【22-23PL第36節】ウルブス戦に見るユナイテッドのウィンガーの評価と課題

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こんにちはMasaユナイテッドです。

22-23プレミアリーグ第36節 ホームでウォルバーハンプトン・ワンダラーズ(以下ウルブス)と対戦したユナイテッド。試合は9分にウルブスのミスを突いてアントニーが決定機を迎えるなど、ユナイテッドが攻勢に出ます。30分にはショーのクロスにフリーでアントニーがヘディングで合わさますが決められません。しかしその2分後、アントニーがボックス内へ侵入し、ゴール前へクロス。これをマルシャルが決めてユナイテッドが先制します。前半1本のみのシュートだったウルブスですが、後半に入るとマックス・キルマンやファン・ヒチャンがシュートを放つなどやや前掛かりになります。しかし、ゴールに近づいたのはユナイテッド。アントニーやサンチョが惜しいシュートを放ちますが、ウルブスキーパー、ダニエル・ベントリーの好守に阻まれます。残り10分、マグワイア、フレッジ、ガルナチョを投入したユナイテッド。追加点を目指してさらに攻め続けます。そしてアディショナルタイムの94分、ブルーノのスルーパスに抜け出したガルナチョが素晴らしいテクニックでシュートを決めて2点目ユナイテッドがホームで2-0の勝利。4位確保に向けて3ポイントを積み上げています。

*試合のハイライトはこちら

今回はこの試合でハイパフォーマンスを見せたアントニーとガルナチョを中心に、ユナイテッドのウィンガーについて評価と課題をまとめます!

以下項目です。

👿ラインナップ

22-23PL36 ユナイテッドvsウルブス ラインナップ

①アントニー

ウルブス戦でマルシャルの先制点をアシストし、大きなインパクトを残したアントニー。チャンスクリエイト3回、ドリブル成功率100%、地上デュエル勝率50%と攻守両面で印象に残るパフォーマンスを見せました。しかしながら6本放ったシュートは決められず、特に30分と90分のシュートは決めなければいけないものでした。止めたウルブスキーパー、ベントリーを褒めるべきかもしれませんが、それ以外でも決められそうなシチュエーションからのシュートがあり、前節のヴィラ戦やここ数試合同様にフィニッシュ精度に課題があることを改めて露呈しています。アシストシーンでは冷静に中のマルシャルの動きを見て、右足でクロスを上げる素晴らしいプレーを披露しましたが、アタッキングサードでのプレー選択にはやや疑問を感じる場面も。9分のシュートシーンのように味方のポジションの方が得点の可能性が高いにも関わらず、自分でシュートに行きゴールを奪えていない場面も見られるなど、アントニーにフラストレーションを溜めているファンもいるかもしれません。

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前節の記事はこちら

今シーズン、アヤックスから加入したアントニーはこれまで公式戦42試合に出場し、8ゴール3アシストの成績を残しています。個人的には初挑戦のプレミアでよくやっていると思っていますが、その移籍金の高さ(1億ユーロ)に見合った活躍はできていないと批判する向きもあります。また、単独の仕掛けの成功率が低く、スピードもそこまでないのでウィングに突破力を求める層には物足りないという評価もあるようです。アントニーのドリブルスキルは決して低くないと思いますが、アヤックス時代を見ても、周りとの連携やサイドバックの囮のランニングを利用し、カットインからのシュートやパスといったプレーがアントニーの得意とするところでしょう。フィジカル勝負も厭わず、負けん気の強さと衰えることを知らないエネルギーは強いパーソナリティを持っていることの証明であり、その点ではユナイテッドにふさわしい選手です。ただ、ウルブス戦のように、フィニッシュ精度と判断力はアントニーの課題。来シーズンはこの点の改善が必要です。

