【22-23PL第4節】サウサンプトン戦に見るセクション別課題【マンチェスター・ユナイテッド】

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こんにちはMasaユナイテッドです。

22-23プレミアリーグ第4節。アウェイ、セント・メリーズ・スタジアムでサウサンプトン(セインツ)と対戦したユナイテッド。試合は前半ユナイテッドがボールを支配し、20分にはエランガ、ブルーノ、エリクセンと決定機が連続しますが決められず。0-0のまま後半へ。55分にダロトのクロスにブルーノがダイレクトで合わせてゴールを決め、ユナイテッドが先制に成功します。しかし、その後はサウサンプトンが鋭い出足と組織的なサッカーで主導権を握り、ユナイテッドを攻め立てます。ユナイテッドは68分にロナウド、80分には新加入のカゼミロを投入し、なんとか逃げ切りに成功。0-1で勝利を収めています。

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今回はこの試合で見えた、各セクションの課題についてまとめます。勝ち点3を挙げながらも、非常に苦しい試合内容となったセインツ戦。それぞれの課題を克服し、パフォーマンスを上げていく必要があることを、改めて痛感させる一戦となりました。

以下項目です。

👿ラインナップ

22-23PL-4 セインツvsユナイテッド ラインナップ

①ディフェンダー&ゴールキーパー

公式戦では、昨シーズンの35節ブレントフォード戦以来5試合ぶりのクリーンシートを達成したセインツ戦のユナイテッド守備陣。前節リバプール戦と同様のラインナップとなったバックラインですが、セインツ戦も素晴らしい集中力で相手の攻撃に対処しました。2試合連続MOTMの活躍を見せたマルティネスを筆頭に、冷静な守備に徹したヴァラン。最多のタックル数とプレス回数、インターセプト回数を記録したマラシア。そして値千金のゴールをアシストしたダロトのバック4は、ユニットとしての連携という面でも昨シーズンを凌駕するクオリティをすでに示しています。この4バックに関しては、やはり新戦力のマルティネスの早期フィットが大きなカギを握っています。175cmというCBにしては小柄な身長が不安視されていましたが、空中戦勝率はプレミアトップの82%を記録し、ハードな当たりと広いカバー範囲、優れた危機察知能力、高精度のパス、熱い闘争心はこれまでのユナイテッドにはいなかったタイプのCBで、非常に印象的な活躍を見せています。CBでコンビを組むヴァランとの相性も良く、当分はこの2人がファーストチョイスとなりそうですね。特にヴァラン、マルティネス、デ・ヘアはスペイン語でコミュニケーションが取れる事も好調の要因の1つかもしれません。

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ディフェンス陣の課題としては、「バックラインの高さ」でしょう。これに関してはバックライン4人の責任というよりは、守備範囲の狭いデ・ヘアと前線からのプレスの影響が大きいと言えますが、リバプール戦もセインツ戦も特に後半は劣勢を強いられたこともあり、バックラインがかなり低くなりました。また、戦術的にもここ2戦はポゼッション色が弱くなったこともあり、ラインを上げる時間が少なくなっています。やはり本来であれば、ボールを持つ時間を長くし、全体を押し上げ戦うのがテン・ハーグ監督の理想でしょう。セインツ戦でいえば前半60%だったポゼッション率は後半40%になりました。そして、デ・ヘアは戦術的にテン・ハーグのスタイルに合っていません。今シーズン、本気でポゼッションスタイルに取り組むのであれば、キーパーの補強は必須だと思います。

また、大活躍の4バックの煽りを受けて、バックアッパーに回る事になったマグワイア、ショー、ワン=ビサカの立ち位置も課題の1つとなっています。キャプテン、マグワイアをスタメン落ちにするという英断を下したテン・ハーグ監督。マグワイアは今後の奮起が必要です。ショーに関してはコンディション面の問題だと思いますが、新加入のマラシアが素晴らしいパフォーマンスを見せているだけにポジションを奪い返すのは一筋縄ではいかないかもしれません。ワン=ビサカはパレスへの移籍の可能性があります。監督にいまいちハマらないワン=ビサカですが、仮に放出となるとダロトのバックアッパー問題が発生します。残り少ない移籍市場ですが、獲得の可能性があるポジションとなっています。いずれにせよ、バックアッパーもレベルを上げる必要があります。特にマグワイア、ショーはワールドカップも控えているので、このままベンチで燻っている訳にはいかないでしょう。チームに貢献できるところをトレーニングでも示す必要があります。

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②ミッドフィールダー

セインツ戦の中盤はエリクセンとマクトミネイのダブルボランチに、ブルーノトップ下の布陣で臨みました。リバプール戦前に加入し、先発も期待されたカゼミロですが、セインツ戦は80分からの出場となりました。攻守にハードワークできるブルーノ、エリクセン、マクトミネイの組み合わせは悪くなく、ゴールを決めたブルーノは前半攻撃の中心となりました。ただ、エリクセンにしてもブルーノにしても、能力を100%出せているかと言われるとそうでもなく、中盤の組み合わせはまだまだ他のオプションを試す必要があるでしょう。そこで期待されるのが新加入のカゼミロです。セインツ戦は短い時間ながら鋭いタックルを見せ、試合を終わらせる役割をこなしました。

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カゼミロがアンカーとして中盤のフィルター役をこなすことで、ブルーノ、エリクセンの良さがより発揮されることも期待されますが、カゼミロとフレッジ、マクトミネイやファン・デ・ベークを組み合わせる事で新たな相乗効果を生む可能性もあるでしょう。システム的にも、4-2-3-1と4-3-3を対戦相手によって効果的に使い分けることが可能になると思います。ポゼッションが安定するまでは4-2-3-1のダブルボランチでカゼミロを使う方が良い気もします。セインツ戦の重心の低さは、監督の理想と違いますが、プレミアのチームとの対戦ではどの試合でも押し込まれる可能性があります。チームバランスをどのように保つのかの鍵も、中盤の構成が握るでしょう。

