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こんにちはMasaユナイテッドです。
21-22プレミアリーグ第7節 ホーム、オールド・トラッフォードでエバートンと対戦したユナイテッド。試合は開始からユナイテッドが支配しますが、エバートンもカウンターからチャンスを作りユナイテッドを慌てさせる展開に。しかし43分、先発起用となったマルシャルの約8か月ぶりのゴールでユナイテッドが先制に成功します。このまま勢いに乗るかと思われましたが65分、ユナイテッドのコーナーからエバートンにカウンターを喰らい、最後はタウンゼントに決められ同点に。ユナイテッドはロナウド、サンチョ、ポグバを投入し勝ち点3を目指しますが追加点を奪えず。試合は1-1のドローに終わっています。
*試合のハイライトはこちら
今回はこの試合でも不安定さを露呈した「守備」に関しての記事です。今シーズン、パッとしないディフェンスが見られるユナイテッド。エバートン戦を通して、問題はどこにあり、改善するにはどうすれば良いのか考察します!
*スタッツデータはFBREF、SofaScoreを参照しています
以下項目です。
👿ラインナップ

①貧弱なデュエル
エバートン戦の失点は65分、ユナイテッドのコーナーキックの場面。ブルーノのキックが短くなり、アランがカットしグレイへ。グレイのドリブルをフレッジが2度チャージにいきますが止められずゴール前まで運ばれ、最後はドゥクレからタウンゼントに繋いで決められました。
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このシーンでは、フレッジが相手のドリブルを止めることができませんでしたが、フレッジに限らず、今シーズンのユナイテッドはデュエルの場面で勝てないシーンが多い印象を受けます。リーグ戦のチーム全体の対ドリブルタックル成功率は33%となっており、これは20チーム中19番目の数字です。昨シーズンもそこまで高くなく、34.5%で17番目の数字なので、今シーズンが極端に悪くなっているわけではなさそうですが、受ける印象としては、ドリブルを止められずにズルズルバックラインが下がっている印象です。
この印象はどこからくるのか検証してみると、個人スタッツにそれは表れています。ワン=ビサカ 、ショー、マクトミネイ、フレッジの守備の要となる4人が軒並み昨シーズンから数字を落としています。
ワン=ビサカ: ドリブル阻止率52.5%→33.3% デュエル勝率58%→51.52%
ショー: ドリブル阻止率57.1%→20.0% デュエル勝率 53.87%→36.96%
マクトミネイ: ドリブル阻止率40.0%→33.3% デュエル勝率59.01%→45%
フレッジ: ドリブル阻止率34.5%→26.3% デュエル勝率 48.66%→46.77%
もちろんまだ試合数が少なく、タックルの回数自体も少ないので1回が数字に大きく影響します。これから数字は上がっていくと予想できますが、試合を見ていて受ける印象とは合致しているのではないでしょうか?
特にフレッジを除く3人は、昨シーズンに比べて積極的なデュエルやタックルを避けているようにも見えます。ドリブルの仕掛に対して、動きを読むことができておらず、対応が後手になる事が多い印象を受けます。この4人は正にミドルサードの要。ここで止められていないことが、ゴール前まで侵入を許している要因の一つと考えられます。極端な言い方をすれば、センターバック2人とデ・ヘアでリーグ戦の失点を6に押さえているようなものですね。
ちなみに、今シーズン、この4人がスタメン出場したのは4試合。プレミアのリーズ戦、ハマーズ戦、ヴィラ戦、エバートン戦です。開幕リーズ戦は快勝でしたが、デ・ヘアに救われたハマーズ戦も含めた3試合は、いずれも負けていてもおかしくない試合内容でしたね。
②フリーマンを捕まえられない
エバートン戦のタウンゼントのゴールシーンもそうですし、デイビスをどフリーにしたシーンもそうですが、いわゆる、第2、第3の動きをケアできていないのも気になります。失点シーンはドゥクレがゴール前でボールを受けたので、ワン=ビサカ、リンデロフだけでなくショーも助太刀に参上しますが、右サイド(ユナイテッドの左)を上がってくるタウンゼントは誰も見ていませんでした。デイビスのシーンも同じ、コーナーのこぼれ球をゴッドフリーが拾いますが、ゴール前にいた5人全員がゴッドフリーを見ており、デイビスの動きは誰もケアできていませんでした。
