【20-21PL第24節】WBA戦に見るフロント4の問題点【マンチェスター・ユナイテッド】

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こんにちはMasaユナイテッドです。

プレミアリーグ第24節 アウェイ、ザ・ホーソンズでウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン(WBA:バギーズ)と対戦したユナイテッド。試合は開始2分でホームのバギーズが先制。ディアネがリンデロフとの競り合いに勝ち、ヘディングを決めました。引いて守るバギーズに対してユナイテッドはボールを握りますがなかなか崩せず。44分にショーのクロスをブルーノがハーフボレーで決めて同点に追いつきます。後半、攻めるユナイテッドですが決定的なチャンスを作れません。逆にバギーズにカウンターを受け危ない場面もありましたが、両者ゴールを奪えず1-1のドローとなりました。

試合の詳細はユナイテッド公式をご覧ください。

www.manutd.com

今回はこの試合でバギーズ・ディフェンスを崩せなかった前線の問題点についてのコラムです!

以下項目です。

 👿ラインナップ

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バギーズvsユナイテッド ラインナップ

ベンチメンバー
バギーズ:ブットン、ファーロング、オシェイ、リバモア、ソウヤーズ、フィリップス、グラント、ロブソン=カヌ、ロビンソン
ユナイテッド:ヘンダーソン、テレス、ウィリアムズ、トゥアンゼベ、バイリー、マティッチ、ファン・デ・ベーク、ジェームズ、グリーンウッド

①前線のラインナップ

もはや現スカッドにおける前線の組み合わせは、5人によるローテーションで行われています。つまりブルーノ、ラッシュフォード、マルシャル、カバーニ、グリーンウッドです。バギーズ戦ではグリーンウッド以外の4人が先発で使われました。ポグバのサイド起用という新たなオプションを見出した矢先に、ポグバは負傷離脱。ファン・デ・ベークやマタ、ジェームズなどのサブメンバーに全幅の信頼を置けないこともあり、ユナイテッドの前線の組み合わせは、バラエティに富んでいるとは言えない状況になっています。

今シーズン、いまだに調子の上がらないマルシャルはトップのポジションをカバーニに譲る事が多くなっていて、マルシャルが左に入る時は、必然的にラッシュフォードが右になります。

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バギーズ戦のラインナップが、どこまでゴールへの道筋をデザインしたものかはわかりませんが、最近好調なグリーンウッドではなくマルシャルをチョイスしたという事は、引いてくるバギーズを想定し、よりドリブルでの仕掛けが重要だと判断した可能性もあるでしょう。

さらに、中盤のコンビをマクトミネイとフレッジにした事も、この試合における前線の4人の働きがより重要になる事を意味していました。インテンシティの高いプレーを得意とする2人ですが、創造性のあるプレーは得意とは言えません。マクトミネイは前線へ飛び出して攻撃に絡むタスクを、フレッジはカウンターを阻止するタスクを主に担当しましたが、本来はポグバを使いたかった試合だったのではないでしょうか。

②前へ進もうとしない前線

開始早々に失点を喫したユナイテッドに対して、バギーズはリトリートでブロックを作るお馴染みのユナイテッド対策を実施。ただバギーズの場合はボールホルダーへの寄せが速く、ユナイテッドはファイナルサードでなかなか前を向かせてもらえませんでした。

ユナイテッドは5分にラッシュフォードが決定的なチャンスを迎えますが、なぜかシュートを打ちませんでした。このシーンは縦パスをブルーノがフリックしたことにより、ラインブレイクに成功しましたが、これ以降ユナイテッドの前線は前へボールを運ぶことをしなくなります

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ラッシュフォードは縦へ突破するスペースを見つけられず、ブルーノへパスを戻すばかりになり、マルシャルも落ちて受けに来ますが、一切前へ向きを変える事無くパスを戻します。カバーニはそもそもボールを足元に置くタイプではないので、前方が空いていてもすぐにボールを離してしまい、ドリブルという選択肢は一切ありませんでした。

バギーズ戦の前線の3人のボールを運んだ距離(ドリブル)は

ラッシュフォード・・・207ヤード
マルシャル・・・101ヤード
カバーニ・・・29ヤード

となっていて、デ・ヘアと途中出場のファン・デ・ベークを除けばワースト3です。

本来であれば、引いたブロックをこじ開ける為に、ドリブルでの仕掛けが有効な手段になるはずですが、ラッシュフォードとマルシャルがその素振りをあまり見せなかったことは、2人のコンディションの悪さと自信のなさの表れのように思います。マルシャルは65分でグリーンウッドと交代となり、ラッシュフォードは左に移ってからも、無謀な仕掛けやプレーを止めてしまうなど判断の悪さが目立ちました

ブロックを崩すために、パススピードを上げたり、ハーフターンでボールを受けて前を向いたり、フリックやワンタッチプレーでディフェンダーを混乱させたりといった工夫はほとんどなく、代わりにマクトミネイの飛び出しと、マグワイアの持ち上がりで何とかしようとする姿は前線の不甲斐なさを際立たせていましたね。

