こんにちはMasaユナイテッドです。
5月22日、長く苦しかったマンチェスター・ユナイテッドの21-22シーズンが幕を閉じました。
2021年8月14日の開幕リーズ戦から2022年5月22日の最終節クリスタル・パレス戦まで、公式戦全49試合を戦い20勝13分け16敗という成績でシーズンを終えました。今シーズンも様々なドラマがありましたね...。振り返りたくないものも多いですが、今回は21-22シーズン・レビュー第1弾「ストーリー編」ということで、今シーズンをさらっと振り返りたいと思います。
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以下項目です。
①2021年8月~9月
8~9月のキーワード
✔サンチョ、ヴァランを獲得
✔ロナウド復帰フィーバー
✔ポグバ躍動
✔EFL初戦敗退
✔ヴィラに黒星

出典:Transfermarkt
コロナパンデミックの影響がまだ残るなか、国内に絞ってプレシーズンマッチを行い調整を行ってきたユナイテッド。一方でユーロ2020の開催により主力選手の合流は遅れました。昨シーズンのリーグ2位からタイトル獲得を目指すべく、ジョイドン・サンチョとラファエル・ヴァランを獲得。獲得ターゲットを見事に釣り上げ、戦力を上澄みしてプレミア開幕を迎えました。開幕戦リーズを5-1で撃破。さらに8月27日にはユベントスからクリスティアーノ・ロナウドを獲得。12年ぶりのロナウド帰還にユナイテッドサポーターは大いに沸きました。ロナウドはユナイテッドデビュー戦となった4節ニューカッスル戦で2ゴールをマーク。チームは開幕から4戦負けなしとまずまずのスタートを切ります。
Embed from Getty Images開幕から4戦で最も輝いたのはポグバ。リーズ戦の4アシストを皮切りにセインツ戦、ニューカッスル戦でもアシストを重ね、この時点で7アシストを記録しています。手応えのあった戦いから一転。チャンピオンズリーグのヤング・ボーイズ戦でまさかの敗戦を喫すると、カラバオ・カップのハマーズ戦でも敗れ早々に姿を消します。YB戦はワン=ビサカの退場とリンガードのミスで敗れ、ハマーズ戦は大幅にローテーションしますがサブ組が機能せず、組織としての強度に問題がある事が露呈しつつありました。
そしてプレミア6節のヴィラ戦でリーグ戦初黒星を喫します。28本ものシュートを放ちながら決められず...。戦術的な整備はほとんど見られない上に、ロナウドという強烈な個性が加わった事でチームバランスも乱れている印象を受けました。そして、YB戦、ハマーズ戦、ヴィラ戦の3敗で指摘されることになるのがスールシャール監督の限界説です。戦力を上澄みしながら、ピッチ上でその効果を発揮できない大きな要因としてスールシャール監督の手腕が挙げられる状況になっていきます。9月最後の試合となったチャンピオンズ・リーグ ビジャレアル戦ではポグバ、ブルーノのダブル8番を使った4-3-3システムを導入し勝利を挙げますが、懐疑論を完全に払拭するには至りませんでした。
*ヴィラ戦の記事はこちら
★9月終了時点の成績(PL1~6節)★
PL4位 4勝1分け1敗 勝ち点13
EFLカップ 3回戦敗退
CL 2試合1勝1敗
ベストゲーム・・・PL第1節 vsリーズ(5-1)H
ワーストゲーム・・・PL 第6節vsヴィラ(0-1)H
②2021年10月~11月
10~11月のキーワード
✔ロナウドの起用法
✔アタランタ戦劇的勝利
✔リバプール、シティに屈辱的敗戦
✔スールシャール解任
✔キャリック暫定監督

出典:Transfermarkt
7節のエバートン戦で事件は起こります。この試合でスタメンを外されたロナウドが激怒。サー・アレックスがロナウドの起用法に苦言を呈する事態になります。この時点でもはやスールシャール監督の選手マネージメントはコントロールを失っており、CBに怪我人が続出したレスター戦では負傷明けのマグワイアを強行起用。バイリーのプライドを引き裂く事件も発生しています。CLホームのアタランタ戦では先制され、サポーターからブーイングを浴びながらも後半奮起し、最後はロナウド弾で逆転勝利を挙げ、「これぞユナイテッド!」というところを見せますが、続くPLリバプール戦にホームで0-5で敗れるという歴史的大敗を喫します。
