こんにちはMasaユナイテッドです。
22-23プレミアリーグ第10節。アウェイ、グディソン・パークでエバートンと対戦したユナイテッド。試合は5分にイウォビの素晴らしいミドルシュートでエバートンが先制する展開に。しかし、ユナイテッドも15分にショートカウンターからアントニーが決めてすぐさま同点に追いつきます。29分にマルシャルが負傷のためロナウドと交代するアクシデントが発生。そのロナウドが44分にカゼミーロのスルーパスに抜け出しシュート。これが決まってユナイテッドは前半の内に逆転に成功します。後半に入り、積極性を上げたエバートンがボールを持つ時間が増えます。さらに時間の経過と共にエバートンはパワープレーにシフト。カルバート=ルーインやサロモン・ロンドンなど空中戦を得意とするフォワードを投入し、セットプレーからユナイテッドゴールな迫ります。ユナイテッドもマクトミネイとヴァランを投入してこれに対抗。VAR判定などで追加点は奪えませんでしたが、試合は1-2でユナイテッドが勝利。勝ち点3を獲得しています。
*試合のハイライトはこちら
今回は、ユナイテッドのgoodポイントを4つ挙げてエバートン戦を振り返ります!
以下項目です。
👿ラインナップ

①テンポの良いポゼッション
まず1つ目のgoodポイントは、特に前半に見られた非常にテンポの良いポゼッションです。
試合を重ねるごとに、ボール保持が安定する時間が増えているユナイテッド。オモニア戦に続いてエバートン戦でも、ポゼッションは安定感があり、前半のポゼッション率は69%を記録しています。特に目についたのはそのスピードと、ダイレクトパスの多さです。テン・ハーグ監督の目指すポゼッションは、人もボールもよく動くことが前提です。雨でピッチが濡れていたことも影響したかもしれませんが、パススピードは速く、パスコースを作る動きも頻度が高かったです。また、ワンタッチパスやフリックを入れる事で、エバートンディフェンスにギャップを作ることもできており、今シーズンのユナイテッドのプレミアの試合では、最高ランクのポゼッションだったと思います。
4-1-4-1でブロックを作るエバートンに対して、ユナイテッドのボール保持は3-1-6になっていました。ダロトが上がり、ショーがスライドして3バックを形成。アンカーにカゼミーロを置き、その他の選手はエバートンのライン間に入り込むフォーメーションは、エバートンのハイプレスを仕掛ける勇気を挫くのに十分でした。「6」のところは誰かが下りる動きを入れる事で(主にエリクセンとブルーノ)、マルティネスやカゼミーロの楔のパスを呼び込み、その瞬間にラッシュフォードやマルシャルがライン裏を突くという連携も見事に機能していましたね。しかしながら、自陣におけるパス回しでミスが多かったのも事実。開始5分の失点は、マークされているカゼミーロにアントニーが出してしまったのが原因でしたし、「1」のカゼミーロを助けるために、ボランチ化するタスクを担ったダロトは、スクエアパスを複数回ミスしています。

