こんにちはMasaユナイテッドです。
22-23FAカップ準決勝 ウェンブリー・スタジアムでブライトン&ホーヴ・アルビオンと対戦したユナイテッド。試合は、ポゼッションに優れるブライトンがボールを握る展開に。7分にはアレクシス・マクアリステルのフリーキックが際どいコースに飛びますが、デ・ヘアが手を伸ばして弾き出します。ユナイテッドもアントニー、エリクセンと繋いで最後はブルーノが良い位置からシュートを放ちますがロベルト・サンチェスがこれを阻止。後半に入り、56分にはフリオ・エンシソが決定機を迎えますが、こちらもデ・ヘアがスーパーセーブで凌ぎます。ユナイテッドも64分、ブルーノのパスを受けたアントニーが良い位置からシュートを打ちますが、これもサンチェスがセーブ。得点を許しません。試合は0-0のまま延長戦へ突入。延長前半終了間際、フレッジ、サンチョと繋いで最後はラッシュフォードがゴールを狙いますがサンチェスが弾きゴールを死守。試合はPK戦へともつれお互いに6人目まで全員成功します。しかしブライトンの7人目、ソリー・マーチが枠の外へはずして失敗。ユナイテッドの7人目リンデロフは冷静にゴール左上に決めて激闘に終止符を打ちました。PK戦を制したユナイテッドがFAカップ決勝進出を決めています。
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今回はこの試合の戦術ポイントの解説と試合の総括をしたいと思います!
以下項目です。
👿ラインナップ

①ユナイテッドの非保持とプレス構造
2022年9月18日にグレアム・ポッターの後を引き継ぎブライトンの監督に就任したロベルト・デ・ゼルビ監督は短期間で質の高いポゼッションサッカーを植え付け、ブライトンは非常に組織力の高いチームに成長を遂げています。デ・ゼルビ体制になってからユナイテッドが対戦するのは今回が初めてであり、ユナイテッドもテン・ハーグ監督の下、ポゼッションスタイルを磨いてきただけにどのような試合展開になるのか楽しみな一戦となりました。開始からボールを支配したのはブライトンの方。CBのダンクとウェブスターを起点とし、徹底した後方からのビルドアップでユナイテッドのプレスを掻い潜りボールを前進させます。ブライトンのビルドアップは「4-2」構造となっているのが大きな特徴で、両サイドバックをタッチライン際に張らせ、幅を持たせているのが基本形となっています。ダブルボランチとなるカイセド、マクアリステルを経由する場面もありますが、中央からの進行はユナイテッドが徹底して閉じていたこともあり、開いたサイドバックからの進行がメインとなりました。
Embed from Getty Imagesユナイテッドはブライトンのビルドアップに対して、まずマルシャルがボールを持った方のCBに外切でプレスを掛け、もう1人のCBには逆サイドのウィンガー(ラッシュフォードorアントニー)がプレスの構えを見せます。サイドバック(グロスorエストゥピナン)にボールが出ると、ユナイテッドのウィンガーは全力で戻ってブライトンのサイドバックを捕まえる必要があったのですが、このプレスはアントニーは上手くこなしていました。しかし、ラッシュフォードはCBへのプレスのタイミングが早すぎて、サイドバック(グロス)はかなり余裕をもってボールを持てる状態でした。前半、ブライトンが右サイド(ユナイテッドの左)からのボール進行が多かったのはこの為です。中央レーンはカイセドにエリクセン、マクアリステルにはブルーノがマンマークで対応。トップ下のエンシソにはカゼミーロが対応し、降りてくるウェルベックに対してはショーが徹底マークに付いて自由にさせません。左サイドバックのダロトはラッシュフォードの戻りの遅さもあって、グロスとマーチの2人を相手にする必要がありましたが、集中した対応を見せていました。ワン=ビサカは三苫をマンマークで見ており、ユナイテッドはリンデロフを余らせる形で、ほぼ全域でマンマークをベースに対応しました。左サイドのところで劣勢になるシーンもありましたが、前半はユナイテッドのプレス構造は機能しており、ブライトンに支配されながらも危ないところにはボールを入れさせない守備ができていたと思います。
Embed from Getty Images②ユナイテッドの守備とトランジッション
後半に入り、ブライトンはビルドアップの構造を変化させます。両サイドバックを大外に張らせるのではなく内側に立たせ、「2-3」構造でビルドアップを行います。これにより、エストゥピナンに対応していたアントニーも内側へ引っ張られたため、三苫は前半よりも左サイドでスペースを確保できるようになり、存在感を見せるようになります。また、ボランチだったマクアリステルが1列上がる事ができるようになったためライン間でフリーの選手も出始めます。場合によっては、ユナイテッドはバックラインで数的不利の状況に陥ることもありましたが、集中した守備は後半も、そして延長になっても継続できていました。テン・ハーグ監督は62分にエリクセンに代えてフレッジを投入しましたが、エリクセンのプレスの強度は対カイセドという点でやや不足しており、ここにフレッジを入れて高い位置からプレスすることでチームに流れを引き寄せました。この交代は見事だったと思います。