Embed from Getty Imagesマネージメント、戦術、コンディション、メンタリティ全てで限界を超えており、リバプール戦で事実上スールシャール政権は崩壊を迎えます。解任までのカウントダウンとなった続くスパーズ戦では3バック(5バック)システムを使いなんとか勝ちに繋げ、CLアウェイのアタランタ戦では再びロナウドの活躍で2-2のドローに持っていきますが、続くシティ戦ではその5バックが仇となりホームで0-2で敗れます。これもシティのお情けで2失点で済んだところが大きく、リバプール戦同様に大量失点していてもおかしくない内容でした。
そして迎えたPL12節のワトフォード戦。アウェイで4-1で敗れ、翌日スールシャール監督の解任が発表されました。ロナウド、サンチョ、ヴァランをチームに加え、タイトルを争うはずだった21-22シーズンのユナイテッドは、スールシャール政権約3年間のツケを一気に払う形で崩壊。レジェンド監督として、クラブにタイトルをもたらすというスールシャールの夢もここで潰えることになりました。その後、マイケル・キャリックコーチが暫定として後を引き継ぎます。CLビジャレアル戦で4-3-3の可変システムを駆使して0-2で勝利。続くPLチェルシー戦ではロナウドを先発から外し、ハイプレス戦術でドローに持ち込みます。多彩な戦術を使い分けるキャリック暫定監督は、ユナイテッドに新鮮な風を送り込みました。
*ワトフォード戦の記事はこちら
★11月終了時点の成績(PL7~13節)★
PL8位 5勝3分け5敗 勝ち点18
CL 5試合3勝1分け1敗
ベストゲーム・・・CL/GSラウンド5 vsビジャレアル(0-2)A
ワーストゲーム・・・PL 第9節 vsリバプール(0-5)H
③2021年12月~2022年1月
12~1月のキーワード
✔ラングニック暫定監督就任
✔パレス戦の好パフォーマンス
✔コロナによる延期
✔ラングニックスタイルへの不適応
✔チーム内不協和音

出典:Transfermarkt
プレミア第14節アーセナル戦も引き続きキャリック暫定監督が指揮を執りました。この試合もミスが多く先制を許す展開でしたが、撤退守備にシフトしたアーセナルをハイプレスと鋭いネガトラで苦しめ最終的にロナウドのPKで勝ち点3を得ます。続くパレス戦からはラルフ・ラングニック氏が暫定監督に就任、指揮を取ることに。今シーズン限りの指揮で、来シーズンからはコンサルタントとしてグラフに関わるという異例の形での就任となりました。そのパレス戦で早速ラングニックの4-2-2-2システムでのハイプレス戦術が見られました。ロナウド、ラッシュフォードなどの前線の選手もしっかり守備のタスクをこなし、それまでの緩い戦いが嘘のようにアグレッシブなサッカーで勝利を上げます。
Embed from Getty Images既に勝ち抜けを決め、消化試合となったCLヤングボーイズ戦では完全ローテーションを敢行。ファン・デ・ベークやマティッチを先発させる一方で、最後にはジダン・イクバル、チャーリー・サヴェージのアカデミー組をトップデビューさせ、若手を重視するラングニックらしい采配が話題となりました。しかしその後コロナ陽性者がクラブで続出し、ブレントフォード戦とブライトン戦が延期となります。再開したニューカッスル戦では動かにキレがなく、ラングニックスタイルは鳴りを潜める展開でドロー。守備は固くなりつつありましたが、攻撃が機能しないことが課題になっていきました。
