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こんにちはMasaユナイテッドです。
21-22プレミアリーグ第17節(延期分)、アウェイ、ブラントフォード・コミニティー・スタジアムで今期の昇格組、ブレントフォードと対戦したユナイテッド。試合前にラングニック監督が示唆した通り4-3-3で試合に臨みました。前半は積極的にプレーするホームチームに押され気味で、ユナイテッドはなかなかペースを掴むことができません。ブレントフォードは前半イェンセンのシュートなど3度決定機を迎えますが、守護神デ・ヘアが好セーブを見せ難を逃れます。後半ギアを上げたユナイテッドは55分にエランガのゴールで先制すると、62分にはグリーンウッドが決めて2点目をゲットします。71分にラッシュフォードとマグワイアを投入したユナイテッドは77分、ショートカウンターからラッシュフォードが決めて3点目。85分にはセットプレーからトニーのゴールでブレントフォードが1点返しますが試合は1-3でユナイテッドが勝ちました。
*この試合のハイライトはこちら
今回はこの試合のセクション毎の評価と、4-3-3システムを使用する上でのキーパーソンについて書きます。果たして4-3-3はラングニック・ユナイテッドの最適解のシステムとなるのかどうか、考察します!
以下項目です。
👿ラインナップ

①ゴールキーパー&ディフェンダー
ブレントフォード戦の守備陣は、前節ヴィラ戦と同様のメンバーでした。ヴィラ戦は流れの中から2失点しており、恐らくラングニック監督はブレントフォード戦ではマグワイア、ショーを使いたかったのではないでしょうか。しかし、マグワイアは怪我明けでコンディションが万全ではなく、ショーはトレーニングでハムストリングを痛め離脱しています。
ラングニックスタイルで守備陣に求められるのは、ハイラインと両サイドバックの攻撃参加です。そういった意味では、ダロト、テレスの2人は攻撃性能が売りであり、ブレントフォード戦も両サイドバックは高い位置で仕事をしました。テレスはコーナー以外で最多の8本のクロスを上げ、アッキングサードでのパスはテレスが2位の20本、ダロトが5位の13本出しています。ダロトは守備面でも最多のボールリカバリー(16回)とインターセプト(4回)を記録し、好調をキープしています。ただダロトはボールロストからシュートを打たれ、テレスは攻撃に関与している割にチャンスメイクできておらず課題は残っています。
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CBに関してはハイラインを取ろうと奮闘していますが、ブレントフォードにカウンターを何度か喰らっており、安心安泰とは言えませんでした。前半8本、後半10本ものシュートを受けており、ブレントフォードが積極的だったとはいえ被シュート数が相変わらず多過ぎます。もちろん、守備に関しては前からのプレスの影響もあるので、全てがディフェンダーの責任ではありませんが、ハイラインで戦うにはマグワイアも含めてCBのスピードには疑問符が拭えません。
そして4-3-3システムで守備陣のキーパーソンとなるのが、ブレントフォード戦MOTMのデ・ヘアでしょう。今シーズンは毎試合のようにチームを救う素晴らしいセーブを見せているデ・ヘア。ブレントフォード戦もイェンセンの決定的なシュートを2本止めています。枠内シュート9本で8つのセーブを記録。PSxG(失点期待値)は2.3なので、2失点してもおかしくなかったところを1失点に抑えたということです。
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ただし、シュートストップは素晴らしいデ・ヘアですが、チームとしてハイラインで戦うのであればデ・ヘアの守備範囲はもう少し広げる必要があります。デ・ヘアがゴールエリアから飛び出してボールを処理するシーンをもっと増やさなければ、バックラインは思い切ってラインを上げることができなくなります。DAZN解説のベンさんも仰っていた通り、デ・ヘアはクラシカルなキーパーであり、現代主流のスイーパー型とは異なります。ビルドアップのパス精度にしても物足りなく、バックパスを蹴り返すシーンでもミスキックが散見されます。昨シーズンまでの評価を覆すパフォーマンスを見せているデ・ヘアですが、チーム戦術にはもう少しアジャストする必要があるといえます。これだけ好調なキーパーを無理やり替える必要は今はありませんし、ラングニック監督も守備組織の整備が終わるまではキーパーを替えないと思いますが、やはり今後はヘンダーソンを試す必要があるでしょう。
