【21-22CL/GSラウンド3】アタランタ戦に見る戦術とメンタリティの関係性【マンチェスター・ユナイテッド】

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こんにちはMasaユナイテッドです。

21-22チャンピオンズ・リーグ グループステージ3回戦。ホームでイタリアのアタランタと対戦したユナイテッド。試合は前半15分にパシャリッチのゴールでアタランタが先制します。さらに28分にも、コーナーキックをデミラルが突き刺し2点目。絶対に負けられないユナイテッドを追い詰めます。しかし、後半開始と共にユナイテッドはエンジン全開に。53分には素晴らしいブルーノのパスに反応したラッシュフォードが決めて1点返すと、75分にはブルーノのクロスを、途中出場のカバーニが頭で反らしてフリーのマグワイアに。これをキャプテンが豪快にボレーを決めて同点に!さらに攻撃の手を緩めないユナイテッドは、81分にショーのクロスをロナウドがヘディングで叩きこみ逆転!!ユナイテッドが3-2で劇的な勝利を挙げました

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今回は、この試合でユナイテッドが見せた戦術とメンタルの関係についての記事です!用いた戦術に対して、メンタリティはどのように作用したのか?戦術とメンタル、どちらが重要なのか?などを考察します!

以下項目です。

👿ラインナップ

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21-22CL/GS3 ユナイテッドvsアタランタ ラインナップ

①前半

1-1.戦術~アタランタ対策~

レスター戦の惨敗から切り替えて、周囲を納得させるパフォーマンスを見せられるか。

スールシャール・ユナイテッドの真価が問われる一戦となったチャンピオンズ・リーグのアタランタ戦。戦術面の整備不足も言及されるなか、スールシャール監督は組織力の高いガスペリーニ監督率いるアタランタに、どのように挑んだのかを少し見てみます。

いつもの4-2-3-1で、中盤は優れたバランス感覚とハードワークできるマクトミネイ、フレッジのコンビを選択。左ウィングには怪我から復帰のエース、ラッシュフォードを起用しました。開始からユナイテッドは、アタランタの自陣からのビルドアップには前からプレスを掛け、引く時は全体で4-4-2にリトリート。ラッシュフォードを残し気味にしてアタランタのハイライン裏を狙う作戦を見せました。前半、何度か裏抜けから惜しいシーンを作りましたが、フィニッシュ精度を欠き決められず…。しかし狙いとしては正解だったと思います。

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そしてもう一つ、特徴的だったのはユナイテッドのビルドアップ。マンマークのハイプレスでビルドアップを潰しにくるのがアタランタの得意な形ですが、これに対してユナイテッドは「レイオフ」を使ったビルドアップを見せます。レイオフとは、楔のパスを受けた選手がワンタッチでサポートする味方に落としのパスを出して、前向きの選手を作るプレーのことを言いますが、開始3分のグリーンウッドの落としをマクトミネイが受けて、ラッシュフォードにスルーパスを出したシーン(結果オフサイド)など、随所に見られました。このプレーは比較的簡単な上に、マンマーク・プレッシングを掻い潜るのにとても効果的。これは対アタランタとして仕込んでいた形だと思います。

しかし前半先制したのはアタランタ。簡単に左サイドでギャップをつくられ、クロスからパシャリッチに決められました。この時はリスタートからの流れでしたが、レスター戦でもあったように集中が切れていることも要因としてありますね。多くのユナイテッドの選手はボールを見ており、大外のザッパコスタをケアしている選手はいませんでした

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さらに28分にはまたしてもコーナーから失点。ゾーンでゴール前に4人並べていましたが、ショーが見ていたデミラルに裏を取られて、マグワイアも反応が遅れゴールを許しました。ヴィラ戦、レスター戦でもコーナーから失点しています。今シーズン、セットプレーコーチにエリック・ラムジー氏を就任させ、改善に努めていますがまだ完璧ではありませんね。いっそのことマンマークでも良いと思うのですが、どうなんでしょう?

