【22-23EL準々決勝2ndレグ】セビージャ戦 ユナイテッドの選手であることの証明を!【コラム】

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こんにちはMasaユナイテッドです。

22-23ヨーロッパ・リーグ準々決勝2ndレグ アウェイ、エスタディオラモンサンチェスピスフアンセビージャと対戦したユナイテッド。試合は8分でデ・ヘアとマグワイアの連携ミスからボールを奪われ、最後はユーセフ・エン=ネシリに決められ失点する苦しい立上りに。ユナイテッドはなかなかペースを掴めず、23分にはワン=ビサカにチャンスが来ますが決められません。一方でセビージャは42分にもオカンポスがゴールを決めますが、これはVARの結果オフサイドの判定に。後半に入りユナイテッドはラッシュフォードとショーを投入し流れを変えようとしますが、逆にセビージャが47分にコーナーキックをロイク・バデが決めて2-0と突き放します。ユナイテッドはそれでもエンジンが掛からず、ヴェフホーストやフレッジを投入しますがチャンスらしいチャンスを作り出すことができません。すると81分、セビージャのクリアボールを処理しようとしたデ・ヘアがトラップミス。これをエン=ネシリに決められ3失点目を喫します。試合は3-0でセビージャが勝利。2試合合計5-2でセビージャが準決勝進出を決めています。ユナイテッドのヨーロッパ・リーグ・タイトルへの挑戦はここで幕を閉じることになりました。

*試合のハイライトはこちら

今回はセビージャ戦を受けてのコラムです!デ・ヘアやマグワイアについて、そしてユナイテッドでプレーする意味について考えをまとめました!

以下項目です。

👿ラインナップ

22-23ELSF-2 セビージャvsユナイテッド ラインナップ

①セビージャ戦の失点

セビージャのホームスタジアムであるエスタディオラモンサンチェスピスフアンは試合前から物凄い熱気に包まれていました。1stレグを2-2の引き分けに持ち込み、ホームの2ndレグでの勝敗により勝ち抜けが決まるというシンプルな構図となり、ホームのサポーターは全力でチームを後押しする決意でスタジアムに駆け付けました。この雰囲気を見て、正直「ヤバい...」と感じたユナイテッドファンも多かったのではないかと思います。アウェイ戦になると本来の力を発揮できない今シーズンのユナイテッドにとって、このスタジアムの空気は決して歓迎すべきものではありませんでした。試合開始と同時にセビージャは前からプレスを掛け、ユナイテッドのボール保持を自由にさせません。ユナイテッドのバックラインに対して、セビージャはエン=ネシリ、ラキティッチ、ラメラ、オカンポスの4人が鋭い出足でボールを奪いにいきます。ユナイテッドはブルーノを累積による出場停止、マルティネス、ヴァランのレギュラーCBも怪我により出場できないという苦しいメンバー構成ではありますが、同じバックラインで臨んだプレミアのノッティンガム・フォレスト戦では素晴らしいパフォーマンスを見せていただけに「やってくれるだろう」という期待もありました。

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しかし、フォレスト戦のような相手を手玉に取るようなビルドアップは難しく、ダロトの偽サイドバックも同じく中に絞ったオカンポスにしっかりケアされ思うように機能しません。ハイプレスを仕掛けてくる相手に苦戦するのは毎回のことなのですが、チームの基本戦術としてポゼッションを重視していることもあり、なんとかボールを繋ごうとするユナイテッド。苦しいながらもエリクセン、カゼミーロのダイレクトパスなどでプレス回避を試みます。上手く組立られるシーンもありましたが、そのクオリティはフォレスト戦の比ではなかったですね。8分の失点シーンはサイドでボールを奪い、後方に下げたシーンで起きました。マグワイアはデ・ヘアにパスを要求し、デ・ヘアはそれに従いキャプテンにパスを出します。そこにオカンポス、ラメラ、エンネシリの3人が反応しマグワイアを囲みました。右利きであるマグワイアは右のワン=ビサカにダイレクトでパスを出そうとしますがラメラに引っかかりこぼれたところをエン=ネシリに決められ失点しました。

