こんにちはMasaユナイテッドです。
プレミアリーグ第33節 アウェイ、エランド・ロードでリーズ・ユナイテッドと対戦したマンチェスター・ユナイテッド。試合は、開始から攻守の切り替えの早い見応えのある展開に。しかし両者ともチャンスは多くなく、前半の見せ場は45分のラッシュフォードのFKのみ。しかしこれはメリエがセーブ。ゴールを割れません。後半ユナイテッドはリーズ陣内で試合を進めますが、決定機は作れず。ポグバ、カバーニ、ファン・デ・ベークを投入するも得点には至りませんでした。試合はスコアレスドローに終わっています。
試合の詳細はユナイテッド公式をご覧下さい。
今回はこの試合の戦術コラムです。マッチレビューほど深くは分析してませんが、ユナイテッドが苦戦した理由をコラム形式で書きました!
以下項目です。
👿ラインナップ

ベンチメンバー
リーズ:カシージャ、コッホ、ベラルディ、エルナンデス、クリヒ、シャクルトン、ポベーダ、グリーンウッド、サマーヴィル
ユナイテッド:デ・ヘア、テレス、バイリー、トゥアンゼベ、マティッチ、ポグバ、ファン・デ・ベーク、マタ、カバーニ
①前回対戦の再現を狙ったユナイテッド
「0-0になることはない。0-0にはならないと保証できる。両チームとも攻撃を好むし、できるだけ早く攻撃するからね」
試合前、スールシャール監督はこう語っていました。両チームのキャラクターを考慮しての発言ですが、スールシャール監督には自信があったと思います。前回12月の対戦では6-2での圧勝。前へ出るスタイルのリーズには相性の良さを見せました。ポジティブトランジッションで一気に前へ出るリーズは、前線と最終ライン間にスペースが出来ます。そのスペースをマクトミネイが上手く使いリーズを攻略しました。マクトミネイは開始3分で2ゴールを挙げ、ジェームズのゴールのアシストも記録。マクトミネイ・ファンにとっては忘れられない試合です(笑)。
今回はユナイテッドのスタメンからも、前回対戦の再現を狙っていたという印象を受けます。フレッジ、マクトミネイの中盤センターコンビとジェームズの起用は、リーズがボールを持つこと、ユナイテッドはカウンターを狙うことが前提のフォーメーション、ラインナップでした。
過密日程が続く今シーズンですが、前節バーンリー戦から中5日空いての試合ということもユナイテッドにとっては優位に思われました(リーズは中4日)。コンディション回復に当てられたことと、戦術面でもある程度の落とし込みをする時間はあったはず。走り合いになる事が予想される対リーズ戦でこの日程はありがたく、メンバーに関してはアスリート能力の高い選手を先発に選んだと思います。
②前回対戦から学んだリーズ
一方のビエルサ監督。今シーズン、ビッグ6相手に善戦を見せるリーズ。4月のシティ戦には退場者を出しながら勝利。リバプール戦も引き分けに持ち込んでいます。前回ユナイテッドには6-2で敗れているビエルサ監督は、今回どういった戦い方で臨んだのでしょう。
これに関しては、前回対戦時のビエルサ監督の振り返りのコメントが大いに参考になります。
「(リーズの)バランスを崩していた選手は17番のフレッジと39番のマクトミネイの2人のボランチでした。試合を詳細に見ると、この不均衡はこれら2人のプレイヤーに起因していることがわかります。私は試合の鍵が2人のミッドフィルダーにあるとは考えもしませんでした。試合を決定づけた選手は2名のボランチでした。それは私の大きな誤算でした」
と述べていて、マクトミネイとフレッジの存在を敗因の1つに挙げています。その他には「特定の曲面での選手の技術の違い」を敗因に挙げています。チャンス数やフィジカル・デュエルの場面ではほぼ互角でしたが、最終的なクオリティで差がついたという分析です。
それを受けて今回の対戦でリーズは、いつもとは違う戦い方を見せています。具体的に言うと
・ポジトラで前へ出ない
・ハイプレスは封印
・スペースを与えない
・ボールホルダーには厳しく当たる
など。非常に攻守の切り替わりの激しい試合ではありましたが、リーズの攻撃にはいつもの迫力がありませんでした。もちろん、攻撃の要であるハフィーニャの不在が影響した可能性もありますが、チーム全体として重きを置いたのは間違いなく守備の方。
特にデュエルの場面では、ボールホルダーに自由を与えない守備を徹底。タックル数は30、ファールは21とかなり多くなっています。このファールの多さでリーズは主導権を奪い、ユナイテッドの選手に疲労感を与え続けました。
