こんにちはMasaユナイテッドです。
21-22プレミアリーグ第36節 アウェイ、アメックス・スタジアムでブライトン&ホーヴ・アルビオンと対戦したユナイテッド。試合は低調な立ち上がりのユナイテッドに対して、ホームのブライトンがボールを握る展開に。15分にはカイセドのミドルシュートが決まりブライトンが先制します。ユナイテッドは後半開始と同時にフレッジとカバーニを投入。システムを4-2-2-2へ変更します。しかしブライトンの勢いは増し、49分にククレジャ、57分グロス、60分トロッサールと立て続けに得点を上げ、4-0とユナイテッドを突き放します。それ以降はブライトンが引いたためにカバーニ、ブルーノ、マグワイアがゴールに迫りますが決められず。試合は4-0でブライトンが快勝を飾っています。
*この試合のハイライトはこちら
今シーズンワーストの試合と言っても過言ではないパフォーマンスとなったブライトン戦。今回は、なぜこのようなパフォーマンスになったのか、その要因を考察します!
以下項目です。
👿ラインナップ

①ブライトンのポゼッション
前節ブレントフォード戦の勝因の一つに「ポゼッション」があります。ユナイテッドは64%のボール支配率を記録。マタとマティッチというベテランを起用。ブルーノ、マタ、ロナウドが織りなすワンタッチやフリックを巧みに使ったボールポゼッションは見ごたえがあり、「ポゼッションに関しては今季ベスト」そう言って良いパフォーマンスでホーム最終戦を勝利で飾りました。しかし、それからわずか4日後のブライトン戦。ユナイテッドのポゼッション率は42%でした。後半に至ってはわずかに34%しかありません。
ブライトン戦を一言でまとめると「ボールポゼッションが得意なチームが、被ボールポゼッションが苦手なチームと対戦した試合」となります。3-4-2-1のブライトンと4-2-3-1のユナイテッドは、ブレントフォード戦とほぼ同じシステム同士の対戦でした。にも関わらずこれだけ内容が違うのは、ブライトンがポゼッションと配置、カウンタープレスに秀出たチームだったからです。ブライトンのボール保持でキーポイントとなったのは左CBのククレジャです。守備時にはCBの位置に降りるククレジャですが、ボール保持の場面では左SBとして高い位置まで上がっていきます。そして左WBのトロッサールがインナーレーンに入る事でダロトに対して2対1のシチュエーションを作ります。一方で右サイド(ユナイテッドの左サイド)は右シャドーのグロスと右WBのマーチがテレスに対して数的優位に。
Embed from Getty Imagesユナイテッドはエランガとブルーノの両ウィングが自陣まで戻るしか、このサイドの不利的状況を回避する術はなかったのですが、エランガはことごとくククレジャに競り負け、ブルーノもマーチとグロスの巧みな連携に手が出ませんでした。さらに中央では、ビスマとカイセドが高いインテンシティと積極性で、マクトミネイとマティッチを圧倒。ボールを持ててもすぐにカウンタープレスに合う状況でした。サイドでも、中央でもボールを落ち着いて持てないユナイテッドは、ブレントフォード戦の見る影もなく崩壊していきます。
不思議な事に、直近の7試合でユナイテッドはブライトンに勝っているそうです。確かにブライトンには苦戦した覚えがないのですが、グレアム・ポッター監督になってからポゼッションをベースにしたチームになっています。それにもかかわらず、苦手意識がないということは、今回の対戦ではユナイテッド側にも大きな要因があったということです(当然ですけど...)。
②ラングニックの失策
ブライトン戦、ラングニック監督はブレントフォード戦と同じ11人を先発起用しました。怪我人や離脱者が続出している状況で、快勝した前節と同じメンバーで挑むというのは理解できます。が、しかし、後半開始と供にフレッジ、カバーニを出したという事はそちらの選択肢もあったという事です。さらにベンチメンバーを見れば、ワン=ビサカ、リンガード、マグワイアも先発起用できた可能性はあったはずです。つまりはラングニック監督は、何の対ブライトン・プランも持たずに試合に臨んだという事です。マタやマティッチは確かにここ2試合素晴らしいパフォーマンスを見せていましたが、ポゼッションできない状況では威力が半減します。そこまで苦戦するとは考えてなかったのかもしれませんが、それはそれで相手を見くびり過ぎたと言えます。対戦相手のキャラクターがまるで違うのに、同じやり方で挑むというのは、完全に自分たちの戦術が完成しているチームのやる事です。
もう1つの失策は、後半開始と供に変更したシステムです。前半15分にカイセドのミドルシュートで失点したユナイテッドは、前半だけで9本のシュートを打たれています。しかしながらショッツ・オン・ターゲット(枠内シュート)はゴールとなった1本だけ。ブライトンはボールを保持しながらも、非効率な攻撃を行っていました。しかし、後半開始と供にラングニック監督は、機能していないエランガとマティッチを下げ、カバーニとフレッジを投入。システムを4-2-2-2に変えます。このシステム変更は、もともとサイドバックのところで数的不利を作られていた大外レーンでさらに不利な状況を生み出します。ブライトンのビルドアップに対して前からしっかりプレスを掛けたかったのでしょうけど、今までできてない事がシステムを変えただけで出来るわけもなく、49分から11分間に3失点を喫することになります。