1-2.メンタリティ~チームの姿勢とサポーター~

スールシャール監督の進退の掛かった崖っぷちの試合で、前半0-2という状況は絶望的でした。アタランタを研究し、対策を立てていたとは言え、結果的にあっさり2失点したことはチーム状態が相当良くないことの表れだとも言えます。多くの方が前半のパフォーマンスに「もうダメだな...これ...」と思ったはず。プレスを構えていますが連動性は足りず、陣形も間延びしているのは相変わらず...。失点シーンは集中力の欠如と混乱...。攻撃は急ぎ過ぎて精度を欠く...など戦術的には準備していましたが、細部の部分では足りていないところが多かった印象の前半でした。

しかし、ブルーノのプレスバックやロナウドの前線の守備、フレッジのハードワーク、ラッシュフォードの推進姿勢などに、個々のメンタリティ面での変化を感じた人も多かったのではないでしょうか。個人的にも、レスター戦とはエネルギーに違いが感じられました。

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ただ、チームとして見た時に受け身になり過ぎ...という印象。アタランタがハイエナジーで、攻撃的に来るという前提がそうさせたと思いますが、スールシャール監督の悪い癖でもあります。対戦相手のプレースタイルに対策を立てることは大事ですが、あくまでも主導権はユナイテッドが握るべきです。スールシャール監督のやり方では主導権まで渡してしまい、相手のやり方にユナイテッドが合わせてしまっています。これはタイトルを目指すチームの戦い方ではなく、中堅チームの戦い方です。

前半40分のオールドトラッフォードのサポーターのブーイングは、ユナイテッドを目覚めさせた可能性があります。「我々はマンチェスター・ユナイテッドだ」これを思い出させた事が、後半のメンタリティに大きく影響を与え、劇的な展開へと繋がったと思います。

このように、

前半は戦術は準備されていましたが、機能させるメンタル面の準備が足りていなかった

という事です。

②後半

2-1.戦術~後半の逆襲~

後半開始時に、アタランタの守備で奮闘していたデミラルが負傷のため交代。0-2でリードしていたこともあり、アタランタはあまり前に出てこなくなります。そして、レギュラークラスのいなくなったアタランタディフェンスが弱体化したというのは事実です。これもありましたが、後半の入りからユナイテッドは動きが見違えるように良くなります。最初のプレーでロナウドが先頭でプレスを仕掛け、中盤以降も連動。ショーがボールを奪ってドライブでボックス内へ。このプレーから後半をスタートしたユナイテッドは戦術面でも変化か現れます。

特にプレスは連動性が格段にアップ。しっかり人を捕まえることができるようになり、寄せのスピード、強度共に上がりました。そして、切り替えのスピードも良くなり、ボールの回収ができる様になったことで、アタッキングサードでのポゼッションの時間が長くなります。

そんな中53分に、相手のパスミスをダイレクトで叩いたブルーノのパスを、ラッシュフォードが決めて1点返します。このシーンは、ブルーノのパスもどうしてラッシュフォードの動きが見えてるか謎ですが(笑)、走り出してるラッシュフォードも謎です(笑)。この試合ブルーノは若干ポゼッションを変えています。今シーズンのブルーノはロナウドと2トップのような高い位置を取ることが多かったのですが、個人的にはこれが気になっており、パフォーマンスが上がらない要因のように思っていました。しかし、アタランタ戦は本来の10番の位置にいることが多く、それがプレーに本来のクオリティを与えていたと思います。加えて後半はボール保持の時間が増え、マクトミネイ、フレッジの中盤との距離も近くなった事で、チームとしても攻守両面で機能するようになりました。

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そして66分に投入されたポグバとカバーニの存在も、試合に大きく影響を与えます。ポグバはボランチの位置からゲームをコントロール。本来のフィジカルの強さとテクニックの高さを見せました。ポグバが入った事でより、ブルーノがプレーしやすくなった面もあります。3列目から正確なミドルパスでゲームを作ってくれるポグバの投入は、ボールの進行に好影響を与えましたね。

カバーニはアシストをマーク。左ウィングに入りましたが、頻繁にロナウドやグリーンウッドとポジションチェンジする事でアタランタを翻弄。さらに献身的なプレスバックで攻守に渡ってチームに大きな貢献をしましたね。

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後半、戦術的に大きかった変化はプレスとトランジッションと選手交代という3つでした。特にプレスとトランジッションは、これが機能するだけでチーム全体のパフォーマンスが上がるということを改めて示したと思います。そして、これらの戦術が機能した要因がメンタリティです。

