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こんにちはMasaユナイテッドです。
21-22プレミアリーグ第19節 アウェイ、セント・ジェームズ・パークでニューカッスル・ユナイテッドと対戦したマンチェスター・ユナイテッド(以下マン・ユナイテッドと表記します)。試合は前半、ミスからリズムが掴めないマン・ユナイテッドに対してニューカッスルは7分にサン=マクシマンの鋭い仕掛けで先制に成功します。マン・ユナイテッドは後半開始とともにカバーニとサンチョを投入。システムを4-1-3-2に変更します。後半開始直後にもサン=マクシマンに決定的なシュートを打たれますが、デ・ヘアがこれをセーブ。デ・ヘアはこの試合合計7つのセーブを披露。87分のアルミロンのシュートを超人的反応で防ぐなどチームに貢献しました。一方マン・ユナイテッドもカバーニが71分に同点ゴールを決めます。その後も両者ともに決定機を作りますが、両ゴールキーパーの活躍もあり得点ならず。試合は1-1のドローに終わりました。
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今回はこの試合、低パフォーマンスとなったマン・ユナイテッド。その要因を4つ挙げて振り返りたいと思います!
以下項目です。
👿ラインナップ

①ラッシュフォードとブルーノ
16日間のリーグ戦の中断期間を経て、再開されたマン・ユナイテッドのプレミアリーグ。セント・ジェームズ・パークへ乗り込んでのニューカッスル戦は、マン・ユナイテッドの試合を待ち望んだサポーターの期待に応える事が出来ませんでした。その要因はいくつかありますが、まずは戦術的な要素から見ていきます。
ラングニックは就任以来プレミア3試合全てで4-2-2-2システムを採用しています。そして同じ9選手がスタメン出場しています。いわゆる「主力選手」を固定して戦っていますが、このラングニック・システムへの適応に特に苦労している選手が2人います。それは、ラッシュフォードとブルーノです。
中断前のノリッジ戦の記事でも、その機能不全振りを取り上げましたが、ニューカッスル戦も同様の現象が見られています。パレス戦、ノリッジ戦ではトップの位置でプレーしたラッシュフォードは、ニューカッスル戦では2列目の右サイドで出場しました。しかしスールシャール時代も右ウィングでのプレーは精彩を欠いていたように、こちらサイドのプレーを得意としていません。前半はブルーノとのダブル10番という役割でしたが、攻撃面でもプレスの面でも周囲との連携が取れておらず、効果的な働きはできませんでした。間違ったドリブル仕掛の判断、意図の合わないパス、形だけのプレスといったラッシュフォードの良くない部分が多く見られました。後半システムを4-1-3-2に変更し左ウィングに変わってからパフォーマンスは向上しました(SCAは前半1回、後半5回)が、ラングニック監督も、この10番のベストな起用法に頭を悩ませているのではないでしょうか。現状ラッシュフォードは、左ウィングでカウンター戦術にしかマッチできないプレースタイルに留まっていると思います。
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そしてブルーノも、4-2-2-2の2列目になると良さよりも悪さが出てしまっているプレーヤーです。献身的なプレスや守備意識は良いのですが、プレーメーカーとしてのクオリティは様々な制約の為に低下する傾向があります。ブルーノは本来ハイリスク、ハイリターンのプレーヤーですが、リスクの方が増大しており本人も快適にプレーできていません。後半、中央で自由を与えられてから明らかにパフォーマンスが上がりましたが、ブルーノはポジショニングに優れた選手であり、その能力を最大限に発揮するにはある程度の自由が必要であるように見えます。
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②コロナによる影響
2つ目の要因はコロナによる影響です。
試合後マグワイアは
「フットボールシーズンの最中に16日間も休んでいては、どうしようもできない。練習場は閉鎖されていたし、今日プレーする選手の半分はウイルスから回復しているから、その点もチームにとってはマイナス。症状のある人もない人もいて、クラブのみんなにとっては複雑な状況で、つらい時期だった」
引用元:ユナイテッド公式
と語っており、コロナウィルスのパフォーマンスへの影響に言及しています。中断となったブラッドフォード戦の前に、トレーニングに参加できたプレーヤーは7~9人しかいなかったと報道されており、大半の選手が陽性反応を示していたと考えられます。マグワイが言っているように、無症状の選手もいたようですが、身体的にどれほどの影響があったのか未知の部分もあります。肉体的な要求の大きいラングニックのサッカーに全く影響がなかったとは言えないでしょう。