バーンリーに3-1で勝利した後のウルブス戦。この試合でラングニックと選手間の不協和音が報じられます。4-2-2-2でハイプレスと縦に速い攻撃というスタイルがウルブス戦では全く機能さず。ラングニック監督になって初黒星を喫します。その次のFAカップのヴィラ戦からはシステムを4-2-3-1に変更しますが、プレミア第22節のヴィラ戦では勝てる試合を同点に持ち込まれ、攻守バランスが取れない課題がなかなか解決しません。エランガの台頭やサンチョの適応、フレッジのレベルアップなど明るい話題もあったのですが、1-3で勝利したブレントフォード戦では途中交代のロナウドが不満を露わにするなど、マネージメント面の問題も表面化。1月最後の試合となったハマーズ戦には劇的な勝利をあげますが、課題は山積みのままであるという印象となりました。
*ウルブス戦の記事はこちら
★1月終了時点の成績(PL14~23節*18節は延期)★
PL4位*暫定 11勝5分け6敗 勝ち点38
CL 6試合3勝2分け1敗
FAカップ 3回戦突破
ベストゲーム・・・PL第15節 vsパレス(1-0)H
ワーストゲーム・・・PL第21節 vsウルブス(0-1)A
④2022年2月~2022年3月
2~3月のキーワード
✔得点力不足
✔サンチョのクオリティ
✔エランガの成長
✔ロナウドの復活
✔CL敗退

出典:Transfermarkt
冬の移籍市場で、マルシャルやファン・デ・ベークなど出場機会に不満のある選手をローンで出したユナイテッドでしたが、獲得には動かず。そんなユナイテッドに追い討ちを掛けるかのようにグリーンウッドが暴行事件を起こしスカッドから抹消されます。2週間のウィンターブレイクを挟んで再開したFAカップのボロ戦では格下相手に大苦戦。PK戦までもつれた末に敗退しています。プレミアではバーンリー、セインツにドロー。前後半や1試合ごとにパフォーマンスにムラがあり、安定しない戦いが続きます。中でも得点力不足は深刻で、山のようなシュート数を記録しても点が取れないという状況が続きました。
続くブライトン戦とリーズ戦には勝利したユナイテッドですが、この頃にはラングニックスタイルはほぼなくなっており、個の能力に依存した戦いになっていきました。チームに一体感はなく、サンチョやロナウドの出来が勝敗を左右する不安定な状態となります。CLアトレティコ戦はエランガのゴールでドローになるも内容では完敗。続くプレミアのワトフォード戦ではスコアレスドロー。この時には過去10試合でわずか1ゴールに留まるロナウドに批判が集中。限界論も飛び出す事態となりました。続くシティとのダービーでは先発落ちを告げられたロナウドがポルトガルに帰るという事態に。ただこれは股関節痛の治療の為だったことが後から判明しますが、ブルーノの偽9番で臨んだチームは良いところなくシティに4-1の完敗。シティとの圧倒的な差はユナイテッドのアイデンティティが揺らいでいることの表れでした。
Embed from Getty Imagesしかし、続くスパーズ戦では股関節痛を治して復帰したロナウドがハットトリックの大活躍。3-2で勝利します。その勢いのままCLアトレティコ戦に挑みたかったユナイテッドでしたが、試合巧者のアトレティコと不可解なジャッジにより惜敗。ベスト16でCLから敗退となりました。アトレティコ戦は戦術的に戦えないユナイテッドの限界を露呈した試合となりました。
*スパーズ戦の記事はこちら
★3月終了時点の成績(PL24~29節*18節開催)★
PL6位 14勝8分け7敗 勝ち点50
CL ベスト16敗退
FAカップ 4回戦敗退
ベストゲーム・・・PL第29節 vsスパーズ(3-2)H
ワーストゲーム・・・PL 第28節 vsシティ(4-1)A
⑤2022年4月~2022年5月
4~5月のキーワード
✔完全崩壊
✔離脱者続出
✔ベテラン勢に助けられる
✔歴史的低成績
✔EL出場権確保

出典:Transfermarkt
アトレティコ戦から2週間のブレイクを挟んで第31節レスター戦では、ブルーノの偽9番、ポグバをトップ下、マグワイアを左のCBなど人員配置を変化させますが機能せず。1-1のドローとなります。続くエバートン戦では1-0で敗れ、チームとしてのまとまりは皆無になっていきます。ノリッジ戦こそロナウドのハットトリックで勝利しますが、ロナウド頼みの攻撃と機能しないポグバのアンカー起用が、逆に組織としての欠陥を浮き彫りにした試合でもありました。
