こんにちはMasaユナイテッドです。
22-23ヨーロッパリーグが開幕。ユナイテッドはグループステージ第1回戦でスペインのレアル・ソシエダとホームで対戦しました。プレミア前節のアーセナル戦からスタメンを6人変更して試合に臨んだユナイテッド。前半は、今シーズン初先発となったロナウドにエリクセンやダロトが絡みシュートチャンスを作りますが、なかなか決定的なチャンスは生まれません。0-0で折り返した後半開始と同時に、ユナイテッドはマルティネスとブルーノを投入します。しかし50分に、ボックス内でシルバのシュートをブロックしたマルティネスのプレーがハンドを取られPKの判定に。これをメンデスが決めてアウェーのソシエダが先制します。ユナイテッドはその後、サンチョ、ガルナチョ、マクニールを投入しますが得点を奪えず。今シーズンのヨーロッパリーグは黒星スタートとなりました。
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今回はこの試合から、ユナイテッドのローテーションの評価と、ソシエダについても少し書きたいと思います!
👿ラインナップ

①メンバーローテーション
プレミアリーグでは4連勝中、アーセナル戦のアントニー以外はスタメン固定で戦い、好調をキープしているユナイテッドですが、週2回の過密日程に突入してヨーロッパリーグのソシエダ戦ではローテーションが予想されていました。アーセナル戦から6人変更。マグワイアとリンデロフのCBコンビに、カゼミロが加入後初先発。フレッジをトップ下に配し、エランガを左WG、ロナウドをストライカーで先発起用しました。この5人(カゼミロ以外)は、昨シーズンの多くの試合で先発起用された主力選手達。テン・ハーグ体制になって、選手の序列はリセットされポジション争いが行われていますが、現時点ではスタメン落ちした5人とも言えます。
Embed from Getty Imagesしかし、監督が再三言っているように、4つのコンペティションを戦っていくには多くの選手が必要で、交代枠も5枚ある今シーズン、「スタメン」や「サブ」という概念に捉われすぎる必要はないですが、久し振りに試合に出る選手がどのようなパフォーマンスを見せるかはかなり重要です。しかも、スタメンとサブのパフォーマンスの差はスールシャール、ラングニック両体勢で課題となっていたことでもあります。この課題に対してテン・ハーグ監督がどのように取り組むかも注目されました。スタメンの判断が正しかったのかは、外からはわかりにくいところがあり容易に判断できませんが(トレーニング状況やコンディションがわからないので)、結果だけで判断すれば今回のメンバー変更は「凶」と出たということになります。
*アーセナル戦の記事はこちら
②カギとなった中央ライン
その変更されたソシエダ戦のメンバー構成で、ポイントとなったのは「中央ライン」。変更となった6人の内、エランガ以外の5人がピッチ中央ポジションの選手です。マグワイアとリンデロフはこれまで長年コンビを組んでおり、連携面では問題ない2人ですが、課題となったのはビルドアップとラインの高さでした。ディフェンス面ではソシエダのトップに入ったサディクが、デュエルを避けサイドに流れる傾向があったので、それほど脅威になることはありませんでしたが、マグワイアはしっかりとシルバの動きを監視しており、決定的な仕事をさせなかったのは評価できる点です。しかし、ヴァラン、マルティネスのコンビと比べると、ビルドアップのスピードとパスの経路、ラインの高さは不十分で、ユナイテッドのボール保持の迫力が掛けた要因の1つとなりました。
Embed from Getty Images新加入で初先発となったカゼミロは、エリクセンとボランチでコンビを組みましたが、総合的には連携面でまだまだで、現状マクトミネイを差し置いて先発というレベルには至っていません。しかし時折見せた楔のパスや、アタッキングサードでシュートチャンスを得るポジショニングなど、守備面だけでなく攻撃面でも期待できそうだというポジティブな印象を与えました。さらに前半は、フレッジ、アントニーとのセレソン3兄弟でのパス回しが何度も見られたのも、期待を裏切らないシーンでした(笑)。最も意外だった起用となったフレッジのトップ下は、アーセナル戦の終盤で使った形でした。アーセナル戦は前線の高い位置でフレッジがプレスを掛けることでアーセナルに対してショートカウンターを打つ狙いがあり上手くいきましたが、ソシエダ戦はこれが全く機能しませんでした。本来の目的は、恐らくロナウドの守備力不足を補うためだったと思います。
