【21-22CL/GSラウンド1】ヤングボーイズ戦の敗因を考察する【マンチェスター・ユナイテッド】

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こんにちはMasaユナイテッドです。

21-22シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)がいよいよ開幕。ユナイテッドはグループFでビジャレアル、アタランタ、ヤングボーイズと同組です。グループステージ第1回戦はアウェイ、ワンクドルフ・スタディオンで昨シーズンスイスリーグの覇者、ヤングボーイズと対戦しました。試合はユナイテッドが13分にブルーノのアウトサイドのクロスにロナウドが合わせて先制する展開。しかし35分にワン=ビサカ がマルティンス・ペレイラに遅れてタックルにいき1発レッドの判定に。退場処分となります。後半5バックにシフトし守備を固めたユナイテッドでしたが、66分にエンガマルに決められ同点となります。何とか勝ち点1を目指したユナイテッドでしたが、アディショナルタイムの95分、リンガードのバックパスをシーバチュに奪われゴールを決められてしまいます。ユナイテッドはCL初戦を2-1で敗れ波乱のスタートとなりました。

*試合のハイライトはこちらから

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今回はこの悔しい敗戦の敗因について考察します

以下項目です。

👿ラインナップ

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21-22CL/GS1 ヤングボーイズvsユナイテッド ラインナップ

ベンチメンバー
ヤングボーイズ:フェーブル、ズビンデン、バーギー、マセイラス、ゼシガー、ヤンケヴィッツ、シュピールマン、スレイマニ、リーダー、カンガ、マンビンビ、シーバチュ
ユナイテッド:コバール、ヒートン、ダロト、バイリー、ヴァラン、マティッチ、マタ、リンガード、グリーンウッド、エランガ、マルシャル

①顕在的な敗因

悔しい敗戦を喫した後、多くの人が敗因を探そうとします。リーグ戦では開幕から4戦無敗でスタートしたユナイテッドでしたが、CLではグループステージの第1回戦で格下のヤングボーイズに敗れるという波乱のスタートになりました。こういった試合は恰好の批判の的ですし、大型補強でタイトルの期待を高めていたユナイテッドサポーターにとっても、何とも心をえぐられる敗戦でした。「もう振り返りたくない...」そういう気持ちもありますが、ここでは敗因を考察したいと思います。

「敗因」と一言にいっても「顕在的な敗因」「結果論的な敗因」「潜在的(根本的)な敗因」とに分かれると思います。ヤングボーイズ戦でいうと

✅ワン=ビサカの退場
✅リンガードのバックパスミス

この2点は言わば誰が見ても明らかな敗因という意味で、顕在化している敗因です。ワン=ビサカの35分の退場でゲームプランが崩壊。残りの時間を劣勢な状態で戦う事を強いられた事は、試合結果に影響を与えました

このシーンでワン=ビサカはボールコントロールが乱れます。そこに詰めたマルティンス・ペレイラに奪われそうになったところをタックルにいき、足を踏みつける形になりました。もちろん意図的に踏みつけたわけではなかったのですが、結果的に非常に危ないタックルになってしまい退場処分を受けます。試合後、スコールズやリオ・ファーディナンドが指摘したように、そもそもがワン=ビサカのコントロールミスに起因しており、その点においてワン=ビサカの責任だと言えます。

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リンガードは勝ち越し弾を許す痛恨のパスミスをしてしまいました。このプレーで勝ち点1が手の中から滑り落ちていった形となり、本人も悔やんでも悔やみきれない1プレーでした。リンガードはバックパスをデ・ヘアに戻したつもりでしたが、そこをシーバチュは抜け目なく狙っていましたね。この時も、リンガードのファーストタッチが若干長くなりました。この為に冷静に後ろの状況を確認する余裕がありませんでした。このシーンもリンガードの個人的なミスが原因といえます。

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しかし、これらの顕在的な敗因はどの試合、どの選手でも起こり得る事です。これに関しては必要以上に責める必要もないですし、ましてや誹謗中傷や差別的発言などもってのほかです。

②結果論的な敗因

次に「結果論的な敗因」。事前に結果を予測することは難しく、結果的に上手くいかなかったことを敗因として挙げる場合ですね。ヤングボーイズ戦で言えば、

✅ローテーションしても良かったワン=ビサカを先発起用した
✅1人少なくなって5バックにした
✅ロナウドとブルーノを下げた

などがこれに該当します。

昨シーズンフル稼働を強いられたワン=ビサカですが、今シーズンは同じ失敗を避ける為ダロトをバックアッパーとしてチームに残しました。そして開幕からフル出場を続けるワン=ビサカですが、決してパフォーマンスが良いわけではありませんでした。タイプ的に試合に出ることでコンディションが上がるタイプではありますが、ヤングボーイズ戦はローテーションしてダロトを使う絶好の機会だったと思います。これをしなかった結果、ワン=ビサカは退場となっています。

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そして後半5バックにし、守り切る作戦に出たことも結果的に裏目に出ています。サンチョとファン・デ・ベークを下げて、ダロトとヴァランを入れて守備的にするという選択は理解できます。守り切れば勝てる状況だったので、複数失点する可能性を考えれば妥当な判断でした。しかし、結果的に66分に失点。同点とされました。

71分にはロナウドとブルーノを下げて、マティッチとリンガードを入れています。唯一得点の可能性のあったロナウドとブルーノを下げた時点で、スールシャールは勝ち点1でOKという考えだということ。この時点で得点できる可能性は極めて低くなりました。しかしこれも裏目に出ます。防戦一方から最終的にはリンガードのミスから逆転を許しています。

