欧州スーパーリーグとマンチェスター・ユナイテッド【コラム】

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こんにちはMasaユナイテッドです。

4月18日、ユナイテッドvsバーンリーの試合の裏で、フットボール界を大騒動に導く「欧州スパーリーグ」の創設が発表されました。12のビッグクラブ(レアル・マドリー、バルセロナ、アトレティコ・マドリー、ユベントス、インテル、ACミラン、マンチェスター・ユナイテッド、マンチェスター・シティ、リバプール、チェルシー、アーセナル、トッテナム)のオーナーが主導となり、新たなフットボールの大会設立を発表しましたが、各所からの猛反発を受けて次々と脱退。事実上この新リーグは崩壊しています。

今回はこの欧州スーパーリーグとユナイテッドについてのコラムです。なお詳しい経緯などは、様々の所に情報がありますので割愛する形で書いています。

欧州スーパーリーグに関して詳しく知りたい方はこちらの記事を参照下さい。

www.goal.com

以下項目です。

①欧州スーパーリーグは何のため?

そもそも欧州スーパーリーグはどのような目的で創設されたのか

まずはそこから見ていこうと思います。欧州スーパーリーグ初代会長に就任したレアル・マドリーのフロレンティーノ・ペレス会長は、創設に際しての声明で以下の様に述べています。

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「新リーグ創設は、世界的パンデミックによって欧州フットボールの現経済モデルの不安定さが加速したことで生じるもの。パンデミックはフットボールのピラミッド全体の利益を助けるため、その価値を引き上げるた目に戦略的展望、商業的焦点が必要なことを明らかにした。創設クラブは彼らが提示する解決法では根本的な問題、つまりはフットボール界全体のためのクオリティーの向上や、さらなる財源の獲得について解決できないと考えている」

「私たちは私たちが世界の対応する位置から、フットボールはあらゆるレベルで助けていく。フットボールは世界で40億人のファンを抱える唯一のスポーツであり、私たちビッグクラブの責任は、ファンの願いに応えることにある」
引用元:Goal.com

ものすごくかみ砕いて言うと、

「コロナでお金が減ってきたから、もっと面白い試合を増やしてお金が入るようにしよう。こうやってわれわれ(ビッグクラブ)が儲かる事で、サッカー界全体が潤うよ。今のUEFAのやり方じゃ無理だね。毎週ビッグクラブ同士が戦うんだ。見たいでしょ?」

という感じです。スーパーリーグ創設のキーワードは「コロナによる減収」「対UEFA」。UEFAへの対抗はかなり以前からあったと言われていますが、今回のスーパーリーグ構想は2016年ごろから秘密裏に動いていたと報じられています。それが、昨年からの世界的なパンデミックによる影響で減収となったビッグクラブが、UEFAがチャンピオンズリーグの新フォーマットを決定したと同時に動いたということです。

しかし、この世界中に激震が走った「フットボール革命」はわずか3日の間に12チーム中9チームが脱退するという展開を迎えます。

②ユナイテッド・ファンが猛反発した理由

では、なぜこれほど多くの人がスーパーリーグ反対の立場に立ったのでしょう。理由は様々あると思いますが、恐らく多くの方がまず心理的に「嫌」と感じたのではないでしょうか?

急激な変化に対する恐怖や不安。愛するものの形を勝手に変えられることへの反発といった感情的な抵抗があったと思います。

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そしてその感情の引き金になったのが、オーナー主導で選手や監督、ファン、サポーターに何の相談もなく事を進めたことです。確かにクラブの「オーナー」はユナイテッドで言えばグレイザーズです。しかし本当の意味でクラブを「持っている」のはサポーターやファンです。オーナーの独断でクラブの未来を勝手に変えることは認められません。フットボールクラブはファンの物なのです。

*ユナイテッドのオーナー、グレイザーズに関してはこちらの記事も参照下さい。

【マンチェスター・ユナイテッド】グレイザー・ファミリーが嫌われる理由【ウッドワード込み】
ユナイテッドの悪名高きオーナー「グレイザー・ファミリー」はなぜ嫌われているのか?経済のお話しです。

「なに勝手に決めてんだ!ユナイテッドはお前のものじゃない!ファンのものだ!!」というのが現地のファン、サポーターの意見でしょう。

この大原則を犯し、クラブの品格を傷つけ、伝統を軽んじ、自分達だけの利益に走り、中規模以下のクラブを見捨てるような提案を認めるわけにはいきません。特にユナイテッドのサポーターはグレイザーズを良く思っていません。そもそものクラブの買収の仕方もそうですが、サッカーの成績よりもビジネスの成功の方を重視するスタンスを毛嫌いしてきました。スタジアムに姿を見せたのは2年前?そんなオーナーの提案を聞くはずがありませんよね。

