こんにちはMasaユナイテッドです。
ヨーロッパリーグ決勝トーナメント1回戦2ndレグ ホームでレアル・ソシエダと対戦したユナイテッド。試合は、前半12分にジェームズがゴロサベスをボックス内で倒してPKを与えてしまいます。しかしこのPKをオヤルサバルが失敗。先制のチャンスを逃してしまいます。0-0で折り返した後半、ユナイテッドはラッシュフォード、ウィリアムズ、トゥアンゼベを投入。63分にはテレスのコーナーからトゥアンゼベがネットを揺らしますが、直前のリンデロフのファールを取られてゴールは認められませんでした。両者ゴールを奪えず試合はスコアレスドローに終わっています。この結果1stレグで0-4で勝利しているユナイテッドがベスト16進出を決めています。
試合の詳細はユナイテッド公式をご覧下さい。
今回はこの試合を受けてのコラムです。
ソシエダの選手としてオールド・トラッフォードに凱旋したアドナン・ヤヌザイ。ユナイテッド・アカデミー出身のヤヌザイのプレーを受けて、ユナイテッドの育成について記事を書きたいと思います!
「ユナイテッド・アカデミーの光と影」
以下項目です。
👿ラインナップ

ベンチメンバー
ユナイテッド:デ・ヘア、ビショップ、グラント、ショー、ウィリアムズ、トゥアンゼベ、マグワイア、ガルブレイス、ラッシュフォード、ディアロ、ショレティレ
ソシエダ:マレロ、ルイス、モンレアル、メルケランス、グリディ、ゲバラ、ポルトゥ、ロペス、バレネチェア、バウティスタ
①過去~アドナン・ヤヌザイ
2013年8月11日、コミニティ・シールドのウィガン戦、モイーズ監督の元ユナイテッドでのトップチーム・デビューを飾ったアドナン・ヤヌザイ。当時18歳でした。同年10月のプレミア初先発の試合で2ゴールを決めるなど、センセーショナルなデビューを飾りました。14-15シーズンにはギグスが着けた背番号11を受け継ぎ飛躍が期待されますが、ファン・ハール監督の信頼を得る事が出来ずレンタル移籍を繰り返した後、2017年7月にレアル・ソシエダへ完全移籍となりました。
マンチェスター・ユナイテッドと言えば、アカデミーから数多くの有望な選手を輩出しているイメージが強いと思います。かつてはバスビー・ベイブスもありましたが、やはりベッカム、ギグス、スコールズなどを有した「クラス・オブ・92」が有名でしょう。
確かにサー・アレックス・ファーガソンは若手を積極的に起用し、才能を開花させるのに長けた監督でした。しかし、92年組以降はアカデミーからチームの主力にまでなった選手はそう多くありません。ブラウン、オシェイ、フレッチャー、エバンスぐらいでしょうか?ラファエルやクレバリー、ウェルベックなどもいましたが、ユナイテッドでの活躍の期間は短かった印象です。
才能はあってもユナイテッドで大成しなかった選手も山のようにいます。中でも個人的に印象に残っているのはフェデリコ・マケーダ(現パナシナイコス)、ポール・ポグバ、ラベル・モリソン(現在フリー)の3人。2009年4月5日、アストン・ビラ戦で17歳でトップデビューしたマケーダ。デビュー戦でいきなりゴールを決める衝撃のデビューを飾ります。しかしその後は周囲の巨大なプレッシャーもあって伸び悩みレンタル移籍を繰り返したあと、2014年にユナイテッドを離れる事になりました。
2011年18歳でトップデビューを飾ったポグバは、ユース世代から話題になるほど期待されていましたが、当時のファーガソン監督は一度は引退していたスコールズを復帰させ、ポグバに出場機会を十分に与えませんでした。さらに代理人であるミーノ・ライオラの策略もあり、ポグバは2012年ユベントスへ移籍します。
ポグバやリンガードとアカデミーで同期だったモリソンは、今でも語り草になるほどのフットボールの才能の持ち主で「ポグバをも凌ぐ天才」と称されていました。しかし、遅刻や無断欠席、果てにはルーニーやファーディナンドのスパイクを盗み売り捌くなど素行に問題があり2012年ファーガソンによって追い出されました。