このシーンに関しては、様々な意見があると思います。「自身の能力を過信し、できもしないのにパスを要求したマグワイアが悪い」「状況判断ができなかったデ・ヘアが悪い」など、それぞれの意見があると思います。どちらにせよ、このレベルではあってはならないミスだったことは確かですが、個人的には、やはりデ・ヘアの判断に問題があるように思います。ビルドアップ時の視野の狭さは今に始まったことではありませんが、このシーンも左サイドのリンデロフやダロトに出す方が安全でしたし、もっと言えば大きく蹴り出してクリアすれば良いだけでした。マグワイアが要求するのも状況が把握できていないためではありますが、敵に背後を見せていて的確なリスクを確認できないマグワイアより、正面から見ているデ・ヘアの方が数倍も良い判断ができるはずです。

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さらに2失点目は懸案だったセットプレーから。これも前回のフォレスト戦の記事でも書いたように、あっさり弱点を突かれて失点しています。後半開始からラッシュフォードとショーを入れ、巻き返しを図った47分の失点は、精神的に大きなダメージとなったのは想像に難くないでしょう。さらに81分の3失点目に関してはセビージャのクリアボールをボックスの外に出て処理しようとしたデ・ヘアがトラップミス。これをエンネシリに拾われゴールへ流し込まれました。何の解説や分析も必要のない明らかなミス。これはデ・ヘアは責められても仕方ないシーンとなりました。

*フォレスト戦の記事はこちら

②デ・ヘアとマグワイア

デ・ヘアとマグワイアに関しては長年ファンの間でもパフォーマンスに満足できないという声が確かにあります。在籍12年のチーム最古参でもあるデ・ヘアはショットストップという面では何度もチームを救う活躍を見せる一方で、足元の技術、守備範囲の狭さ、クロスやコーナーキックへの対応などが不十分で失点に直結するミスもあり、批判されることも度々です。加入4シーズン目のマグワイアはスールシャール期にはシーズンMVP級の活躍でチームを支え、キャプテンにも抜擢されましたが、昨シーズンのチーム低迷と共にマグワイアのパフォーマンスも低下。今シーズンには新監督、そしてマルティネスの加入に伴い序列を下げています。ワールドカップではイングランド代表の躍進に貢献しつつも、クラブではパフォーマンスに波があり、絶対的な信頼を得るに至っていない状況です。この2人に関してテン・ハーグはことあるごとに信頼を強調し、チーム内でも重要な存在だと言っています。本心から言っているかはともかく、常にスタメンで出続けるデ・ヘアも、キャプテンであるマグワイアもチーム内で発言力があることは間違いないでしょう。

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しかし、多くの方が疑問視するように、「果たしてこの2人はテン・ハーグ監督の目指すスタイルに必要な存在なのか?」「根本的に合っていないのではないか?」という意見が出るのは当然です。これに関してはテン・ハーグ監督就任当時の記事でも書いてきたように、両者ともに合っていません。2人ともポゼッション戦術には適さない特性を持っており、デ・ヘアの足元の技術や視野の狭さ、マグワイアのハイラインへの適応力やスピード不足、状況判断の悪さなどはテン・ハーグスタイルに適していないと思います。しかし一方で、今シーズンの開幕前には、ほぼすべての選手がポゼッションに適していたわけでもなく、最近ではブルーノですらスタイルの不適合性が議論されたこともありました。個人的には、今シーズンのテーマの1つにこのプレースタイルの適合性があります。例えば、ダロトやワン=ビサカは開幕当時と比べて明らかに成長し、ポゼッションで出来る事が増えました。ブルーノやショー、ラッシュフォード、ヴァランなど、もともと能力の高い選手達もテン・ハーグの求める役割に適応してきているのは見ていてもわかると思います。

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今現在、チームの中核となり重要な役割を担っている選手は開幕前の自身の課題を克服し、成長を遂げテン・ハーグスタイルに適合してきた選手達です。監督が変わって「今までと違うからできません」が通用する世界では当然ないのです。デ・ヘアやマグワイアやは全く成長していないとは言いませんが、明らかに適合に手間取っていますし十分ではありません。同時に、マクトミネイ、サンチョ、マルシャル、ファン・デ・ベークも離脱の多さもあり十分な成長を見せられていないと言えます。しかし来シーズン、これら全員がチームを去ることはありません。新たなキーパー獲得まで資金が回らなければ守護神の交代はありませんし、CBの獲得は二の次なのでマグワイアも自身の希望がなければ売却されないでしょう。監督としても、プレースタイルに合わないと切り捨てるのは簡単ですが、スカッド全部を一気に書き換えるのは不可能であり、新戦力の確保やオーナー人事の影響も考慮する必要があります。既存の選手の成長を促すことを優先するのは当然であり理解できます。

