こんにちはMasaユナイテッドです。
22-23プレミアリーグ第34節 ホームでアストン・ヴィラ(以下ヴィラ)と対戦したユナイテッド。試合は12分にブルーノのパスからラッシュフォードが抜け出し左足でシュートしますが、エミリアーノ・マルティネスに防がれゴールなりません。その後もヴィラのハイライン裏を執拗に狙ったユナイテッドは、ザビッツァー、カゼミーロなどが惜しいシュートを放ちます。ヴィラもブエンディアのクロスにワトキンスが詰めますが、辛うじてダロトがブロックしゴールを許しません。先制したのはユナイテッド。39分、ラッシュフォードのシュートのこぼれ球をブルーノが押し込み先制に成功します。後半に入りお互いにシュートチャンスを得ますが、それぞれ好守で決定機を作り出すことができない固い展開が続きます。ユナイテッドは86分にマグワイアを投入し5バックに変更。守備を固めます。試合はそのまま終了し、ユナイテッドが1-0で勝利。好調ヴィラから3ポイントを獲得しています。
*試合のハイライトはこちら
今回はこの試合でパフォーマンスの良かった4選手にフォーカスしてヴィラ戦を振り返りたいと思います!
以下項目です。
👿ラインナップ

①ブルーノ・フェルナンデス
39分にゴールを挙げるとこれが決勝点となり、MOTMに輝いたブルーノ。ヴィラ戦では右サイドでの先発となりましたが、攻撃戦術的に非常に重要な役割を担いました。コンパクトなハイラインで戦うヴィラはライン裏に比較的スペースを残しています。ユナイテッドはブルーノを右に配し、そこから裏を狙う戦術を実行します。裏へのランニングはトップのラッシュフォードとトップ下のサビツァーが担当し、中央のエリクセン、カゼミーロからも積極的にライン裏へのパスを狙いました。特に前半はこの戦い方は明確でした。開始からラッシュフォードが抜け出し、ザビッツァーが飛び出してシュートを放つなど狙いはハッキリしていましたね。ただオフサイドも多く、前半だけで6回のオフサイドを記録しています。ブルーノのゴールはヴィラのゴールキックをカゼミーロがヘディングで跳ね返したボールにラッシュフォードが抜け出しシュート。これをエミリアーノ・マルティネスが弾いたところにブルーノが走り込んで決めました。このシーンでもヴィラの最終ラインはハーフェイライン付近まで上げており、ラッシュフォードは集中してラインブレイクのタイミングを計っていました。
Embed from Getty ImagesブルーノはFAカップ準決勝で負った打撲の痛みがまだあるようですが、戦術的にも精神的にも欠かせない存在です。いつものトップ下ではなかったために、チャンスクリエイトの数は12分のラッシュフォードへのパス1本だけでしたが、この時も左サイドに流れてプレーしており、的確なポジショニングとプレー選択でチームの攻撃をオーガナイズしました。試合後テン・ハーグ監督も
彼は非常に優れたプレッサーであり、いつクローズアップするか、いつ相手を窮地に陥れるかを理解している。また、彼は走ったり、追いかけたり、相手へのパスラインを閉じるタイミングもわかっている。もちろん、ラインの間でプレーしてパスを出したり、自らラインの裏を取ったりすることもできる。たくさんのスキルを持っている彼のような選手と一緒に働くのは楽しい。
ユナイテッド公式
とブルーノを称賛。スパーズ戦に続いて素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。
②カゼミーロ
ここ数戦、以前のような圧倒的存在感のなかったカゼミーロですがヴィラ戦は圧巻のパフォーマンスを披露。アンカーとしてバックライン前にポジションを取り、ビルドアップとカバーリングでチームに大きく貢献しました。ヴィラの前線のプレスはトップのワトキンスとトップ下のブエンディアが横並びになる事が多く、全体では4-4-2の形でプレスを掛けます。アンカーであるカゼミーロにはブエンディアがカバーシャドウで見る形となりますが、容易にポジションを調整できるためにカゼミーロは最終ラインからボールを引き出しやすかったと思います。ヴィラの中盤はデンドンケルはエリクセンを、ドグラス・ルイスはザビッツァーを見ることが多く、いつもより4-1-4-1気味に構成し、エリクセンを高い位置に置くことでカゼミーロはよりフリーになっていました。ボールを受けたカゼミーロは、チーム戦術通り前線の飛び出しに合わせて正確な長いボールを蹴り、チャンスメイクにも貢献しました。ボールタッチは76回、パス成功率88%、ファイナルサードでのパスは10本を記録。また、10本のロングボールを放ち、6本成功させています。
