こんにちはMasaユナイテッドです。
22-23プレミアリーグ第3節。ホームで宿敵リバプールと対戦したユナイテッド。試合は開始からインテンシティ高く入ったユナイテッドが16分にサンチョの素晴らしすぎるゴールで先制します。さらに後半に入った53分には、途中出場のマルシャルが敵陣でボールを奪いラッシュフォードへスルーパス。これをラッシュフォードが冷静に沈めて2点リードします。リバプールも81分にサラーが押し込んで1点返しますが、ユナイテッドは86分にワン=ビサカ、ロナウド、ファン・デ・ベークを投入。71分にピッチに入ったフレッジも含めてメンバーをリフレッシュし逃げ切りに成功。宿敵相手に2-1で勝利し、嬉しい今シーズン初勝利を挙げました。
試合のハイライトはこちら
開幕から低調なユナイテッドが、なぜ強敵リバプールに勝てたのか。今回はリバプール戦の勝利のポイントを4つ挙げて試合を振り返ります!
以下項目です。
①ラインナップ

まず最初のポイントはラインナップ、選手選考です。リバプール戦のユナイテッドのスタメンは、4-0で大敗したブレントフォード戦から4枚を変更しました。先発を外れたのはマグワイア、ショー、フレッジ、ロナウド。代わってヴァラン、マラシア、マクトミネイ、エランガがスタメンとなりました。先発を外れた4人がブレントフォード戦の敗因だったわけではありませんが、パフォーマンスとコンディション、戦術適合性も合わせて総合的に判断されたと感じます。また、リバプール戦のポイントとなったのは、インテンシティを上げる、スピードある攻撃を仕掛ける、チーム一体となってハードワークするという点です。詳しくは次項より書きますが、今回のスタメン選考はこの3点をポイントに置いた結果だと思います。
Embed from Getty Imagesさらにシステムに関しても、プレシーズンと開幕2試合で採用した4-3-3ではなく4-2-3-1を使用。マクトミネイとエリクセンのダブルボランチで重心を後ろに置いたのは、相手がリバプールだという事が大きいでしょう。4-3-3のリバプールに対してほぼマンマークでハメることができますし、押し込まれる時間帯が長いとの予想からこのシステムとなりました。特にプレスの際には、マーカーがハッキリするというのはユナイテッドの選手にとってはやりやすかったはず。アンカーのヘンダーソンにはブルーノがマンマークで付き、マクトミネイもファジーなポジションを取るミルナーを監視しました。ダロトの執拗なディアスに対する当たりや、敵陣までフィルミーノを迎撃に行くヴァランの守備などはプレスの際の役割がハッキリしていたことも大きな要因だったと思います。
②戦術変更
上記したラインナップ、システムと大いに関係しますが、次にポイントとなったのはこの試合の戦術です。テン・ハーグ監督はユナイテッド就任以降、チーム戦術の柱にポゼッションを掲げています。自陣からパスを繋いでビルドアップし、ユニットを組んで前進。相手をポゼッションで圧倒し攻撃の時間を長く取るというのが監督の理想とするサッカーです。プレシーズンではポゼッションで手応えがあり、確実に上達もしていましたが、プレミアが開幕するとそのビルドアップの場面が狙われる事態に...。開幕ではブライトンのハイプレスに苦しみ、ブレントフォード戦ではビルドアップのミスから2失点を喫しました。
*前節の記事はこちら
これを受けてテンハーグ監督は、リバプール戦でチーム戦術を変更。自陣からのビルドアップは止め、ボールを奪ったら素早くリバプールのバックライン裏を取るカウンター戦術を採用しました。これが、スタメンがロナウドではなくラッシュフォードとエランガだった理由であり、結果的にこの2人は前半にカウンターから決定機を迎えています。2得点目のラッシュフォードの得点はまさにショートカウンターでしたが、ビルドアップも無理に繋がず、実際ゴールキックはほぼ全てロングボールを蹴るようにしていましたね。ポゼッション率はリバプール70%、ユナイテッド30%となっており、数字的にも明らかに開幕2試合とは異なります。
