【21-22シーズン】マンチェスター・ユナイテッド 首脳陣プロフィール ~クラブを動かす重要人物たち~

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こんにちはMasaユナイテッドです。

今回はちょっと違う視点から、マンチェスター・ユナイテッドというクラブを見てみたいと思います。

スールシャール政権になってから、組織的な改革も活発に行っている印象のユナイテッド。2021年3月には、念願だったフットボールディレクターおよびテクニカルディレクター職が設けられ、名物CEOだったエド・ウッドワード氏の年内での退任も発表されました。より強固な組織を形成し、「強いユナイテッド」を取り戻すための改革が行われています。

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そこで今回は、そんなクラブを陰で動かす首脳陣のプロフィールを一部紹介します!

以下項目です。

👿ヒエラルキー

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21-22マンチェスター・ユナイテッド組織図

①エド・ウッドワード(49)

役職:Executive Vice Chairman and CEO(取締役副会長兼最高経営責任者)

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JPモルガンに勤める銀行家であったエド・ウッドワードは、2005年のグレイザー・ファミリーによるユナイテッド買収に際してアドバイスを行い、その後グレイザーズによりユナイテッドの財務計画の役割のために採用されました。2007年には商業およびメディア事業担当に就任。数々のスポンサー契約を結び、クラブの財政に大きく貢献しました。2012年には取締役会のメンバーに任命され、副会長(エグゼクティブ・バイス・チェアマン)に就任。2013年にデイビッド・ギルの後任としてユナイテッドの最高経営責任者(CEO)に昇進しました。

18-19シーズンの収益額が世界3位(バルサ、レアルに次ぐ)の8億ドルを突破するなど財務手腕は大きく評価される一方で、フットボールの知識のなさから移籍市場では苦戦。市場価値以上の金額で選手を購入(マルシャル、フレッジなど)するなど、足元を見られる獲得交渉が散見され多くの批判が集中。中には「無能」のレッテルを張る人も...。そして、2020年1月には不満が限界に達したファンが、ウッドワードの自宅を襲撃する事件も発生しています。

オーナーであるグレイザーズと共に、タイトルよりも商業的成功を重視する姿勢は批判の対象となってきた一方で、スールシャール監督就任以降は、クラブのアイデンティティに則した組織の改革、選手獲得を実行。サッカー界での人脈も着実に増え、フットボール面での評価も上げつつありました。しかし、2021年の4月に発生したスーパーリーグ構想事件直後、ウッドワードの2021年末での退任が発表されました。ユナイテッド側は、スーパーリーグ構想の責任を取って退任となったというアイデアを否定しており、当初の計画通りとしています。

しかし、ユナイテッド関係者の話では、これまでウッドワードが実権を握ったことは一度もなく、アメリカ(グレイザーズ)との橋渡しの役割を担っており、いわば「人間の盾」としてウッドワードは利用されてきたという証言もあります(すべてはジョエル・グレイザーが決定している)。今回の退任の真意はわかりませんが、一部からは憎まれ、一部からは愛された(Twitterでウッディをアイコンにしているアカウント多数)名物CEOの退任は、ユナイテッド経営史の一時代の終焉を象徴する出来事になります。

②リチャード・アーノルド(49)

役職:Group Managing Director(グループマネイジングディレクター)

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2021年末で退任となるエド・ウッドワードの後任となることが濃厚なのがリチャード・アーノルド氏です。1993年から1999年までPricewaterhouseCoopersで電気通信およびメディア業務のシニアマネージャーを務め、サウジテレコムコーポレーションの民営化およびオレンジ通信社(オレンジUK)の新規株式公開に携わっていました。また、1993年にブリストル大学で生物学の理学士号を取得し、1996年に公認会計士の資格を取得した経歴も持っています。

