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こんにちはMasaユナイテッドです。
21-22プレミアリーグ第16節 アウェイ、キャロウ・ロードでノリッジ・シティと対戦したユナイテッド。試合はハイプレスを仕掛けるユナイテッドに対して、ノリッジは幅を使って積極的に前へ出るホームチームらしいフットボールを見せます。38分にはロナウドがボックス内で左足のシュートを放ちますが、キーパークルルがファインセーブで防ぎます。後半に入り、ギアを上げたいユナイテッドでしたが、猛攻を仕掛けたのはノリッジの方でした。セカンドボールがノリッジにこぼれる展開が続き、プッキのシュートやセットプレーからシュートを浴びます。しかしデ・ヘアが素晴らしいセービングで得点を許しません。すると75分にロナウドがボックス内でアーロンズに引き倒されPKの判定。これをロナウドが自ら決めてユナイテッドが先制に成功します。試合終盤には再びノリッジが猛攻を仕掛け、91分にはセットプレーからオザン・カバクにあわやというヘディングシュートを打たれますが、デ・ヘアが超人的な反応でこれをセーブ。試合は守護神の大活躍によりユナイテッドが0-1のクリーンシートで勝利しています。
*試合のハイライトはこちら
今回は、この試合で垣間見えたラングニックスタイルの課題を4つ挙げて、試合を振り返りたいと思います!
以下項目です。
👿ラインナップ

①システムとハイプレス
ノリッジ戦のユナイテッドは、再びラングニックの代名詞である4-2-2-2システムで試合に臨みました。対するノリッジは4-5-1を採用。幅を取ってロングボールを織り交ぜながらユナイテッドのプレスを回避する戦術で臨みました。ユナイテッドは前節のクリスタル・パレス戦ほどハイプレスの圧が強くなく、プレスの掛け方も整理できていませんでした。パレス戦ではダロトが相手のサイドバックまで出てプレスを掛けるシーンもありましたが、ノリッジ戦はハイプレスが掛からない為に前へ出る事ができません。
さらに、4-2-2-2システムの特徴である2列目の2人の10番は基本的にナローに絞っているため、ノリッジの両サイドバックのヤヌリスとアーロンズのところは比較的フリーでボールが持てる状況でした。前半はこのシステムの噛み合わせとハイプレスの強度不足の為に、ユナイテッドは思うようにパフォーマンスが上がりませんでしたね。
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ノリッジのディーン・スミス監督は意図的に両翼に幅を持たせたと思いますが、ラングニックの4-2-2-2システムは、このような幅を持ったシステムに相性がよくありません。特にナローに絞る2列目は、相手サイドバックに対応するためワイドに出ていく必要があり、人一倍運動量が求められます。さらに、今回のように1列目のプレスが不十分だと、狙いどころが定まらず連動を欠くことになります。
システムに関しては、ラングニックはこれまで指揮したブンデスのチームでは4-2-3-1、4-3-3、3-5-2なども使っています。ただ今は自身のスタイルが最も表現できる4-2-2-2を落とし込んでいる段階であり、これからシステマティックになっていくことが予想されます。しかし下位チームと言えども侮れないプレミアの戦いでは、試合中の可変や、他のシステムへの変更を余儀なくされる可能性も考慮すべきでしょう。
②フィジカルレベル
試合後のラングニック監督のコメントには「フィジカル」という言葉が何度も出ています。ノリッジ戦に関しては「もっと激しく、フィジカルなプレーができたはず」と語っているように、アグレッシブさやインテンシティの面で満足していないことが伺えます。当然ですがラングニックスタイルのフットボールでは、フィジカルの強さは重要な要素となります。スールシャールから引き継いだチームのこの部分に不満があるのはまず間違いないでしょう。
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4-2-2-2システムのハイプレス・ショートカウンター戦術を機能させるには、運動量、インテンシティ、アグレッションが不可欠です。そして、これは前線の選手にも求められます。ここが監督の求めるレベルになって初めてラングニックスタイルをピッチ上で体現できると言えます。
今シーズンのユナイテッドの地上デュエル勝率は47.3%(1試合平均)となっています。これはプレミア全20チーム中ワースト3位の数字です。ユナイテッドより低いのはリバプール(45.3%)とワトフォード(45%)の2チームだけ。一概にこの数字がフィジカルコンタクトの強さを示すものとは言い切れませんが、ひとつの指標にはなるかと思います。