2-2.メンタリティ~勝利への執念~

後半チーム全体が機能し始め、劇的な逆転勝利を収めましたが、これにはメンタルの影響がとても大きかったです。前半の劣勢を覆すのにスールシャール監督は何か特別な手を打ったわけではありません。ハーフタイムに監督が話したことは「次のゴールが取れれば勝てる」という根拠のない言葉です(笑)。

しかし、選手たちは前半のサポーターのブーイングで目を覚まし、自分たちが何者であるのかを思い出しました。後半に入って連動性を増したプレスも、素早い切り替えも選手1人1人が試合に集中し、のめり込んでいった為に可能になりました。ピンチの時にはカバーニやロナウドまで自陣深くまで戻って守備をし、デュエルの場面ではボールへの執着を見せ、ポジトラではスペースへスプリントを掛け、周りのチームメイトへの声掛けの回数も明らかに増えました。

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これこそが、本来タイトル争いをするチームの姿であり、マンチェスター・ユナイテッドが今シーズン見せるべき姿です。闘争心と最後まで諦めない勝利への執念はクラブの哲学であり、アイデンティティの1つです。これを取り戻したアタランタ戦の後半は、今シーズンのベストパフォーマンスだったのではないでしょうか。

このように、

後半は戦術面の大きな変化はありませんでしたが、メンタルの力で戦術を機能させた

と言えます。

👿まとめ

この試合で最もパフォーマンスが良かったのは、ボールタッチ最多の95回を記録し、キーパスも最多の9本を繰り出したブルーノです。しかしながら、多くのサポーターの方がカバーニの働きを称賛しました。マグワイアのゴールをアシストしたカバーニですが(ブルーノのクロスを触ってアシスト)、光ったのはその献身性。前線からのプレス、ボールロスト後のプレスバック、味方の動きを活かすポジショニングなど、随所にハードワークを見せました。試合後のインスタグラムのストーリーでは「犠牲無くして何も成し遂げられない」という言葉を投稿しています。まさにカバーニはこれを見せてくれましたね。そして、試合後アーセン・ヴェンゲル氏も後半のフレッジのハードワーク振りを称賛するコメントを出しています。

このようにアタランタ戦の劇的勝利には、個々のハードワークがとても重要な要素となりましたが、その根底には、「絶対に勝つんだ」という強い勝利への執念があります。このメンタリティこそ、フットボールにおいて最も重要なことかもしれません。そしてスールシャール監督は就任以来、このメンタリティをチームに植え付けようとしてきました。

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今回のアタランタ戦はユナイテッドらしい、間違いなく素晴らしい勝利です。しかしながら、これをもう何回繰り返しているのでしょう?サポーターはタイトルを望んでいます。安定して勝つことを望んでいます。スールシャール監督が植え付けようとしている哲学は残念ながら根付いているとは言えません。なのでレスター戦やヴィラ戦のような気の抜けたパフォーマンスが出るのだと思います。

見てきたように、戦術とメンタリティの間には相関関係があり、どちらも重要です。しかし、今のユナイテッドは戦術は足りず、メンタリティにも波があります。より安定したパフォーマンスに繋げるには、やはり基本的な戦術の整備がまず必要だと思います。基本戦術がしっかりしていれば、選手は迷いなくプレーでき、集中力も上がります。1つ1つのプレーにスピードとインテンシティが生まれメンタリティも発揮できます。そして、強豪と言われるチームは間違いなくそうしています。ユナイテッドだけが「伝統」や「DNA」を言い訳にして、取り残されているのかもしれない...。

そんな事を考えさせるアタランタ戦の戦術とメンタリティの関係でした。

*スタッツはこちら

www.uefa.com

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21-22CL/GS3 試合結果 出典:ユナイテッド公式

この試合の結果、ユナイテッドはグループFの首位に立ちました。グループリーグ突破には残り3試合で勝ち点4は必要です。

次の試合は、プレミアリーグ第9節 ライバル、リバプールとの一戦。10月25日(月)0:30キックオフ!カモン!ユナイテッド!!

最後まで読んで頂きありがとうございました!

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