リチャード・アーノルドは2007年にグループ・コマーシャル・ディレクターとしてユナイテッドへ入社。スポンサーシップ事業、小売、マーチャンダイジング、アパレルおよび製品ライセンス事業、デジタルメディア事業の管理と成長を担当していました。2013年7月には現在のグループ・マネージング・ディレクターに就任。会社のすべての商業的および運用的側面を監督しています。取締役会の一員でもあるアーノルド氏は、マンチェスターユナイテッド財団の会長も務めています。

アーノルドは、ユナイテッド・ブランドの魅力を増大させ、世界へ向けてアピールする事に尽力してきました。ゼネラル・モータース(シボレー)との7年間で6億ドルの巨額なキット契約や、TeamViewerとの契約、アディダスとの10年間に及ぶ13億ドルの契約などに貢献。その功績が評価され、2019年のヨーロッパ・ダイバーシティアワードでダイバーシティ・アリーオブザイヤーに選ばれました。

非常に優秀な人物という評価(ぽっちゃりな見た目も好印象(笑))で、ウッドワードの後任として期待が高まります。ウッドワードの下で酸いも甘いも見てきたアーノルド。新たなユナイテッドのクラブ史に名前を残すべく上手く立ち回り、商業的な成功とスポーツ面での成功、両面での成功を手中に収めることがミッションとなります。

③ジョン・マータフ(49)

役職:Football Director(フットボールディレクター)

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JOHN MURTOUGH
出典:TRAINING GROUND GURU

2021年3月、ユナイテッドは待望のフットボール・ディレクター職を設置。その初代となったのがジョン・マータフです。エバートンでスポーツ科学の分野で働いていたマータフは、2012年にプレミアリーグのエリートパフォーマンスの責任者を務めたあと、2013年11月にデビッド・モイーズ監督に招かれる形でユナイテッドへやってきました。モイーズ退任後もクラブに留まり、サッカー開発部門のトップとして、アカデミー人事、スカウト部門とネットワークの拡大、女子チームの構築、データサイエンスの開発など様々な分野に「仲介人」として尽力しました。

ハンニバル・メジブリやイサーク・ハンセン=アーロンの獲得、女子チームの構築は特に評価されており、報道によると2018年の段階で自身を「FD」として紹介していたようです。そんなマータフのFDとしての役割は、「すべてのフットボール機能にわたる運用と戦略に対する全体的なリーダーシップと責任」を取ることになります。

具体的には選手獲得に関して、スールシャール監督と意見を交わし、TDであるフレッチャーらと協力して採用プロセスを管理、監督、そして逐一ウッドワードCEOに報告することになります。つまりは、選手採用部門のトップであり、ウッドワードCEOの直属として、スールシャール監督と並ぶ立場になります。

マータフの採用部門にはTDであるダレン・フレッチャー、リクルート担当ヘッド(スカウト)であるスティーブン・ボーウェン、フットボール交渉ディレクターであるマット・ジャッジ、そしてフットボール・オペレーション・ディレクターのアラン・ドーソンが所属するチームとなっています。

見た目はどこにでもいそうな気の良いおっちゃんですが、仕事はバリバリできるやり手のようです(笑)。

④ダレン・フレッチャー(37)

役職:Technical Director(テクニカルディレクター)

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言わずと知れたユナイテッド・アカデミーで育成され、トップチームで340試合以上に出場したレジェンド。ダレン・フレッチャーは2020年10月に、ユナイテッドU-16のコーチとしてキャリントンに戻ってきました。その後2021年1月にはファーストチームのコーチに就任。その2ヶ月後には初代テクニカル・ディレクターに昇進しました。

フレッチャーの任務は「クラブのすべての分野でユナイテッドのサッカー哲学の伝達と提供に貢献」する事です。具体的には現場である監督、コーチ、チームと共にピッチ上で協力することで、チームの状況をFDであるマータフにフィードバック、そしてスカッドの強化に関してのデータや、アイデアを提供することになります。それを、「ユナイテッドの哲学」に合致した形で行うことが最も重要であり、この面に関してフレッチャーはマータフを完璧に補う存在となっています。

