こんにちはMasaユナイテッドです。
21-22シーズンがいよいよ開幕しました!開幕戦はリーズ・ユナイテッドとホームで対戦したユナイテッド。試合は開始からホームのユナイテッドが積極的にプレスからショートカウンターでチャンスを作ります。30分にリーズのゴールキックを奪って素早く縦に繋いだユナイテッドがブルーノのゴールで先制します。後半に入った49分、リーズのエイリングのスーパーゴールがネットの突き刺さり同点に。しかし、ユナイテッドはすぐさま反撃に出ます。52分グリーンウッド、54分は再びブルーノが決めて3-1と突き放します。さらに攻勢にでるユナイテッドは60分と68分にも追加点を上げ、ホーム開幕戦を5-1の快勝で飾りました。
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今回はこの試合のマッチレビュー。戦術的ポイントに絞って振り返りたいと思います!
以下項目です。
👿ラインナップ

ベンチメンバー
ユナイテッド:ヒートン、ダロト、バイリー、ウィリアムズ、マタ、ペレイラ、ファン・デ・ベーク、マティッチ、サンチョ、マルシャル
リーズ:クラーセン、フィリポ、シャクルトン、ロバーツ、フィリップス、フォーショウ、コスタ、グリーンウッド、サマーヴィル
①前半
1-1.中盤センターのコンビ
ユナイテッドは昨シーズン同様の4-2-3-1。リーズは4-3-3。お互いの2CBと1トップのところ以外は噛み合ういつもの形。ユナイテッドは中盤センターにフレッジ、マクトミネイをチョイス。昨シーズンの14節の対戦では、マクトミネイの飛び出しが活き開始3分で2得点を奪う展開でしたが、開幕戦も試合開始からマクトミネイは積極的に前へ出ました。これは、マクトミネイのマークについたクリヒがリーズのポジティブ・トランジッションの起点を担っており、切り替えの際にパスを受けやすくするため比較的自由にポジショニングしていた事が要因の1つ。この為にマクトミネイは比較的フリーになりやすかったという側面があります。
プレシーズンで好調だったマティッチではなく、マクトミネイとフレッジでスタートしたことで、ビルドアップの奥行きがなかったのは間違いないですが、その代わりにマグワイアの持ち上がりと、リンデロフのロングフィードが活きる展開にはなりました。ビルドアップ時に同じ高さにポジショニングしてしまうのがマクトミネイ、フレッジコンビの悪癖です。しかし、今回のリーズは前半ハイプレスを封印。ボールホルダーに対してもそこまでタイトにこなかったのでユナイテッドが主導権を握れたと思います。
1-2.ハイプレスとショートカウンター
ユナイテッドは前半15分までハイプレスを積極的に仕掛けています。これは今シーズンのプレシーズンマッチでも見られました。リーズ戦でも開始から中盤も連動するハイプレスを仕掛けショートカウンターに繋げていました。10分のグリーンウッド、12分のポグバの惜しいシュートはいずれも敵陣で奪ってからの素早い攻撃でした。前の4人、グリーンウッド、ポグバ、ジェームズ、ブルーノはプレス回数でチームトップ5に入っています(ポグバが最多の26回)。前半ジェームズがオフサイドに掛かるシーンが何度かありましたがショートカウンターを狙った結果だと思います。
このハイプレスは昨シーズンの課題だった早い時間帯での失点に対する対策という側面があります。試合展開によってプレスが止んだり、強弱はもちろんありますが、今シーズンは開始15分のハイプレスに注目したいと思います。リーズ戦は開幕戦、ホームでサポーターの後押しがあったことも積極的なプレッシングに繋がったということもありますが、シンプルな戦術ながら意識するだけで効果は大きいのがハイプレス。時間を開始から15分までと決めておけば連動性も上がりるので有効性の高い戦術です。
ただ、ハイプレス時に中盤の2人も連動して前へ出た時に、バックラインがついてこない場面がありました。リーズはポジトラのとき、ロングボールやワンタッチパスなどで素早く前線へボールを運びますが、マクトミネイ、フレッジとバックラインに距離があり、戻りが間に合わずにバイタルへの侵入を許すシーンも。後半2-1になった後は重心を下げましたが、ヴァランに期待される1つがバックラインの高さを上げる事だと思います。