ユナイテッドは最前線に5、6人並んでいる場面もありましたが、中盤からパスを出そうにも誰1人として動きを見せないのは何故なのでしょう?支配率74%ながらシュートはわずかに10本。決定機も記録上は0回、ゴール期待値も0.42でバギーズの0.95を下回っています。前線の選手のシュートはラッシュフォードが1本のみ。カバーニ、マルシャルは0本という有様でした。

③機能しないブルーノ

この試合、前線の3人のパフォーマンスの煽りを食った(?)形となったのがブルーノです。この試合、同点となる素晴らしいハーフボレーを決めたブルーノですが、それ以外のパフォーマンスは思わしくありませんでした。

キーパスは0本、SCA(ショット・クリエイティブ・アクション)は僅かに1回、パス成功率も67%(FBREFのデータ)と低く、ポゼッションロストも最多の30回を記録するなど、ゲームメイクという点では効果的な働きができませんでした。

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ブルーノのパフォーマンスが良くなかったからフロント3が輝かなかったのか、フロント3の動きが乏しくてブルーノがチャンスを作れなかったのかは一概に言えませんが、この試合に関して前線の4人は、個人としてもユニットとしても機能しなかったのは間違いありません。

ブルーノに関しては気になるのが、当たりに対して痛がりプレーを止める場面が散見される事。リプレイで見ると確かに痛いんでしょうけど(笑)、バギーズ戦で受けたファールは1回だけです。それがボールロストの多さに繋がっている可能性も否定できず、バギーズのカウンターの起点となったシーンもありました。

引いてブロックを作る相手にはセットプレーが重要になってくるので、ブルーノは意図してファールを貰おうとしていた部分もあるとは思いますが、この試合では上手くいきませんでしたね。

④前線の問題の原因と解決策

前線4人の問題点はコンディションやメンタルの影響でパフォーマンスが安定しないという事です。引いた相手を崩せないのは、崩しの場面でチーム戦術まで落とし込みがなされていない為ですが、本来であればパフォーマンスの悪い選手は使わず、サブのメンバーで変化を付けたいところです。

しかし、スールシャール監督のマネージメントのやり方は、前線に関してはローテーションできていません。ジェームズ、マタ、ファン・デ・ベークに与えているチャンスはごく僅かで、ラッシュフォード、マルシャル 、グリーンウッド、カバーニの4人で前線の3枠を争っている状況は健全なポジション争いとは言えないと思います。

もちろんこれまでの実績を考えれば、サブのメンバーに全幅の信頼を置くことは難しいですし、調子が悪くてもラッシュフォード、マルシャル、カバーニの1発に賭けたい気持ちもわかります。

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ユナイテッドは昨シーズンのコロナ中断明けと20-21シーズンの年末から年始に掛けて好調の時期がありました。その時の前線は、引いた相手も崩せる程力強かったですし、スペースの使い方やコンビネーションなどに成長を感じさせてくれました

この様な好調の時の崩しの形を戦術に落とし込み、再現性を持たせることがスールシャール監督やコーチ陣に期待したいことですが、崩しの局面で「戦術」という方向は向かず、あくまでも「個のクオリティ」に拘っています。

そうであるならば、この前線の問題を解決するには個のクオリティを上げるというのが最も合理的な解決策になります。ラッシュフォードやマルシャルを超えるタレントの獲得。つまり、グリーリッシュやハーラン、サンチョなどの獲得という事が必要だということです。これができないのであれば、引いた相手を崩せないという現象は消えることはありません。

しかし一方で、ファン・ハールやモウリーニョ時代にビッグネームを買い漁った過去を忘れるべきではありません。必ずしも能力の高い選手がユナイテッドにフィット出来るとは限らないのです。

👿まとめ

降格圏に沈む相手に先制され、同点にこそしますが引いた相手を崩し切る事が出来ずに勝ち点1しか積み上げる事ができませんでした(って何回同じこと書かせるのか?・・・)。

チャンスらしいチャンスを作れず、逆にカウンターから決定機を作られて下手すれば負けていた試合でした。

ブルーノの不調や前線の動きのなさで、人数こそいれどバギーズディフェンスをこじ開けることはできませんでしたね。

アディショナルタイムにはマグワイアのヘディングがポストを叩きますが、あの時のキャプテンの悔しがり方は印象的でした。不甲斐ない攻撃陣をなんとか助けようと90分間奮闘したマグワイア。後半ディアネとの競り合いで倒れてしまいピンチを招くシーンはありましたが、よく戦ったと思います。本来であれば、あのぐらいの気迫をフォワード陣から感じたいものです。

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ラッシュフォードやマルシャル の才能は評価していますが、調子が落ちた時に代わりを務められる選手がいないというのはチームにとって大きな課題です。ただ現状ではこの問題の解決は難しそうです...。

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WBAvsユナイテッド スタッツ
出典:プレミアリーグ公式
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試合結果
出典:ユナイテッド公式

この結果ユナイテッドはシティと勝ち点7差で辛うじて2位をキープしていますが、レスターに勝ち点で並ばれました。ユナイテッドは直近のリーグ戦5試合で1勝3分1敗となっていて明らかに調子を落としています。このままズルズルいってしまうのか、それとも再度上げていけるのか正念場になります。

次節はELソシエダ戦を挟んでオールド・トラッフォードでのニューキャッスル戦 2月22日(月)4:00キックオフ。カモン!ユナイテッド!!

最後まで読んで頂きありがとうございました!

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