4-2-2-2は4列ですが、4-3-3は3列になります。よりバックラインの高さと陣形のコンパクトさが重要になります。そういった部分ではまだまだ課題が多くありそうなブレントフォード戦のディフェンス陣でした。
②ミッドフィールダー
4-3-3システムで最も影響を受けるのがこの中盤です。1人のホールディングミッドフィールダー(6番)と2人のボックス・トゥ・ボックス(8番)を配した3センターシステムが4-3-3の鍵となります。ブレントフォード戦ではマクトミネイをアンカーに、ブルーノとフレッジをインサイドハーフ(IH)に使いました。ちなみにこの配置はスールシャール、キャリック共に使っています。始めて試すものではありませんでしたが、ラングニックの特徴はブルーノとフレッジのポジションを入れ替えていることでしょう。
本来であれば左利きのフレッジを左に、右利きのブルーノを右に配置すると思いますが、ラングニックは左右を変えています。こうするメリットは、逆足なので内側にポジションを取る傾向が強くなり、ゴールに向かいやすいことと、身体を開いた状態でゴール方向へパスやシュートが打ちやすくなることです。
実際フレッジは直近3試合で右サイドから3アシストを記録。パレス戦のゴールも右サイドからでした(右足でしたが)。この試合のフレッジは*SCAチーム2位の3回、キーパス2本、プレスは最多の18回、タックル最多の4回と文字通り攻守に貢献。ヴィラ戦に続いてブレントフォード戦も新たなポジションに上手く適応できたと思います。
*SAC=ショット・クリエイティング・アクションズ シュートに繋がる2つ前からのプレーを指します。パス、ドリブル、ファールなど。簡単に言うとキーとなる攻撃に関与した回数です。
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ブルーノもヴィラ戦に続いて、チームの中心として力を発揮しました。SCAは最多の4回でアシスト2つ。2点目の裏への抜け出しと、冷静なラストパス、3点目のラッシュフォードへの丁寧なアシストは見事でした。プレスもフレッジに次ぐ10回を記録。ラストのカウンターのシーンは決めたかったところですが、8番のポジションはブルーノに合っていると言って良いでしょう。
そして4-3-3システムに於いて中盤のキーパーソンとなるのがアンカーのマクトミネイです。本来だあればマクトミネイが最も活きる役割はボックス・トゥ・ボックスです。前への推進力と非凡なシュートセンスは昨シーズンのリーズ戦や今シーズンのバーンリー戦でも実証済みで、8番が理想的なポジションです。一方で193cmの恵まれた体格を活かしたインテンシティの高い守備もマクトミネイの魅力。
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現在のチームにはアンカーをこなせるのがベテランのマティッチしかおらず、守備力と高さを備えたマクトミネイがアンカーで起用されています。ブレントフォード戦では、中央のポジションを維持しながらプレスに行く時は行く、リトリートする時はするなど、的確な判断でバイタルをケアしながら、3点目の起点となったボールハントから前へのドリブルで攻撃にも関与しています。ドリブルは最多の7回(6回成功)を記録、ボールリカバリーは2位の11回、地上デュエルは最多の14回(10回勝利)をマークしています。
チーム事情的に、冬の移籍でアンカーの獲得がないのであれば、今後もマクトミネイがアンカーのファーストチョイスになります。もちろんマクトミネイの使い方としては勿体ないですが、このようにチーム戦術にアジャストできるのもマクトミネイの才能です。いわゆる中盤の底からパスを散らすタイプではありませんが、マクトミネイのアンカーは個人的には賛成です。
このブルーノ、フレッジ、マクトミネイの3センターは最もバランスが取れているセクションです。その事が今回のブレントフォード戦勝利の大きな要因だったと思います。
③フォワード
4-3-3では3人のフォワードを使うことになりますが、ラングニック監督は2人のウィンガーと1人のストライカーという形をチョイスしました。そしてこの両ウィングが得点をマーク。
まずはヴィラ戦に続いて左ウィングでの先発起用となったエランガ。ヴィラ戦は得点こそなりませんでしたが攻守に渡って存在感を発揮。指揮官を始めチームメイトからも賞賛されました。ブレントフォード戦の前半こそ低調なチームと共に鳴りを潜めましたが、後半は持ち味の積極的なプレスと仕掛けでチームにアクセントを付けました。そして55分には先制点をマーク。フレッジのパスに反応し裏へ抜け、難しいボールコントロールも冷静にこなして頭で押し込みました。