ロナウドがハイプレスのスイッチャー役でしたが、フレッジは基本的にソシエダのアンカー ズビメンディを監視します。しかし、ロナウドのプレスは曖昧な上にソシエダはキーパーのレミロをビルドアップの重要な起点としており、ユナイテッドのハイプレスは容易に回避されていました。その状況でフレッジは運動量を活かしてキーパーまでプレスに行くなど役割を果たそうと奮闘しましたが、この布陣でハイプレスが機能する事はありませんでした。また、フレッジはボールを持った時のテクニックに欠け、パスミスやボールロストを繰り返しました。ある意味実験的なフレッジのトップ下起用でしたが、これは失敗だったと言わざるを得ませんね。
Embed from Getty Imagesそしてロナウド。ロナウドには何度かゴールを決められそうなシチュエーションがあり、オフサイドにはなりましたがゴールネットも揺らしました。90分フル出場と、これまでで最多の時間をプレーしたことからも、ロナウドに関してはコンディションが最も重要な課題となっていると思われます。まだプレーに切れとパワーがなく、昨シーズンの28節シティ戦前のスランプ時に似たような身体の重さを感じます。
このように、ピッチ中央部分に手を加えたテンハーグ監督ですが、リーグ戦好調の要因となった全体でのプレスと幅と深さを使ったビルドアップ、全体で押し込むボール保持という要素は基準に達してなかったという印象です。ヴァラン、マルティネス、ブルーノ、ラッシュフォードにエリクセンを加えたセンターラインの重要性を改めて浮き彫りにしたと言えるでしょう。
③スペインのチームは「うまい」
ユナイテッドは、ヨーロッパの大会でスペインのチームと当たることも多く、その度に「ユナイテッドはスペインのチームと相性が悪い」とか「スペインのチームは上手いから苦労する」と言われることがあります。昨シーズンはCLラウンド16でアトレティコに敗れ、一昨シーズンはEL決勝でビジャレアルに敗れています。今年のプレシーズンでは、それを意識して組んだのかかはわかりませんが、アトレティコとラージョ・バジェカーノと対戦し、アトレティコには負け、ラージョには引き分けています。
ソシエダ戦の前もファン・デ・ベークがインタビューで「スペインのチームは技術が高い」と語るなど、チームとしてもやや苦手意識がある可能性があります。しかし、ソシエダは確かにうまかった(笑)。上にも書きましたが、ビルドアップは特に秀逸で、キーパーを巧みに使い、各々がポジショニングに無理がなく、このように息をするように自然にビルドアップできるチームは手強いです。
Embed from Getty Images個々の選手を見ても派手さがあるわけではないのですが、ポジショニング、トラップ、パス、ドリブルといった基礎技術がしっかりしているので、簡単にボールを失うシーンはほとんどありませんでした。中でも我らが日本代表、久保選手の存在感は素晴らしかったですが、中盤でダイヤモンドを作るシルバ、メンデス、ズビメンディとメリーノは攻守のバランスも見事でした。ユナイテッドは全体としてプレス強度が足りなかったこともありますが、基礎技術や組織力という面で劣ったとも言えます。
④ローテーション評価
今回の試合直前にエリザベス女王が逝去されたことを受けて、試合後のインタビューはなくなりました。そのこともあり、今回の試合を監督がどのように評価したのかが不明です。そこで個人的な推測で今回の試合の評価をしてみたいと思います。
テン・ハーグ監督のこの試合の最大のテーマは、ローテーションメンバーがどれだけ戦力となるのかを見極めることでした。この点で言えば、残念ながら序列をひっくり返せるようなインパクトを残した選手はいなかったと思います。しかし、カゼミロだけはチームへのフィットの問題なので、今後に期待が持てます。マグワイアも悪くはなかったですが、現状ではヴァラン、マルティネスのコンビの連携に割って入る余地はないでしょう。
