こんにちはMasaユナイテッドです。
6月28日(現地27日)、ユナイテッドの22-23シーズンが幕を開けました。チームは当初の計画を1週間早め、新監督のエリック・テン・ハーグ監督指揮のもとプレシーズンのトレーニングを開始。新生ユナイテッドとしての第1歩を踏み出しました。公式ホームページでは、トレーニングの様子が公開されていますが、そこからはとても興味深い発見がいくつかあります。
*トレーニング動画はこちら
そこで今回は、テン・ハーグのトレーニングセッションのポイントを4つ紹介します。どのような内容のトレーニングなのか、誰が注目選手となるのか、若手は重用されるのかなど、テン・ハーグの指導で気になったことを4つにまとめました!
以下項目です。
①パスワークに重点
まず、トレーニング・セッションのビデオを見て感じるのは、パスワークトレーニングに重点が置かれているという事です。短いパスを出して移動し、人を入替えながらパスを繋ぐドリルが見られ、テン・ハーグ監督の、パス&ムーブのスタイルを植え付けるためのセッションだという印象です。パスの精度と、動きの質を上げる目的があり、これまでのユナイテッドには決定的に掛けている要素でもあります。レイオフ(落として前向きを作る動き)や3人目の動きを使ったパスワークも見られ、このようなドリルを繰り返すことで身体が自然に反応し、当たり前のように動けるようになるでしょう。また、キーパーもパスドリルに参加しているのも印象的。初日のトレーニングではデ・ヘアもロンドに加わっているのが見られましたし、ビショップがパスワークドリルに参加しているシーンもありました。
Embed from Getty Imagesテン・ハーグ監督は、自身のポゼッション志向をユナイテッドでも追及するつもりです。局面ではトライアングルやダイヤモンドを形成し、ユニットとしてボールを持って前進するというのが、テン・ハーグ・アヤックスの特徴の1つでした。パスを出した選手が立ち止まる事はほとんどなく、常にポジションを取り直して次のパスに備えるのが当たり前です。今シーズン、ユナイテッドでもこの形が基本となるはずです。最初は連携ミスなどもあると思いますし、身に付くまでは足を止めてしまう選手もいるかもしれませんが、プレシーズンマッチや開幕後の数試合でこのあたりをチェックしたいと思います。
*アヤックスの戦術に関してはこちらの記事を参照!
②ファン・デ・ベークに注目
テン・ハーグ監督就任で、注目度が上がっているのがファン・デ・ベーク。スールシャール政権では冷遇され、なかなか出場機会を貰えなかったファン・デ・ベークですが、アヤックス時代の恩師であるテン・ハーグ監督の下では重要な役割を担うと予想されます。公式にアップされているトレーニング動画でも、ファン・デ・ベークを捉えることが多いように思います。アシスタントマネージャーであるミッチェル・ファン・デル・ガーグから「いいぞ!ドニ―!!」と声を掛けられているシーンも見られます。ファン・デ・ベークの表情もイキイキと感じられますね。見ているこちらも嬉しくなります。
Embed from Getty Imagesこれまでのチームでは、ファン・デ・ベークの細かくパスを繋ぐスタイルが異質で、なかなかチーム内で良さを発揮できませんでしたが、パス&ムーブが基本としてチームに植え付けえられればファン・デ・ベークが輝くのは間違いありません。もちろん、ポジション争いという観点では、ブルーノという大きな存在が立ちはだかることになりますが、今シーズンからの5人交代制や、ヨーロッパコンペティションやその他のカップ戦を含めた試合数を考えても、充分な出場機会があると思います。また、移籍市場では、獲得合意となったタイレル・マラシアを始め、噂されるフレンキー・デ・ヨングやリサンドロ・マルティネス、クリスティアン・エリクセンの獲得が実現すれば、オランダ・アヤックスコネクションでファン・デ・ベークは大きな役割を果たすでしょう。4月にはパパにもなったファン・デ・ベーク。ユナイテッドでの3シーズン目に注目です。
③多くの若手が参加
