こんにちはMasaユナイテッドです。
プレミアリーグ第18節 アウェイ、クレイヴン・コテージで昇格組のフラムと対戦したユナイテッド。試合は前半5分にルックマンにディフェンスラインの背後を取られゴールを許し先制されます。その後はユナイテッドが圧倒的にボールを持つ展開から、21分にブルーノのクロスをフラムキーパー、アレオラが弾いたところに詰めていたカバーニが押し込み同点とします。さらに後半65分にはポグバが左足でボックス外から美しいミドルシュートを決めて逆転に成功!リーグ戦折り返しの試合を1-2の逆転勝利で飾りました。
試合の詳細はユナイテッド公式をご覧ください。
今回はこの試合でパフォーマンスが良くなかった両サイドについて、その機能不全の要因を紐解いてみたいと思います。
なおデータに関しては SofaScore,WhoScored,FBREF, Stats Zone(アプリ)を参照しています。
以下項目です。
👿ラインナップ

ベンチメンバー
フラム:ロダーク、オドイ、ローム、ヘクター、レミナ、オノマー、ケバノ、ミトロヴィッチ、カマラ
ユナイテッド:ヘンダーソン、テレス、トゥアンゼベ、マクトミネイ、マティッチ、マタ、ファン・デ・ベーク、ジェームズ、ラッシュフォード
①右サイド
まずは右サイドから見ていきます。
1-1.フラム戦の個人スタッツ(右)
最初にワン=ビサカとグリーンウッドの個人スタッツを見てみましょう。

出典:SofaScore
ワン=ビサカの方で注目の数字はタッチ数109です。これはショーの106を上回り、両チーム通じて最多の数字です。さらにパス本数79本はポグバに次ぐ2番目に多い数字。ユナイテッドがこの両SBを起点にビルドアップを行った事がわかります。それと同時に5-4-1のブロックを敷いて守るフラムの「4」の両脇しかスペースがなかったとも取れると思います。
ワン=ビサカのスタッツでもう一つ注目はクロス本数。4本上げて成功は1本でした。今シーズンのクロス成功率は14%となっています。ショーが32%、テレスが25%となっていて印象通りワン=ビサカの精度が低い事を表しています。フラム戦も前半26分のマルシャルへのクロス1本だけが成功しています。
一方のグリーンウッド。ボールタッチ数47(84分間)は、フィールド・プレーヤーではカバーニの25回の次に少ない数字。そしてシュートはブロックされた1本のみ。印象通り、攻撃にほとんど絡めなかった事が数字からもわかります。
今シーズンのグリーンウッドはリーグ戦で13本のシュートを放っていますが、枠内5本で1ゴールのみ。決定率はわずかに7.69%に留まっています。カバーニも同じく13本放って4ゴール。決定率は30.7%となっています。いかに今シーズン、グリーンウッドの調子が上がっていないのかがわかりますね。
1-2.右サイドのパス交換
次にフラム戦でのこの2人のパス交換について見てみます。
ワン=ビサカからグリーンウッドへのパスは、ユナイテッドでは3番目に多いコンビネーション・パスで20回となっています。一方でグリーンウッドからワン=ビサカへパスしたのはわずかに2回しかありません。グリーンウッドが一番パスを出したのはポグバの10回でした。
右サイドの保持において何が起こっていたかというと、まずワン=ビサカがハーフウェイライン付近の大外のレーンででボールを持つと、グリーンウッドも同じ大外レーンのタッチラインギリギリにポジションを取ってパスを受けようとします。しかしそこはフラムのブライアンが見ているのでパスを出しても効果的な前進は期待できません。
むしろ同サイドのポグバや、寄ってくるブルーノを一度経由する形の方が効果が大きかったですが、その場合にはグリーンウッドはゴール前へ入って行くことが多かったです。本来ならグリーンウッドは中で貰いたかったと思いますが、フラムのブロック間ではなかなかボールが貰えなかったこともあり、ボールが右サイドにある時は外へ外へ出ていくことが多くなっていきます。ヒートマップを見てもタッチラインギリギリのところで多くボールに触れている事がわかります。

1-3.右サイドが機能しなかった理由
このように、右サイドの攻撃が機能しなかったのは、ワン=ビサカとグリーンウッドが、同じレーンにいる事が多かったことが要因の一つです。やはり、強引にドリブル突破できるキャラクターでないグリーンウッドが後ろ向きでボールを貰う事となり、そこから崩すことは至難の業になっていました。そしてワン=ビサカも、オーバーラップのタイミングや、インナーラップの使い方などの攻撃センスが不十分な為に適切な距離感でグリーンウッドをサポートできませんでした。2人の距離が近すぎる、もしくは遠すぎるかで、適度な距離を保てていませんでしたね。
グリーンウッドのポジショニングの悪さとワン=ビサカの攻撃センスのなさ
この事が右サイドの機能不全の原因です。
ただ、擁護すると、そもそもワン=ビサカは守備面でのタスクの方が優先されていて、攻撃性能には多少目を瞑っても...ということろがあります。もちろんワン=ビサカが成長してドリブルやクロスのクオリティを上げてくれれば一番良いですが、なかなか向上しない現状もあって、攻撃性能のある右サイドバック獲得の噂も出ています。それもチームとして一つの解決策だと思います。
グリーンウッドに関しては、やはりウィングの選手ではないという事が背景にあります。ベストは1.5列目、シャドーなんでしょうけど、ユナイテッドにそのポジションはないこともあって、今シーズングリーンウッドは適任者不在の右ウィングでのポジション争いに挑んでいます。個人的にはその「ウィング」としての意識が強くなった事で、結果が出なくなっているように感じます。シンプルにゴールからの距離が遠いです。サイドの選手という意識が強くなったことで、プレスバックなどの守備意識に関しては昨シーズンより良くなっていますし、フィジカル的にも強くなっていますが、肝心の攻撃面で自分の形を見失っている印象です。昨シーズンのゴールの多くが、右のハーフスペースからのシュートだった事を思い出すべきです。
②左サイド
続いて左サイドを見ましょう。
2-1.フラム戦の個人スタッツ(左)
まずはショーとマルシャル2人のフラム戦のスタッツから。