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そして右はグリーンウッド。最近好調を維持するグリーンウッドもチーム2点目をゲット。大外に張っていることの多いグリーンウッドですが、ボールが逆サイドにある時や、チャンスの時はゴール前へ侵入してきます。ボールを持ってもドリブルのコース取りが上達したと思いますし、ボールをロストするシーンが減りつつあります。リーグ戦では8節レスター戦以来のゴールを挙げたグリーンウッド。見せ場はそれほど多くなかったですが、現在のコンディションではラッシュフォードを上回っています。
そしてフォワードのキーパーソンはロナウドでしょう。1トップだと機能しなくなりがちなロナウドは、ブレントフォード戦でもほとんど存在感を見せられませんでした。先制点のブルーノへのチェストパスは見事でしたが、ボールタッチはデ・ヘアに次ぐワースト2位の34回に留まりました。シュートは3本放ち、46分にはバーを叩くヘディングシュートがありましたが、ほとんど攻撃に関与できずに70分にピッチを後にしています。
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この交代時のロナウドの落胆する姿がクローズアップされましたが、自身に対する苛立ちとストイックさの現れであるのは間違いありません。しかし、36歳で1番のベテラン選手の態度が原因で、監督が試合そっちのけで諭さなければならないというのは如何なものかと思います。ロナウドにはリーダーの1人として、若手選手の模範となってほしいと思いますし、なにより先発落ちもイヤ、途中交代もイヤでは扱いにくくて仕方ありません(笑)。まぁロナウドらしいと言えばそれまでなんですけど...。
話が少し逸れましたが、1トップだと孤立しがちなロナウドをどのようにして機能させるのか、ラングニック監督の手腕が問われます。そしてこれは4-3-3最大の課題になると思います。両翼のフレッシュな活躍と、閉塞感を感じさせた1トップ...と対照的な印象となったブレントフォード戦のフォワード陣でした。
👿まとめ
ヴィラ戦前半のパフォーマンスを受けて、ラングニック監督は4-3-3を基本システムとする事を明言しました。これまでの4-2-2-2はユナイテッドの選手的にも、文化的にもマッチさせるのが困難だということでしょう。しかしながら見てきたように、主にGK、CB、アンカー、1トップと中央ラインに課題があり、現時点では必ずしも最適解とは言えません。これまでラングニック監督はプレッシング戦術を落とし込もうとしてきましたが、ヴィラ戦とブレントフォード戦を見る限り4-3-3だとプレスが掛けにくそうに見えます。これまでだいたい150回あったプレス回数はブレントフォード戦では89回でした。4-3-3になってプレスが弱体化してしまうようではラングニックの思惑と違うのではないでしょうか…。
しかしながら、4-3-3は汎用性の高いフォーメーションです。シティやリバプールをはじめ強豪チームの多くが使うシステムでもあります。それこそ、ゲーゲンプレスにもポジショナルプレーにも使えるという意味では大きな可能性があります。そして、次期監督が誰になってもスムーズに引き継ぎができるという意味でも有効でしょう。
4-3-3をやるにあたって、アンカーの補強が必須のように報道されていますが、個人的には誰かを放出しないのであれば冬での獲得はないと思っています。また今、ラングニックの意向を反映し過ぎた補強は、来シーズンからの正式監督が決まってない以上リスクを伴います。それこそ第2のファン・デ・ベークを生み出しかねません。また、ライスやネベスなどの一流選手を引か抜ければ良いですが、冬での移籍は現実的ではありませんね。
いずれにせよ、ラングニック監督はこれまでの9試合で様々な可能性を試した結果、満を持して4-3-3を導入しました。明確なビジョンを持つ監督だけに、これからどのように4-3-3を駆使していくのか楽しみです。
エランガ、グリーンウッド、そしてラッシュフォードとアカデミー出身の3人がゴールを決めたブレントフォード戦。若者たちの躍動する姿は未来への希望となります。
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21-22PL17 ブレントフォードvsユナイテッド スタッツ 出典:プレミアリーグ公式

21-22PL17 試合結果 出典:ユナイテッド公式
この試合の結果、ユナイテッドは勝ち点35で7位のまま。4位ハマーズとは勝ち点2差となっています(ユナイテッドは1試合少ない)。
次節はオールド・トラッフォードでのウェスト・ハム戦。1月23日(日)0:00キックオフ。カモン!ユナイテッド!!
最後まで読んで頂きありがとうございました!
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