また、この中断期間に腰を据えてトレーニングできたわけではなく、キャリントンは閉鎖され、個別に課題が与えられてのトレーニングとなり、全体トレーニングに戻ったのは12月22日になってから。戦術的な落とし込みが十分にできなかったと思います。さらに、中断されたことでコンディションがリセットされた選手もいるでしょう。フレッジやダロトなどは、明らかにパフォーマンスが落ちておりその影響が見えました。
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ニューカッスル戦前半の戦い方を見ても、ボールサイド圧縮の意識や、陣形をコンパクトに保つ意識、カウンタープレスの意識、奪ってからの縦へのスピードなど、やろうとしている意識は存分に見られました。そういった頭の中の理想に現実が追いついていない状態で、フィジカルレベルが十分でなかったことが伺えました。そしてその要因の1つは、コロナによるものと考える事ができます。
③選手の姿勢
3つ目の要因は選手側の問題です。
試合後、ガリー・ネビルはロナウドとブルーノという2人のスター選手の態度を批判するコメントを出しています。
「彼(ロナウド)は最高の選手だが、あのように走り去ってはいけない。あの態度は受け入れがたい。プレー内容がどのようなものであっても試合が終わったらファンのもとへ駆け寄って拍手を送らないと。世界最高のプレーヤーで、史上最高の選手の1人であるのならばなおさらだ」
「フェルナンデスも文句を言ってばかりだ。チームのベストプレーヤー2人(ロナウドとフェルナンデス)が『お前らはヘタクソだ』という視線を仲間に投げ掛けていたら、若手選手は萎縮してしまうだろう」
ネビルのコメントもそうですが、個人的にもニューカッスル戦は選手の戦う姿勢に少々疑問を持ちました。ブルーノの態度もそうですが、ラッシュフォードはボールを失った後、いつまでも判定に文句を付けプレスを掛ける事をしなかったり、ロナウドもイライラからフレイザーに無謀なチャージをするシーンも見られました。そもそも、裏への動き出しを繰り返すロナウドにパスが出てこないという問題もあり、後半に出てきたカバーニが再三に渡りシュートチャンスを得たのとは対照的にも感じます。もちろん、カバーニの献身的な動きとポジショニングセンスによるものですが、ロナウドの存在を受け入れられていない選手がいる可能性も報じられています。
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プレースタイルという面では同じ方向を目指しながら、どこかチグハグでバラバラな印象があり、スールシャール政権崩壊の要因の1つがまだ燻っているような感じを受けます。つまりは、チーム内に派閥があるということです。もちろん、ある程度の派閥はどこのチームにもあるでしょう。しかしマン・ユナイテッドは、イングランド系の選手とラテン系の選手で別れている、あるいはベテラン勢と若手で意見が違うという報道もあります。ラングニックはこの試合でラッシュフォードを右サイドに配置しましたが、マクトミネイ、グリーンウッド(イギリス勢)と同サイドにしたのはこのあたりの事情があったからかもしれません。同様にブルーノを、フレッジ、ロナウド(ポルトガル勢)と同サイドにしています。この方が連携的にスムーズになると考えたという可能性もありますね。
Daily Mailの記事では
『何かおかしいぞ』と。間違いなく泣き言が飛び交っている。皆、お互いに腹を立てている。ドレッシングルームの精神は本当に重要で、今のところ全員が一緒にいるとは思えない」(ネビル談)。練習場の雰囲気は非常に悪く、ドレッシングルームの仲間割れに対する懸念は、6つの4人掛けテーブルが設置された食堂のアップグレードによっても解消されていないという。選手たちはラングニックの遅いトレーニングセッション(午後遅くにトレーニング時間が変更された)に適応するのに苦労している。
と書いています。もちろん真実かどうかはわかりませんが、ピッチ上で見える光景からも、チーム内の不協和音や選手の戦う姿勢が十分ではない事が伺えます。
④ラングニック・スタイルへの拒否反応
最後は3つ目の続きとなりますが、ラングニックによる急激な変革に選手が着いていけていない可能性です。戦術面ではブルーノやラッシュフォードが適応に手間取っていますが、先述したトレーニング時間の変更や、フィジカル・トレーニングでも今までの比ではないほどハードになっているとデ・ヘアも認めていました。また、ラングニックの目指すスタイルではフィジカルのみならず頭脳も酷使します。モウリーニョ時代に戦術ガチガチのやり方に反旗を翻したメンバーもおり、マン・ユナイテッドは伝統的にどちらかというと頭脳を使うサッカーが得意ではないでしょう。
