こんにちはMasaユナイテッドです。
22-23プレミアリーグ第35節 アウェイ、ロンドン・スタジアムでウェスト・ハム・ユナイテッド(以下ハマーズ)と対戦したマンチェスター・ユナイテッド(以下ユナイテッド)。試合は立ち上がりからラッシュフォードやブルーノ、アントニーがゴールに迫りますが決め切ることができません。ハマーズは26分、中盤の混戦から抜け出したサイード・ベンラーマがボックスの外からシュート。これをデヘアが処理できずにボールはゴールに転がりハマーズが先制に成功します。後半に入り、セットプレーやクロスからアントニオやパケタがユナイテッドゴールを脅やかしますが、こちらも得点には至りません。ユナイテッドはマルシャルやサンチョ、ザビッツァーなどを投入。アディショナルタイムにはマルシャルに得点のチャンスが来ますがこれも決まらず。試合は1-0でハマーズが勝利。ユナイテッドは開幕以来の連敗を喫し、CL権確保に黄色信号の灯る手痛い敗戦となりました。
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今回はこの試合を4つのトピックスで振り返ります!
以下項目です。
👿ラインナップ

①デ・ヘアのミス
28分、ベンラーマが中盤でボールを奪いそのままドリブル。ゴールまでまだ距離のあるところからシュートを放ちます。それほど強いシュートではなかったですが、これをデ・ヘアが処理できず、ボールはゴールへと吸い込まれ失点しました。その後もユナイテッド攻撃陣は得点を奪うことができず、デ・ヘアの「ミス」が勝敗に直結する形で敗戦となりました。今回のデ・ヘアのプレーは擁護のしようもない明確なミスです。軸足が若干滑ってますが、ボールには間に合っていますしパワーが足りなかったとしても外に弾き出すことができたはずです。ハマーズ戦のデ・ヘアはこれ以外にもビルドアップのミス、セットプレー時の対応のミスなど多くのエラーがありました。ハマーズ戦のパフォーマンスは批判されて当然だと思いますし、ユナイテッドではあってはならないレベルです。このミスにより、今シーズンの公式戦で失点に繋がったミスが4つとなり、スパーズのロリスと並んで最多となったデ・ヘア。ヨーロッパリーグ準々決勝の2ndレグでもミスを犯し、敗退の一因となったのは記憶に新しいでしょう。フットボールにミスは付きもので、あまり個人を責めるべきではないかもしれませんが、仮に4位以内の確保に失敗すれば、間違いなくこの試合のデ・ヘアのパフォーマンスは批判の的となるでしょう。テンハーグ監督は、それでもデ・ヘアのリーグ最多となるクリーンシート数(15回)を根拠に擁護し、チームメイトも信頼を強調していますが、流石に潮目が変わっても不思議ではないミスだったと思います。
Embed from Getty Imagesデ・ヘアに関しては今シーズンいっぱいで契約が切れますが、現在契約延長交渉が行われており、来シーズン以降もチームに留まることが有力視されています。しかし、それは絶対的な信頼の上に行われるものではなく、キーパー獲得資金の目処が立っていないため、という見方もできます。オーナー人事が不透明であることもあり、補強予算などもどこまで具体的になっているのか疑問です。このような状況で新たなキーパー獲得に動けるとは思えません。となると正GKに関してはノッディンガム・フォレストにローンで出しているディーン・ヘンダーソンを戻すか、デ・ヘアのままかという2択に...。しかし、ヘンダーソンに関してはフロントへの不満から恐らくユナイテッドでプレーすることはもうないのではないかと個人的には推測しています。つまりは、現時点でのもっとも現実的な選択肢はデ・ヘアの契約延長しかないということに。ただ、オーナー人事の決着次第で状況は一変する可能性があり、補強費を確保できるなら新たなキーパー獲得に動くと思います。そして、恐らくですがテン・ハーグ監督は本心ではデ・ヘアに満足していないでしょう。やはり足元の技術のある現代型のキーパーを望んでいるはずです。そして、既存のキーパーの交代はペップのシティ(ハートからエデルソンへ)、クロップのリバプール(カリウスからアリソンへ)、アルテタのアーセナル(レノからラムズデールへ)でも起こったスカッド変更です。ある意味キーパーは監督の戦術の象徴であるべきです。今のデ・ヘアはその基準を満たしているとは思えません。仮に来シーズンもデ・ヘアを正ゴールキーパーとするならデ・ヘアには多くの改善が必要になります。
②ブロックを崩せない
