こんにちはMasaユナイテッドです。
8月27日、クリスティアーノ・ロナウドのユナイテッド移籍が発表されました。ユナイテッドは1500万ユーロ(約18億円)と追加で800万ユーロ(約9.6億円)の移籍金をユベントスに支払うことで合意。契約期間は2年となっています。
03-04シーズンから08-09シーズンまでユナイテッドに在籍したロナウド。12年ぶりにマンチェスターへと戻ってきます。彼がユナイテッドにもたらすものは何なのか。今回はロナウド移籍についてコラム形式で書いていきます。
以下項目です。
①序章
8月26日、ロナウドのシティ移籍が次々報じられる中、
「いや、あり得ない...」
と思っていました。確かにロナウドはユナイテッドでのキャリアの晩年、しきりにレアル・マドリーに行きたがっていました。しかし、ロナウドを一流の選手に育てたユナイテッドを裏切るような行為をするでしょうか?なにより、第2の父親と慕うサー・アレックスを悲しませるような事をするでしょうか?
「私の知っているロナウドならシティに行くようなことはしない」
と思っていました。と同時に、ユベントスを出るとしたらパリかシティぐらいしか引き取り手はないとも感じていました。では、ユナイテッドが引き取るのかというと、折角チームとしてまとまりが出てきているのに、「36歳になるロナウドを入れるのはリスキーだな」とも考えました。
それから数時間後、ロナウドは12年ぶりにユナイテッドへ復帰することが決まりました。決まるまでの数時間は情報に感情が追いつかない程でしたが、ユナイテッドの黄金期を支えクラブレジェンドになったロナウドの帰還は、ユナイテッドデビューから彼の成長を見てきた私をすっかり興奮状態にしていました(笑)。2003年から2009年までユナイテッドに在籍したクリスティアーノ・ロナウド。07-08シーズンのモスクワでのCL優勝に貢献(先制点を決め、PKは外しています)し、レアルに移籍したいと駄々をこねますがファギーに突っぱねられ、もう1シーズン残留。2009年のCL決勝バルサ戦を最後にユナイテッドから旅立っていきました。
あれから12年、4460日が経ち36歳となったロナウドがマンチェスターに帰ってきます。ロナウドのユナイテッド時代を見ていた人もそうでない人も、この移籍には大きなインパクトを受けたと思います。移籍実現前に私が懸念した様に、現在のユナイテッドに上手くロナウドがアジャストできるのかどうか疑問に思っている方や、そもそも必要なのかという方もいると思います。ロナウドがユナイテッドにもたらすものとリスクを見ていきたいと思います。
②ロナウドがタイトルへ導く
ロナウド獲得の最大の目的は何といってもユナイテッドをタイトルへ導く事です。
もちろん、ロナウドが来たから優勝という単純な話ではなく、ロナウドの持つ影響力が各所に良い影響を与えればタイトルに近づくという意味です。総タイトル獲得数は34、全ての大会で19回のトップスコアラー、バロンドール5回受賞を誇る文字通り「勝者のメンタリティ」を持つスーパースターです。
ユナイテッドの若い選手たちは、獲得したタイトル数もそれほど多くないですし、チームとしても16-17シーズン以降タイトルを取っていません。スールシャールのチーム再建の中で、やはり足りないのはタイトルであり、勝者のメンタリティーを持った選手がまだ少ないということです。ロナウドの勝利に対する飽くなき欲望は見習うべき要素の1つです。ロナウドの帰還は、その足りない部分を補うのには完璧な補強となる可能性があり、恐らくスールシャール監督を始め首脳陣が獲得に踏み切った大きな要因だと思います。
③驚異の得点力
ユナイテッドに2003年から2009年まで所属し、ルーニーらと共に黄金期を創ったロナウドは紛れもないユナイテッドのレジェンドです。当時のロナウドはカリスマ的な人気があり、この時のプレーを見てユナイテッドファンになった方も大勢います。ユナイテッド時代は左右のウィンガーとして、圧倒的なスキルとスピードで相手ディフェンダーを切り裂いていました。デビューしたての時は独善的で、不必要なトリックプレーも多かったですが、徐々に改善しチームメイトの信頼も得ていきました。フリーキックやミドルシュートも強烈で、観客を沸かせるゴールも多かったです。
レアル・マドリーへ移籍してからは、10-11シーズンにウィングのポジションでゴールを量産。全大会で53ゴールを挙げます。キレキレのドリブルは健在ながら、ポジショニングセンスと、ヘディングの強さに磨きがかかり得点力が開花、その後も毎シーズン50ゴール近くを奪う活躍を見せます。衰えが見え始めた30歳を過ぎたロナウドは、レアル最終シーズンとなった17-18シーズンにはセンターフォワードへと本格的にコンバート。ウィンガーからフィニッシャーへ変貌を遂げていきます。