今回テン・ハーグ監督は実験的な采配も行いました。フレッジの10番起用とリンデロフの右サイドバックです。フレッジ10番は②の項目で書きましたが、久保にやられたリンデロフのサイドバックも完全に失敗となりました。ここにはワン=ビサカという右サイドバック専門の選手がいながらリンデロフをコンバートしたというのは、かなり違和感のある起用でした。これに関しては、やはりワン=ビサカに対する監督の信頼感の問題が大きいのではないかと思います。この夏の移籍市場でワン=ビサカ放出の噂はずっとありましたが、最終的に残留となりました。The Athreticによると「テン・ハーグ監督は売りたがったが、FDであるマートフが放出に反対した」と報じています。テン・ハーグ監督は残留したワン=ビサカの進化に期待する 的なコメントをしているので、全くの構想外にするつまりはなさそうですが、トレーニングで進歩が見られるまでは使わない可能性があります。しかし、今回のリンデロフのサイドバックのパフォーマンスを見ると、そうは言ってもローテーションするならワン=ビサカを使うべきだと思うのですが...。
Embed from Getty Imagesさらに、後半にはガルナチョ(18)、マクニール(19)というアカデミーの無敵コンビを投入したのもテン・ハーグ監督の選手層の確認の一環でした。ガルナチョはプレシーズンでも印象的なパフォーマンスを見せていましたが、初のヨーロッパリーグ出場でも臆することなくプレーし、武器であるスピードを見せました。ガルナチョはトップチームでトレーニングし、プレミアのベンチにも入り続けています。今後もローテーションメンバーとして出番がくるのは間違いないでしょう。嬉しいトップチームデビューとなったチャーリー・マクニールは19歳。2020年にシティからユナイテッドへ加入し、U18、U23でゴールを量産してきました(20-21シーズン25G/21-22シーズン17G)。アカデミーの中ではそのスコアラーとしての嗅覚は突出しており、アカデミーを追っているサポーターからの期待も大きい選手です。ソシエダ戦はわずか10分間の出場で、ボールタッチも2回だけでしたが、ストライカー不足に陥る可能性のある今シーズンのスカッドでマクニールにチャンスが回ってくる可能性は十分にあるでしょう。
Embed from Getty Images今回のローテーションは、求められていた基準には達してなかったでしょう。しかし、どの試合でどの選手を起用するかは監督次第でもあります。そして、多くの個性を持った選手達が多数います。選手全員がいつ出番が来ても準備ができている状態でいるのが理想です。
👿まとめ
ローテーションメンバーの実力と適応性を確認するというテーマで臨んだソシエダ戦。結果ホームで敗戦となり、パフォーマンス的にも逆にスタメン組の頼もしさを強調する結果となってしまいまいました。特に、ヴァラン、マルティネス、ブルーノ、そしてエリクセンはリーダーシップの面でも欠かせない存在だと痛感...。後半試合に出たブルーノはすぐさまチャンスメイクしましたし、マルティネスは不運なPK献上はありましたが(ちなみにアレがハンドは馬鹿げてます)、強度の高い守備だけでなく、楔のパス、ドリブルでの持ち上がりと攻撃面でも実力を発揮しました。
Embed from Getty Imagesエリザベス女王逝去を受けて、週末のリーグ戦は延期されました。次のヨーロッパリーグ第2戦のシェリフ戦まで1週間開くことになります。疲労度合い的にはローテーションする必要は無くなりましたが、果たしてテン・ハーグ監督はシェリフ戦もローテーションメンバーで臨むのか、大きな注目ポイントとなります。
*スタッツはこちら

次の試合はヨーロッパリーグ/GS第2回戦。モルドバのシェリフ・スタジアムでのFCシェリフ戦。9月16日(金)1:45キックオフ。カモン!ユナイテッド!!
最後まで読んで頂きありがとうございました!
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