カゼミロ加入により、中盤のインテンシティとボールリカバリー能力向上が期待されますが、一方で過去2シーズンに渡って中盤を支えたマクトミネイ、フレッジのスタメン落ちが発生します。時には激しい守備でビッグゲームに貢献し、時にはクオリティの低さを露呈し批判も浴びた2人ですが、今シーズンは主にバックアッパーとしてチームへ貢献する事になるでしょう。ただ、チームにいて欲しいタレントであるのは間違いないですし、2人にとっても攻守に高い要求をされるよりも、サブで役割を絞って試合に入る方がやりやすいのではないかと思います。特にフレッジはカゼミロ、ブルーノとの連携面にも期待でき、エリクセンを休ませる試合ではフレッジが重要な役割を担う事になるでしょう。カゼミロ加入で一気にオプションの増えた中盤も今シーズンのユナイテッドの注目ポイントですね。

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③フォワード

セインツ戦のフォワードはトップにラッシュフォード、両ウィングにサンチョとエランガというラインナップでした。リバプール戦後半で怪我から復帰したマルシャルは、またもアキレス腱の負傷で離脱することに…。恐らく本来ならばトップにマルシャル、ラッシュフォードを左ウィング、右サンチョで臨みたかったと思いますが、今回も断念しています。

フォワードは現在、最も課題の多いセクションとなっています。まずはストライカー問題。9番を務めるのはマルシャル 、ロナウド、ラッシュフォードですが、現状100%の信頼を置ける選手は1人もいません。ロナウドは去就問題に加え、メンタル、コンディション面で100%のフィットにはほど遠く、リバプール戦でゴールを挙げたラッシュフォードもいまだに効果的な9番の動きを見せられていません。マルシャルが最も可能性の高い選手ですが、公式戦でどのぐらいできるかは未知数です。ストライカーの補強までは手が回らなそうな雰囲気ですが、そうなると鍵を握るのはラッシュフォードでしょう。一部報道では本人も9番でのプレーを希望していると言われていますが、セインツ戦のようにスペースのない状況で、ボックス内でディフェンダーを出し抜くような動きができないというのは結構厳しいものがありす。個人的にはラッシュフォードは本来ストライカータイプだと考えていますが、効果的な働きができるようになるまでには、課題が山積みだとも思います。

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そしてウィングに関しても、セインツ戦ではクオリティ不足と層の薄さを露呈しています。セインツ戦はリバプール戦と違いサンチョとエランガのポジションを入れ替えていましたが、エランガがチーム最多の5回のSCAを記録し、前半にはゴールに迫った一方で、サンチョは68分にピッチを後にするまで存在感が希薄でした。プレシーズンではサンチョ、ダロト、マクトミネイの右トライアングルが機能していただけに、サンチョを左で使った意図がいまいち不明でした。エランガにしても左よりは動きが良かったですが、クオリティ不足は否めず、ラッシュフォードをウィングと見なしても、ウィング問題は早急にテコ入れが必要です。ただ、これに関しては8月29日の段階でアヤックスの右ウィンガー、アントニーの獲得がほぼ決まっており、層の薄さとクオリティの両方で改善の目処が立っています。

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しかし、サンチョにしてもそうですが、その能力を遺憾なく発揮するにはチーム全体で押し上げることが重要になります。これまでのユナイテッドとは違い、個で打開するよりもユニットで連携して打開する組織力が求められます。アントニーにしてもドリブルテクニックは世界屈指のレベルですが、これを活かすためのチーム戦術を磨く必要はありますね。

👿まとめ

魂の戦いを見せたリバプール戦から一転。特に後半はセカンドボールをほとんど拾えず、押し込まれる苦しい展開となったセインツ戦。勝ち点3をアウェイで取れたというのは朗報ですが、前半20分の決定機逃し、自分達でゲームをコントロールできなくなっていったというのは少々いただけません。タフ相手ではあったと思いますが、メンタル面でもインテンシティの面でもリバプール戦とは温度差があったのは否めないところです。ただ、チームスピリットは感じられたので、そこはひと安心しました。

*リバプール戦の記事はこちら

その中でもクリーンシートを達成した守備陣は良い仕事をしたと言えますが、今回見てきたように各セクションで課題があるのも事実。やはりGK、右SB、WG、STは補強が必要でしょう。ウィングに関してはアントニーを獲得しましたが、残り僅かの移籍市場でどこまで手が回るかフロントの手腕が問われます。

開幕から4戦、徐々に各選手の戦術適合性が明るみになりつつあります。それと同時に、やはりテン・ハーグ監督のやりたいサッカーをするには、タレントが不足していることも明らかになってきました。補強が思うように進み、指揮官の理想のスカッドが組めればベストですが、なかなかすんなりとはいかないでしょう。そこで重要になるのは各選手がどれだけプレーの改善ができるかです。特に9月になり過密日程がスタートします。「レギュラー組だけができる」状況では苦戦するのは目に見えています。各選手の奮起に期待しましょう。

この試合の結果ユナイテッドは8位浮上。首位アーセナルとは勝ち点6の差となっています。

22-23PL-4 セインツvsユナイテッド スタッツ
22-23PL-4 試合結果

次節はキング・パワー・スタジアムでのレスター・シティ戦。9月2日(金)4:00キックオフ。カモン!ユナイテッド!!

最後まで読んで頂きありがとうございました!

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