ハマーズ戦は、前節ブライトン戦同様に前半にあった得点のチャンスを活かせず、時間が経つにつれ強固になっていくハマーズのミドルブロックを崩すことができませんでした。ブルーノやアントニー、ラッシュフォードには得点してもおかしくないシチュエーションからのシュートがありましたが、どれも決定機とは呼べず、最もゴールに近づいたのはアディショナルタイムのマルシャルの突破からのシュートと、コーナーキックのヘディングシュートでした。そういった意味では前半からハマーズの守備ブロックを崩すのに苦労したと言えるかもしれません。ユナイテッドはハマーズ戦で並びを変更。トップにラッシュフォード、10番にヴェフホースト、左サイドにブルーノという並びで臨みました。しかしそのポジションはかなり流動的で、ブルーノは幅広く2列目をカバーし、ラッシュフォードは左に流れることも多かったです。ヴェフホーストは自身のタスクであるトランジッションでのプレスバックを献身的にこなし、ボール保持ではポストワークを担いました。ただ、得点パターンであるバックライン裏を素早く攻める形は作れず、デクラン・ライスの質の高い守備によりライン間にブルーノやエリクセンを入れ込むこともなかなかできませんでした。
*ブライトン戦の記事はこちら
Embed from Getty Imagesハマーズは強固なブロック守備から奪ったら素早く前線へドリブルで運び、サイドからのクロスを使って効果的にユナイテッド陣内に攻め込みました。この試合の最終スコアは1-0ですが、リンデロフのハンドを見逃しもらい、セットプレーではデ・ヘアへのファールを取ってもらったり、微妙なオフサイド判定に助けられるなど、ジャッジの面で助かったシーンもありました。下手すればもっと点差が開いて負けていた可能性もあったでしょう。後半に入り、57分でテン・ハーグ監督はマルシャルを投入します。投入前に指揮官自らマルシャルに入念な指示を与えており、かなり重要なタスクが与えられたように思いました。マルシャルの動きを見ると、主に左サイドにポジショニングしていることがわかります。トップとしてピッチに入りましたが左ハーフスペースで降りてポストプレーを行い、ファイナルサードでは左のチャンネル侵入を再三行っていました。ブルーノを左で先発させたことからも、左サイドのオーバーロードをハマーズ攻略のカギとしていたかもしれませんが、対応したティロ・ケーラー、トマーシュ・ソウチェク、ナーイフ・アゲルドのブロックを崩すには至りませんでしたね。個人的には左の攻撃を機能させたいならショーをサイドバックにした方が良かったと思います。マグワイアを入れてマラシアを下げ、ショーをサイドバックに変更するプランもあったと思いますが、最後までこの形は実行されませんでした。
Embed from Getty Images③疲労の限界
ユナイテッドがハマーズに苦戦した大きな理由は「疲労」だと、いくつかのメディアが報じています。確かにハマーズ戦のユナイテッドはボールへの反応が鈍く、インテンシティも明らかにハマーズの方が上でした。モイーズ監督も言っているように、ブライトン戦から中2日でシャープさに欠けたのは見て取れました。例えば先制点のシーンも、中盤でベンラーマがボールを奪ってドリブルでボールを運びますが、ショー、ワン=ビサカ、リンデロフがいながら誰も阻止できていません。ベンラーマにボールが渡る前にはマラシア、カゼミーロにもボール奪取の機会がありましたがボールが足に付かない状態でした。特に疲労を感じさせているのはカゼミーロ、ワン=ビサカ、ブルーノ、ラッシュフォード、アントニー辺り...。もしかしたらエラーを連発したデ・ヘアも疲労の影響があるかもしれません。ブライトン戦の後半も明らかに「認知」の部分で付いていけていない様子があり、肉体的にも頭脳的にも相当疲労が溜まっているのは間違いないでしょう。
Embed from Getty Imagesユナイテッドはハマーズ戦の後、ミッドウィークの試合がなく次は土曜日のウルブス戦になります。ミッドウィークに試合がないのは9月以来であり、5日空くのはクリスマス以来となります。ワールドカップ明けから1月、2月と快進撃を見せ、この時がチームのコンディション的にもピークだったと考えられますが、少々早かったかもしれませんね...。今シーズン、これまで公式戦57試合を戦ったユナイテッド。恐らくこれはヨーロッパ5大リーグで最多だと思います(調べてませんが…)。カゼミーロやエリクセン、ラッシュフォードなど離脱期間もあり、全選手が毎試合出場している訳ではありませんが、ワールドカップも含め休みなくこれまで戦ってきた選手たちの疲労は相当でしょう。しかし、この大事な時期にそれを言い訳にすることもできないのもその通り。ハマーズ戦後、2日間のオフを貰いリフレッシュした状態で迎えるウルブス戦。完全回復とはいかなくても、ハマーズ戦のパフォーマンスからどれぐらい向上できるかがポイントとなりそうですね。
④CL出場は可能か?
