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こんにちはMasaユナイテッドです。
21-22プレミアリーグ第27節 ホームでワトフォードと対戦したユナイテッド。試合はブルーノ、ポグバのダブル10番システムで臨んだユナイテッドがワトフォードゴールに迫る立上りに。4分にはロナウドがポスト直撃のシュートを放つと、ブルーノもゴールに近付きますが決められず。15分のロナウドのゴールもオフサイドで取り消され、前半を無得点で折り返します。後半に入り、ロナウド、エランガと再び決定機を逃したユナイテッドはサンチョ、ラッシュフォードなど攻撃の選手を投入しゴールを目指しますが、最後までワトフォードの粘り強い守りを破れず。試合はスコアレスドローに終わり、勝ち点1に留まりました。
*試合のハイライトはこちら
今回は、最後までゴールを割る事ができなかったこの試合に見るユナイテッドの問題点とジレンマについて書きます。それに関連して囁かれているロナウドの限界論...。この事にも触れたいと思います!
以下項目です。
👿ラインナップ

①ワトフォード戦の問題点
2月5日のFAカップ ミドルスブラ戦で30本のシュートを放ち、わずかに1ゴールに終わり、決定力が課題であることを露呈したユナイテッド。まるでその試合を再現したかのようなワトフォード戦となりました。ユナイテッドが放ったシュートは22本。しかしながら枠内シュートはわずかに3本。ビッグチャンス4回、ゴール期待値xGは2.41ありながらの無得点という結果はフラストレーションの溜まるものでした。
「私たち監督の仕事は、チームが十分なチャンスを作れるようにすること。もし、試合の中で2、3回しかチャンスがなかったら、もっとチャンスを作るにはどうしたらいいかと考えるかもしれないが、今日ほどチャンスを作れれば、試合に勝つには十分であると思う」
というラングニック監督のコメントの通り、いくら綿密に試合の準備をしていても最終的にゴールを決めるのは選手であり、そこは監督にはどうしようもないところです。チャンスが作れていないのであれば、戦術を変更したり、システムを変えるなど何か手を打つ必要があるのですが、ボロ戦やワトフォード戦のような場合は対処が難しくなります。ワトフォード戦では、これまでの試合とアプローチを変えて臨みましたが、その変化が上手く機能していた時間帯にゴールを決められなかったというのが最大の問題でした。
ワトフォード戦では基本的にポグバを左サイドに置いた4-2-3-1システムでしたが、実際は4-2-4であり、前線の「4」は右のエランガのみ固定でロナウド、ポグバ、ブルーノの3人は即興的にポジションを変える自由を与えられていました。この意図は、ロナウドをポグバ、ブルーノというワールドクラスのプレーメイカー2人が支える事で、ロナウドのプレーを助けることでした。さらに、10番を2人置くことで中央でのボール保持を安定させる狙いがあり、前半の20分頃まではその恩恵を受けたテレスが左サイドの高い位置で仕事し、何度かチャンスを作りました。
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しかしながら5分のロナウド、19分のブルーノと決定機を決められず、逆に4-5-1でブロック守備を敷くようになったワトフォードを崩すのが難しくなっていきます。前半は自由度の高かった3人のアタックも、ポグバの運動量低下で動きがなくなり、中央を固められたためにブルーノ、ポグバはサイドに出るしかなくテレスの上がる頻度も落ちていきます。ユナイテッドが引き分けたのは、状況が良かった時に決められず、状況が変わり始めた時にチャンスを作るのに苦労したためです。
後半55分エランガ、60分ロナウドと2度の決定機も逃したラングニック監督は、後半プランBを発動します。フレッジ、マティッチのボランチを下げてサンチョとラッシュフォードを投入。超攻撃的な4-2-4でペナルティエリア内でオーバーロードを作ろうとしました。しかし、試合終了間際のサンチョのラッシュフォードへのラストパスも繋がらず、降格圏に沈むリーグワースト3位の47失点を喫するワトフォードのゴールを割る事ができませんでした。
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トランジッションから素早く攻めたいユナイテッドに対してブロック守備を敷き、ユナイテッドにボール保持させることで攻撃を停滞させるというのは、先週のチャンピオンズリーグでアトレティコが行った戦術と同じです。もちろん、選手のクオリティ的にこの戦術はワトフォードにとってリスクが大きかったのですが、ユナイテッドのフィニッシュ精度とフォスターの好セーブにより目的は達成されました。