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エバートン戦だけでも、それ以外にもボールを持っていない選手の動きをケアできていないシーンがいくつかあります。多くの場合、ほとんどの選手がボールを目で追っていて、自分がマークすべき相手の動きを十分に監視できていません。この原因は基本的なマークの確認をせずに試合に入っていることと、前項で書いたようにデュエルで勝てないために、他の選手がカバーに行かなければならないこと、そしてコーチングや声掛けが不足していることが原因と推測できます。
ボールホルダーにユナイテッドの選手が集中することも多く、それでボールを奪えれば良いですが、そこをいなされるとフリーになっている選手ができており、当然ピンチになります。人数を掛けるだけでなく、パスコースを塞ぐポジションを取ったり、サイドに追い込むプレスを掛けたりといった対応もする必要があります。
しかしながら、ディフェンシブサードに侵入された時点で、多くの守備者は対応が後ろ向きになるので、2列目から飛び出してくる選手への対応は当然難しくなります。本来であればそこに至るまでに対処しておきたいところですが、それも今シーズンのユナイテッドはできていませんね。
③緩慢なネガティブ・トランジッション
エバートン戦の失点シーンもそうですが、攻守の切り替えの場面で上手く対処できていないのも今シーズンは目に付きます。一言にトランジッションと言っても、ボールロストした場所や陣形のシチュエーションなどによって対応は様々です。ユナイテッドで目につくのはいわゆるカウンターを受ける時です。敵陣に人数を掛けて攻め込んでいるときにボールを奪われ、カウンターを受けるシーンでの対応のマズさ…。これはエバートン戦のようなセットプレー時なども含みます。
ユナイテッドはネガティブ・トランジッションの場面での対応は基本的に個人の判断に任されているように思います。ボールを失った本人は、ブルーノのようにすぐに挽回しようとする選手が多いですが(9番を除く)、その周囲の選手がどのように動くかは統一されていません。ロストした現場に一番近い選手はカウンタープレスを掛けるのか、それともディレイしてブロックを作るのか、はたまた相手と並走してサイドへ追いやるのか、などが状況別に整理されていないために、カウンタープレスが掛からず、後ろの陣形も整っていないという現象が起きます。
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エバートン戦では24分に、フレッジのパスがインターセプトされ、ブルーノも加勢しドゥクレを止めようとしますが止まらず、逆にフリーランニングしているタウンゼントを誰も見ていないシーンがありました。それ以外にも32分のブルーノのパスをカットされたシーンや、後半のロナウドがロストしたシーンなど、カウンタープレスが掛からない場面が散見されました。
ゲーゲンプレスをプレーモデルとしているリバプールやサウサンプトンなどとは違い、トランジッションの際の決まり事がないこともあり、ユナイテッドのネガトラは緩慢な事が多いです。今シーズンに始まったことではないですが、①、②の項目と相まってトランジッション時の粗がより目立つ形となっているのが今シーズンだと思います。
④改善策
以上見てきたように今シーズンのユナイテッドの守備は、組織的な動きができていない上に、対ドリブル、デュエルの場面での球際の弱さが重なり、相手の侵攻を阻止できずにピンチを招くという形になっています。昨シーズンの課題であったセットプレーからの失点は減少傾向ですが、代わってこのような問題が発生しているということですね。
この状態を改善するにはどうすれば良いか考えてみます。まず、①のデュエルに関しては、選手のコンディションが関係している可能性があります。ショーとマクトミネイは怪我もありましたし、フレッジ、ショーはシーズンオフにユーロやコパ・アメリカなどの国際大会に参加しています。まだコンディションが整っていない可能性もあり、整えば本来のインテンシティを取り戻すかもしれません。もし、コンディションの問題であれば、調子の上がらないメンバーは使わないという選択肢もあるはず。もちろん試合に出ないとコンディションも上がらないという側面もありますし、スールシャール監督がマクトミネイとフレッジを使うのは、強豪との連戦までに、コンディションを上げておきたいという思いもあるかもしれません。しかし、現状デュエルに勝てない選手を2人中盤に置いてフィルターになるわけがありません。
仮に、コンディションが原因ではない場合、問題は少し複雑になります。メンタル面(コーチング・スタッフに対する不信感など)や、そもそもコーチから何らかの理由で強い当たりを避けるように指導されているなども考えられなくはないです。表向きには見えていない何かがあると、問題の解決も難しくなりますね。