Embed from Getty Imagesまた、デ・ヘアとバックライン、アンカーのカゼミーロは守備面で素晴らしいパフォーマンスを見せたと思います。最後の砦として終始冷静な対応をしたリンデロフ(MOTMを獲得)、ハイブリットCBとして攻撃にも関与したショー、苦戦を強いられながらも気迫で跳ね返したダロト、そして三笘とのマッチアップで勝利したワン=ビサカのバックラインはもちろんのこと、マクアリステルのフリーキックや56分のエンシソのシュートをスーパーセーブで防いだデ・ヘア、中盤のフィルターとしてカバーに奔走したカゼミーロもクリーンシートに大きく貢献しました。中でも話題となったのが三苫vsワン=ビサカの攻防でしょう。プレミアで堂々のパフォーマンスを見せる三苫はこの試合でも何度か鋭い仕掛けを見せ、ユナイテッドにとっては危険な存在でした。32分、カットインした三苫にタックルで阻止したワン=ビサカのプレーは素晴らしかったですが、今シーズン、ワン=ビサカはプレミアリーグで1度しかドリブルで抜かれていないというデータも話題を呼びました。
Embed from Getty Imagesしかしながら、ビルドアップやボール保持に関しては、いつものように主導権を持った戦い方はできず(せず)、トランジッションからのショートカウンターで活路を見出そうとしました。これに関しては、敗退となったセビージャ戦での反省からという面もあると思いますが、デ・ヘアは後方からの繋ぎは放棄し、ロングボールを前線目掛けて蹴ることでブライトンをゴールから遠ざける作戦を実行しています。セビージャ戦で30m以上のキックが6回しかなかったデ・ヘアですが、ブライトン戦は49回のパスのうち31回がハーフェイラインを超えるパスとなっています。ブライトンのポゼッションに同じスタイルで真っ向勝負するのではなく、もう一つの武器である素早い攻撃を狙ったのは戦術としては良かったと思いますが、いくつかあった得点のチャンスを決められなかったのは悔やまれます。ブルーノやラッシュフォードにチャンスがありましたし、アントニーも決められそうなシチュエーションはありました。一方で、ブライトンの方も決定力不足とデ・ヘアの好セーブにより得点するには至りませんでしたね。
*セビージャ戦の記事はこちら
③試合の総括
ブライトンはボール保持の場面で自分たちの良さを出し高い組織力を見せつけた形ですが、ユナイテッドはそれにしっかり準備し、対応することで得点を許さなかったことは賞賛に値します。ヴァラン、マルティネスを欠いた状態である今、リンデロフ、ショーのCBとワンビサカ 、ダロトの両SBのバックラインはベストなユニットである気がしますね。それぐらいブライトン戦の守備陣のパフォーマンスは素晴らしかったです。結果的に延長でも決着が付かず、PKまでもつれたというのは過密日程を戦うユナイテッドにとって厳しいものとなりましたが、メンタルという面でも101分の交代の後(怪我の影響も...)、チームを鼓舞したブルーノや、ユーロのPK失敗のトラウマに打ち勝ったラッシュフォードとサンチョ、そしてボールにキスしてプレッシャーを与え、マーチのPK失敗のキッカケを作ったヴェフホーストなど、勝ちにこだわる姿勢は十分感じられた点も良かったです。
Bruno Fernandes is our true captain
— UE 🇶🇦 (@UtdEra_) April 24, 2023
🇵🇹❤️ pic.twitter.com/S6FMf6MjOS
戦術的には、ブライトンの方が一枚上手でしたが、後半ビルドアップの形を変えたブライトンに対してフレッジを入れ、前からのプレスを強化したあたりから流れを引き寄せたのは見事な采配でした。PK戦に関しては全員が決め、最後はマーチが外しましたが、ユナイテッドはシーズンを通して普段からPKの練習を行っていたようでチームとしても自信があったようですね。ユナイテッドがPK戦を制したのは2019年9月のリーグカップ3回戦対ロッチデール戦まで遡ります。ようやく苦手意識のあるPK戦で勝ち上がることができました。見てきたように戦術的にも興味深い対戦でしたが、カップ戦は内容よりも結果の方が当然大事です。FAカップ決勝の舞台まで勝ち進んだことを誇りに思いましょう。そして相手はマンチェスター・シティ。これほど最高のシーズンのクライマックスはないでしょう。必ず勝って今シーズン2つ目のタイトル獲得を!
この試合の結果ユナイテッドはFAカップ決勝に進出。6月3日にウェンブリー・スタジアムでマンチェスター・シティと対戦します。
*スタッツはこちら

次の試合はプレミアリーグ第33節 トッテナム・ホットスパー・スタジアムでのトッテナム戦。4月28日(金)4:15キックオフ。カモン!ユナイテッド!!
最後まで読んで頂きありがとうございました!
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