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個人的には、プレミアリーグを捨てることになるという事が一番引っ掛かりました。スーパーリーグの創設メンバーは、国内リーグを捨てるつもりはなかったようですが、UEFAのリーグや代表から追放するという脅迫と、リーグの順位に関係なくスーパーリーグに出られるのではリーグ戦を戦う意味がないのは明白でしょう。他のクラブを裏切り、見捨てるような行為...と言わざるをえません。

開催時期を明言していませんが、「早ければ早いほど」と言っていたので、今年の夏からのスタートもあり得ました。となると、今シーズンのリーグ戦、ELの努力も台無しになるという悪魔のような計画です...。

そういった感情的な動揺が少し収まって冷静に大会の概要を見ていくと、昇格、降格はなし。20チーム中15チームは固定。毎週のようにビッグマッチ...。とても閉鎖的で、サッカー界全体の事を考えているとは到底思えませんでした。個人的には毎週のようにユナイテッドvsレアルとかバルサとか別に見たくありません(笑)。スーパーリーグの創設者たちが考えているほど魅力的な大会ではなかったというのも、猛反発にあった理由でしょう。ペップが言うように

努力と成功の関係が存在しないものはスポーツではない

まさにこれですね。

③選手たちの反応

ユナイテッドの選手達ももちろん何も知らされていませんでしたが、この事が明るみになった時、マグワイアを始め選手達はウッドワードCEOに説明を求めたと報道されています。選手個人では、マグワイア、ブルーノ、ラッシュフォード、ショー、アマドがスーパーリーグに対する反応をSNSで行いました。

先陣を切ったのはブルーノ。ウルブスのポデンセの投稿をシェアし、「夢は金で買えない」と投稿しています。ラッシュフォードはサー・マット・バズビーの「Football is nothing without fans(フットボールはファンなしには存在しえない)」との名言が書かれたオールド・トラフォードのバナーをTwitterに投稿。ショーはTwitterにPL、CLに対する情熱や夢、ファンやサポーターへの想いを投稿し、スーパーリーグに懸念を表明しています。マグワイアとアマドは同じ、トロフィーパレードに集まったユナイテッドサポーターの写真を投稿。アマドは「私たちは皆平等」というコメントを載せています。

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ピッチ内外でチームの中心となっているマグワイア、ブルーノ、ラッシュフォード、ショーが先頭に立って意思表示をしてくれたことは素晴らしかったですし、そんな彼らのフットボールに対する夢や情熱を、スーパーリーグという感覚のズレた金持ち達が考え出した大会に奪われてはいけないと改めて思いました。

④騒動の背景とフットボールの未来

今回のこの騒動の背景には、UEFAによる独善的なガバナンス(統治)に対する抵抗があります。不透明でアンフェアな分配金、試合数を増やす事でコロナによる減益を補おうとするやり方など、長年ビッグクラブはUEFAに対する不満がありました。

コロナによる減収と、UEFAが24-25シーズンから導入する新CL方式を決定したことが、オーナー達を行動に駆り立てました。恐らく本人たちは、フットボール界を救う救世主のつもりだったのでしょう。プレミアの6クラブはスーパーリーグ創設宣言からわずか48時間で脱退しましたが、強権的なUEFAのやり方やクラブの財政面に関して、魅力あるコンテンツに関してといった根本的な問題の解決に至っていないのも事実です。

フットボールが、若い世代にとって魅力あるスポーツではなくなっているというペレス会長の意見は一理あると思います。確かにどれだけの人が90分間、集中して試合を見ているか?ユナイテッド命の私ですら寝落ちする事もあります(笑)。クラブ間の格差はますます広がり、レベルの均衡が取れない試合も多いのも事実。

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スーパーリーグは頓挫しましたが、それによりフットボールの概念がより大きく揺り動かされたことも否定できません。革命は失敗に終わりましたが、革命の気運は間違いなく残っています。恐らくは近い将来、新たな形でスーパーリーグ構想のような案が提案されると思います。しかも今度はもっと民主的なやり方で

その時は、今、私たちが愛する形でのフットボールやマンチェスター・ユナイテッドではもういられないかもしれません。ファン、サポーターはその覚悟をしておくべきなのかもしれませんね。

最後まで読んで頂きありがとうございました!

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