オールド・トラッフォードに凱旋したヤヌザイは、ソシエダで主力としてプレーし、ベルギー代表にも選ばれている訳ですから、プロのキャリアとしては成功していると言えます。しかし、ヤヌザイが敵としてオールド・トラッフォードに凱旋し、プレーする姿を見て、アカデミーから上がって、ユナイテッドでキャリアを築いていく事がどれだけ難しいかを再認識させられました。
②現在~マーカス・ラッシュフォード
今からちょうど5年前、2016年2月25日のヨーロッパリーグ、ミッティラン戦でトップデビューを飾ったマーカス・ラッシュフォード(当時18歳)。デビュー戦でいきなり2ゴールを上げる活躍を見せました。これまでの5年間で258試合に出場、85ゴール42アシストを記録。背番号10を背負い今やユナイテッドの中心選手の1人になっています。
ファン・ハール監督にトップチームに引き上げられ、モウリーニョ監督からもコンスタントに出場機会を与えられてきたラッシュフォード。ファーガソン監督が進めてきた若手育成路線は、モイーズ、ファン・ハール、モウリーニョ監督時代はやや減速します。3人とも、アカデミーを軽視したわけではありませんが、未来へ繋がる育成よりも、目の前の結果が彼らには必要だったという側面もあるでしょう。
そしてクラブOBでもある、現監督スールシャールになってから再びアカデミー重視、若手の育成を推し進める路線に戻ってきました。現在のスカッドにはポグバ、ラッシュフォード、マクトミネイ、グリーンウッド、ウィリアムズ、トゥアンゼベ、ヘンダーソンの7人のアカデミーからの昇格選手がトップチームにいます。スールシャール監督の功績は、ただアカデミー出身者をスカッド登録しただけではなく、彼らを重要な戦力となるまで育て上げたところにあるでしょう。
ソシエダ戦2ndレグの後半開始時、ユナイテッドは11人中5人のアカデミー出身選手をピッチに立たせました。今シーズン頭からトップチーム登録している選手の内、怪我でいないマクトミネイとポグバ以外の全員を送り込んだ事になります。恐らく、これほどアカデミー出身選手を同時起用する事は、ビッグクラブではあまり無いのではないでしょうか?
その一方で今シーズン、グリーンウッドと同期で期待値の高かったアンヘル・ゴメスが退団。ジェームズ・ガーナー、タヒス・チョンといった若手を武者修行に出し、ペレイラやリンガードの中堅組もローンで出しています。
特に象徴的なのはリンガードです。今年1月にローンでハマーズに加入してからサッカーを楽しみ、結果も出している状況を見るとユナイテッドでプレーする事がいかにプレッシャーになっていたのかわかります。あのパリピで底抜けに明るいリンガードでさえ(笑)、ユナイテッドでプレーする時は眉間にシワを寄せ厳しい表情が多かったです。
マンチェスターユナイテッドで主力としてプレーする事は、彼らが少年時代から追い求めてきた夢であることは事実です。しかし一方で、ユナイテッドでのプレーが必ずしも本人にとって最良の選択肢とはならないという事を、ラッシュフォードとリンガードは教えてくれています。
③未来~ショラ・ショレティレ
ソシエダとの2ndレグ、後半76分からピッチに立ったショラ・ショレティレ。ユナイテッド史上最年少となる17歳と23日でヨーロッパでの試合に出場という新記録を樹立しました。2021年2月8日に最初のプロ契約を結び、2月18日のソシエダ戦1stレグにてベンチ入り。そして21日のニューキャッスル戦でトップチームデビューを果たしました。この2週間ちょっとの間に人生が大きく変わった17歳の少年は、まだ表情は子供ですが強い意志を持ってユナイテッドでプレーしています。
恐らく多くのユナイテッド・サポーターは、次にトップチームデビューするのはハンニバル・メブリ(18)だと思っていたのではないでしょうか?私もその1人ですが、今シーズンのU-23には楽しみな若手がたくさんいます。プレーメイカーのメブリを筆頭に、今シーズンサンダーランドユースからやってきたストライカーのジョー・ヒューギル(17)、ソシエダ戦でベンチ入りしたイーサン・ガルブレイス(19)や、スペイン人MFアルナウ・ピグマル(20)、スウェーデン人ウィンガーのアントニー・エランガ(18)など、今すぐにでもトップチームで見てみたい選手のオンパレードです。
*こちらの記事を参考にどうぞ!