ラングニックは限られた時間の中で、トレーニングを通してフィジカル部分の改善に取り組むはずです。今後の進化に期待したいですね。
③ブルーノの役割
パレス戦のブルーノは、サンチョとの10番の役割を懸命にこなし、指揮官からも称賛されるパフォーマンスを見せていました。しかし、ノリッジ戦は攻撃に関しても守備に関してもフラストレーションの溜まるパフォーマンスとなりました。パス成功率67%、ボールロスト26回はワースト。SCAもブルーノには珍しくわずかに1回。キーパスも1本のみ。プレスの回数ではパレス戦より多い21回を記録していますが、プレスの成功率は28.6%とパレス戦の50%から大きく落としています。
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これまでの4-2-3-1の1トップ下とは違う役割を与えられているブルーノ。前線のプレスと縦に素早い攻撃を仕掛けることが求められています。ポジションに関しても、当然ですが中央ではなくサイドにいる事が多くなり、ノリッジ戦ではほぼ左サイドでのプレーとなりました。ブルーノはこれまでも、守備のタスクを積極的にこなしていますが、あくまでもトップ下として攻撃をクリエイトすることを第一優先としており、ここまで断続的なプレスを掛けることはありませんでした。
もともと運動量は多い選手ですが、ブルーノが動くのはファジーなポジションでボールを受ける為のものでしたが、今はプレスによる動きで体力を使っている状況です。さらにラングニックスタイルでは、奪ったらすぐに縦パスがくるので動き直す時間がありません。その為にブルーノがボールを受けた時には相手も近くにいる状態となる為、プレーに余裕がなくなり精度が落ちていると考えられます。
ノリッジ戦でのパス交換を見ても、最多はフレッジへの9本。続いてロナウドへの8本となっていて、近場のフレッジに戻すか、前へ向いた時は主にロナウドを見ていることがわかります。同じ2列目であるサンチョへのパスは0本となっていて、極端に横方向の選択肢を排除していると考えられます。判断する時間が短くなっている事と、守備面で体力を消費するために、ブルーノのゲームメイクに狂いが生じていると言えます。
しかし、まだこのシステムで2戦目であり、非常にクレバーな選手であるブルーノは必ず適応できると思っていますが、2列目の選手の組み合わせは様々できると思います。それこそブルーノを外して、ファンデベークやポグバが代わりを務めることも可能でしょう。
④ラッシュフォードの適応
ブルーノと共にもう1人、このシステムへの適応に手間取うかもしれない選手がラッシュフォードです。パレス戦は、ロナウドを孤立させないというタスクの為にアシスト役に徹し、指揮官からも一定の評価を与えられたラッシュフォード。しかしノリッジ戦では苦戦。シュート3本(枠内0)、SCA3回、キーパス1本、ドリブルは最多の5回(内3回成功)を記録しており攻撃陣の中では孤軍奮闘とも言えますが、ボールロストはブルーノに次ぐ20回を記録。数字以上に判断の悪さ、強引な仕掛けが目立ちました。
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これは何も今に始まったことではなく、ラッシュフォードの欠点としてずっとある課題ですが、4-2-2-2システムで2トップの一角に入ると、コンビネーションプレーの意識が薄いので余計に悪さが目立ちますね。スールシャール時代もトップに入るとパフォーマンスが微妙で、結局ウィングが一番能力を発揮できるタイプだと思っていましたが、トップに入ってもポストワークができるわけでも、ポジショニングに優れるわけでもないので、エゴイスティックな仕掛けは攻撃の機能不全を招く可能性があります。
ラングニックはライプツィヒでも同様の4-2-2-2システムを使っていますが、いわゆるストライカータイプと献身性が高く、泥臭い仕事をこなすタイプのコンビで2トップを形成してきました。つまりはヴェルナーとポウルセンです。仮にロナウドをストライカータイプとすると、その相棒にラッシュフォードは少し違う気がしますね。
現状、トップに入る選手がロナウド、ラッシュフォード、グリーンウッドの3人しかいないことも影響していますが、カバーニ、マルシャル が復帰した場合前線の組み合わせは変わる可能性があります。もしかしたら、ラッシュフォードは2列目に入った方が良さが出るかもしれません。しかしその場合は、守備面に不安を抱えることにはなりますが...。
👿まとめ