ノリッジ戦でもニューカッスル戦でも、4-2-2-2の時には前線の動きが極端に少なくなっています。約束事を意識するあまり創造性を発揮しにくくなっていますが、ワールドクラスの選手たちがこのように動けなくなるというのは少々驚きです。また、ニューカッスル戦ではイージーミスが散見され、ゲームコントロールできなかった大きな要因となりましたが、これも縦への速い攻撃を意識するあまりズレが生じている結果です。
ラングニック監督は、これまで監督としてビッグクラブを率いた経験はありません。いくらラングニックスタイルではミスはある程度許容され、ロストした際のカウンタープレスからゴールを目指すスタイルだとはいえ、これほどミスが出ることは想定外でしょう。世界トップクラスの選手たちがこのような状況に陥ってしまうというのは、ラングニック監督にとっても衝撃的だったのではないでしょうか。
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ニューカッスル戦の低パフォーマンスを受けて、一部報道ではスールシャール時代に戻ったとまで書かれました。それほど前半のパフォーマンスは良くなかったですし、その要因の1つにはこのラングニック・スタイルに対する選手たちの拒否反応があるかもしれません。そしてこれは意識的な拒否反応と無意識の拒否反応(抵抗感)があると思われます。
👿まとめ
待ちに待ったマン・ユナイテッドの試合でしたが、内容も結果もフラストレーションの溜まるものとなりました。前半は4-2-2-2が上手く機能しませんでしたが、非常にミスが多くリズムを掴むことができませんでした。失点シーンもヴァランのミスから始まっており、自らのミスで自滅した印象の前半に...。前半唯一のビッグチャンスは40分のセットプレー。見事なトリックプレーでニューカッスルの意表を突きましたが、ドゥブラフカはよく集中していましたね。
テンポの上がらなかったマン・ユナイテッドは、後半開始と共にサンチョとカバーニを投入。システムを4-1-3-2に変更しました。このあたりの判断の早さはスールシャール前監督にはなかった要素でしたが、この変更で前線に躍動感が生まれ、カバーニの同点弾に結びついたのはラングニック采配が当たったと言えます。基本システムとなる4-2-2-2はプレスが効率的に掛けられるというメリットがありますが、肝心のインテンシティが不足しているのであればこのシステムは活きません。試合展開によっては今回のように柔軟にシステムを変えることもするべきでしょう。
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ニューカッスル戦の低パフォーマンスとなった4つの要因として見てきましたが、ひとつ言えることは今はまだラングニック・スタイルに適応している段階だという事です。チーム内の不協和音や戦術に対する拒否反応など、潜在的に火種となる要素もありますが、もっとも重要なのはピッチ上で結果を出すことです。これまでのマン・ユナイテッドが「緩過ぎた」という側面も充分にあり、4つ目のトレーニングがハード過ぎてチームのムードが下がったなどというのは、真実ならば相当にレベルの低い話です。
スールシャール前監督が残した課題は確かに残っています。ラングニックになっても状況が変わらず、序列に不満があり退団を希望している選手もいます。そしてそれを隠さずに公にするラングニック監督をよく思わない選手もいるかもしれません。しかし、今はラングニック監督の能力に疑いを持つ時期ではありません。課題は確かに多いですがラングニックはやってくれるはずです。これから徐々にピッチ上の戦いで成果を見せてくれるでしょう。私はラングニック監督を、そしてマン・ユナイテッドの選手達を信じています。

21-22PL19 ニューカッスル・Uvsマンチェスター・U スタッツ 出典:プレミアリーグ公式

21-22PL19 試合結果 出典:ユナイテッド公式
この結果ユナイテッドは7位のまま。4位アーセナルとは2試合消化数が少ないですが、勝ち点差は7と開きました。
次節はオールド・トラッフォードでのバーンリー戦。12月31日(金)5:15キックオフ。勝って2021年を締めくくりましょう!カモン!ユナイテッド!!
最後まで読んで頂きありがとうございました!
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