1-3.ポグバの役割
リーズ戦4アシストを記録したポグバ。左サイドでスタートしたポグバは75分間プレーし、チャンスクリエイトは最多の5回を記録。ファイナルサードでのパスも最多の19本を記録しています。チーム2点目となるグリーンウッドへのロングスルーパスは見事でしたし、3点目のブルーノへのパス、5点目のフレッジへのクロスも実に冷静に状況が見えていて、パスの軌道も完璧でしたね。
ポグバは、開始20分頃から頻繁にポジションを中央へ取るようになっていきました。試合後のスールシャール監督のコメントでは
今日は「外に出て楽しんでこい」と伝えた。彼には行きたいところに行き、ボールに触れるという自由を与えた。1試合で4アシストというのはいつ以来か覚えていないが、ポールはそのクオリティーを持っているし、選手たちが積極的に走って他の選手のためにスペースを作ってくれれば、それが可能になる。
と語っていて、ポグバには戦術的に自由が与えられていたことがわかります。マンマークシステムのリーズは、ポグバに右サイドバックのエイリングがマークについていましたが、ハーフスペースへ移動するポグバについて行くことでショーのオーバーラップが活きる形になっていました。ショーをマークするハフィーニャは献身的に戻って対応していましたが、ハフィーニャはリーズの攻撃の要。ハフィーニャが頻繁に戻らなければならない展開は、リーズの攻撃が機能しなかった要因の1つになっていました(それでもハフィーニャは脅威でしたが...)。70分にハリソンに代えてコスタを投入し、ハフィーニャを右サイドへ変更していますが、これが原因だと思います。
ポグバが左サイドでこれほどのパフォーマンスを見せたのはユナイテッドにとって大収穫です。ラッシュフォードが不在の間、ポグバが左WGのファーストチョイスとなる可能性は大きいかもしれません。しかし、今回はマンマークかつ、1アンカーシステムのリーズ相手にハマった側面もあります。相手が変われば機能しないこともあるので臨機応変な対応が求められます。また、ポグバにのみ自由を与えるというのは規律の面で問題になる可能性も。そこはしっかりマネージメントする必要はあるでしょう。
②後半
2-1.リーズの修正とユナイテッドのビルドアップ
リーズはマンマークをベースにハイプレス戦術を使うチームでもあります。しかし、前半はほとんどタイトなハイプレスはしてきませんでした。どちらかというと引いて守ってカウンターを狙った前半でした。しかし、先制を許したことで後半はハイプレスへシフトします。49分にエイリングのスーパーゴールで同点に追いつくとハイプレスは勢いを増します。そのリーズの勢いを打ち消すようにすぐさま2点目を決めたユナイテッドですが、やはりこの2点目が勝負の分かれ目だったと思います。
しかし、後半のユナイテッドはかなりビルドアップが乱れたのは事実。フレッジとマクトミネイのポジションがプレス回避には効果的ではなく、かなりドタバタとしたパス回しになりました。このあたりはマティッチのダウンスリーの動きと、中盤センターのポジションを段違いにする動きが必要な場面だったと思います。
この状況に対してユナイテッドは、ハイラインになったリーズの裏を直接狙う戦法に出ます。2点目のグリーンウッドの抜け出しも、高くなったリーズのライン裏を突く形でした。さらに前半もありましたが、リンデロフのフィードは後半のリーズのハイプレスに対しても効果的で、60分のブルーノへ見事なアシストを決めています。
2-2.グリーンウッドの役割と進化