今シーズンのユナイテッド・アカデミーには国内外から有望な若手選手が多く加入しました。相当な資金を投入して、レアルやバルサのユースからも選手を獲得しています。これまでにも増して、アカデミーに力を入れていく方針だという事を予感させます。そして、その旗頭となるのがスールシャール監督です。さらにトップチームのコーチ陣にもフレッチャーやバットなどのOBを抜擢するなど、ユナイテッドのアイデンティティを色濃く打ち出し復権を狙う姿勢を示しています。
*今シーズンのアカデミー加入選手の記事はこちら

背番号74を背負ったショレティレの背中を見ながら、彼の心境を想像してみました。一夜にして自分の名前が世界中に知れ渡ったその興奮と恐怖。恐らく普通の人間なら耐えられない程のプレッシャーに押しつぶされてしまうでしょう。まだあどけない表情のショレティレですが、彼の視線はラッシュフオードやグリーンウッドをしっかり捉えています。「アカデミーのみんなにとって、マーカス(ラッシュフォード)とメイソン(グリーンウッド)は憧れの存在」と語っているように、この2人に自分の将来の姿を重ね合わせているはずです。
④ユナイテッドでプレーする重圧
正直今の段階でショレティレが、ユナイテッドで大成できるかわかる人間は1人もいません。彼を指導してきた人でさえ、確信をもって言う事は難しいでしょう。しかし、ユナイテッド・サポーターは、期待と興奮と緊張感を持って、まるで我が子を応援するかのように、アカデミーから上がってきた若手をサポートし、将来ベッカムやギグス、スコールズの様にスターダムを駆け上がっていく姿を想像します。
若手選手の成長を見守りながら、未来を想像してニヤつく
それこそがユナイテッドを応援する「特権」だと私は思っています。
今シーズン、ユナイテッド・アカデミー出身選手がプレミアリーグで活躍しているのは18人(自チーム7人、他チーム11人)。これは2位チェルシーの14人よりも4人多いそうです。さらに昨シーズンには、4000試合連続でアカデミー出身者を試合に起用という、信じられないような記録を達成しています。
そういったアカデミーの実績は成功と言える一方で、見てきたように数多くの才能ある選手がユナイテッドでは活躍できずに去っていきました。彼らに足りなかった物は何だったのでしょう?
才能?
運?
周りのサポート?
人格?
恐らくそのどれもが正解だと思います。しかし、最後に結果を分けるのはプレッシャーに対する耐性ではないでしょうか?重圧に潰されずに、いかにブレない心でフットボールと向き合えるか。
ユナイテッドでプレーしたいなら喜んだり悲しんでる場合じゃない。プレーする価値があると証明すべきだ
By スコット・マクトミネイ
5歳からユナイテッドの下部組織で育ったマクトミネイの言葉が、ユナイテッドでプレーする為に必要な事をよく表していると思います。
ラッシュフォードやマクトミネイ、ポグバやグリーンウッドがいかに激レアな事をやってのけているのか。ヤヌザイ、ラッシュフォード、ショレティレの共演はそのことを思い出させてくれました。

試合結果 出典:ユナイテッド公式
この結果ユナイテッドはELラウンド16に進出。次の対戦はズラタン・イブラヒモビッチ有するACミランです!
最後まで読んで頂きありがとうございました!
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