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こんにちはMasaユナイテッドです。
21-22プレミアリーグ第9節 ホームでライバル、リバプールと対戦したユナイテッド。試合は開始5分でケイタのゴールでリバプールが先制する厳しいスタートに。その後もユナイテッドのパフォーマンスは上がらず、13分ジョタ、38分と前半アディショナルタイムにサラーが得点し、前半だけで4失点を喫します。巻き返しを図るスールシャール監督は、後半頭からグリーンウッドを下げてポグバを投入。システムを4-3-1-2に変更します。しかし、50分にはそのポグバがボールを奪われたところから、サラーに決められ5失点目。さらに、60分にはポグバがケイタへのラフプレーでレッドカード。1発退場処分となります。完全に崩壊したユナイテッドはカバーニとダロトを入れて5バックにし、それ以上の失点を避けましたが、ホームで0-5の大敗…。これは1955年のシティ戦以来という歴史的敗戦となってしまいました。
*試合のハイライトはこちら
今回はリバプール戦の大敗を受けて、解任寸前に追い込まれたスールシャール監督に関するコラム。スールシャール政権崩壊の要因を、筆者の推論も交えながら紐解いていきたいと思います。
以外項目です。
👿ラインナップ

①リバプール戦の戦術
「スールシャール監督の進退が掛かった試合」リバプール戦の前にメディアは、この大一番をそのように形容していました。伝統のライバル対決。絶対的なチームの力関係や順位に関係なく、勝たなければならない試合。それがリバプールとの試合です。
しかし試合の1時間前、スタメンが発表されると嫌な予感がしました。この試合でスールシャール監督が選んだスタメンは、ミッドウィークのCLアタランタ戦同様のメンバーに…。確かに2点先制されながらも、素晴らしいメンタリティとパフォーマンスで勝ちに繋げた試合でしたが、スタメンに関してはそれほど出来が良かった訳ではありませんでした。しかもそのアタランタ戦で、ラッシュフォード、ブルーノ、フレッジの3人は怪我も負っています。「リバプール相手にこれで勝てるのか…?」というのが正直な感想でした。
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そして、試合開始とともに見せたユナイテッドの戦い方に、更なる不安を覚えます。リバプールに対してユナイテッドはハイプレスで応戦。通常リバプールに対しては、そのハイライン裏を狙う作戦を取るチームが多いです。そしてユナイテッドも、前線のスピードを活かしたカウンターを狙ってくると予想していました。スールシャール監督的には、受け身になる戦い方を望まず、強気な姿勢を見せたかったのだと思いますが、そのハイプレスは全くもって機能しませんでした。
まずトップのロナウドが積極的なプレスを掛けないので、ブルーノがリバプールのCBにプレスにいきます。するとボランチのヘンダーソンが浮きます。それをカバーする為にグリーンウッドが中に入り、今度はロバートソンが浮きます。そこに今度はワン=ビサカが出ていくので、ジョタが浮きます。そこをリンデロフがカバーして…最後はサラーやケイタ、アーノルドなど右側の選手がフリーになるというように、どんどんギャップができてしまっていました。前半だけで4失点...。結果的にこの戦術は失敗だったという事です。
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しかしハイプレスを選んだこと自体は、そこまで悪いことではありません。問題なのは明らかに落とし込み不足ですし、ロナウド、ラッシュフォード、グリーンウッド、ブルーノの前線のメンバーでハイプレスを機能させることは難しいというところでしょう。仮にやるにしても、しっかりプレスのハメ方は指導しておく必要があります。リバプール相手ならなおさらです。
試合後、様々なチーム状況に関する報道がされていますが、その中に選手達はスールシャール監督の戦術アプローチに疑問を持っているというのがありました。リバプール戦のハイプレスにしても、選手達は半信半疑でプレスに行っている様子が伺えましたし、これまでの試合でも戦術が足りていないのは明らかです。この事はスールシャール・ユナイテッド崩壊の大きな要因の一つです。
②選手マネジメント
そして、0-4という絶望的なスコアで、後半開始と共にピッチに立ったポグバ。50分のサラーのゴールのきっかけとなるボールロストをし、60分には危険なタックルで1発レッドで退場となりましたが、ピッチに入る時からその表情はなんとも言えない表情でしたね。明らかにモチベーションのない顔をしており、「この状況でどうしろって言うんだ...」って思っていそうな表情に見えました。