ここに来ての足踏みは想定外であり、至上命題である4位以内が怪しくなってきたのは確かです。5位に着けるリバプールは1ポイント差に迫っており、目下8戦負けなし6連勝中と最終盤にコンディションピークを持ってくることに成功しています。リバプールは残り3試合で、レスター(18位)、ヴィラ(8位)、セインツ(20位)との試合が残っています。残留争いをしているレスターとセインツですが、セインツは残留が厳しくリバプールと対戦する最終節にはもう降格が決まっていてモチベーションがない可能性があります。一方のレスターは降格圏脱出のために奮起してくれることも期待できそうです。ヴィラはヨーロッパ・リーグ、並びにカンファレンスリーグの出場権獲得のためにモチベーションがあるはず。しかし、今のリバプールの調子からは取りこぼしがあまり期待できないのも確かです。
Embed from Getty Images一方のユナイテッドは残り4試合と、リバプールより1試合多いですがリバプールが全勝する可能性を考えると4試合中3試合で勝利することが必要になります。「まだ1試合落とせる」というのは間違っていませんが、「3試合に勝つ」難易度は結構高いと思います。この4試合の内ホームゲームが3試合なことは朗報ですが、そのうちの1試合はチェルシーです。チーム崩壊状態のチェルシーですが、そこは腐ってもチェルシー...。能力の高い選手が揃うだけに決して気を抜けない試合となります。ユナイテッドはウルブス(13位)、ボーンマス(14位 アウェイ)、チェルシー(11位)、フラム(10位)との対戦が残っていますが、どのチームも何も賭かっていないのもユナイテッドにとっては救いです。ユナイテッドがフィットネスを取り戻し、本来の力を発揮できれば3試合で勝つことも可能でしょう。CL出場権確保とFAカップ優勝。この2つを達成し、来シーズンを飛躍のシーズンとするための100点満点の土台を完成させてほしいですね。
👿まとめ
前節ブライトン戦と同様に決定力を欠き、ヒューマンエラーにより失点し敗れたハマーズ戦。勝たなければいけない試合でのミスはファンやサポーターにかなりのフラストレーションを与えたと思います。これまでもデ・ヘアに対する評価は分かれる傾向が強く、事あるごとに議論になってきましたが、やはり試合後にリオ・ファーディナンドが言ったことが最もしっくりきます。それは「シュートストップに関して言えば、彼(デヘア)は今日ミスを犯したが、彼が疑問視されているのはそこではない。疑われているのは、彼がユナイテッドでプレーできるだけの実力を持つ選手なのか?という事だ。」というもの。デ・ヘア自身のパフォーマンスもスーパーセーブでピンチを救い、最多の15試合のクリーンシートを数える一方で失点につながるエラーが散見されるなど矛盾しています。デ・ヘアのユナイテッドでのキャリアには敬意を表しますが、これからタイトルを目指すチームの正ゴールキーパーとしては不十分だと言わざるを得ません。これまで二度、守護神交代の機会を逃してきたユナイテッド(2015年レアル移籍未遂と20-21シーズンのヘンダーソン台頭)。そのつけを今払うことになるかもしれません。
Embed from Getty Imagesしかしながら、ハマーズ戦の低調なパフォーマンスは上で書いたように疲労というのも大きな要因の一つだと思います。そういう意味では、2日間のオフを与えた判断は正解だと思います。土曜日のウルブス戦では本来のパフォーマンスを発揮し、なんとしても勝利することか求められます。「疲労が原因」という判断が正しかったのかもウルブス戦で問われることになるでしょう。今回は、デ・ヘアに対して辛辣な意見を書きました。それは以前に書いたように「ファンやサポーターも選手に高い基準を求める」ためです。しかし、デ・ヘアを応援しているサポーターもたくさんいることも理解しています。ハマーズ戦からのバウンスバックに期待し引き続き応援します!
この試合の結果ユナイテッドは勝ち点63の4位のまま。5位リバプールが62ポイントで迫っています。


次節36節は、オールド・トラッフォードでのウルブス戦。5月13日(土)23:00キックオフ。カモン!ユナイテッド!!
最後まで読んで頂きありがとうございました!
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