Embed from Getty Imagesある意味この戦い方はスールシャール前監督と同じだとも言えます。ただ、スールシャールとテン・ハーグの大きな違いは、テン・ハーグ監督は引いて守る意識はそこまでさせていないというところです。特に前半は前線からプレスを掛け、後ろもマンマークで連動することで高い位置からボール奪取を狙っていました。後半になるにつれ押し込まれる時間が増え、重心が下がりましたが、これはリバプールがギアを上げたことが主な要因です。そして、素早い攻撃を行う時も、前線の選手だけで完結させるのではなく、バックラインもしっかり押し上げ、遅攻にも持ち込めるようにサポートしていました。先制点はユナイテッドがポゼッションで押し込んで生まれており、またフィニッシュの直前にはエランガがニアゾーンを取ってからサンチョへマイナスのクロスを送るというテン・ハーグ監督の典型的な崩しの形でした。
このように、対リバプールという視点で戦術を修正したテン・ハーグ監督ですが、ある意味、開幕2戦の内容から身の丈に合った戦術に戻したとも取れます。ポゼッションで相手を窒息させるような戦いはまだまだトレーニングを重ねる必要がありそうですが、リバプール戦に関してはこの路線変更は項を奏したと言えますね。
③バックラインの踏ん張り
この試合もう一つのポイントとなったのは、ディフェンス4人の頑張りです。スタメンのヴァラン、マルティネス、ダロト、マラシアは気持ちの入った素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。マグワイアに代わって先発したヴァランはディフェンスリーダーとしての役割を担い、普段のヴァランよりも積極的なディフェンスを見せました。空中戦勝率は100%、タックルはマラシアに継ぐ4回、クリアは最多の8回を記録しています。ダロトもタイトなマークでディアスを封じました。ファールを取られる場面もありましたが、明らかにいつもより積極的に当たりにいっていましたね。
Embed from Getty Imagesそして新加入の2人、マラシアとマルティネスも圧巻のパフォーマンスを披露。サラーと相対したマラシアは、プレミア初先発ながらエースに決定的な仕事をさせず。タックルは両チーム合わせて最多の8回を記録しています。とにかく集中力とスピードが素晴らしく、マルティネスと共に左サイドの「防波堤」として機能してくれたことは頼もしい限りです。MOTMに選ばれたマルティネスはまさに「闘犬」のごとく熱いパフォーマンスを見せました。開始1分で激しくサラーを潰しにいくと、40分にもサラーのボックス内のシュートを体を投げ出してブロック。このプレーの後バックラインのメンバーからハイタッチで労いを受けました。マルティネスは危機察知能力が高く、危ないスペースにいち早く気づき埋める動きも多い印象。前半には自分の蹴ったロングボールが相手に渡った瞬間に全力で戻りカウンターに備えていましたし、57分にはリバプールのスローインからのプレーで、右サイドのスペースにディアスが走り込んだところをマルティネスがカバーに入って阻止しました。激しく当たれる一方で、常に冷静に、一歩先を読んでプレーできているところは本当に素晴らしいです。今後の試合で身長が問題になる事があるかもしれませんが、個人的にはCBのマルティネスに太鼓判を押します。いや、マジで大好きです(笑)。
Embed from Getty Imagesちなみに先制点のポイントとなったのは、マルティネスのダイレクトのパスです。マラシアのバックパスをマルティネスはダイレクトでエランガに出してますが、リバプールのベクトルの逆を取るこのパスで、一瞬リバプールディフェンスは足が止まりました。何気ないプレーですが、かなり効果的だったと思います。パス出しができるのもマルティネスの魅力。CBながら見入ってしまうプレーヤーです。
*リサンドロ・マルティネスvsリバプール!