リバプール戦のポグバは、スールシャール監督のマネジメントがもはや機能していない事の象徴だと感じました。ポグバはアタランタ戦では途中出場で存在感を発揮し、パフォーマンスも良かったです。しかし、リバプール戦では先発を外されます。しかもブルーノ、フレッジ、ラッシュフォードの3選手が怪我を負っている状況で外されました...。この3人のポジション全てでポグバはプレー可能です。これは結構屈辱的だったと想像できます。
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今シーズンのスールシャール監督は、早い段階で選手マネジメントに危うさが見受けられていました。恐らくチームとして上手くまとまっていたのはニューカッスル戦まで。ヤングボーイズ戦の敗戦から、雲行きが怪しくなってきていたと思います。そしてヴィラ戦の敗戦で決定的となり、ビジャレアル戦、エヴァートン戦で問題が表層化します。ビジャレアル戦のファン・デ・ベークのガム捨て事件に始まり、エバートン戦ではスールシャール監督がパフォーマンスの良かったサンチョにダメ出し、スタメンを外されたロナウドが激怒...と問題が続出します。
根本にあるのはスールシャール監督の選手起用に関してだと思います。やはり、最初に気になったのはファン・デ・ベークへの不当な扱い。今シーズン開始前には移籍を阻止しておきながら、起用はわずかに3試合141分に留まっています。ファン・デ・ベークに限らず、わずかな出場時間ながら、2ゴール1アシストと結果も出しているリンガードや、出場すればハードワークしてくれるカバーニなど、もっと評価され、戦術的にも使いどころのある選手に、スールシャール監督はなかなか出番を与えてきませんでした。レスター戦では明らかにフィットしていないマグワイアを強行出場させ、バイリーのプライドをズタズタにしていますが、これも象徴的な出来事だと思います。
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しかし、スールシャール監督はもともとローテーション下手な監督です。自分の信頼する選手の起用に執着するタイプで、戦術や対戦相手によって選手を使い分けることを得意としていません。それでも昨シーズンまでは、チームの雰囲気も明るく、ポジティブなエネルギーのグループを作れていたと思います。今シーズンになって、綻びが出たのには何か理由があるはずです。そして、それは「ロナウド加入」なのではないかという気がしています。
③ロナウド加入がもたらしたモノ
昨シーズンまでは、キャプテンのマグワイアがチームをまとめ、ピッチ内外でブルーノやポグバがチームを引っ張ってきました。それでうまく成り立っていたチームに、強烈な個性とカリスマ性を持ったロナウドが加わったことでチームのバランスに変化が現れます。ロナウドは選手たちの憧れであり、真のスターであり、勝者です。意識している選手も無意識の選手もいると思いますが、ロナウドの存在はチームに大きな影響を与えています。試合に出ればゴールを挙げ、トレーニングや食事にもストイックでプロ意識の高いロナウド。そんなロナウドに触発されている選手は複数人いるでしょう。
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しかしながら問題は、ロナウドの存在が大きいが故に、監督であるスールシャールを超えてしまったことにあります。さらに、サー・アレックスも出てきます。エバートン戦でロナウドをスタメンから外したあと、サー・アレックスは
「ロナウドのベンチスタートは相手に勢いを与えた。最高の選手は常に先発するべきだ」
と語りスールシャールの決断を否定。この出来事はプレッシャーとなり、その証拠にそれ以降ロナウドはすべての試合でスタメンです。この出来事は決定的でした。スールシャール監督の発言力は弱くなり、選手たちの不満が顔をのぞかせます。求心力が低下していき、マネジメントが効かなくなり崩壊...。今に至ります。
念のため断っておくと、私は何もロナウドのせいだと言っている訳ではありません。偉大な選手であるロナウドを上手くマネジメントできなかったスールシャール監督の力量不足です。ロナウドをトップで使うなら、それなりの戦術が必要です。しかし、その戦術はスールシャール監督には作れません。この状況を見た選手たちは監督の限界を悟った...。昨シーズンまでなんとなく蓋をされていたモノが一気に噴出した...。