ユナイテッドへ復帰したロナウドに期待したいことの1つにはこの「得点力」があります。06-07シーズンから昨シーズンまで、15シーズン連続で国内リーグで15ゴール以上をマークしています。レアルに移籍してからは13シーズン連続で20ゴール以上です。さらに、アシストを含めた得点関与率でも、06-07シーズンからほぼ毎シーズン1.0/90分前後の数字を叩出しています(国内リーグ)。つまりは、出場した試合は必ず1ゴールに得点なり、アシストなりで貢献できているということです。894試合672ゴール229アシスト。これまでの全クラブでの通算成績です。
現在のユナイテッドには、この得点という部分でやや不安定さが見えます。そもそも、本格的なストライカータイプが33歳のカバーニしかおらず、昨シーズンのチームトップスコアラーは18ゴールを挙げたMFのブルーノでした。加入2年目のカバーニがコンスタントに得点できる可能性や、グリーンウッドのストライカーとしての覚醒の可能性ももちろんありますが、ロナウドの実績はチームにとってプラスに働くでしょう。そもそもストライカーは補強ポジションであり、来シーズンの補強が確実視されていました。ドルトムントのホーランを狙うにしても何の保証もなく、2年契約で加わったロナウドの存在は来シーズンに掛けて保険を掛ける意味合いも含んでいます。
④注目度アップ
もう1つのロナウド効果は、ユナイテッドへの注目度が確実に上がるという事です。これはもちろん収益アップにもつながる話になります。ロナウドの移籍合意の発表時に
✅ユナイテッドの合計時価総額(株価)が$2億5000万増加
✅ユナイテッドのインスタフォロワーが約100万人増加
✅公式発表のツイートがいいね約130万越え
✅Twitterの世界のトレンド1位
✅ユナイテッド公式HPのサーバーがダウン
という現象が起こっています。余談ですがロナウド加入決定以降、当ブログへのアクセスも増えました(笑)。それだけのインパクトを与えた今回の移籍ですが、確実にユナイテッドへの注目度は上がりますし、新規のファンも増える一方で、他サポーターから厳しい目で見られることにもなります。ユナイテッドでたまに見られる格下相手の不甲斐ない試合はもう見せられないということを意味します。これはある意味良いきっかけになります。
「我々はマンチェスター・ユナイテッドだ」
これを思い出すきっかけになります。
ロナウド効果によるクラブ収益増加も期待できることの1つです。上記の2億ドルの株価の上昇は、一時的なものだと予想されていますが、ファンが増えるということは、SNSフォロワーの増加やグッズ販売、チケット販売にも影響してきます。一説にはグレイザーズはこれを見越してロナウドの獲得に動いたとも言われていますし、オーナーならそういった視点ももちろん持っていますが、あくまでも収益増加は副産物と見るべきです。
ロナウド獲得にはファギーの再三の推薦と、ロナウドのユベントス退団の実現性、そして現場とクラブOBの希望が大きかったと思います。あくまでも「フットボールの観点」からの移籍だという事です。
⑤ロナウド獲得のデメリット
序章でも述べたように、ロナウド加入に対して何の不安もないというつもりもありません。もっとも懸念されるのは、ロナウド加入によって、ロナウド中心のチームと化してしまうというもの。良くも悪くもロナウドの存在感は絶大で、タイプ的にもどちらかというとわがままで、自分がNo.1だという想いが強い選手です。現在のユナイテッドは、年齢的にも経験的にもそうですし、性格的にも控えめの選手が多いです。そういった選手たちが、ロナウドへ敬意を払い過ぎて自分の良さを出せないという可能性も考えられます。
「チームの輪を乱す」という表現が合っているのかわかりませんが、スールシャールが3年掛けて築き上げたスカッドは、チームの雰囲気といい、ブルーノを中心としたチームのまとまりといい、正しいレールの上を進んでいるように思われます。そこへロナウドという「異質」が入ってくることでこれまで築き上げてきたものが壊れてしまうという心配もあります。そして、ロナウド加入により出場機会を減らす選手が出てくる可能性ももちろんあります。