🔴 Licha 🔴
— Manchester United (@ManUtd) August 24, 2022
Enjoy all the best moments from @LisandrMartinez‘s #MUNLIV performance Monday night 🙌#MUFC || #PL pic.twitter.com/QdOc2Qr2Cb
④チームスピリット
最後はチームスピリットです。前項のバックラインだけでなく、全ての選手が強い気持ちで試合に臨み、全力でプレーしたのが伝わってきました。ブルーノはキャプテンとして攻守に渡りハードワークしましたし、ラッシュフォードもスペースを狙うという役割をこなしつつ、タッチライン際ではスライディングタックルを見せるなど守備にも奮闘しました。開幕1、2戦の不甲斐ないパフォーマンスから、見事なバウンスバックだったと思います。ブレントフォード戦では相手より14km少ない走行距離が話題になりましたが、リバプール戦のユナイテッドは155回のスプリントで合計113.78km走行し、これはリバプールの110.6kmよりも多く、またスプリント回数では51回多くなっています。マルティネスやヴァランは最後足を攣っていましたが、これだけ全員がハードワークした試合はここ数年記憶にありません。
Embed from Getty Imagesまた、チーム一丸となって戦えたことも称賛に値します。随所で選手同士の声掛けや、良いプレーに対する胸アツリアクション、逆に危ないプレーには修正の声掛けが見られ、サブの選手も試合に集中し先制点の場面では喜びを爆発させていました。ホームの観客の歓声の後押しもあり、雰囲気とメンタル面ではリバプールを圧倒しましたね。ピッチの選手とベンチが一体になって戦う姿勢を示したというのも、それこそファギー時代まで遡るかもしれません。ブルーノとヴァランがリーダシップを発揮し、新加入の3人が熱いプレーを見せ、ラッシュフォードとサンチョというユナイテッドの将来を背負って立つ2人が点を決める。途中出場のマルシャルがしっかり仕事をこなしつつ観客を煽り(笑)、指揮官は常にピッチサイドで指示を出す。まさに完璧な試合展開だったと感じました。
👿まとめ
怪我人が続出し、開幕から勝ちのないリバプールとはいえ、昨シーズン2冠、プレミア2位、CL準優勝のチームを撃破したことは誇りに思って良いでしょう。その勝利のポイントとなったのは、上に見てきた4項目になります。この中で、最も重要だったのは間違いなく④のチームスピリットです。多くのユナイテッドサポーターが「これがずっと見たかった!」「これぞユナイテッドだ!」と感涙したと思いますが、チーム一丸で強い気持ちで戦うという「姿勢」を示してくれたことは素直にうれしく思います。
しかし、個人的には「姿勢」だけで臨んでいないところが「ミソ」だとも思います。ブレントフォード戦を反省し団結したのは事実ですが、テン・ハーグ監督は試合に対する準備も怠りませんでした。それが、戦術やラインナップに表れています。ただ気持ちだけで勝てるほどプレミアは甘くありません。それを勝利へと導く「方法論」を持っている事も重要です。テン・ハーグ監督はとことんディテールに拘る監督です。試合に臨む姿勢を正すだけでなく、勝つための方法論も用意し、しかも自身のやり方を押し付けるのではなく、選手に合わせた、選手が「できる」と思える方法論を使ったところに今回の勝利のポイントがある気がします。
Embed from Getty Imagesそして、最も重要なことはこの戦い振りを継続させることです。「宿敵リバプールが相手だったから」や「ブレントフォード戦が酷かったから」できた...ではダメです。毎試合でこれだけの熱量とインテンシティとチームワークを維持する必要があります。ユナイテッドレベルの選手たちが、これだけのハードワークをすれば勝利に近づくのは間違いありません。そして、今シーズンはさらに「正しい」指揮官がいるのです。戦術に関しては、安定するまでにはまだ時間が掛かるかもしれませんが、選んだ道を信じて一歩一歩進んでいって欲しいですね。リバプール戦のユナイテッドは、間違いなく正しい姿を見せてくれました。
この試合の結果、ユナイテッドは14位浮上。次戦のゲーゲンプレス・セインツに対してテン・ハーグ監督はどのように臨むのかも要注目です!そして新戦力カゼミロ!期待!!


次戦はセント・メリーズ・スタジアムでのサウサンプトン戦。8月27日(土)20:30キックオフ。カモン!ユナイテッド!!
最後まで読んで頂きありがとうございました!
コメント