この辺りは、まだまだ配置や練度を上げる必要がありますが、相手がブロック守備を敷いた時のユナイテッドのボール保持は、今後も3-1-6が基本となる事が予想できます。そして、それにはカゼミーロの存在が大きなポイントとなります。
②カゼミーロがフィット
2つ目はフィットし始めたカゼミーロの存在です。
エバートン戦でプレミアリーグ初先発を飾ったカゼミーロ。ヨーロッパリーグのオモニア戦で先発出場し、安定したパフォーマンスを見せたカゼミーロが、プレミアでどのぐらいできるのかも注目ポイントでした。4-2-3-1の3列目で、エリクセンとコンビを組んだカゼミーロですが、ボール保持の場面ではエリクセンが1列上がり4-3-3に可変。カゼミーロは実質1アンカーとしてプレーしていました。エバートン戦のカゼミーロのスタッツは、ボールタッチは3番目の88回、プレスは最多の20回、ボールリカバリーはチーム最多の12回を記録。地上デュエル勝率は55.5%、空中戦勝率は75%となっています。カゼミーロのプレーはパーフェクトだったわけではありません。失点の原因となるボールロストをしており、それ以外でもボールを失うシーンやパスミスなどもありました。しかし、絶妙なポジショニングでギャップを埋め、鋭いタックルでボールを刈り取るプレーは、流石のクオリティを見せてくれました。
Embed from Getty Imagesまた、上記したようにユナイテッドがボール保持時に3-1-6にフォームできるのは、カゼミロがいるからです。恐らく、マクトミネイやフレッジでは「3-1」でセットするのは難しいと思います。ボールの扱いに難があるためです。カゼミーロはバックラインからのボールをワンタッチでサイドへ散らすシーンもあり、ビルドアップの貢献も申し分ないレベルでした。さらに攻撃面でもあわやゴールか!?というヘディングシュートや、素晴らしいロナウドへのアシストとなるスルーパスも見せました。ボールを持った時の判断もとても早く、ボールを貰う前に周りの状況を確認できていることがわかります。
エバートン戦のカゼミーロでもう一つ特徴的だったのが「ネガトラ」です。チーム最多のボールリカバリー数が示す通り、素早く攻守を切り替えボールを奪い返すプレーを随所に見せています。そして、この「ネガトラ」はチーム全体でも改善が見られたポイントでした。
③意識されていたネガトラ
3つ目は意識されていたネガトラです。
②の項でも書いたように、エバートン戦のユナイテッドは高いネガトラの意識を随所に見せています。オモニア戦ではボールロストした際の切り替えが緩く、あっさり2ゴールを奪われました。ユナイテッドは長年、この攻から守への切り替えに問題を抱えており、ロスト後ズルズル下がってしまいバイタルを開けてシュートを打たれるというシーンは何度見たかわかりませんね。オモニア戦の後、テン・ハーグ監督は恐らくネガトラを再度意識付けしたと思います。エバートン戦では失った時の周囲の反応が鋭く、特に前半はすぐに奪い返すシーンがとても多かった印象です。
*オモニア・ニコシア戦の記事はこちら
ロナウドの得点もカゼミーロが一度失ったあとすぐにリカバリーした後に起こっていますし、1点目のアントニーのゴールも、ビルドアップの場面でダロトのパスがカットされたところから、すぐにブルーノが取り返して素早くアントニーにスルーパスを出したことで生まれています。前半の高いポゼッション率の裏には、このネガトラでのボール奪還が大きく関与しています。①の項でも触れたように、エバートン戦のユナイテッドはボールロストもまあまあ多かったです。にもかかわらず前半70%近い保持率を記録しているのは、失った後すぐに回収できていた為です。
最多のリカバリーを記録したカゼミーロを始め、個人的にはショーのネガトラは100点満点を挙げて良いほど素晴らしいと感じました。海外の分析サイトではネガトラに関して『5秒ルール』を課していると分析しているものもありました。アヤックス時代も、テン・ハーグ監督は失った後5秒以内で奪還する事を意識付けしていたようですが、ユナイテッドでもこれを行っているようです。この5秒ルールを原則としていると考えると、シティ戦の1失点目に関して監督が「突如としてルールを破った」と言った意味がわかりますね。あのシーンはやはり、即時奪回に動くべきシーンだったということでしょう。
Embed from Getty Images④ロナウドの進化
最後はロナウドの進化です。
オモニア戦は90分フル出場したロナウドですが、エバートン戦は再びベンチスタートとなりました。しかし、早い時間にマルシャルが負傷。29分にマルシャルに代わってピッチに立ちました。そして44分にカゼミーロのパスに抜け出し左足でゴール。今シーズンの2ゴール目で、流れの中での得点は初となりました。このゴールでクラブ通算700ゴールという大記録を達成したロナウド。試合後にはクラブのみんなから祝福を受けました。ロナウドのゴールは、チームの団結力を示したという側面もあります。オモニア戦でも、ラッシュフォードをはじめ、ブルーノやダロトもなんとかロナウドにゴールを取らせよういうプレーが見られましたが、やはりエースが得点を挙げるというのはチームの雰囲気に影響を与えます。限られた出場時間で、コンディションもなかなか上がってこなかった今シーズンのロナウドですが、このゴールを機にバンバン得点を挙げてほしいですね。
Embed from Getty Imagesエバートン戦のロナウドは、ゴールもさることながら、チームと一体となって懸命に動くという点で進化が見られました。昨シーズンまでのロナウドは前線で孤立し、気が向いたら降りてきてあまり意味のないボールタッチをして前線に戻るなど、フィールドプレーヤーの中でもやや浮いた存在となっていました。しかし、オモニア戦もエバートン戦も、チーム全体の動きとよく連動できており、攻守両面で無駄の少ない動きができていると思います。66分の自陣まで戻ってボールを奪い、カウンターで一気にゴール前までスプリントしたシーンなどはこれまでのロナウドでは見られなかったプレーだと思います。
ロナウドに関しては、前線の守備に関して言及されることが多いですが、恐らくテン・ハーグ監督がロナウドに求めていることは、前線での強度の高いプレスではなく、こういったチームと連動しての動きだと思います。その上で、ロナウドの最大のストロングポイントである得点力を発揮することがロナウドに求められていることでしょう。マルシャルが再び負傷離脱した今、この動きができるようになったロナウドがトップのポジションでより重要な存在になるのは間違いありません。
👿まとめ
アウェイのエバートン戦という苦戦も予想された試合でしたが、見事な逆転劇で勝ち点3を獲得しました。今回は良かった点を4つに絞りましたが、リーグ戦3戦連発となったアントニーの献身性や、後半パワープレーに出たエバートンに対して、マクトミネイとヴァランを投入して凌いだテン・ハーグ監督の采配などもgoodポイントと言えるでしょう。一方で、失点の仕方はユナイテッドのあるあるの形であり、オモニア戦に続いてあっさり失点してしまっているのは懸念すべきポイントでもあります。ただその後は、前半エバートンにシュートを許さないほどポゼッションしてゲームをコントロールし、逆転まで持っていったのは賞賛に値します。
Embed from Getty Images今回のgoodポイントには、複数のテン・ハーグスタイルに関する項目が含まれています。ハイラインで臨んだ開幕2試合に敗れ、ラインの高さを低くし裏へのボールを増やす戦術変更でリバプール、アーセナルを撃破しましたが、シティ戦の大敗を受けて、再び後方からのビルドアップにトライし、内容も結果も良好になってきています。この辺りのテン・ハーグ監督の微調整は評価できますし、少しづつですが、そのテン・ハーグスタイルが形になり始めているのは明るい兆しです。ゆっくりと、しかし確実に進歩しつつあるユナイテッド。今後の戦い振りがますます楽しみになりますね。
この試合の結果ユナイテッドは5位。4位チェルシーとは勝ち点1差となっています。


次の試合はヨーロッパリーグGS第4戦 オールド・トラッフォードでのオモニア・ニコシア戦。10月14日(金)4:00キックオフ。カモン!ユナイテッド!!
最後まで読んで頂きありがとうございました!
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