スタメンのメンバーでは2試合目の4-2-2-2であり、まだまだシステムの成熟には時間が掛かるのは間違いないです。しかしながら、守備に関してはプレミア2試合連続のクリーンシートを達成し、ラングニック監督の掲げる目標を達成できたことは評価できます。セットピースやコーナーから再三決定機を与えたことは改善の必要がありますが(エリック・ラムジーとは...?)、デ・ヘアの素晴らしいセーブがクリーンシート達成の大きな助けとなりました。4バックと2ボランチもパフォーマンスもまずまずで(フレッジ、マクトミネイは素晴らしかった!)、システムへの適応もスムーズにいっている印象を受けます。
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一方で、攻撃の機能不全はパレス戦よりも酷くなっていて、上記したようにブルーノとラッシュフォードのシステムへの適応は少し手間取る可能性があります。もちろんノリッジ戦はロナウドとサンチョも精彩を欠きましたが、より今までのプレースタイルを変化させる必要があるのはブルーノとラッシュフォードでしょう。
2人がアジャストできると信じていますが、選手の特性を考えた時に、果たして今のポジションがベストなのかは再度考える必要があるかもしれませんね。ラッシュフォードとブルーノのポジションを入れ替えてみるのも一つかも...。
週に2日試合がある状況で、なかなか新しいシステムを落とし込む時間がないのは確かです。そのような状況であるが故に、まずは守備を安定させることを目指しており、失点さえしなければ負けない、あるいは1点でも取れれば勝てるということもラングニックば語っています。攻撃の組織的な動きはその後ということでしょう。まずは、ラングニックスタイルの重要な要素であるフィジカルを強化し、組織的なプレッシング、強固な守備を構築する。その先にラングニックスタイルの真の姿が見えるはずです。

21-22PL16 ノリッジvsユナイテッド スタッツ 出典:プレミアリーグ公式

21-22PL16 試合結果 出典:ユナイテッド公式
この試合の結果、ユナイテッドは勝ち点27の5位に浮上。4位ハマーズとは1ポイント差に迫っています。
次節はブレントフォード・コミニティ・スタジアムでのブレントフォード戦。12月15日(水)4:30キックオフ。カモン!ユナイテッド!!
*ブレントフォード戦はユナイテッドの選手、スタッフにコロナ陽性者が複数人出ている為、延期となりました。
最後まで読んで頂きありがとうございました!
コメント
いつも有難うございます。監督の意図は解るのですが、やっぱりドイツ流は落とし込むのに時間がかかりそうですね。
そんな中のコロナ感染は本当についてないです。
CLの抽選会は大変でしたよねw
アトレチコは強敵ですが、パリと比べてラッキーと思ってしまいました。Masaさん的にはどちらがユナイテッド的に良かったですか?
Re.kaiaskunさん
コメントありがとうございます!
CL抽選会、大変でしたね(笑)。個人的にはパリは嫌でしたよ(笑)。対戦したくないって言うよりは、毎シーズンのようにやっているので違うところとやりたかったです。アトレティコはなんか新鮮ですね!今シーズンは少し調子が上がらないようですが、戦術的に面白い戦いになると思います。できれば対戦する2月までにラングニックの戦い方を成熟させてほしいですね。
しかし、コロナにより延期は仕方ないですが少し心配です。このまま拡大していけば、またリーグ自体が中断になる可能性もあるかもしれませんね...。
ノリッジ程ではないですが、ユナイテッドのスタメンも十分休養があったはずなのにこのプレス強度には少しがっかりしました。
ただ、ロナウドが守備時に「待て」のハンドジェスチャーを何回かしていたのが気になりました。もしかしたら、プレスの強弱の判断がこの試合のテーマになっていた可能性もあるのかなって思いました(にしても、前節と比べて強度が足りなさすぎでしたが)。
全体的にミスも多かった印象ですが、ブルーノの項にあるようにまだまだ順応できてない故だと私も思いました。
これまでのラッシュを見ていたらサポート役はなかなか難しいですね。裏抜けかドリブルでかわしてからロナウドにマイナスのパスってビジョンしかないです。85分みたいな形を試合中に何度も作れるならそれでもいいのですが。まずは相手を背負ってボールを受けられるようになってほしいです。
Re.goさん
コメントありがとうございます!仰る通り、ハイプレスは意図的に控えた可能性も考えましたが、ラングニック監督のコメントからはもっとアグレッシブに行って欲しかったというニュアンスでしたね。選手の配置とシステムの成熟はまだまだこれからですし、選手たちの適応能力に期待しましょう!