Embed from Getty Images守備面でも持ち味の危機察知能力を如何なく発揮し、特に右サイドのカバーリングで何度もラムジーの進行を阻止しています。この試合のカゼミーロは7回のボールリカバリー、4/4回のタックル成功、4回の地上デュエル勝利、3回の空中戦勝利など圧巻の守備スタッツも記録しています。今シーズンの2回のレッドカードでの出場停止後心なしか元気がなく、激しいプレーを躊躇しているようにも見えたカゼミーロですがヴィラ戦は本来のカゼミーロに戻ったように見えましたね。テン・ハーグ監督も
試合によっては、出場停止でリズムが崩れてしまい、それを取り戻さなければならないこともある。しかし、今日のカゼミーロは、ほぼシーズンを通して見てきたカゼミーロであり、組織力、冷静さ、決断力など、多くのものをもたらしてくれた。彼のリーダーシップは、我々にとって非常に重要だ。彼が手本になる」
ユナイテッド公式
とパフォーマンスを評価しています。リーダーシップという点では試合終了後にブルーノに文句を付ける一幕が話題になりました。恐らくですが、94分のプレーでブルーノがボールをキープしようとして奪われたシーンに関してだと思います。すぐそばでカゼミーロがサポートしていたにも関わらず、ボールキープを選択し、結果ロスト。この一連のプレーの最後で自陣ゴール前でのフリーキックに繋がっていました。カゼミーロはこのことに「なんでパスを出さないんだ?」と言ったようです。勝った試合の直後でも、こういったディテールを疎かにしないカゼミーロはまさに勝者のメンタリティを持った素晴らしい選手ですね。
Bruno and Casemiro.
— UF (@UtdFaithfuls) April 30, 2023
This is what happens when you have leaders in your team. Questions, accountability, professionalism.
Love how they hugged it out in the end. ❤️pic.twitter.com/gFepte6vBa
③ルーク・ショー
今シーズン、9試合目のセンターバック起用となったルーク・ショー。ボールタッチは最多の100回、パス成功率93%を記録。9本のファイナルサードでのパス、地上デュエル勝利3/4回、6回のボールリカバリーを記録するなど、非常に堅実なビルドアップへの貢献と安定した守備でチームの勝利に貢献しました。ショーのCBとしてのプレーの興味深いところは、臨機応変にポジションを変化させているところです。ビルドアップ時にはダロト、リンデロフと共に3センターバックを形成し、エリクセンがクロース・ロールで降りてくるときはショーが1列上がってボランチになります。逆にマラシアがインナーレーンへ入る時は、ショーがサイドバックの位置に行くなど、1試合の中でCBとしてもSBとしても、DMFとしても振る舞っているところです。このあたりはマルティネスを始め、ほかのどのCBにもない柔軟性があり、ボール保持の局面での重要度はかなり高いと思います。
Embed from Getty Images守備面にしても、185cmとCBとしては決して高くないにも関わらず、致命傷になるような競り負けは見られず、またスピードを活かしたカバーリングも非凡なものがあります。ヴィラ戦では主にブエンディアとやり合う場面が多かったですが、デュエルに対する強い意志も頼もしく映ります。CB起用された9試合、7勝2分けと負けていないというのもショーのCB起用の有用性を示しています。ただ、ショーをCB起用した際の懸念はマラシアがサイドバックに入ることですが、ヴィラ戦に関してはマラシアも素晴らしいパフォーマンスで勝利に貢献し、不安を払拭してくれました。テン・ハーグ監督はショーに関して
ショーはセンターバックでのプレーが好きで、彼はサイドバックだが中央でとてもうまくやっている。4バックと中盤は常にコミュニケーションが必要なので、協力し合うことが必要だが、彼らはとてもうまくプレーしてくれているので、満足している。
ユナイテッド公式
と語っており評価しています。テン・ハーグ監督はアヤックス時代ダレイ・ブリントをCBとLBで起用し、戦術のキーマンの1人としていました。今のショーは監督にとってブリントのような存在なのかもしれませんね。
④ヴィクトル・リンデロフ
