【22-23PL第14節】ウェスト・ハム戦に見るマグワイアの課題とデ・ヘアの進化【マンチェスター・ユナイテッド】

Embed from Getty Images

こんにちはMasaユナイテッドです。

22-23プレミアリーグ第14節 ホームだウェスト・ハム・ユナイテッドと対戦したマンチェスター・ユナイテッド。試合は前半、ユナイテッドがボールを保持し、左サイドを中心にハマーズ陣内でゲームをコントロールします。エリクセンがエランガにピンポイントのロングパスを送るもエランガのシュートは枠を逸れ、ラッシュフォードもゴールに迫りますが決められず。逆にハマーズはカウンターからベンラーマ、ボーウェンの両ウィングがユナイテッド陣内へ攻め込みます。均衡が破れたのは38分。エリクセンのクロスにラッシュフォードが頭で合わせてゴール!ラッシュフォードはユナイテッド通算100ゴール目となる快挙を達成しています。しかし後半に入り、スカマッカに代えてアントニオを投入したハマーズが、クロスやセットプレーからユナイテッドを押し込み、徐々にゴールに迫ります。80分台にはハマーズが怒涛の攻めを見せますが、ズマの決定的なヘッドやアントニオのシュート、そして試合終了間際のライスのミドルをことごとくデ・ヘアがビッグセーブ虎の子の1点を死守し、試合は1-0で終了。ユナイテッドが勝ち点3を獲得しています。

*試合のハイライトはこちら

今回は、クリーンシートを達成した守備陣を中心にハマーズ戦を振り返ります。守備全体の評価、そしてマグワイアとデ・ヘアにスポットライトを当て、課題と進化点を考察します!

以下項目です。

👿ラインナップ

22-23PL-14 ユナイテッドvsハマーズ ラインナップ

①ハマーズ戦のディフェンス評価

22-23シーズン、これまで17試合を戦っているユナイテッド。クリーンシートは今シーズン8回目、直近6試合では5試合でクリーンシートとなっています。ハマーズ戦のバックラインはCBにマルティネスとマグワイア、SBにダロトとショーというメンバーに。注目は4-0で敗れたプレミア2節のブレントフォード戦以来のリーグ戦先発となったマグワイア。ELシェリフ戦では90分間プレーしましたが、プレミアのスピードと強度にどこまで対応できるかが問われる一戦となりました。マグワイアに関しては次項で詳しく見るとして、ハマーズ戦のディフェンスラインのパフォーマンスについて先に書きます。

*シェリフ戦の記事はこちら

ハマーズ戦の守備に関しては高評価を与えることができると思います。特にマルティネスのソリッドな守備は完璧でした。地上デュエル勝率100%、ブロック最多の4回を記録。読みに優れ、デュエルの局面でも身体を張ったディフェンスは今のユナイテッドの象徴と言っても良いでしょう。さらにパス成功率92.3%を記録。楔のパスだけでなく、一気にディフェンスライン裏を狙ったパスもあり、ボール保持の場面でも絶大な存在感を見せています。

Embed from Getty Images

ダロトもハマーズ戦、素晴らしいパフォーマンスを見せました。ハマーズの左ウィング、ベンラーマの鋭い仕掛けにもしっかり対応。対ドリブルタックル成功率は100%を記録。タックル4回、インターセプト3回とタイトな守備が目立ちました。また、ボックス内への逆サイドからのクロスを何度かヘディングでクリアしており、これまで対応が苦手だったプレーも改善できていたのは素晴らしいと思います。守備面だけでなく、持ち前の攻撃力も如何なく発揮。キーパス4本、SCAも4回と申し分なし。ビルドアップ時には中盤化し、アタッキングサードではウィングとの連携やボックス内や左サイドまで出て行くなど、ハマーズ相手にも積極的に攻撃参加しました。バックラインではマルティネス同様、替えの効かない選手となっていますね。ショーも、最近のパフォーマンスの良さを継続。キーパス2本、タックル3回、空中戦勝率75%を記録。攻守に安定したパフォーマンスを見せました。特にラッシュフォードとの連携がとても良く、49%を左から攻めたユナイテッドの大きなポイントになっていました。コンディションが上がってからのショーは視野、キック精度、フィジカルとどれもレベルが高いです。このコンディションを維持してほしいですね。