②ロナウド限界論
ワトフォード戦、最も多くのビッグチャンスを逃したのはブルーノ(2回)ですが、やはりユナイテッドが得点力不足に陥っている状況で、批判が集中するのはロナウドでしょう。過去10試合でわずかに1ゴールとスランプに陥っている最もラングニックらしくないストライカーが、ユナイテッドの前線をリードしなければならないというのは少々酷な状況です。37歳になったロナウドは、以前のようなスプリントでディフェンダーを剥がすこともできなくなり、また急激な方向転換や、踏ん張ることも難しくなっています。シュートはきれいにミートできず、トラップも思うところに置くことができていません。
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これらの衰えを一時的なスランプと見るのか、あるいは限界を超えた末の劣化と見るのか意見が分かれるところでしょう。もちろん、ロナウドの不振が顕著なのはラングニックが就任してからという面もあり、試合だけでなくトレーニングでのハードワークが影響している可能性もありますが、個人的には2週間のブレイク期間があっても変化がなかったことから、休ませればキレが戻るとも言いきれないと思っています。
結論から言うと、やはりロナウドは肉体的に限界を迎えてしまっていると思います。それでもプライドの高いロナウドはそのことを認めませんし、全ての試合でチームの為にゴールを決めようとしています。ラングニック監督に2トップの可能性を探るように直談判したことも、チームメイトのズレるパスに対してイラつくのも全て自身がゴールを決める事がチームを助けると考えているためです。ロナウドのこうした勝利への欲求とメンタリティは素晴らしいのですが、残念ながら加入から半年以上経った今、ユナイテッドにとってそぐわない存在になっていると思います。
ワトフォード戦の前半、確かにロナウド、ブルーノ、ポグバというワールドクラスのプレーヤーが織りなすアタックはワクワクするものがありました。しかし、一方で「彼ら3人とその他8人のチーム」となっていたのも事実です。特にブルーノはファイナルサードで他のより良いプレーオプションよりも、ロナウドへのパスを優先する場面が多く、それがチームの攻撃不全の一因ともなっています。ポグバにしても尊敬するロナウドへの意識が高く、ブルーノと同様の傾向にありますし、逆にラッシュフォードなどはロナウドに対して上手くアジャストできないことで自信を喪失している面もあるように思います。
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ロナウドは間違いなくスーパースターであり、過去10年間を見ても世界最高の選手です。自身に対するストイックな姿勢、ピッチ外での影響力も絶大で、監督に対しても意見を言う権利を有しているのは間違いありません。内部分裂などの報道もありますが、多くの選手はロナウドに敬意を持っているはずです。しかしながら、実際のプレー面ではロナウドがいる事のメリットよりもデメリットの方が目立ってしまっています。スーパースターであるが故に、今のユナイテッドでは「異質」の存在となっているというのが個人的意見です。
③ジレンマは終わらない
ただ、以前から主張しているように、今のユナイテッドはそんな衰えの見える37歳のストライカーを打ち負かす選手がおらず、頼らざるを得ないのが実情であり、ロナウドの復調がなければ今シーズンの4位以内は不可能だと思います。現在のユナイテッドのストライカーはゴール欠乏症に悩むロナウドか、稼働率が計算できないカバーニ、もしくは目下絶不調中のラッシュフォードという選択肢しかありません。「衰えの見えるロナウドに依存したくないけどロナウドしかいない…」というのが今のユナイテッドの最大のジレンマとなっています。
ラングニック監督が、先発を外されることを極端に嫌がるロナウドに忖度している面もありますが、この3つの選択肢の中で現時点で選べるのはロナウドだけです。そして、そのロナウドこそ、本来最もラングニックが選ばないであろうタイプの選手だということがさらに皮肉でなりません。ロナウドのこれまでの功績と、若手選手の模範となるサッカーに対する向き合い方を評価し、チームの中で重要な存在と見ているのは間違いないですが、レッドブルグループだったら絶対に獲得しないタイプの選手なのも間違いありません。
