【20-21PL第1節】バーンリー戦に見るユナイテッドの進化【コラム】

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こんにちはMasaユナイテッドです。

プレミアリーグ第1節(延期分)、アウェイ、ターフ・ムーアでバーンリーと対戦したユナイテッド。試合は前半からユナイテッドがボールを支配しますが、バーンリーも前線のバーンズとウッドのフィジカルを活かしてシンプルに攻撃してきます。前半は、フラストレーションの溜まる判定などもあり、0-0で折り返しますが、後半71分にラッシュフォードのクロスをポグバがダイレクトボレーで合わせて先制に成功します。試合はそのまま0-1で終了。ユナイテッドが勝利しています。

試合の詳細はユナイテッド公式をご覧下さい。

www.manutd.com

今回はバーンリー戦の勝利により首位に立ったユナイテッドの今シーズンの進化を紐解いてみたいと思います。

以下項目です。

👿ラインナップ

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バーンリーvsユナイテッド ラインナップ

ベンチメンバー
バーンリー:ノリス、ロング、バーズリー、スティーブンス、ベンソン、コーク、マクニール、ヴィドラ、ロドリゲス
ユナイテッド:ヘンダーソン、テレス、トゥアンゼベ、マクトミネイ、フレッジ、マタ、ファン・デ・ベーク、ジェームズ、グリーンウッド

①メンタリティ

まず最初の進化はメンタリティ

バーンリー戦の前半は不本意な判定もあり、フラストレーションの溜まる展開でした。23分にはカバーニの決定機を阻止したとして、ブレイディにイエローカードが出ましたが、その前のショーのグズムンドソンに対するタックルの方をVAR判定の結果イエローと判断されてしまいます。さらに前半終了間際のマグワイアのヘディングでのゴールの取り消しは全くもって不可解であり、ユナイテッドの選手は主審を務めたケビン・フレンドに対する苛立ちを募らせていました。

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しかし、そのまま動揺を引きずることなく後半に入り、ハイプレスとリトリート・ディフェンスを巧みに使い分けるバーンリー相手に粘り強く戦い、最終的には0-1で勝利に繋げています。

このように今シーズンのユナイテッドは、粘り強く戦うことができるようになりました。17試合を終えた時点で逆転勝利は実に6試合。1点差での勝利も7試合と勝者のメンタリティを取り戻しつつあることが伺えます。最後まで勝利を諦めない姿勢は、ファーガソン時代の最も大きな特徴の1つであり、ユナイテッドの代名詞とも言えます。こういったメンタリティを持てるようになった事は大きな進歩です。

0-1で敗れたアーセナル戦の後、OBであるロイ・キーンが「今のユナイテッドには、リーダーがいない。チーム全体にも、経験ある選手たちのなかにもね」と発言した事が話題になりましたが、バーンリー戦では、チームキャプテンであるマグワイアがチームを後方から支え、中心選手であるブルーノがピッチ上の監督として指示を出し、マティッチも副官さながらに攻守に貢献しました。確かにキーノの様に、声を荒げて激を飛ばすタイプのリーダーはいないかもしれませんが、先日のFAカップのワトフォード戦で初めてキャプテン・マークを巻いたマクトミネイのようにリーダーシップを取れるプレーヤーは着実に増えています。これもチームの成長と言えるでしょう。

そして何といっても今のユナイテッドには一体感があります。ゴールが決まった時のセレブレーションを見てもよくわかりますよね。全員が集まり祝福する。そしてゴールを決めた選手もアシストした選手を称え、試合後のインタビューでも自身のゴールではなく、チームの勝利が重要であることを強調しています。オーレ体制になってから、チームの雰囲気は間違いなく良くなりましたし、結果が伴ってきたことによって、チームの結束は一段と強くなった印象です。

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②戦術

2つ目は戦術面の進化。

一般的にスールシャール監督は戦術が「ない」とか「弱い」とか言われます。一理ありますし、ペップやクロップに比べれば、代名詞となるようなわかりやすい戦術はカウンターぐらいしかないのも確かです。しかし今シーズン、戦術面でも進化を見せています。

まず大きなところから上げると、対戦相手に応じて的確な中盤の構成と、その構成にあった戦術を用意出来ている点です。すごくざっくり言うと、相手がボールを持つチームに対してはフレッジ、マクトミネイの中盤でカウンターを狙い、引いてくる相手、もしくはフィジカルの強い相手にはポグバとマティッチのコンビを使うといった具合です。もちろん、これで全ての試合で上手くいくわけではないのですが、昨シーズン、特に格下相手には戦術的狙いがしっかり準備出来ていない試合が散見されました。今シーズンは、ポグバの調子が上がってきたこともあり、試合に応じての使い分けが機能しています。

昨シーズンとは違い、ほぼ4-2-3-1のフォーメーション固定で戦っているユナイテッドですが、試合中に4-3-1-2や4-4-2に可変するのも今シーズンの特徴です。顕著なのはポグバを左WGに配置するシステム。使いどころが難しかったポグバをサイドに出すことで、ポゼッションの時間が長くなる試合では、ポグバの攻撃力が発揮されやすくなり、有効なオプションシステムとなりました。