②ジェイドン・サンチョ

ウルブス戦、怪我で離脱したラッシュフォードに代わって先発出場したサンチョ。82分出場し、3本のキーパスを放ち、73分には決まったかと思わせるシュートもありました。ウルブス戦の前半は、ユナイテッドのボール保持が極端に右に寄っており、なかなかサンチョがプレーに関与することがなかったのですが、それにしても存在感の薄いプレーとなりました。サンチョにしてもアントニー同様、出場する試合で1度は良い形でのシュートがありますが、決定力が高いとは言えないところがあります。今シーズン、これまで5ゴールを挙げているサンチョですが、得意とするチャンスメイクにしてもアシストは2つと数字的にも物足りないシーズンとなっています。

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サンチョに関しては、出場している試合で控え目なパフォーマンスが多くなっているのが気になります。才能は申し分なく、ボールテクニックではチーム1、2を争うほどですが、試合でのエネルギーの少なさ、判断の遅さ、味方との連携不足など課題が散見されます。ボックス内に入る回数は多く、チャンスメイクも得意としていますが、ボックス内で足を止めてしまい、パスを出すのが遅れ引っ掛かるシーンも多いです。現状ではウィンガーの3番手であり、ガルナチョの成長次第ではさらに序列が下がる可能性があります。性格もありますが、気持ちがプレーに現れるタイプではなく、一見すると淡白なプレーやパーソナリティの面で、テン・ハーグ監督の信頼を得るに至っていない印象です。個人的に大好きな選手でもあり、サンチョがサイドで躍動する姿が見たいですが、それには改善すべきことがあるでしょう。

③アレハンドロ・ガルナチョ

怪我から約2ケ月ぶりに発揮したガルナチョ。ウルブス戦で81分にピッチに立つとアディショナルタイムの94分には値千金のゴールを挙げ、チームの勝利に貢献しました。ブルーノのスルーパスに抜け出し、ゴール前で一瞬止まる事で追いかけてきたセメドとキーパーのベントリーの動きを止めシュートするという高度なテクニックでゴールを決めました。わずか15分間のプレーでボールタッチは5回のみでしたが、入ってすぐに猛然と前からプレスに行くなど、エネルギーに満ち溢れたプレーで存在感を放ちました。怪我での離脱期間に、ユナイテッドとの契約を2028年まで延長し、パートナーであるエヴァ・ガルシアさんとの間に第一子を授かった事を報告していたガルナチョ。復帰戦をゴールで飾り、このゴールが22-23シーズンのユナイテッドの100ゴール目となるなど、まさに主人公キャラ全開のウルブス戦となりました。

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まだ18歳、本格的なトップチームデビューシーズンにして公式戦30試合に出場し5ゴール5アシストは文句のつけようがありません。アカデミー時代からガルナチョを見ていますが、その得点関与率は異常でした。しかし、まさかここまであっさりとトップチームで通用するとは予想を超えています。強気に仕掛ける姿勢と、直線的にゴールへ向かうドリブルは迫力があり、細かなシュートテクニックも非凡なものがあります。試合に出る度に成長を見せる姿は頼もしくもあり、末恐ろしくもあります(笑)。そんなガルナチョは来シーズンのさらなる飛躍が期待されますが、テン・ハーグ監督が試合後に語ったように、守備や判断の面でより改善が求められます。単独で仕掛けることも多く、チャンスを不意にしてしまうシーンもあります。守備面は、もともと守備意識の高くない選手ですが、トップチームではかなり改善されたように思います。ウルブス戦でもしっかり自陣まで戻り、守備ブロックを作っていました。それでも監督の求めるレベルにはまだ達していないということでしょう。

④その他のウィンガー

ウルブス戦では上記の3人がウィンガーとして出場しましたが、それ以外の選手に関しても軽く触れておきましょう。まずはウィンガーの筆頭、ラッシュフォード。今シーズンは9番での起用も多くなっていますが、やはり本職は左ウィングでしょう。ウルブス戦は怪我での離脱となりましたが、今シーズントータル29ゴール11アシストとチームの攻撃を牽引しました。文句ないパフォーマンスでしたが、試合によっては消えてしまったり、判断ミスによるチャンス逸脱、守備面(プレス)での貢献の低さは改善点と言えるでしょう。また、トランジッション戦術では輝きまくるラッシュフォードですが、ポゼッション戦術が強化された場合、良さが出にくくなる恐れもあります。来シーズンは絶対的なエースとして期待されるだけに、プレーの幅を広げる必要があるかもしれませんね。