出典:SofaScore
ショーに関しては、2番目のボールタッチ数106回。クロスが13本上げて3本成功(コーナーキックを含む)。そして何といってもキーパス2回。FBREFのデータではショット・クリエイション・アクションが最多の7回を記録しており、ここ数試合同様に攻撃面で絶大な影響力を発揮しています。今シーズンのキーパスはブルーノの54本に次ぐ2位の26本となりました。
一方のマルシャル。マルシャルのボールタッチ数は53回となっていて、グリーンウッド同様に低い数字になっています。シュートは3本打っていますが、そのうちの1本、64分のヘディングでの決定機を外しています。そしてマルシャルも今シーズンのリーグ戦で26本シュートを放ち、枠内15本で2ゴール。決定率7.69%とグリーンウッドと同じなのです。
2-2.マルシャルの問題点
左サイドに関しては、ショーの活躍のおかげで機能しなかったとは言えないのですが、やはり問題はマルシャルでしょう。結果が出ない事もそうですが、フラム戦ではショーとの連携が合わない場面が何度かあり、そのたびにふて腐れた表情をするので余計に印象が悪かったです(笑)。今シーズン基本的にはトップ起用で、ここ3試合連続で左WGでの出場が続いています。
ただ、マルシャルはシーズン・スタッツ的にはそこまで悪くありません。ドリブルもチーム2番目の30回成功していますし、成功率も63.83%とリバプールのマネの60.27%を上回っています。持ち味は発揮していると思いますし、リバプール戦などを見てもサイドで出場しているときは守備の場面でもしっかり戻っていて、チームにコミット出来ていないという印象は受けません。足りないのはゴールだけという状況かと思います。
昨シーズンと今シーズンのシュートスタッツを比べてみます。
19-20:枠内シュート率48.1% シュート数2.71(1試合平均) 決定率22% xG0.37(1試合平均)
20-21:枠内シュート率43.8% シュート数2.72(1試合平均) 決定率7% xG0.34(1試合平均)
*FBREFよりデータ引用
データからも、昨シーズンに比べてゴール期待値(xG)が大きく下がっている訳ではないので、決められていたシュートが決まっていないというのが今シーズンのマルシャルです。
2-3.左サイドは生命線
フラム戦は、確かに連携の合わない場面はありましたが、右の2人に比べれば、レーンを入替える動きなどは出来ていましたし、そこに絡むブルーノとのポジションチェンジも良かったです。マルシャルはゴール前にも入っていけてますし、あとは単純にコンディションの問題だと思います。シュートがしっかりミートできるようになってくればゴールを奪えるようになるでしょう。
左ウィングはマルシャルかラッシュフォード、そしてポグバなどが2列目で入ると思いますが、ショーの躍進でユナイテッドの左サイドはストロング・ポイントになったと言えるでしょう。今やユナイテッドの攻撃の生命線です。
👿まとめ
前半5分にルックマンの素晴らしい裏抜けから先制点を奪われ、5-4-1でブロック守備を築くフラムを崩す事に苦労しました。その要因の1つの両サイドの低パフォーマンスが挙げられていましたが、当然ですが5バックはサイドからも崩すのは困難です。一概に右サイドの2人を責めるわけにはいきませんが、左サイドではショー、ブルーノ、マルシャルがワンタッチのコンビネーションで前進するシーンも見られ、それに比べれば右サイドの2人が物足りなく思えてしまう部分はあります。
ワン=ビサカとグリーンウッドにはそれぞれ改善すべき課題があり、それが露呈したフラム戦だったと言えます。マルシャルに関しては、個人的にはそれほど心配していませんが、やはり優勝を狙うためにもマルシャルの復調は必須です。そもそもマルシャルは一瞬のフレアが光るタイプで、90分を通しての貢献度はそれほど高い選手ではありません。にも拘わらず、レギュラーを確保しているのは恐らく練習でクッソ上手いんでしょうね(笑)。フラム戦はショーとの連携が合わない場面もありましたが、マルシャルには多々見られる現象ですし(感性が独特)、裏を返せばプレーリズムが他と違うのがマルシャルの強みでもあります。なので、あのふて腐れた態度を止めてもらえれば良いかと思います(笑)。
苦戦したフラム戦ですが、カバーニの同点弾と絶好調ポグバのスーパーミドルで逆転勝利したユナイテッド。これでアウェイ17戦無敗を継続。今シーズンの逆転勝利も7試合目となりました。20-21シーズンのプレミアリーグはこれで半分の19試合を消化。ユナイテッドは勝ち点40で首位に立っています。

出典:プレミアリーグ公式

出典:ユナイテッド公式
次節はFAカップ4回戦リバプール戦を挟んでオールド・トラッフォードでのシェフィールド・ユナイテッド戦。1月25日(木)5:15キックオフ。カモン!ユナイテッド!!
最後まで読んで頂きありがとうございました!
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