さらに、戦術的にもロナウドがどこでプレーするのか?そして守備的なタスクも担うのか?という疑問もありそうです。起用法に関しては、やはり監督がどのように考えているかによります。ユベントス時代の例を見ると、アッレグリはLWとCFの両方で起用(可変してCFの役割)し、サッリは基本的にLWで使っています。そしてピルロは基本的にCFというようにそれぞれ違いました。ユナイテッドの現状とスカッドのバランスを見ると基本的にはトップ起用ではないかと思います。36歳という年齢的にも、プレミアという運動量の多いリーグの特徴的にも、ウィングに置いて守備的なタスクを課すのはリスクが伴います。ウィングはラッシュフォードが戻れば左ラッシュフォード(ポグバも)、右サンチョが基本になるのでロナウドとカバーニ、グリーンウッドでトップを回す(マルシャルはwww)事になると思います。ロナウドの得点力を最大限に活かすためにもその方が良いでしょう。ただ、こればっかりはオーレの起用法次第。PKやFKを誰が蹴るのかも含めて監督次第という事になるでしょう。
移籍の流れを見ると、当初の計画にはなかった獲得の様にも見え、スールシャール監督のプランにマッチしていない可能性も考えられます。ただ、チーム戦術よりも個の能力を重視するフットボールを展開するユナイテッドは、柔軟にロナウドを取り込める可能性の方が高いと言えます。また、スールシャール監督はチームのマネージメントには長けた監督です。サブの選手も腐らせず、常に選手達とコミュニケーションを取って前向きな空気を作ることには定評があります。元同僚でもあるロナウドの扱い方も承知しているでしょう。
ポルトガル代表でも、ユベントスでも勝利への強い思いと、トレーニングでのハードワークで模範となり、リーダーシップも執ってきたロナウド。ユナイテッドの若手選手達の模範となり成長を促すこと、そういったリーダー的要素もロナウドに期待しているはず。もちろんやってみた結果、上手くフィットさせられない可能性もゼロではありませんが、今はスールシャールの人心掌握スキルの高さに期待したいと思います。
⑥ロナウド移籍は「ロマン」
奇しくもクロップ監督は、ロナウド移籍に対して「未来の事を考えてない。今の結果の事しか考えていない」と批判しました。確かに、ユナイテッドが求めているのは今、今シーズンのタイトルなのでクロップの言っている事は間違っていません。しかし、⑤の項目で見た懸念事項にしてもそうですが、ロナウド獲得は戦術や戦力、理屈を超えた「ロマン」の移籍です。恐らくこれが理解できるのは伝統と歴史を大切にし、そのうえでこれからの復権を目指すことに心酔しているユナイテッドサポーターだけかもしれません。
クラブのレジェンドであるスールシャールが監督を務め、同じくOBであるキャリックやフレッチャーがそれを支え、ロナウドの復帰にサー・アレックスやファーディナンド、そして現メンバーであるブルーノなどが尽力し、ラッシュフォードやグリーンウッドが子供の頃のアイドルであるロナウドに影響を受けて成長しタイトルを獲得する。こんなロマン溢れるストーリーを描けるのは世界中のサッカークラブではマンチェスター・ユナイテッドだけです。
私はユナイテッドでのロナウドで、一番心に残っているのはロナウドのデビューシーンです。どの劇的なゴールよりも、ピッチサイドに立って出番を迎える18歳の背番号7の姿を今でも鮮明に覚えています。あの時の新時代を迎えるというドキドキ感、ワクワク感。あの時の感情も覚えています。18年経った今ではあの感覚が「ロマン」だったという事がわかります。そして18年経ってロナウドは36歳になって戻ってきます。
ユナイテッドはロナウドの移籍が「懐古的なものではなく、クラブとロナウド自身の歴史に新たな章を刻むためのもの」だとしています。18年前の2003年8月16日と同じように新時代が始まります。「ロマン」とともに。
最後まで読んで頂きありがとうございました!
コメント
早速の記事有難うございます。自分もあのボルトン戦は忘れられないです。無名選手がカントナやベッカムの7番を何故と思っていましたが、交代後即座に熱狂しました。
Masaさんの仰るように戦力としては?ですが、サンチョやヴァランの移籍の100倍興奮しています。
センチメンタルなのは理解してますが、もう少しだけ夢を見せて欲しいです。ユースを大切にするからこそのこのストーリーですよね。
戦術的にはカバーニと2トップと1トップどちらがいいですかね。今年の楽しみが増えました。
Re.kaiaskunさん
コメントありがとうございます!
ロナウドの存在はユナイテッドにとって本当に大きいです。あの2003年8月16日にユナイテッドの歴史は動いたと言っても過言ではありませんね。起用法はオーレも先日明言しましたがトップですね。システム的に4-2-3-1の1になると思います。カバーニとの2トップもなくはないですが、やるとしたらどちらかはウィングでスタートして流れでゴール前に入ってくる形ですかね?本当に楽しみです!