そして②、③の項目に関しては、やはり守備戦術を落とし込むべきです。特にヴァランの加入により、昨シーズンと変わっている部分があり、知らず知らずのうちに影響を与えている可能性もありますし、まだ連携も完璧ではないでしょう。ある程度の約束事を決めて、ユニットとして機能するようにすべきだと思います。そして、守備陣形に関しても整える必要がありそうです。予防的マーキングの確認とリトリート時の陣形も整備した方が良さそうです。
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さらに守備陣だけでなく、前線のプレスに関してもしっかりセットして試合に臨む必要があります。ユナイテッドは両ウィングがプレスバックする事を義務付けていませんが、このことは特にサイドの守備に大きな負担を掛ける事になります。さらに、そのサイドバックを助けるために中盤も中央を開けて、サイドに出るというリスクも犯すことになっています。もちろん、エバートン戦のように、カバーニがトップに入ったときと、ロナウドの時ではプレスの掛け方も変わってくるでしょう。前線のプレスが整っていないことは、守備の機能不全の一因となっていると思います。ここも改善すべきでしょう。
そして、これらの改善策を代表マッチウィーク中に監督、コーチは練り、選手が戻り次第トレーニングで落とし込む必要があります。もし何もしなければ、個々のコンディションが上がった分はマシにはなりますが、11月の強豪との連戦で崩壊する可能性があります。
👿まとめ
マルシャルの久々のゴールで勢いに乗るかと思ったエバートン戦でしたが、エバートンのコンパクトな4-4のブロックはなかなか崩せず苦戦しました。カバーニが今シーズン初先発。動きでの貢献度は高かったですし、おしいヘディングシュートもありましたが、結果は残せず…。後半にはロナウドとサンチョ、ポグバ を投入。この3人で何度かチャンスを作りましたし、サンチョのドリブルでの仕掛けはこの試合の数少ないグッド・ポイントだったと思います。しかしエバートンの守備は堅く、逆にカウンターから多くのチャンスを作られ、負けてもおかしくない内容に...(ゴール期待値xGユナイテッド1.05 エバートン1.32)。今シーズン開幕からパッとしないディフェンスはこの試合でも見られ、失点シーン以外でも、とてもビッグクラブとは思えない対応もありました。
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今シーズンのユナイテッドの被ビッグチャンスクリエイトは1.86/1試合となっていて、これはスールシャール政権ワーストな上に、サー・アレックスからの歴代監督の中でもワーストです。今シーズン、ワールドクラスのセンターバック、ヴァランを迎え入れ、ディフェンスのレベルも上がると予想されましたが、これまでのところ逆にレベルが落ちてしまっています。
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“Big Chances” Conceded in the League:
SAF
11-12: 39 (1.03 per game)
12-13: 40 (1.05)DM
13-14: 48 (1.26)LVG
14/15: 52 (1.37)
15/16: 51 (1.34)JM
16/17: 32 (0.84)
17/18: 57 (1.50)
18/19: 29 (1.71)OGS
18/19: 28 (1.33)
19/20: 50 (1.32)
20/21: 61 (1.61)
21/22: 13 (1.86)— UtdArena (@utdarena) October 2, 2021
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早急な守備戦術の見直しと改善が必要です。守備が安定すれば攻撃も持ち前の破壊力を発揮できる可能性が上がります。そして、上にも書いたように攻撃陣も守備に関してタスクを持つ方が良いでしょう。チームとして同じベクトルでプレーすることはとても大事だと思います。今は攻守がバラバラで一体感に欠ける事が、多くの問題の根底にあります。一体感を取り戻し、復調することを信じて待ちたいと思います。
エバートン戦の結果、ユナイテッドは勝ち点14の4位に後退。モヤモヤしたまま2週間の代表マッチウィークに突入する事になりました。

21-22PL7 ユナイテッドvsエバートン スタッツ 出典:プレミアリーグ公式

21-22PL7 試合結果 出典:ユナイテッド公式
次節プレミアリーグ第8節はキングパワー・スタジアムでのレスター・シティ戦。10月16日(土)23:00キックオフ。反撃の狼煙を上げてくれることを期待しましょう!カモン!ユナイテッド!!
最後まで読んで頂きありがとうございました!
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