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ラングニック自身が築き上げたスカッドではなく、また自身の信条としているフットボール観ともかけ離れたユナイテッドイズムの為に、より苦労することにもなっています。ロナウドの問題は表面に表れている氷山の一角であり、実際はロナウドだけのせいでもラングニックだけのせいでもありません。もっと深いところのクラブの文化やアイデンティティの問題なのだと思います。
とは言え、ユナイテッドはなんとしても今シーズン4位以内を確保する必要があります。そのためにはラングニックがロナウドを外すという決断ができるのであれば、いくつかの改善策があります。まず1つはブルーノの偽9番です。得点力とアシスト能力を備え、さらには前線でのハードワークができるブルーノを前線に置き、その後方にポグバを配します。両ウィングはやや内側のレーンにポジショニングしダイアゴナルのランニングでゴールを目指すシステムです。もう1つは、エランガをトップ起用することです。U-23では何度も経験しているポジションで、そこでのプレーは問題にはならないでしょう。最前線からのプレスという面でもラングニックスタイルを最も体現できるオプションです。最後は、ラッシュフォードとエランガの2トップ。再び4-2-2-2に戻すことになりますが、このスピードが武器の2人の後方に、ブルーノ、ポグバ、あるいはサンチョを置くことでよりスピーディーな攻撃が展開できる可能性があります。
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これらすべての改善案には、長所もあれば短所もあります。さらに、ラングニックは就任後1か月の間に様々なシステム、選手の組み合わせを試した結果、現在の4-3-3(4-2-3-1)に落ち着いた経緯があります。これから始まる強豪チームとの連戦で、いきなり冒険的な変更を加える可能性は少ないかもしれません。そういった意味ではラングニックの1番の望みはロナウドが再びゴールスコアラーになってくれる事であり、その次にカバーニの復帰、ラッシュフォードの覚醒を待つというものだと思います。
ラングニックは就任当初、ユナイテッドの問題は守備だと認識し、ここの改善に尽力してきました。ある程度守備組織が整った今、得点力不足の問題がより大きな壁として立ちふさがっています。もう時間は残されていません。ワトフォードとのドローにより、今シーズン4位以内に入るという望みは風前の灯になりました。あくまでもロナウドの逆襲に賭けるのか、それとも他の手立てを施すのか決断しなければなりません。
👿まとめ
非常に厳しいスコアレスドローとなったワトフォード戦。CLから中2日。マドリーから戻るのも遅かったことから、ローテーションして臨んだ試合でしたが、ブルーノとポグバのダブル10番をフレッシュなうちに活かすことができませんでした。優れた攻撃陣を揃えたユナイテッドにとって、得点するということがこれ程難しいとは本当に驚きです。決まりさえすれば、多くの事が救われるのにそのゴールが遠い...。この状況でロナウドが批判に晒されるのも無理はありませんが、ロナウドほどのキャリアを積んだ選手でもファン、サポーターからの批判は応えるものがあると思います。何よりロナウド自身が1番自分に腹を立てているでしょう。上にも書いたように衰えが見えるのは間違いなく、限界論などもありますが、やはり現状ロナウドに頼らざるを得ないのであれば、ロナウドの復活を信じて彼を励まし応援するつもりです。肉体的な衰えはあるかもしれませんが、メンタルの面で自信を無くしているのも大きいと思います。逆に言えばキッカケさえ掴めばゴールを量産するようになる可能性もゼロではないでしょう。
2021年8月27日、ロナウドのユナイテッド移籍は世界中のユナイテッドファンを興奮させました。当時の記事で私は「ロナウド獲得は戦術や戦力、理屈を超えた【ロマン】の移籍」と書きました。と同時にロナウド獲得による懸念事項も挙げています。ロマンとリアルのギャップをいつまで経っても埋められないのはロナウド自身もファン、サポーターも同じなのかもしれません…。
*ロナウド移籍の記事はこちら


21-22PL27 ユナイテッドvsワトフォード スタッツ 出典:プレミアリーグ公式

21-22PL27 試合結果 出典:ユナイテッド公式
この試合の結果ユナイテッドは4位のまま。3位チェルシーとは3ポイント差ですが、チェルシーは2試合少ない状況です。
次節はプレミアリーグ第28節、エティハド・スタジアムでのマンチェスター・シティ戦。3月7日(月)1:30キックオフ。ダービーに勝利して勢いに乗りたい!カモン!ユナイテッド!!
最後まで読んで頂きありがとうございました!
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