今シーズンのプレシーズントレーニングでも多くのアカデミー、若手選手の姿が見られています。テン・ハーグ監督はアカデミー組の指導も重視しており、ユナイテッドの伝統を重んじる姿勢を見せているのは好印象です。今回は代表マッチを戦った選手はまだ合流しておらず、シニア選手が少ないという事情もありますが、参加している若手の何人かはプレシーズンツアーに帯同し、チャンスを与えられることになるでしょう。
確認された若手選手
GK ビショップ、コバール
DF フィッシュ、バーナード、ハードリー、レアード、アルバロ、ウェレンス、ブランドン
MF ガルブレイス、サヴェージ、イクバル
FW エメラン、ショレティレ、チョン、アマド、ガルナチョ
この中で、やはり注目なのはガルナチョでしょう。アルゼンチンU20の試合を6月頭までこなしたガルナチョ。本当なら来週からトレーニングに戻る予定を、バカンスを早めに切り上げて参加しています。こういった姿勢は素直に称賛したいですし、ガルナチョの今シーズンに賭ける思いを表しています。プレシーズンでテン・ハーグ監督にアピールできれば、トップチームでの起用時間を伸ばせるでしょう。
Embed from Getty Imagesまた、ブランドンやチョン、アマドなどのトップチームで地位を確立できていない選手は、出場機会は多くない事が予想され、去就にも注目です。ただ、昨シーズンのエランガのようなことも起こり得るので、プレシーズンでしっかりアピールする事に注力してほしいですね。
④テンハーグの指導スタイル
新指揮官として、1週間トレーニングを行ったテン・ハーグ監督。スピーチで「シーズンが悪かったからと言って悪い選手になるわけではない」「プレシーズンの間に全員が白紙に戻る(ポジション争い)」「今シーズンの成功は選手に掛かっている。最大の変化はチームからもたらさなければならない」ことを強調したと報じられています。そんなテン・ハーグ監督は、早速変化を起こしています。
✅芝を15㎜短くする
✅9時トレーニング開始
✅食事は選手全員で取る
ピッチの芝を短くしたのは、より速いパスワークを実践するためですが、これまで10時だったトレーニング開始時間を9時に変更したことと、食事を全員一緒に取るようにしたことはアレックス・ファーガソン時代の慣習に習っています。食事に関しては、これまでは取りたいときにクラブレストランで自由に取っていたようです...。規律を課し、チームの団結力を上げるためのもので、スールシャール時代から考えると劇的な変化と言えるでしょう。もちろん、こういった締め付けに反発する選手が出てくる可能性はあるのですが、チーム状態を考えればプロとして規律や制約にある程度縛られるのは当然で、選手達も理解していると思います。
Embed from Getty Imagesまた、テン・ハーグ監督は、トレーニング中にも直接選手とコミュニケーションを取ったり、1人1人に配慮する姿勢が見られ、これも高く評価されています。しかし、プレーに対する要求は、実践的、具体的かつ厳しいものがあるようで、ある選手は「強烈だ。体だけでなく、頭も激しく揺さぶられる。テン・ハーグ監督は考えて、考えて、考えてほしいのだ」とコメントしています。戦術脳を鍛える必要性は、以前から言われていますが、今回ようやくそれを実践できる指揮官が就任しました。アシスタントであるスティーブ・マクラーレンとミッチェル・ファン・デル・ガーグも、トレーニング映像では選手に対して熱の入った指導をしており、このコーチ陣ならユナイテッドはより高度な技術的プレーと明確な戦術的枠組みで戦うチームになるだろうと確信させてくれます。
選手達も厳しさを感じながらも監督に好印象を感じており、雰囲気は上々です。来週からは主力選手も加わり、7月8日からはプレシーズンツアーに出発します。結果が出るまで長い目でみるつもりですが、今回のトレーニング映像からは期待が高まってしまいます(笑)。ついにユナイテッドが「現代的なフットボールクラブに変貌する」その時が来ました!
最後まで読んで頂きありがとうございました!
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