③ユナイテッドで証明すること

セビージャ戦は今シーズン何度も経験してきたアウェイでの敗戦であり、いつもと同じように後方でのパスミス、中盤のコントロール不足、前線の存在感不足が見られました。しかも、これがヨーロッパリーグの準決勝進出が掛かった大事な試合で、シーズンが佳境を迎えたこの時期に見られたいうことに大きな失望を覚えます。1stレグでのドローを悔やみ、セビージャとの相性の悪さを恨み(過去5試合1度も勝っていない)、セビージャのELでの強さ(6回優勝)を妬んでもどうすることもできません。それより問題は、何度も何度も繰り返される同じ過ちです。同じような記事を今シーズン何度も書いてきました。過密日程が...怪我人で主力が...判定が...言い訳や擁護も散々してきましたが、根本は監督の言う通り「メンタリティ」に起因します。これも何度も書いてきたので、「またか...」という感じですが、今回の敗戦後のテン・ハーグ監督の言葉がすべてのような気がします。それは

「マンチェスター・ユナイテッドの一員であること、このサッカークラブの一員であることは素晴らしいことですが、裏を返せば、毎試合それを証明しなければならないということです。」

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というもの。今回ミスから失点し、戦犯扱いされたデ・ヘアやマグワイアに関しても問われているのはプレースタイルの適合性以上に「ユナイテッドでプレーする資格があるか、毎試合で証明しなければならない。それができているのか?」という事です。「前の試合は良かった」や「数シーズンに渡って貢献してきた」というのはもはや重要ではないのです。重要なのは「今、目の前の試合」で証明することです。これからチャンピオン争いに返り咲き、強いユナイテッドを取り戻すには選手やコーチ陣だけでなく、ファンやサポーターも高い基準をチームに求める必要があるでしょう。よほどのドSの方を除いて(笑)、愛する存在に厳しく接するというのは結構難しく、ついつい甘やかしてしまうのが人間の性かもしれませんが、時には必要なことでもあります。セビージャ戦のパフォーマンスはこの2人だけでなく、ピッチに立った大半の選手が十分な基準に達していませんでした。そのことに関しては誰よりもユナイテッドサポーターが一番批判的でなければならないと、そう思います。

👿まとめ

新体制での1シーズン目で、1つのタイトルを獲得し、リーグテーブルでは3位、FAカップのタイトルも可能性を残しているというのは上出来です。素晴らしいパフォーマンスを見せる試合もたくさんあり、チームとしての成長は予想を上回るスピードで起こっていると感じます。しかし、セビージャ戦では同じ過ちを犯し、良いところなく敗れました。スポーツには「負け方」というものがあります。セビージャ戦も接戦を演じた末敗れたというのならまだ納得できますが、ミスと課題を突かれたかたちでの敗戦は看過できません。まだ安定感に欠けるのは仕方ないという意見もありますが、このシーズン終盤に開幕時と同じ負け方をしているようではシャレになりません。「成功のシーズン」として終わるためにもこれからの全試合で気の抜けたパフォーマンスは許されないのです。「マンチェスター・ユナイテッドの選手であることの証明」の為にも1戦1戦集中して臨んでほしいと思います。

これまでもこういった敗戦の後で団結し、見事なバウンスバックで盛り返してきた今シーズンのユナイテッド。果たして日曜日のFAカップ準決勝は上手く挽回することができるでしょうか?相手は好調ブライトン。舞台はホームでもアウェイでもないウェンブリー・スタジアム。ブライトンはポゼッションとプレスに特徴のあるチーム。そして奇しくも開幕戦で敗れた相手。当然ですがセビージャ戦のようなパフォーマンスでは勝てるはずがありません。また、フォレスト戦と同じやり方も通用しません。監督の手腕とともに、選手たちの気概がもっとも大事な一戦となります。

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*スタッツはこちら

22-23ELSF-2 試合結果

次の試合はFAカップ準決勝 ウェンブリー・スタジアムでのブライトン・ホーヴ・アルビオン戦。4月24日(月)0:30キックオフ。カモン!ユナイテッド!!

最後まで読んで頂きありがとうございました!

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