この試合、ポグバとブルーノの活躍は見事でしたが、個人的に影のMVPだと思うのはグルーンウッドです。前半から前線で運動量豊富に動き回り、引いて受けたりサイドに流れる事で、ブルーノとポグバにスペースと時間を与えていました。またランニングの質がとても高く、2点目の抜け出しは一度サイドに膨らんでからエイリングの脇をすり抜けており、あの軌道とスピードでなければポグバのパスはエイリングにカットされていた思います。細かく言えば、先制点も3点目のブルーノ得点もグリーンウッドの動きに一瞬デイフェンダーが吊られることでブルーノがシュートできる「スキ」ができました。4点目のリンデロフのフィードの瞬間も、ブルーノのマークに着いていたコッホに一瞬グリーンウッドが体をぶつけて、ブルーノのプレー時間を作っており、5点目のシーンでポグバへパスを出したのも引いて楔を受けたグリーンウッドでした。このように「動き」で全得点に関与したのがグリーンウッドです。
プレシーズントレーニングも最初から参加し、コンディション的に整っていることも要因ですが、オフシーズンの間に動きに関して改善したような印象を受けます。トップというポジションでいうとクロスが入る時にゴール前にいて欲しかったり、ヘディングがあまり得意でないなど、生粋のストライカーとしては物足りないかもしれませんが、ビルドアップへの関与や味方へのスペースメイクなどチームへの貢献度は計り知れません。
もちろん、一瞬のスキがあれば決定的な仕事ができてしまうポグバとブルーノのクオリティも大きいですし、カバーニが戻り、マルシャルのコンディションが上がってくればトップでの出番が減る可能性はありますが、グリーンウッドは間違いなく進化しています。
2-3.サンチョのユナイテッドデビュー
最後は戦術でもなんでもないですが、やはりこれに触れないわけにはいきませんね(笑)。75分にオールドトラッフォードのピッチに立ったジェイドン・サンチョ。ポグバに代わって左WGでの登場となりました。まだチームに合流したばかりということもあって、実力を見せつけるというよりはサポーターにお披露目という感が強かったですが、2年追い求めてついにユナイテッドに加入したサンチョには大きな期待が掛かっています。
ブンデスもレベルの高いリーグですが、やはりプレースピードやインテンシティ、さらに下位チームの手ごわさではプレミアに一日の長があります。ドルトムントではクオリティを見せていたサンチョと言えども慣れるには少し時間が掛かるかもしれません。徐々に慣れていって欲しいですが、ラッシュフォードの離脱によりあまり悠長なことも言ってられないのも事実。タイトル獲得にはサンチョのクオリティと早期フィットが必要です。
👿まとめ
プレシーズンをしっかり行いコンディション的にはリーズの方が勝っていたと思います。ディエルの場面でもリーズに分があり、総タックル数でもユナイテッド6に対してリーズは23と圧倒しています。ユナイテッドはブルーノ、ポグバ、マグワイア、ショー、リンデロフ、デ・ヘア、フレッジなどスターターの多くはプレシーズンのプレー時間が少なく、不安要素の1つでした。
しかし、終わってみれば5-1の快勝。ブルーノはハットトリック、ポグバは4アシストで昨シーズンの3アシストを1試合で更新する(笑)というキレキレ振り。個人の努力とコーチ陣のコンディション調整は称賛に値すると思いますが、大きな力となったのは、2020年3月8日のシティ戦以来となるほぼ満員(72.732人)のサポーターの声援でしょう。試合開始前のヴァランの入団セレモニーやサンチョの登場をスタンディング・オベーションで歓迎したサポーター。試合中も選手たちは観客から大きなエネルギーを受け取ったはず。今回は戦術ポイントのレビューとしましたが、正直どんな戦術より効果があったのがこのサポーターの声援だと思います。それはゴール期待値わずか1.64で5ゴールを挙げたことにも表れているのかもしれませんね。
満員の観客の中で躍動するユナイテッドの選手達。今シーズンのタイトル獲得に向けてこれ以上ないスタートとなった開幕戦でしたね。

21-22第1節 ユナイテッドvsリーズ スタッツ 出典:プレミアリーグ公式

21-22第1節 試合結果 出典:ユナイテッド公式
次節はセントメアリーズ・スタジアムでのサウサンプトン戦。8月22日(日)22:00キックオフ。連勝で開幕ダッシュ決めましょう!カモン!ユナイテッド!!
最後まで読んで頂きありがとうございました!