Embed from Getty Images前半非効率だったブライトンの攻撃は急に生産性が上がりますが、きっかけとなったのはユナイテッドのシステム変更です。2、3点目は左サイドから、4失点目は右からあっさりやられましたが、特に4失点目はリンデロフがマカリスターに吊り出されたところから始まっており、これも今シーズン何度も見られるジグザグの動きに翻弄される形のディフェンスになっていました。The Athleticによれば、この試合のユナイテッドのPasses Per Defensive Action(PPDA)は14.9となっているという事です。PPDAとはタックルやインターセプト、クリアなどの守備的アクションでボールを奪い返す前に、相手チームが何本パスを繋いでいるかを表すものです。簡単にいうと、ブライトン戦でユナイテッドが1回ボール奪取するのにブライトンは約15本パスを繋いでいるという事です。ブライトンは難なくポゼッションできたのが数字からもハッキリしますね。なおユナイテッドは今シーズンのPPDA、プレミア20チーム中15位だという事です。
もうこの際ハッキリ言いますが、ラングニック「監督」は失敗です。暫定監督として①崩壊したロッカールームを修復し、②一貫したプレースタイルで戦うという求められた2つの仕事を改善するどころか、悪化させました。ただ唯一、ラングニック「さん」の正直で論理的な発言の数々は、ユナイテッドの現状の課題を丸裸にし、改革へ踏み出すきっかけを作ったという点では評価したいと思います。そして、来シーズンからの補強を含めたコンサルタント業務への期待はまだ持っています。これこそがラングニックの得意分野のはずなので、そこは裏切らないで欲しいですね。
Embed from Getty Images③選手のメンタリティ
試合後、ラングニック監督は「選手がプレー指示を無視したわけではないが...」という一文を入れていますが、もはや監督と選手の確執は「いや、そんなことあるわけない!」とは言えない状況です。もちろん全員ではないですが、選手の一部にはラングニックのやり方に賛同できていない者がいるのはまず間違いありません。そして、今シーズンN回目の「選手のメンタリティが...」「ユナイテッドのユニフォームを着る資格が...」「勝てなくても気持ちや覇気を...!」という話になるのですが、正直疲れましたね...。
DAZN実況でも、今シーズンの大敗記録について言及がありました。10/25 9節のリヴァプール戦0-5、11/21 12節のワトフォード戦1-4、3/7 28節シティ戦1-4、4/20 30節のリヴァプール戦0-4、5/8 37節ブライトン戦0-4とこれだけあります。今シーズン、何度もこれより悪くなることはないだろうと思いましたが、その度に裏切られ、更に下をいくという技をユナイテッドは身につけてしまいました...。
Embed from Getty Imagesブライトン戦は、前半から思うようにボールが持てず、楽しめなかった...。彼らにとっては楽しくないとサッカーではないのです。「伝統のクラブ」とか「不滅のメンタルで逆境を跳ね返す」とか、そんなことはどうでも良いのでしょう。上手くいかないのは自分達の責任ではなく、楽しいサッカーをさせてくれない指揮官にあると無意識に思っているはず...。後半の訳の分からないシステム変更の結果、失点...。「そら見たことか!」何人こう思った選手がいたでしょう?
試合後、キャプテンであるブルーノはSNSで「ユナイテッドのユニフォームを着るに値しない」と謝罪しました。これも何度目の謝罪なのか...。正直もう謝罪は欲しくありません。ファン、サポーターが求めているのはピッチ上での振る舞いであり、プレーから伝わる「誰かのためにプレーする」という姿勢です。決して利己的な動機からではなく、チーム(メイト)のため、ファンの為、サポーターの為、そして家族の為にプレーするのが一流のサッカー選手です。
Embed from Getty Images僅か4日前、オールド・トラッフォードでファンの為にプレーする喜びを思い出したはずだと、私は記事に書きました。しかし、またしても裏切られました...。それでも私はユナイテッドを応援します。応援するということは信じることです。ただ、特に来シーズンも残るメンバーに問いたいことがあります。
「貰ってばかりで恥ずかしくないのか?少しでも返そうと思わないのか?」
ということです。
クリスタルパレスとの最終戦、私がユナイテッドに求めるのは結果ではありません。上の質問の答えです。
まとめ
本来なら試合の総括を書くべきなのですが、心が折れたのでThe Athleticに記載された、この試合の結果もたららされた不名誉な記録の数々を引用して終わりたいと思います(笑)。
- ユナイテッドはこれでアウェーでの5連敗。2得点する一方で16失点している。
- ブライトン戦では、55分にサンチェスにセーブされたマタのシュートまで枠内シュート0。
- ユナイテッドは今シーズンのリーグ戦5試合で4失点しており、これは最下位のノリッジ・シティよりも1回多い。
- ユナイテッドは現在、リーグ戦で56失点しており、これは1978-79シーズン以来、最も多い失点数である(当時の方が4試合多かった)。
- 今シーズンのユナイテッドは、6位に終わった1990-91年(旧ヨーロッパカップウィナーズカップでは優勝)以来、最終的に最も低い勝ち点を記録することになる
これが、ファーガソン退任以降9年間でユナイテッドがおこなってきた一貫性のない補強戦略と、構築できなかったプレースタイルの結果であり、中堅ながらも説得力のある補強と、グレアム・ポッター監督の元、一貫性のあるスタイルで戦ってきたブライトンとの対比が印象的な試合...そう感じたブライトン戦でした。
この試合の結果ユナイテッドは6位以下が決定。7位ハマーズは残り2試合で3ポイント後方に迫っています。

https://www.premierleague.com/match/66694
次節、21-22プレミアリーグ最終節は、セルハースト・パークでのクリスタル・パレス戦。5月23日(月)0:00キックオフ。最後に意地を見せてくれ!カモン!ユナイテッド!!
最後まで読んで頂きありがとうございました!
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