そして、ユナイテッドのスピードを封じる為スペースを与えない事をかなり意識。何度かリンデロフのロングフィードにラッシュフォードが裏を取る場面もありましたが、基本的にはラインを低めに設定し、カウンターを封じました。
③ユナイテッドが苦戦した理由
いつものやり方を変えてきたリーズに対して、ユナイテッドは最後まで最適解を導き出せませんでした。前回対戦ではキーマンとなった中盤センターの2人、マクトミネイとフレッジは、ロバーツとダラスの厳しいマンマークに合い思うようにプレーさせてもらえません。特にマクトミネイは、守備面での貢献は素晴らしいですが、オン・ザ・ボールの場面で中途半端なところも見られました。インターセプトでボールを奪った後、縦にパスを入れるのではなく、ドリブルでの前進を試みて潰されるシーンもあり、リーズの中盤に対して優位に立つことができませんでした。ブルーノもフィリップスの徹底したマンマークに苦戦を強いられます。前回は中央のスペースを使われたリーズは、今回は中央を遮断。ショーとワン=ビサカの両翼が、攻撃面でそこそこ良いパフォーマンスを見せたのは、このリーズの配置が影響したと思います。
ユナイテッドが苦労したのは、走るスペースと時間を与えてもらえなかった事が最大の要因。先発組のフィールドプレーヤーの中で、ドリブルで前方へボールを運んだ距離のワースト3がジェームズ、ラッシュフォード、マクトミネイだというスタッツが、素早くスペースを攻めるというユナイテッドのゲームプランが上手くいかなかった事をよく表しています。
ラッシュフォードは、ご存じの通りカウンターの起点として、常にスペースを意識し、相手が引いてスペースがない時は、強引なまでのドリブル突破でこじ開けようとする選手。前半14分にはマークに付くアイリングにナツメグを発動。37分にはアイリングにイエローカードも出させ、1ON1の場面では優位に立てるはずでした。しかしそれ以降は自由を得られず。ドリブルは7回アタックして成功0回。ラッシュフォードの最大の見せ場は45分のFKでした。
そして、試合前に準備したゲームプランが上手くいかないにも関わらず、最初の選手交代(ジェームズ⇄ポグバ)が76分と遅かった事が、無得点という結果の要因の一つ。やはり、後半の早い時間帯にポグバ、カバーニは出すべきだったと思います。これに関しては、スールシャール監督の自信が裏目に出たという側面も。冒頭の0-0にはならないという言葉からもわかる通り、アグレッシブに前へ出るリーズには必ずスペースが生まれると踏んでいたはず。ビエルサ監督はそれに乗らずに自分たちの形を封印して守備重視の戦いをしました。それに気づきながらも、早い段階でのプラン変更を躊躇したスールシャール監督。この判断の遅れがドローという結果に繋がったことは否めません。
もちろん、ラマダン(イスラム教の断食月)中のポグバのコンディション面や、金曜日のELローマ戦を見据えて、カバーニもできるだけ温存したかったという思惑もあったかもしれませんが、このドローの結果首位シティとの勝ち点差は10に広がり、優勝は絶望的になったことを考えると痛すぎる結果です。
👿まとめ
リーズ戦の前までリーグ戦12戦無敗、5連勝という好調さがスールシャール監督の判断を鈍らせたとも言えるかもしれません。試合後のコメントではファイナルサードのクオリティ不足をドローの要因としていましたが、ビエルサ監督から出題された難解なパズルを最後まで解くことができなかった、そんなもどかしさの残る試合でした。
両チームともに決定機は0。前回対戦の再現を狙ったスールシャール監督と、前回対戦の反省から自分たちのスタイルを曲げて臨んだビエルサ監督。お互いに前回対戦を意識し過ぎた結果が、スコアレスドローになったのかもしれません。

33節リーズ・ユナイテッドvsマン・ユナイテッド スタッツ 出典:プレミアリーグ公式

33節 試合結果 出典:ユナイテッド公式
この結果、ユナイテッドのリーグ戦優勝は絶望的に。さらに3位レスターには5ポイント差に詰められています。今週は金曜日(現地木曜日)にELローマ戦。月曜日(現地日曜日)にはリバプール戦と今シーズン最大の山場、ビッグウィークになります。
ローマ戦を挟んでリバプール戦は5月3日(月)0:30分キックオフ。勝ってリバプールに印籠を渡しましょう!カモン!ユナイテッド!!
最後まで読んで頂きありがとうございました!
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