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ペリストリもテン・ハーグ監督は評価しており、冬以降出番が増えそうな雰囲気がありましたが結局10試合208分の出場に留まっています。ただ、途中出場からでもドリブルでの仕掛けで存在感を見せることが多く、個人的にはもう少し使ってほしい選手の1人です。相手の重心を見て逆を突くドリブルが得意で、ボックス内への侵入のタイミングやポジショニングも悪くありません。しかしながら、来シーズン以降の去就は不透明でローンで出される可能性もありそうです。そして来シーズン、期待されるウィンガーがアマド・ディアロ。今シーズンはサンダーランド(チャンピオンシップ)にローン移籍し、公式戦41試合14ゴール4アシストと結果を残し、チームを昇格プレーオフ進出の原動力となっています。右ウィングを主戦場に、10番やセカンドトップでもプレー可能で、狭いところも入っていけるドリブルと正確な左足のキックでゴールを量産しています。才能は申し分なく「コートジボワールのメッシ」と呼ばれる20歳の大器は来シーズン、ユナイテッドのトップチームでのプレーが期待されています。

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👿まとめ

負けられない試合で2-0の勝利。アントニーの躍動と、ガルナチョの復帰弾で難敵ウルブスを破りました。前半から積極的にシュートを放ち、ブルーノやエリクセン、ワン=ビサカもアタッキングサードで攻撃に厚みをもたらしました。ヴァランが怪我から復帰した守備陣も集中力を維持して対応し、ウルブスをわずか5本のシュートに抑えクリーンシートを達成しています。この結果、ユナイテッドのクリーンシートはリーグ最多の16試合となり、デ・ヘアのゴールデングラブ賞が確定しています。2連敗の後で、4位以内に入るために勝たなければいけない試合でしっかり勝利を挙げたことにひとまずは安堵しましたね。

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今回はウルブス戦の活躍が光ったウィンガーをテーマに記事を書きましたが、ユナイテッドの今シーズンの決定力不足の要因の1つにこのウィンガーのパフォーマンスがあります。ユナイテッドのウィンガーは、間違いなくワールドクラスのクオリティを持った選手達ですが、上で見てきたように課題も持っており、その才能を十分に発揮できているとは言えません。特にラッシュフォード、アントニー、サンチョの3人は共通して「判断の悪さ」が原因でチャンスを逃すシーンが多々あります。この判断の悪さは、フィニッシュの局面では個の判断に委ねられているために起こりますが、来シーズンはチームとしての崩しの形をある程度作る必要がありそうです。ストライカーの不在も決定力を欠いている大きな要因ですが、このウィンガーのチャンス喪失も大きな問題。サンチョとアントニーは前所属先で突出した才能を持ち、彼らが攻撃の中心となっていましたがユナイテッドに来るとそうはいかず、「特別な選手」から「特別な選手のうちの1人」になります。そういった意味ではユナイテッドでは「より強いパーソナリティ」を持ち「パフォーマンスでチームを勝利に導く」ことが求められます。来シーズン、この3人が一皮むけてくれる事と、ガルナチョやアマド、ペリストリの突き上げにも期待したいですね。

この試合の結果ユナイテッドは66ポイントの4位。3位ニューカッスルと同ポイント。リバプールは1ポイント差で5位に着けています。

22-23PL36 ユナイテッドvsウルブス スタッツ
22-23PL36 試合結果

次節37節は、バイタリティ・スタジアムでのボーンマス戦。5月20日(土)23:00キックオフ。カモン!ユナイテッド!!

最後まで読んで頂きありがとうございました!

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