この試合のMOTMの呼び声も高かったリンデロフ。個人的にはリンデロフのパフォーマンスに痺れました(笑)。ボールタッチ72回、パス成功率は97%を記録、4回のヘディングクリアとシュートブロック1回を記録しています。13分にはラッシュフォードへの高精度のロングパスを見せるなど、パスでの貢献も高かったリンデロフですが、圧巻だったのは守備面。マッチップしたワトキンスをシャットアウトし、60分のラムジーのシュートを身を挺してブロック。81分のドグラス・ルイスの決定的なシュートもヘディングでクリアしています(判定はその前のプレーでオフサイド)。積極的な守備を見せるショーとの相性も抜群で、冷静な読みとカバーリングでディフェンスラインを統率しました。この試合のユナイテッドのディフェンシブ・アクション・ハイトは50.3(m)となっており、ハイラインでもリンデロフは問題なくプレーしていたことがわかります。
Embed from Getty Imagesリンデロフに関していつも感心するのはその安定感。出場時間が減っていても、出番がくればほとんどミスのないプレーを見せます。また相棒を選ばない柔軟性があり、誰と組んでも、左右どちらのCBでも問題なくプレーできます。ややフィジカルゴリゴリのフォワードとのマッチアップに不安がありますが、3番手のCBとしては申し分ないレベルでしょう。来シーズンで契約満了となるリンデロフは今夏の移籍の可能性も否定できませんが、簡単に手放すべきではない選手だと思います。テン・ハーグ監督はヴィラ戦のリンデロフに対して
「ビクトルは、ポゼッション内外でも、コントロールしながら守備をし、ビルドアップの時も落ち着いていて、ポジショニングもいいし、素晴らしいプレーをしている。」
ユナイテッド公式
とコメントしています。また、キャプテン、ブルーノも「ヴィクトルは今日は素晴らしかったと思うし、ピッチ上で最も優れた選手の1人だった」と称賛するコメントを残しています。
👿まとめ
直近10試合無敗と絶好調のヴィラ相手、しかも11月のアウェイ戦では負けている事もあり難しい試合になると予想しましたが、開始からヴィラのライン裏狙いの戦術が機能し再三ゴールに近づきました。結局はブルーノの得点の1点のみでしたが、ビルドアップ、ボール保持、トランジッションなどクオリティの高さを見せしっかりゲームコントロールできていたと思います。今回はパフォーマンスの良かった4選手にフォーカスしましたが、その他でもダロトとマラシアの両サイドバックも素晴らしいパフォーマンスでした。ダロトのボール保持、パスでの展開力は見事でしたし、マラシアの前節スパーズ戦の汚名挽回のパフォーマンスも素晴らしかったですね。守備陣が良い仕事をしたヴィラ戦ですが、攻撃陣もフィニッシュ以外は安定したパフォーマンスを見せていると思います。特にザビッツァーは戦術的にも重要な役割をこなし、改めて仕事人ぶりを発揮しました。
Embed from Getty Images*スパーズ戦の記事はこちら
また、ヴィラ戦ではピッチ上で繰り広げられた2つのチームメイト同士の口論も注目されました。1つは上記したカゼミーロとブルーノのやり取りで、もう一つは前半にあったサンチョとブルーノのやり取りです。サンチョのボールロストに対して文句を言ったブルーノにサンチョは「文句言うのはやめてくれ」と言っているシーンがクローズアップされました。しかし、この両方共にネガティブなことはなく、こういったチームメイト同士で勝利のためにぶつかり合う事はむしろ歓迎すべきことです。テン・ハーグ監督が常に言っているようにこれこそがユナイテッドに求められている「高いスタンダード」であり、常勝軍団に戻るには必要な事なのです。今シーズンのユナイテッドはピッチ上でのコミュニケーションが明らかに増えました。これも成長の証だと、私は思います。
この試合の結果ユナイテッドは63ポイントに。ヴィラ戦の勝利は、早期に4位以内を確定させる意味でも重要なものとなりました。今節リバプールvsスパーズの試合がありましたが、リバプールが勝利したため5位に順位を上げています。リバプールは残り5試合で最大71ポイントになります。この数字を意識するならユナイテッドは残り6試合で9ポイント獲得すれば良いということになります。また、残り試合が7試合と多い8位ブライトンは最大73ポイントまでいきますが、ユナイテッド、アーセナル、シティ、ニューカッスル戦を残しているため全勝は難易度SSSになります。実質のライバルはやはりリバプールということになりますね。


次節プレミアリーグ第28節延期分は アメックス・スタジアムでのブライトン戦。5月5日(金)4:00キックオフ。カモン!ユナイテッド!!
最後まで読んで頂きありがとうございました!
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