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このように、結果論的敗因はいわば「後出しジャンケン」で、采配に関して言われる事が多いです。この要因は指摘しやすく、試合の振り返りでは言及されやすい項目です。しかし、先にも書いたようにある程度の確率は計算できたとしても、事前に結果を予測するのは困難です。これに関しても、フットボールというスポーツが不確定要素の連続である以上、必要以上に追求する意味はあまりありません

③潜在的な敗因

最後は「潜在的な敗因」選手のフィットネスやメンタリティなんかもこの項目に当てはまりますね。そしてこの「潜在的な敗因」が最も重要で掘り下げるべき項目です。しかしながら、文字通り水面下に埋もれている事柄が多く、外部からは判断しにくいので、多くが個人の主観や推論になりがちなのも事実です。

ヤング・ボーイズ戦では

✅試合へのアプローチは正しかったのか

これに集約できると個人的には考えています。まず最初の違和感は前半の戦い振りにありました。4-1-4-1ブロックを作り、ボールホルダーにはマンマーク気味にしっかり寄せてくるヤング・ボーイズに対して、ユナイテッドはいつものようにビルドアップが上手くいきません。まぁこれは構造的にいつものことなので良いとしても、前半目立ったのはロングボールをライン裏へ放り込むシーンでした。特にCBの2人は長い球を何度か使っていますが、特にハイラインでもないヤング・ボーイズに対してはあまり有効ではありませんでしたし、そもそも意図がわかりません。推測できる理由は、上手くいかないビルドアップを回避するためとか、リンデロフのフィードを活かす為とか、人工芝に慣れるまであまり中盤で激しく当たりたくなかったとかいくつか考えられますが、なぜこの戦法を用いたのかは結局よくわからないままでした。

それに、このやり方だとポグバを2列目で使ったメリットがまるでなくなります。ポグバを2列目で使う時は、ポゼッションで押し込む展開で最も威力を発揮します。ロングボールで陣形を間延びさせていては意味がありません。人工芝の影響かポグバ自身のパフォーマンスも良くなかったですが、前半のポグバのボールタッチ数は僅かに26回とかなり少なかったです。

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前半のユナイテッドのシュート数はわずかに2本。このことはユナイテッドの戦術とメンバー構成が上手くハマっていない事の表れです。ゴールシーンこそブルーノのパスとロナウドの動き出しからのシュートは素晴らしかったですが、それ以外は見せ場はありませんでした。

スールシャール監督はこの試合、自分のチームのことばかりに目がいっていたように感じます。選手のコンディションを気にし過ぎており、人工芝の影響や誰を何分間プレーさせるとか、次の試合には誰を起用するとかに意識が向いていた印象。ロナウドとブルーノを下げたのは戦術的理由と言ってますが、恐らくは70分までと決めていたと思いますし、出場メンバーではリンデロフ、ファン・デ・ベークをはじめ、リンガード、マルシャルは出すつもりだったはずです。試合の状況に則した選手交代ではなかったと思いますし、その証拠に出ずっぱりのグリーンウッドは温存しましたね(ちなみにポグバを下げなかったのはセットプレー要因として必要だったからではないかと推測)。

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つまり、どうやってヤングボーイズの守備組織を攻略するかとか、誰を警戒してどこでボールを奪うのかといった対ヤング・ボーイズの視点が欠如しています。これが潜在的敗因である「試合へのアプローチは正しかったのか」という意味です。

スールシャール・ユナイテッドが格下に足元を救われる試合は往々にしてこの「準備不足」が潜在的敗因にあるように思います。明確な戦術を持たないスールシャール監督のやり方では時としてこういったボタンの掛け違いが発生します。ヤングボーイズ戦も正にそんな1戦でした。

👿まとめ

夏の移籍市場ではロナウド加入に湧き、今シーズンの成功に期待が高まる中での格下相手の敗戦。このインパクトは大きく、ユナイテッドサポーターは現実に引き戻されましたし、早くもスールシャール解任論が展開されています。

見てきたように、この試合の敗因は色々ありますが、根本的にはスールシャール監督の試合への取り組みにあると思います。OB達も珍しく口を揃えて「クビになるぞ」と言っていることからも、敗戦の責任は監督にあると見る向きが多いでしょう。そして何度もこれを繰り返しているスールシャール監督は、こういった敗戦の仕方を無くさなからばなりません。逆にこれが直ればタイトルに近づくはずです。

ヤング・ボーイズ戦の敗戦は、現時点では単なる1敗に過ぎません。もちろん巻き返しは可能ですし、今のユナイテッドはそれができるチームだと信じています。ショックは大きいですが過剰にこの敗戦に拘る必要はないと思いますし、11-12シーズンの事や、昨シーズンのバシャクシェヒル戦の再現を恐れる必要もありません。それよりも必要なのは切り替えです。それをしていく事が「勝者のメンタリティ」であり、真の強者への道です。試合数日前の新加入選手のスピーチでロナウドは

「君たちはみな素晴らしい選手だと僕は信じている。戦う準備はできているか、すべてをピッチに置いてくる用意はできているだろうか?」

と選手たちに問いかけました。しかしこれは選手のみならず、スールシャール監督にも問いかけられるべきかもしれません

*スタッツはこちら

www.uefa.com

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21-22CL/GS1 試合結果 引用元:ユナイテッド公式

CL次戦はオールド・トラッフォードでのビジャレアル戦 9月30日(木)4:00キックオフ!昨シーズンEL決勝のリベンジを!カモン!ユナイテッド!!

最後まで読んで頂きありがとうございました!

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