ライプツィヒは非常に組織的に整備されたチームですが、局面でのユナイテッドの個の能力が上回った試合。そして戦術的な準備もしっかりできていた試合でした。来週のバシャクシェヒル戦に勝てばグループ突破が見えてきます。来週が楽しみですね!
スタッツはこちら

出典:ユナイテッド公式
次の試合はプレミアリーグ第7節11月2日(月)1:30からオールド・トラッフォードでのアーセナル戦。リーグ戦はもう少しエンジンを掛けたい!カモン!ユナイテッド!!
最後まで読んで頂きありがとうございました!
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