そして当のスールシャール監督は自信を失い、何をすれば良いのか分からなくなっていきます。戦術がないのも、多少あっても落とし込めていないのも、代表ウィークに考えたけどアイデアが出なかったのも、私は「監督の怠慢」と書いてきましたが、そうではなくてもう限界を超えてしまっていたからです。スールシャール監督は考える事が出来なくなっています。だから自分が最高と思う同じスタメンで試合に臨みますし、ファーガソンに言われるがままロナウドを先発させます。ファーガソンはスールシャールの師匠でもあるからです。
これがリバプール戦の大敗へと繋がり、スールシャール政権は事実上終わりを迎えます。もちろん、これは個人的な推測であり、絶対そうだというつもりはありません。そして、今、こうしてる間もロナウドは何とかしてチームを救おうとしてくれていることもわかっています。彼はそういう男です。
④解任へのカウントダウン
これを書いている段階では、スールシャール監督はまだ解任されていません。次のスパーズ戦、アタランタ戦、そしてシティ戦の3試合は引き続き指揮を取る事になるようです。その結果次第で去就を決めると…。今すぐ首を切ってほしいサポーターも多いですが、後任の目処が立っていない以上、こうせざるを得ない部分もあります。しかし、最大のライバルに歴史的大敗を喫したことは多くのサポーターを失望させましたし、今シーズンの低調なパフォーマンス、改善が見られない戦い方、上がらない成績の末、解任が決定的な状態であることに変わりはありません。
スールシャール政権崩壊の要因は、戦術と選手マネジメントにあります。リバプール戦後この両面で、選手の不満に関する報道が続出しているのは、その事を如実に物語っています。もちろん、報道の全てが真実だとは思いません。中にはフェイクニュースもあります。ですが、個人的には「あぁ、やっぱりそうか…」という報道も多く、もはや選手マネジメントが機能していないのはほぼ間違いないと考えています。それぐらい、今シーズンのスールシャール監督は「変」でした。そしてこれまでの例を見ると、選手コントロールができなくなった監督は解任されることになります。
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「オーレの事は愛しているけど、ここでサヨナラ…」これが多くの現地のサポーターのスタンスであり、これからの3戦は解任へのカウントダウンになる可能性が高いです。この3戦で劇的な変化が起き結果も出る、そういう可能性もゼロではないですがとても難しいと思いますし、この3戦を乗り越えても、タイトル争いに返り咲ける可能性はもっと低いです。遅かれ早かれスールシャール監督は解任されるでしょう…。それは3試合後になるかもしれませんし、今シーズン終了後になるかもしれません。どんな結末になろうとも受け入れるしかないです…。ただ、忘れてならないのは、とても、とても難しい仕事をスールシャール監督は3年間やってきたという事です。ここまで来られたのは他の誰でもない、スールシャール監督のおかげです。

21-22PL9 ユナイテッドvsリバプール スタッツ 出典:プレミアリーグ公式

21-22PL9 試合結果 出典:ユナイテッド公式
リバプール戦の結果、ユナイテッドは勝ち点14の7位に後退しています。
次節はトッテナム・ホットスパー・スタジアムでのトッテナム戦 10月31日(日)1:30キックオフ。カモン!ユナイテッド!!
最後まで読んで頂きありがとうございました!
コメント
今回はショックで次の日は会社休みました。
モウリーニョ末期と似ていますが、もはや監督交代は仕方ない感じですね。
サーアレックスの影響力が強すぎて、我が儘な選手が多い今は、噂になっているコンテはマッチしないのかなと思います。
Masaさんはこのタイミングで監督交代するとして誰が適任とお考えでしょうか?
Re.kaiaskunさん
コメントありがとうございます!会社休まれたんですね。自分は次の日、ぎっくり腰になりました(笑)。ユナイテッドのせいだと思ってます(笑)。ホントに厳しい状況になってしまいました...。監督に関しては、このタイミングでは難しいかもしれませんが、アヤックスのテン・ハーグに興味を持ってます。戦術的に戦えますし、アタッキング志向も強い。そして若手の育成や長期政権を築くのにも良いのではと思います。しかし、スタイルはポジショナルプレーになるので、今のユナイテッドのスカッドでは少し厳しいかもしれませんね。その他では、ブライトンのポッターやレスターのロジャースなども注目してます。