Embed from Getty Images30節のリバプール戦ではロナウド不在の中、ワン=ビサカを左SBに配し、ラッシュフォードをトップに置いた5バックで挑みますが、成す術なく4-0で敗戦。この敗戦の後、来シーズンからエリック・テン・ハーグ氏が指揮する事を発表しますが、アーセナル戦もブルーノのPK失敗や、メチャクチャな判定により3-1で敗れ上昇機運に乗れません。さらに試合後にはスコールズが「ドレッシングルームは壊滅状態」だとリンガードが言ったことを暴露、「ラングニック監督の指示を無視している選手がいる」などと報じられるなど、完全に空中分解になります。またこの時期には故障者、離脱者が続出。ポグバやショーを始め、サンチョやマグワイアも戦線を離れ、ベストメンバーは組めなくなりました。
続くチェルシー戦では、流れをなんとか変えようとマティッチ、マタのベテラン勢を先発させ、この2人の頑張りによりなんとかドローに持ち込みます。またこの試合で17歳のアレハンドロ・ガルナチョがトップデビューを果たしました。ホーム最終戦となったブレントフォード戦は、ファンの前で最後のプレーとなるマティッチやカバーニ、ジョーンズ、マタなどの気持ちの入ったプレーもあり3-0で勝利。しかし続くブライトン戦では、ブレントフォード戦と全く同じスタメンで臨むも、ポゼッション主体のブライトンに4-0で完敗を喫し、今シーズン6回目の4失点(以上)の試合となりました。シーズン最終戦のパレス戦も不甲斐ない戦いに終始し1-0で敗れますがなんとか6位をキープ。来シーズンのヨーロッパリーグ参戦を決めています。しかしながら、クラブワースト記録となる57失点、最小勝ち点58ポイント、アウェイ6連敗など、歴史的な低成績で終わったシーズンとなりました。
*ブライトン戦の記事はこちら
★5月終了時点の成績(PL30~38節)★
PL6位 16勝10分け12敗 勝ち点58
ベストゲーム・・・PL第35節 vsブレントフォード(3-0)H
ワーストゲーム・・・PL 第36節 vsブライトン(4-0)A
👿まとめ
補強の成功から期待の高かったシーズン開幕当初でしたが、間もなくしてチームバランスが崩れている事が露呈。ヤングボーイズ戦とヴィラ戦の敗戦はダメージが大きく、3シーズン目のスールシャール政権の限界を示していました。選手マネージメントも上手くいかず、リバプール、シティに大敗し、ワトフォードにとどめを刺されてスールシャール監督は解任されますが、後を引き継いだキャリック暫定監督は3試合のみでしたが2勝1分けと良い仕事をしましたね。
ラングニック暫定監督になってからは、ハイプレス、ハイエナジーなフットボールへの期待が高かったのですが、一部選手達の反発やロッカールーム内での不協和音もありチームはバラバラに。エランガが台頭し、サンチョがようやく実力を発揮。フレッジは8番でセレソン仕様に変身するなどポジティブな面もありましたが、チーム戦術的には退化し、ロナウド頼みの攻撃になっていきました。決定的な転機となったのはCLの敗退でしょう。この後、モチベーションを維持できなかった上に、負傷者が続出。4月~5月の9試合2勝2分け5敗と急ブレーキがかかり4位以内どころかEL圏内も危うく逃すところでした。
モイーズやファン・ハール、モウリーニョの末期よりも酷いと言われ、クラブ史上最低の成績と内容だったのは間違いありません。戦術、組織、メンタリティ、フィジカル、コンディション...全てで最低レベルのシーズンで、もう振り返りたくないかもしれませんが、ロナウド復帰のシーズンとして記憶されるシーズンでもあります。次回はそのロナウドを始め、各選手のシーズン評価をしたいと思います!
最後まで読んで頂きありがとうございました!
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