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守備面でも変化があります。シーズン前半戦こそ、不用意な失点が多かったですがここ最近は守備面も安定感が出てきました。特に良くなったのは予防的マーキングです。ポゼッションで押し込んだ時にユナイテッドは両サイドバックが高い位置を取ります。CB2枚と中盤センターの1枚の3枚で後ろに残る事が多いですが、これまでは3人が「いる」だけでした。しかし、バーンリー戦でも保持時にマグワイアがボールサイドにかなり寄っていたシーンがあったように、被カウンターにも対応できるようにポジショニングしています。この事もあり、流れの中からの失点は抑えられつつあります。

さらに細かい戦術面の進化を上げると、ビルドアップ時に2センターの1枚がCBに落ちる動きを臨機応変に使えるようになった事。サイドでの保持時にWGとSBがレーンを被らないようにし、パスコースを作れていること。ラッシュフォードやマルシャル、ブルーノなど2列目の選手がバイタルハーフでボールを受けることができるようになった事。中盤の選手が飛び出して得点に絡めるようになった事などが変化した点です。

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ユナイテッドの戦術進化

これまで引いてブロックを作る相手を崩すことが苦手だったユナイテッドですが、こういった進化によって崩しの質は上がっていると思います。もちろん、フィニッシュの場面ではまだまだ個人の力に頼っているところはありますし、ブルーノの存在が大きいのは間違いないのですが、昨シーズンに比べてボックス内に侵入する人数は明らかに増えているはずです。

昨シーズンの17節終わりで、ユナイテッドは25ポイントで6位。首位リバプールとは24ポイントも差がついていました。今シーズンは36ポイントで2位リバプールと3ポイント差の首位。進化と言えるのではないでしょうか。

③マネジメント

最後はスールシャール監督のマネジメントです。

スールシャール監督は戦術家ではないかもしれませんが、優秀なモチベ―ターです。パフォーマンスの良くない選手も決して公の場で批判しませんし、粘り強くチャンスを与えてきました。その結果、昨シーズンに比べてローテーションがある程度可能なチームになってきています。今シーズンのリーグ戦、1度も連続して同じスタメンでスタートしていないユナイテッド。12月からの過密日程も、上手くローテーションを行っている事もあって、11月1日のアーセナル戦以降11戦無敗を続けています。

スールシャール監督はもともとプレス対応が上手く、あまりネガティブな発言をしない監督です。圧巻だったのは今年1月のクロップの「ユナイテッドは余りに多くのPKが与えられている」発言への返答です。

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オーレは

「我々が彼らより多くのPKを得ているのは事実だ。ただ、彼らが具体的にどれくらいのPKを得ているかは知らないよ。我々がボックス内でどれくらいファールを取られたか、気にすることに時間を費やしたいならそれでいい。私はそんなことに時間を費やそうとは思わないけどね」

と語りクロップに赤っ恥をかかせる事に成功しています(笑)。オーレにも監督として自信がついてきたという事でしょう。

さらに試合中、特にハーフタイムで戦術や、戦い方の修正ができるようになった事もスールシャールの進化です。バーンリー戦では、判定に憤る選手たちをなだめ、冷静さを取り戻させ、自分たちのコントロールできることに集中するように誘導しています。後半にシステムや選手の配置を変える事も多くなっていますし、5-0で勝ったライプツィヒ戦のように、相手の変更を逆手に取る修正も加える事ができたりもしています。

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そして、再三批判を浴びていた試合中座りっぱなしで動かないマネジメントスタイルも、解任の危機にあった8節エバートン戦のように「ここぞ」という試合や、チームを鼓舞する時間帯にはピッチ際に立って指揮するようになりました。バーンリー戦も、首位に立てるという重要な試合だったため、ピッチ際にいる事が多かったですね。私は、正直座ってても別に気になりませんが、誰かも言っていましたがピッチ際で声を出していると仕事してる感が出るのは確かですね(笑)。正直それ程声が出ている感じはしないので、ポーズという意味合いもあるのかもしれませんが、これも進化の1つでしょう。

👿まとめ

2017年9月9日以来、実に3年4ヶ月振りにプレミアの首位に立ったユナイテッド。バーンリー戦は今シーズンのユナイテッドの進化を凝縮したような試合となりました。多くの進化が見られますが、ブルーノやマグワイアへの依存が大きい点や、セットプレーでの失点が多い事など、まだまだ課題も多く完璧なチームとは言えないのも確かです。しかし、組織だった守備と前線のフィジカル押しのバーンリーに対して結果を残せたこと、そして首位に立ったことは評価に値します。個人的にもまさか今シーズン優勝争いが出来るとは思っていなかったですし、ましてやテーブルのトップにユナイテッドがいるところを想像していなかったので凄く嬉しいです。

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バーンリーvsユナイテッド スタッツ
出典:プレミア公式
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試合結果
出典:ユナイテッド公式

しかし、ポグバやラッシュフォードやスールシャールが言っているように、まだリーグ戦の半分も消化していないわけで先は長いです。このまま勝ち続ける必要があり、難しい試合もでてくるでしょう。そしてその困難は早速次節にやってくるかもしれません…。

王者リバプールとの大一番。近年、これ程チーム力が高く、コンディションも整っている状況での対戦はなかったでしょう。難しい試合になる事は間違いないですが、ユナイテッドのクオリティを示す良い機会にもなります。

次節第18節はアンフィールドでのリバプール戦 1月18日(日)1:30キックオフ。首位で迎えるライバル決戦!カモン!ユナイテッド!!

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