Embed from Getty Images

このようにディフェンダー陣のパフォーマンスを見ると素晴らしく、ハマーズ戦の大きなGoodポイントですが、65分頃から試合終了までハマーズの時間帯が続くことになります。ハマーズは57分にピッチに入ったアントニオをターゲットにした攻撃や、セットプレー、サイドからのクロスなどフィジカル中心の戦い方で優勢を得ます。テン・ハーグ監督も61分の段階でマクトミネイを入れ、中盤の守備力を上げていますが勢いはハマーズの方でした。ユナイテッドは前線からのプレス強度に掛け、エリクセンが高い位置を取れなくなり4-2-3-1の時間が増えます。ラインは間延びし中盤は空洞化、組織的な守備という面では望ましい形ではありませんでした。そういった状況となったため、守備陣のパフォーマンスが目立つことになったという側面もあります。しかし、インテンシティで劣りながらもメンタリティで守り切った守備陣は称賛に値するでしょう。

②マグワイアの課題

そんな素晴らしかった守備陣の中で、怪我から復帰2戦目となったマグワイアのパフォーマンスは「まぁ、悪くもないけど良くもなかった...」というところではないでしょうか。試合後、テン・ハーグ監督は評価していましたが、前半2分には、ハマーズのカウンターに対して中途半端な対応をし、ベンラーマに背後を取られてシュートまで持っていかれています。23分にも、カウンターに出たスカマッカに対してレイト気味にタックルし、ベンラーマにボックス内まで運ばれています。試合勘の部分もあるとは思いますが、昨シーズンから、このようなタックルのタイミングを間違うシーンが目につきます。試合終盤のボーウェンにナツメグされたあと倒しているのも、非常に危ないシーンでした。

Embed from Getty Images

19-20、20-21シーズンとMVP級の活躍を見せたマグワイアですが、現在は壁にぶち当たっているという印象です。その2シーズンと比べて今シーズンは、マグワイアが快適にプレーできない環境となっているのが大きな問題だと思います。それは、バックラインの高さと、左右のポジションの違いです。ハマーズ戦前半のカウンターから2度、バックライン裏を取られたシーンのように、マグワイアが抜かれた時点で大きなピンチを招くことになります。ユナイテッドは過去2シーズンのように、低いラインでブロックを作りカウンターを狙うというチームではなくなっています。CBといえどもボール保持の場面ではハーフウェイライン付近まで上がる必要があり、その分裏を取られるリスクは大きくなります。そこでCBに求められるのは機動力と読みです。現状マルティネスは両方共に満点に近く、ヴァランはどちらかというと読みに長けます。リンデロフも読みに加えてリスクを犯さずあまり上がらないスタイルなので粗が目立ちませんが、マグワイアは機動力も読みも基準以下になります。加えてハマーズ戦のように、タックルのタイミングをミスると致命的です。

もう1つ、マグワイアにとってプレーしにくいのは右のCBとしてプレーする必要があるというところ。過去3シーズンに渡って主に左CBでプレーしてきたマグワイアですが、テン・ハーグ体制では左CBはマルティネス1択状態となっており、マグワイアは不慣れな右で出る事になります。もちろん、本人にそこまでの苦手意識はないと思いますし、代表では右もやっています。右サイドから左サイドへの対角の長いパスを狙いやすいというビルドアップ時のメリットも決して無視できません。しかし、現ユナイテッドの右CBは、ダロトの背後をカバーする必要があります。ハマーズ戦でも、25分にダロトの上がった背後を狙われたシーンがあります。これはデ・ヘアが飛び出して事なきを得ますが、右CBはここのスペースをカバーする意識が求められます。ヴァランにしても、リンデロフにしても右CBが本職となっており、ここのカバーは秀逸です。ダロトがビルドアップやアタックの面で欠かせない存在である以上、右CBにこの動きは必須となります。

このように、マグワイアにとっては少し酷な状況でのプレーとなっていますが、テン・ハーグ監督の指導の下、改善できる可能性は大いにあると思っています。左CBの時は、ショーのカバーもしっかりこなしていましたし、タックルのタイミングや読みという面は自信によるところも大きいでしょう。まずは、ハマーズ戦のようにチームとして結果を出す経験を積みながら、個人のパフォーマンスを改善していければ良いと考えます。