選手時代もユナイテッドの中盤を、黒子の存在として支えたフレッチャーは、テクニカル・ディレクターという立場に立っても、ユナイテッドの土台となる重要な役割を担っています。一説によると、カリスマ性も持っており、その場の中心となる雰囲気とトークスキルを備えているそうです。合わせてファギーの元で培ったフットボールIQの高さもあり、正に現場と首脳陣の懸け橋として打ってつけだという評価です。

⑥クリス・チャン(31)

役職:Strategy Manager(戦略マネージャー)

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CHRIS CHIANG
出典:TRAINING GROUND GURU

最後に、あまり知られていない人物を紹介したいと思います。クリス・チャンは現在31歳。2017年10月にユナイテッドに入社。「ストラテジー・エクゼクティブ」という役職に就任しました。ウォ―リック大学を卒業後、KPMGという会計事務所のマネージャーとして5年間勤務し、マータフによって長期的プロジェクトを指揮する人材として、ユナイテッドへヘッドハンティングされました。

2020年の9月からはストラテジー・マネージャーという役職に代わっており、「戦略マネージャー」という少々わかりにくい役職名となっていますが、データサイエンス戦略部門の開発がチャンの仕事になります。つまり先日発表された、ドミニク・ジョーダン氏のデータサイエンスディレクター就任の陣頭指揮を執ったのが、クリス・チャンということです。

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ユナイテッドはデータサイエンスの分野で、シティ、リバプール、レスターに後れを取っています。データサイエンスの分野は、近代サッカーにおいてとても重要な要素となっており、試合やトレーニングで起こる全ての現象に対して得られる膨大なデータを、解析するアルゴリズムを構築し、統計学を利用して分析することは、チームのパフォーマンスが目標に対してどうだったのか、そして改善点はどこなのかといった要素を探るのに大きく貢献できます。

イングランド・フットボールにおけるデータサイエンスの分野はまだ初期段階であり、ユナイテッドにおいても今後5年で、パフォーマンスの改善に大きく関与することが期待されています。そして、そのトップがドミニク・ジョーダンであり、その分野をもっと大きな視点で戦略的に統括するのがクリス・チャンという人物です。

👿まとめ

いかがでしたか?サッカークラブにおいて、常に表舞台に立つのはチームであり、ピッチ上でパフォーマンスを見せる選手、指揮を執る監督、トレーニングや指導をするコーチ陣達が脚光を浴びるのは当然です。しかし実際のクラブ運営に関して、重要な決定を下すのは今回ご紹介したような「幹部」たちの仕事であり、その決定がクラブの方向性を決め、それが間接的にフットボールの成績へと影響を与えています。

サー・アレックス体制の終焉以降、モイーズ、ファン・ハール、モウリーニョの時代にユナイテッドは方向性を見失い、アイデンティティを失い迷走しました。スールシャールが監督になってから、ピッチ上でのアイデンティティを取り戻し、組織としてもユナイテッドの哲学に基づき意思決定し、商業面とスポーツ面両方で成功を収めるために組織改革を行っています。

スールシャールが来てから、人事の見直しや新たな役職の設置が多くなっているのは偶然ではなく、それまでのバラバラな組織を共通の哲学の元、再構築している印象を受けます。FDやTD職を置いたこと、クリス・チャンのような若い人材を重要なポストに置いたことは新たな時代の始まりの象徴であり、「裏方」である組織幹部たちもチームを全面的にバックアップする体制が整いつつあるということだと思います。在任中、結局プレミアリーグのタイトルもチャンピオンズ・リーグのタイトルも獲ることができなかったウッドワードは退き、2022年恐らくリチャード・アーノルドがユナイテッドのトップに立ちます(正式発表はまだ)。そして、それが栄光の時代になる事を期待したいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました!

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