【20-21PL第26節】チェルシーvsマンチェスター・ユナイテッド マッチレビュー【戦術分析】

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こんにちはMasaユナイテッドです。

プレミアリーグ第26節 スタンフォード・ブリッジでチェルシーと対戦したユナイテッド。試合は前半から攻守の切り替えの早い、見ごたえのある展開に。前半12分にはチェルシーのボックス内でハドソン=オドイの手にボールが当たりますが、主審のスチュアート・アトウェルがVARで確認した結果、PKは与えられませんでした。その後、35分にはチェルシーがジルーのヘッドで決定機を迎えますがわずかに合わずゴールなりません。後半はユナイテッドが押し込む時間もありましたが、お互いに決定機を作ることが出来ず。試合はスコアレスドローに終わっています。

試合の詳細はユナイテッド公式をご覧下さい。

www.manutd.com

今回はこの試合のマッチレビューです!

以下項目です。

👿ラインナップ

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チェルシーvsユナイテッド ラインナップ

ベンチメンバー
チェルシー:ケパ、マルコス・アロンソ、エメルソン、ズマ、グリディ、リース・ジェームズ、ジョルジーニョ、ハバーツ、ヴェルナー、プリシッチ
ユナイテッド:ヘンダーソン、テレス、ウィリアムズ、トゥアンゼベ、バイリー、マティッチ、ファン・デ・ベーク、マルシャル、ディアロ

①前半

1-1.チェルシーの保持vsユナイテッドのプレス

ユナイテッドはいつもの4-2-3-1。チェルシーは3-4-2-1の基本フォーメーションを採用。チェルシーの自陣からのビルドアップは、基本的には長いボールを蹴らずに、後ろから繋いでいく形。中央CBのクリステンセンからスタートします。それに対してユナイテッドは3トップが3CBに対応します。

ブルーノはカンテ、もしくはコバチッチを見ます。ここは2対1の局面になるので、ブルーノはカンテを、ジェームズがコバチッチを見ることが多かったです。ジェームズはハーフスペースにポジションを取り、リュディガーからシャドーのマウントへのパスコースを切りつつ、コバチッチにボールが出たらプレスを掛けます。ユナイテッドのハイプレスのキーはジェームズが握っていました

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ボールサイドに圧縮気味にプレスをかけ、サイドに誘導するユナイテッドに対してチェルシーは左サイド偏重で前進します。リュディガーはジェームズのプレスを回避する為に大外に出たり、自分で持ち上がるシーンもありました。左WBのチルウェルは迎撃に来るワンビサカ をワンタッチでいなし、マウントはその迎撃に出たワンビサカの裏を狙います。しかしこれにはマクトミネイ又はリンデロフがしっかりカバーに入っていました。

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チェルシーの保持vsユナイテッドのプレス

チェルシーの左サイドの人をスライドさせながら前進していく形は、トゥヘルらしいやり方でしたが、ユナイテッドもマークの受け渡しは慣れたもので良く対応できていました。

チェルシーの右はハドソン=オドイが幅を取ってアイソレーションに。シエシュはハーフスペースに侵入してくるのでショーはシエシュをケア。ハドソン=オドイが余り気味になります。前半ハドソン=オドイに決定機を作られますが(ジルーのヘッド)、わずかに頭には合わず。事なきを得ています。

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1.2ユナイテッドの保持vsチェルシーのプレス

この試合で最も顕著な現象として見られ、前半の見所となったのがユナイテッドの保持対チェルシーのハイプレスの局面です。

ユナイテッドの自陣からのビルドアップに対して、まずジルーがリンデロフの方へパスを出すようにマグワイアにアプローチします。フレッジはシエシュ、ショーはハドソン=オドイが見ているので、こちらのサイド(ユナイテッドの左)にはパスを出せないようにしていました。マウントはマクトミネイをケアする素振りを見せてワン=ビサカにパスを出させます。チェルシーはユナイテッドの右サイドにビルドアップを誘導。ワン=ビサカとジェームズの所でボールを奪う設計でした。

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ユナイテッドの保持vsチェルシーのプレス

狙いは、ユナイテッドの得意な左サイドからの仕掛けを封じるという守備面での意味合いが強かったと思いますが、マウントやチルウェル、コバチッチなど、攻守に貢献できてテクニックもある選手を左に置いていたので、この試合のチェルシーは左サイドからの攻撃が43%と高い割合になっていました。

その明確なユナイテッドの右(チェルシーの左)への誘導に対して、時間が進むにつれユナイテッドも回避方法を見つけていきます。ユナイテッドのプレス回避方法は

✅フレッジ、マクトミネイがCBに落ちる
✅マグワイアの持ち上がり
✅リンデロフの裏へのフィード
✅ビサカの斜めのドリブル

の4つ。

特に効果的だったのはマグワイアの持ち上がり。リュディガーのオーバーラップを見て思い付いたのかはわかりませんが(笑)、マグワイアは自身がフリーになりやすい事を利用して左の高い位置までボールを運びます。前半の30分過ぎた辺りからユナイテッドのプレス回避が功を奏し、チェルシーのプレスがハマらなくなっていきます。