③デ・ヘアの進化

今シーズン開幕当初から、マグワイア同様にテン・ハーグスタイルへの適応に手間取るのではないかと目されていたデ・ヘア。そのデ・ヘアは確実に進化しています。開幕から2戦、後方から繋ぐスタイルに挑戦するも、パスの出しどころが悪く、奪われショートを打たれるシーンが相次いだ後で、テン・ハーグ監督は後方からのビルドアップを一時断念。その後、リバプール、アーセナルを撃破し自信が付いてきた段階で、後方からのビルドアップを再開しました。カウンタープレスも機能し始めたことでボール保持が安定。バックラインも徐々に高い位置を取れるようになってきているのが最近のユナイテッドです。

その中でデ・ヘアは苦手とされてきたボックス外への飛び出しや、組立やプレス回避のパスを徐々に改善していきました。ハマーズ戦でも、25分にエリア外へ飛び出してのクリアを見せ、ビルドアップのパスも非常に精度が高かったです。ハマーズ戦のデ・ヘアは合計32本のパスを試行しています。このうち自陣内へパスを出した24本全て成功しています。失敗となっている8本は全て敵陣へのロングボールで、後半に集中しています。ポゼッションできていた時間帯にはしっかり繋ぎ、押し込また時間帯は、陣地回復のパスを選択したということです。少し前までのデ・ヘアなら、相手が前からプレスしていてもお構いなしにアンカーへパスを出したでしょう。ハマーズ戦のデ・ヘアは状況判断をしっかりしながらパスの種類を変えていたことがわかりますね。

Embed from Getty Images

そしてハマーズ戦、ビッグセーブを連発しチームを救ったデ・ヘア。これこそがデ・ヘアの真骨頂であり、最も優れた能力です。アントニオのミドル、ズマのヘッド、そして終了間際のライスの強烈なシュートをことごとくセーブしたデ・ヘア。まさにワールドクラスのセービングでした。今シーズンリーグ戦のクリーンシートは5度目。これを上回るのはエデルソンとポープのみとなっており、オールド・トラッフォードでの最後の失点はなんと9月8日のヨーロッパリーグのソシエダ戦まで遡ります。ゴールマウスに閉じこもるクラシカルなキーパーからモダンなスイーパーキーパーへ。ワールドクラスのセービングはそのままに、より完成度の高いキーパーへと進化しつつあります。契約延長や、新キーパー獲得の噂もありますが、もはやレジェンドと化しているデ・ヘアを打ち負かすのは、どんなキーパーでも難しいかもしれませんね。

👿まとめ

守備陣の奮闘が光ったハマーズ戦。前半はボール保持で優位に試合を進め、エリクセンの素晴らしいクロスからラッシュフォードがきれいに頭で合わせ先制しました。このゴールはラッシュフォードにとってクラブ通算100ゴール目となる節目のゴール。2009年8月のウェイン・ルーニー以来の快挙となりました。シェリフ戦に続いてのヘディングでのゴールを決めたラッシュフォード。ラッシュフォードも今シーズン、プレーの改善が見られる選手の1人ですね。

Embed from Getty Images

後半は、クロスを入れまくるハマーズに押し込まれますが、マルティネスの奮闘、ダロト、ショーのハードワーク、デ・ヘアの神掛かったショット・ストップでクリーンシートを達成。試合終了のホイッスルと同時に喜びを爆発させたディフェンダー陣の姿が全てを物語っていましたね。キャプテンとして、久しぶりにプレミアのプレーをフルタイムこなしたマグワイアは、今回の記事のように課題があります。しかし、ハマーズ戦では空中戦や当たりの強さは随所に見せており、テン・ハーグ監督の指導でプレースタイルの改善ができれば、19-20シーズンや20-21シーズンのような頼りになる存在ななれるはずです。怪我もあり、出遅れた今シーズン。これからのマグワイアの逆襲に期待したいです。

タフな試合でしたが1点差で守り切り、チームとしての成長を感じさせましたが、相変わらずの貧打傾向は変わっていません。攻撃面で良い形は作れているだけにフィニッシュ精度の改善が課題ですが、不思議と昨シーズンのようなフラストレーションはないですね(笑)。必ず改善できると確信しています。

この試合の結果ユナイテッドは5位のまま。4位ニューカッスルとは1ポイント差となっています。

22-23PL-14 ユナイテッドvsハマーズ スタッツ
22-23PL-14 試合結果

次の試合はヨーロッパ・リーグGS最終戦。エスタディオ・アノエタでのレアル・ソシエダ戦。11月4日(金)2:45キックオフ。カモン!ユナイテッド!!

最後まで読んで頂きありがとうございました!

コメント

タイトルとURLをコピーしました