コメント
楽しい記事ありがとうございました。改めて12人目のプレーヤーの大切さを感じた試合でした。グリーウッドは、この試合でラストパスの精度も良かったと思います。彼は当然シュート能力も高いですし、ストライカーを支えるスゴい選手になれると思いました。今後が楽しみになる開幕戦でしたね。カモン!ユナイテッド!!
色々と心配していたのが馬鹿らしいぐらい素晴らしい試合でしたね。満員のスタジアムは最高ですね。ブルーノとポグバの調子の良い日は見ていて楽しいです。ここにカバーニが加わると思うと想像するだけでワクワクします。
今シーズンも解説楽しみにしてます。宜しくお願い致します。
こんばんは!いつも楽しく拝読しています。初投稿です。よろしくお願いします。
さてさて、本当に痛快な試合でテンション上がりまくりでした!しかし、マジで優勝して欲しい私は失点についてモヤモヤしております。笑
ぽっかり空いたハーフスペースに相手SBが駆け上がってきた場合、誰がそのエリアをカバーするのか?今回の場合、ネット上ではポグバが手を抜いたなんて意見を多々見かけたのですが、マンツーマンではないのだからポグバのせいにするのは可哀想だと思ってる派です。
ユナイテッドの守備戦略として、その辺りが整理されていないのかな?と思ってしまったのですが、主様はどうみますか?
Re.リンメイさん
コメントありがとうございます!満員のオールドトラッフォードは最高でしたね!グリーンウッドは素晴らしいパフォーマンスだったと思います。確かにパスを進化してますね。クロスも良いものを持っています。これでまだ19歳ですからね。本当に今後が楽しみです!
Re.kaiaskunさん
コメントありがとうございます!
開幕戦は見事でしたね!サンチョは少しの時間プレーしましたが、このメンバーにカバーニ、ヴァランが合流するのが本当に楽しみです。こちらこそ今シーズンもよろしくお願いします!
Re.xxxさん
はじめまして!コメントありがとうございます!
失点シーンですが、仰る通り、ポグバを責めるのはちょっと酷な気がしますね。確かにエイリングはポグバの担当で、ポグバ自身も失点シーンではエイリングを意識しています。しかし背後から走られ後手を踏んでいます。ユナイテッドは、相手SBの上がりに対して、必ずしもWGが戻らなければならないという原則を採用していません。ラッシュフォードなどはカウンターの為に前残りしている事も多いです。その分ボランチとSB、CBでカバーするという守備戦術ですね。
失点シーンのシュートブロックにはショーが行きましたが、ショーも大外にいたハフィーニャが気になっており一瞬遅れます。個人的に気になったのは、エイリングにボールが渡る前のプレーです。リーズの左サイドからのスローインでしたが、スローインを受けたクリヒがフリーになっていました。マクトミネイがマークを離してしまっていて、これが結果的に失点に繋がったと思います。ユナイテッドは結構相手スローインの時のマークが緩い場面があります。今回も同様です。確かにタイトルを狙うのであればこういったディテールもしっかり改善していく必要があると思います!
主様
とても丁寧にご見解を述べて頂き有難う御座います!めちゃめちゃ目から鱗でした。
仰る通り、エイリングにボールを持たせる、あの場面を作らせるべきではなかったですね。相手スローイン時にディフェンスが緩くなりがちだなんて、そんな着眼点、僕にはありませんでした。とても参考になりました。
今のプレミアは本当に優秀な監督が多く、生半可な完成度では優勝できないリーグだと感じております。その反面、チームクオリティを凌駕する個の力や勢いがユナイテッドの魅力だとも思っています。なんとも厄介な矛盾です。笑
これからも愛読させて頂きます。厄介な病気が蔓延するご時世ですが、体調など崩されぬようご自愛ください!
それでは失礼いたしますm(._.)m
Re.xxxさん
コメントありがとうございます。仰る通り、現在のプレミアには世界の名だたる名将が集結しており、優勝を成し遂げるのはかなりの難易度ですね。スールシャールは戦術に特化したタイプではないですが、着実にチームの完成度を上げてきました。サンチョとヴァランというピースをどうはめ込んで今シーズンのユナイテッドを築いていくのか楽しみです。
暖かいお言葉ありがとうございます。xxxさんもお身体お気をつけ下さい!