こんにちはMasaユナイテッドです。
22-23プレミアリーグ第21節 アウェイ、エミレーツ・スタジアムで首位アーセナルと対戦したユナイテッド。試合は入りからアーセナルが攻勢を仕掛ける展開。しかし、先制したのはユナイテッド。17分にラッシュフォードのゴラッソで先制に成功します。アーセナルはその8分後にエンケティアのゴールですぐさま同点に追い付くと、後半8分にはサカのゴールで逆転に成功します。ユナイテッドもマルティネスの魂のヘディングシュートで同点としますが、最後はホームチームの猛攻を凌げず、90分に再びエンケティアに決められて3-2。首位争いに加わるチャンスでしたが、惜しくも黒星に終わっています。
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今回はこの試合を、それぞれのチームの狙いとエリア別の激しい攻防戦にフォーカスして振り返ります!
以下項目です。
👿ラインナップ

①各チームの狙い
公式戦6戦無敗の首位アーセナル対10戦無敗の4位ユナイテッドという好調なチーム同士の対戦。今シーズン、抜群の完成度を誇るアーセナルに対して、進化を遂げたユナイテッドがどのような戦いを見せるのかが大きな注目ポイントとなりました。試合開始と同時にユナイテッドを「圧倒」したアーセナル。3-2というスコアだけ見れば拮抗した好ゲームという印象ですが、その内容ではユナイテッドの完敗だったと言わざるを得ません。試合後テン・ハーグ監督は3失点全てにミスがあったと言っていますが、そもそもアーセナルの「圧」に晒される時間が長かったためにミスが起こったと思います。
新加入ヴェフホルストの献身性もあり、前半ハイプレスで対抗したユナイテッド。いつもより両ウィングはナローに絞ってプレスを仕掛けており、3バック気味に可変してビルドアップをおこなうアーセナルディフェンスに対してマンツーマン気味になるように設定されていました。カゼミーロの出場停止により先発起用となったマクトミネイはエリクセンと共に中央を閉じる役割を担い、エリクセンはボール保持の場面ではアンカーになってバックラインからボールを引き取ります。ユナイテッドは前提としてアーセナルがボールを保持すると考えており、ハイプレスが機能しないと中盤以降は素早くブロックを下げていました。このために中盤と前線の間にスペースができるのですが、これは半分は狙いだったと思います。ユナイテッドは基本的にカウンターで得点を取るように計画しており、そのためラッシュフォードの守備タスクを大幅に減らして前残りさせました。半分狙いと書いたのは、本来ならシティ戦のようにカウンタープレスからショートカウンターを打ちたかったはずですが、カゼミーロの不在とアーセナルの巧みなボール保持を目の当たりにし、ズルズルラインを下げたところもあるからです。
Embed from Getty Images一方のアーセナルの方は、自分たちがこれまでやってきたことを実践するという強者の戦い方を選択。アーセナルはポゼッションのチームですが、そのボール進行は非常に練度が高くオートマティックでした。プレスを受けた選手は反転しバックパス。それに対して3人目の選手が斜め前に走ってフリーマンとなりそこにパスを出すことで難なくプレスを回避しています。チーム全体でユナイテッドを自陣に閉じ込めることを至上命題にしており、高い位置を取るホワイトや、ボランチ化するジンチェンコに明確な意図を感じました。そして自陣を超えたら両サイドにパスを供給。アーセナルは両ウィングのサカとマルティネッリのクオリティを活かすため、1対1で仕掛けられるように周りの選手がサポートします。3得点とも両ワイドでのオーバーロードから始まっており、アーセナルにとっては狙い通りだったのではないでしょうか。
②エリアごとの攻防戦
2-1.MU右サイドvsAR左サイド
この試合の見どころの一つに、各エリアでのハイレベルな攻防がありました。まずは、ユナイテッドの右、アーセナルの左サイドから見てみます。アーセナルの1得点目と3得点目はこのサイドから生まれています。アーセナルの左のウィングはマルティネッリですが、これにマッチアップするのがワン=ビサカ。前節パレス戦では公式が選ぶMOTMにも輝いたワン=ビサカですが、アーセナル戦は思うように相手の攻撃を止められませんでした。1失点目はボールロストでコーナーの原因となり、ゴールシーンでは逆サイドにいて背後からくるエンケティアのマークを外してしまいました。しかし、右のエリアでやられたのは根本的にワン=ビサカを孤立させてしまったためでしょう。
Embed from Getty Imagesワイドに張るマルティネッリに対してアーセナルの左サイドバック、ジンチェンコは再三にわたり偽SBの動きでハーフスペースにポジショニングしましたが、アントニーがハイプレスに出ている時はマクトミネイがジンチェンコとジャカの2人を見なければならなくなります。このためにマクトミネイはマルティネッリにピン止めされているワン=ビサカのサポートができず、アントニーは懸命に戻ってきますがやはり対応は遅れます。ヴァランもエンケティアに対応しており常にカバーリングできるポジションにいるわけではないので、右のハーフスペースはジャカとジンチェンコによって再三侵入を許しました。このために、頻繁にブルーノが戻ってくる必要もあり、攻撃面でパフォーマンスを発揮できない一因ともなっています。オーバーロードとサポート意識の高かったアーセナルに対して対応が後手となったユナイテッドというのがこちらのサイドでした。
2-2.MU左サイドvsAR右サイド