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前半40分ごろにはグリーンウッドとジェームズがポジションチェンジ。この時間帯に明確にゴールを奪いにいったユナイテッド。ショーが高い位置まで上がり、マクトミネイも飛び出しをして攻撃に厚みをもたせます。前半終了間際にブルーノとラッシュフォードがゴールに迫りましたが得点には至りませんでした。

②後半

2-1.チェルシーの修正

後半開始と共にトゥヘル監督が動きます。ハドソン=オドイを下げ(怪我かな?)、リース・ジェームズを投入。前線をジルーとシエシュの2トップにし、マウントを1列下げて5-3-2(3-5-2)にシステムを変更します。この狙いは2つあったと思います。1つはマグワイアの持ち上がりを消す事。この為に2トップにして数的同数を確保しています。もう1つはチームの重心を下げ守備への意識を上げる事。特に5バック気味にして、ユナイテッドがカウンターで使うスペースを消す事を狙ったと思います。

中盤の3枚、左からコバチッチ、カンテ、マウントはスライド守備をしてサイドをケア。ボール非保持時はチルウェル、リース・ジェームズの両ウィングバックをユナイテッドのサイドバックに当たるのではなく、中盤がスライドして対応していたのは面白いと思いました。ウィングバックが出てしまうと、その裏をカウンターで狙われる事を警戒したのだと思います。

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後半チェルシーの修正

ただこのスライド守備はマクトミネイとフレッジが比較的フリーになりやすくなってしまいます。そこでチェルシーはディフェンスラインの数的優位を利用して、リュディガーにマクトミネイの迎撃に行かせていました。こういったディテールまで仕込んでいるのは流石トゥヘルといった印象を受けます。

2-2.ユナイテッドの反撃

ユナイテッドはこのチェルシーの変化に対して、ハイプレスからのショートカウンターという手段で対抗します。60分のジェームズのプレッシングでボールを奪ってからのグリーンウッドのシュートの場面から、ユナイテッドはかなりポゼッションで押し込むようになります。マクトミネイの惜しいシュートもありましたが決められませんでした。

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しかしユナイテッドがゴールに迫ったのも束の間。チェルシーは65分にジルーを下げてプリシッチを投入。前線のボール保持の安定を図ります。徐々に試合を支配するチェルシー。後半はチェルシーがボール支配率63%と優勢でした。

ユナイテッドは79分にグリーンウッドを下げてマルシャルを投入します。積極的にシュートを放ち、落ちて受けたり、開いて受けたり、的を絞りにくかった0トップのグリーンウッドから、動かないマルシャル への変更はチェルシーにとっては対応しやすかったのではないでしょうか?マルシャルは10分間だけでしたがボールタッチ6でシュート0...。唯一切ったカードとしては効果的だったとは言えませんね。

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後半3回あったカウンターのチャンスを活かせなかったユナイテッド。終了間際のマクトミネイ起点のカウンターも一歩届かず。仕留められなかったのは痛かったですね。逆にチェルシーは後半カウンター対策を強化したにも関わらず、3回喰らったのは誤算というか反省点かもしれません。

 👿まとめ

12分のハドソン=オドイのハンドに対する判定に関しては議論があるでしょう。ハンドでなかったという判定自体は、審判の判断なので本当にそう思ったのなら問題ないでしょう。しかし、ショーは試合後に

ペナルティにすれば後々問題になるとレフェリーがハリー(マグワイア)に言ったみたいだ。ハリーはペナルティだったと言われた

と語っています。ショーが言った事が事実なら審判の質を疑う事になるでしょう。このような発言を選手にしてしまう審判は、試合をジャッジするレベルにないと思いますね。

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試合は非常に緊張感があり、攻守の切り替えの早いハイレベルな展開が続きました。お互いのボール保持とプレスの局面は、それぞれ特徴が出ていて興味深かったですし、ゴールこそ生まれませんでしたが見ごたえのある試合でした。共に光ったのは堅守。ユナイテッドはマグワイア、リンデロフが好守を見せ、デ・ヘアの素晴らしいセーブもありました。チェルシーは、ユナイテッドのキーマンであるブルーノをカンテが、ラッシュフォードをアスピリクエタがしっかり対応して仕事をさせませんでしたね。この試合のキーパスはブルーノ1本、ラッシュフォード2本に留まっています。

トーマス・トゥヘルはチェルシーの監督に就任して1ヶ月ちょっと。この短期間で戦術的な落とし込みをしっかり行い、選手に浸透させているのは素晴らしいですね。監督が変わっただけで、こんなに組織的なプレッシングやビルドアップ、固い守りが出来るようになるのかと少しびっくりです。

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チェルシーvsユナイテッド スタッツ 出典:プレミアリーグ公式

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試合結果 出典:ユナイテッド公式

ユナイテッドはアウェイ無敗記録を20に伸ばし、試合自体も好ゲームではありましたが、勝ち点1では当然満足ではありません。このドローにより首位シティと勝ち点12差に。優勝はさらに遠のき、実質可能性は限りなく0に近くなってしまいました。シティとの直接対決に勝てなければ万事休すとなります。

次節はセルハースト・パークでのクリスタル・パレス戦。3月4日(木)5:15キックオフ。カモン!ユナイテッド!!

最後まで読んで頂きありがとうございました!

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