次はユナイテッドの左対アーセナルの右です。17分にラッシュフォードのスーパーゴールで先制したユナイテッド。通常ストロングポイントである左サイドですが、アーセナルも右サイドがストロングポイントなのでここは長所と長所がぶつかり合うエリアとなりました。先制の場面はトーマスのパスをラッシュフォードがカットしたところからのショートカウンターでしたが、何もないところからゴールを作り出したラッシュフォードは本当に素晴らしかったと思います。対ホワイトというところでも早々にイエローを出させて対応を難しくさせるなど、ラッシュフォードはユナイテッドの攻撃で唯一アーセナルを脅かす存在となっていました。
しかしながら、そのラッシュフォードを活かすために前残りさせたことで、右サイド同様に攻守においてショーを孤立させることになりました。そのショーとマッチアップしたのは2点目を決めたサカですが、ショーは代表のチームメイトにかなり手こずることになります。うかつに飛び込めないためにズルズル後退してボックス内への侵入を許す場面が多く、オーバーラップするホワイト(後半は富安)との数的不利の状態も多々ありました。ショーはユナイテッドのボール保持になってもサカを離すリスクは取りにくく、またチームのポゼッションが安定しないことも加わって攻撃参加もままならず、ユナイテッドの攻撃が迫力に欠けた要因の1つとなっていましたね。ストロングポイント同士のぶつかり合いは、より脅威となったアーセナルの方に軍配。
Embed from Getty Images2-3.中央エリア(中盤)
最後はセンターライン(中盤)。アーセナル戦のユナイテッドの課題の1つにカゼミーロの不在をどのように補うのかという事がありました。結論から言うと、カゼミーロの不在は相当な痛手だったという事になります。左サイドの項でも書いたように、代役となったマクトミネイは常に選択を迫られる状況にあり、持ち味である思い切ったデュエルを出せずにいました。そういった事情はあったものの、やはりカゼミーロだったらこうはならなかったという場面も多く見られています。比べるのが酷なのは百も承知ですが、決定的に違うのは「読み」です。カゼミーロはチームがポゼッションを失っても、カウンターを止める位置を素早く察知しリカバリーする能力に長けています。ユナイテッドのカウンタープレスがハマる試合はこのカゼミーロの能力によるところが大きいと言えるでしょう。劣勢にさらされた右サイドのハーフスペースをカゼミーロならもう少し抑えられたはずです。
Embed from Getty Imagesまた、再三言われているようにカゼミーロがいることでエリクセンが高い位置でプレーできるというメリットもあります。アーセナル戦はポゼッション時にアンカーポジションに降りて配球しましたが、やはりここだとエリクセンの良さは発揮しにくいでしょう。しかし、エリクセンのポジショニングはカゼミーロ不在のせいだけではありません。エリクセンには右(ユナイテッドの左)のハーフスペースに入りがちなウーデゴールをマークするというタスクがあったために低いポジションになったというところが大きいと思います。しかし、守備専門の選手ではないだけにウーデゴールを無効化できませんでしたし、カットインしたサカのシュートを止める事もできませんでした。ユナイテッドのゲームプランではブルーノ、マクトミネイ、エリクセンでトーマス、ジャカ、ウーデゴールの中盤を無力化したかったところですが、中盤のエリアも制したのはアーセナルですね。
Embed from Getty Images👿まとめ
好調なチーム同士の対戦、しかも前回のオールド・トラッフォードでの対戦ではユナイテッドが勝利しているために、「勝てる可能性は十分にある!」と思っていましたが内容的には完敗でしたね...。ユナイテッドは、テン・ハーグ監督のもとチームとして進化しているのは間違いないですが、アーセナルも前回の時から大きく成長を遂げていました。勝手なイメージですが、アーセナルは先制すると途端に消極的になり守りに入る傾向があると思っていましたが、ユナイテッドの先制点にも慌てる事無く、自分たちのスタイルを90分全開で披露しました。ただ、ユナイテッドも劣勢の中ラッシュフォードの素晴らしいゴールとマルティネスの魂のヘディングゴールを見せてくれたのは興奮しました。せめて勝ち点1でも取れればよかったのですが、あれだけ圧を掛けられ続けると凌ぐのは難しかったでしょう。
Embed from Getty Images今回の記事では各エリアごとの攻防に焦点を当てましたが、個々のクオリティでも組織としての完成度、プレーのバリエーションの多さでもアーセナルに一日の長がありました。それは謙虚に認め、改めてユナイテッドの現在の立ち位置を確認できた試合でもあったと思います。テン・ハーグ監督が語ったようにこのレベルの試合で、連続してエラーを犯すのはあってはならないですし、パレス戦の記事でも書いたようにアウェイのパフォーマンスは改善が必要です。でも、やっぱり言い訳させてください(笑)。カゼミーロの不在は大きかったですし、何よりユナイテッドは後半明らかに疲労が見られました。1週間試合のなかったアーセナルに対して中3日のユナイテッド。ハイプレスを積極的に仕掛けたユナイテッドがもたないのはある意味仕方ないです...。フレッシュな状態のユナイテッドならもう少し高い強度でプレーでき、よりエキサイティングな試合になったのではないでしょうか?やはり、このタイミングでパレス戦をぶち込んできたFAを恨むことにします(笑)。
*パレス戦の記事はこちら
この試合の結果ユナイテッドは首位アーセナルと11ポイント差の4位。3位のニューカッスルとは同ポイントとなっています。


次の試合はEFLカップ準決勝1stレグ ザ・シティ・グラウンドでのノッディンガム・フォレスト戦。1月26日(木)5:00キックオフ。カモン!ユナイテッド!!
最後まで読んで頂きありがとうございました!
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