こんにちはMasaユナイテッドです。
22-23プレシーズンマッチ第2戦は、オーストラリア メルボルンでメルボルン・ヴィクトリーと対戦したユナイテッド。試合は前半4分にクリストファー・ミコノミディスのゴールでホームのメルボルンが先制します。しかしユナイテッドは42分にマクトミネイ、45分にはマルシャルがゴールを決めて逆転に成功。後半、フィールドプレーヤー10人を入替えたユナイテッドは、78分にラッシュフォードが決めて3点目。89分にはチョンのクロスをルパンクがクリアミスし、これが自陣のゴールへ吸い込まれオウンゴールで4得点目となりました。ユナイテッドは1-4で勝利。プレシーズン2試合目も4得点の快勝を飾っています。
*試合のハイライトはこちら

今回は、この試合を戦術面や選手パフォーマンスの観点から、5つのポイントで振り返ります!
以下項目です。
①早い時間の失点

試合開始わずか4分での失点。メルボルン・ヴィクトリーとのプレシーズン2戦目は、昨シーズンのデジャブかというぐらいあっさりと失点するところからスタートします。プレシーズン初戦のリバプール戦同様、前半のイレブンをレギュラークラスにしたテン・ハーグ監督。キーパーは怪我のデ・ヘアに代わってヒートンを、CBも怪我を負ったヴァランに代わってマグワイアを先発起用しました。
試合開始から5-3-2でローブロックを敷くメルボルンに対してユナイテッドがボールを保持し、どこからこじ開けるか探る展開に。失点シーンは、最初のメルボルンのゴールキックからでしたが、ボール保持の場面で4-1-3-2に可変するメルボルンにプレスの対応が遅れます。左サイド(メルボルンの右)のプレスが中途半端になったところをあっさり躱され、リンデロフのカバーも後手に...。中央への折り返しにもマグワイアが遅れを取っており万事休す。先制を許しました。
Embed from Getty Images昨シーズン、ゲーゲンプレスの生みの親であるラングニックが植え付けようとして上手くいかず、多くの試合で見られたゆるふわプレスが、またしても見られてしまいました。リバプールに対しては、前線からの連動したプレスがしっかりできていましたが、メルボルンには緩く入ってしまったかたちです。リンデロフ、マグワイアの気の抜けた対応も批判されて当然ですが、やはり前からのプレスの「圧」が十分でないと、今回のようなシーンは出てしましまいます。これはチーム全体の問題です。
②右サイドの攻撃
早々に失点したユナイテッドですが、低く構えた相手をどうこじ開けるのかといういつもの課題に取り組むことになりました。スールシャール、ラングニックと結果的に個の能力に依存した崩しを実践してきたチームにおいて、新指揮官のテン・ハーグがどのように改善するのかに注目が集まりました。まずボール保持に関しては、フレッジをアンカーとする4-3-3へ可変。4-2-3-1から4-3-3への可変はアヤックスでの定番ですが、ポイントはフレッジをアンカーに、マクトミネイを8番にという役割を振り当てたこと。
フレッジはビルドアップの場面で、起点となるべくCBからボールを引き取りゲームメイクを担当。ポジショニングにもかなり気を使っており、ボールの出しどころをマグワイア、リンデロフに指示するシーンもかなりありました。ラングニック政権ではボックス・トゥ・ボックスでMVP級の働きをしたフレッジですが、テン・ハーグ2戦目では新たな役割を担い上々の出来だったと思います。そのボックス・トゥ・ボックスで先制点を挙げたマクトミネイも動きに関してはこちらの方が合っています。
Embed from Getty Images崩しのポイントとなったのはそのマクトミネイが絡んだ右サイド。ファイナルサードのクオリティを欠くマクトミネイですが(笑)、サンチョとダロトとの三角形を作るという点では、重要な動きを行っていました。前半、ほとんどのチャンスは右サイドから生み出していますが、サンチョのハイクオリティで戦略的なプレー選択と、ダロトのチャンネルラン、マクトミネイの2人をカバーするポジショニングはかなりレベルが高かったです。このトライアングルのユニットで切り崩すというのはテン・ハーグ監督の鉄板です。特にチャンネル深くに侵入するというのはアヤックスでも再三見られます。ダロト、マクトミネイはボールプレーの面で物足りないのは確かですが、やろうとしている事は指揮官の要望を満たしているはずです。
③マルシャルの進化
リバプール戦に続いてゴールを挙げたマルシャル。前線の献身的なプレス、ライン間に顔を出す頻度とタイミング、楔を受けに降りてくるポジショニング、そして得意のヌルっとしたドリブルと力みのないフィニッシュワーク。どれも高いクオリティを示しています。プレシーズントレーニングをしっかりこなし、コンディションが良いということも大きいですが、昨シーズンとの違いはやはりメンタル面。ロナウドがいないこともあり、9番の一番手は自分だという自負もあると思いますが、テン・ハーグ監督はマルシャルのポテンシャルを評価しています。指揮官の信頼感はマルシャルにとって重要です。ボールを失っても、すぐに切り替えて奪い返しにいく姿勢は、これまでのマルシャルからは考えられないことです(笑)。
Embed from Getty Imagesこのプレシーズンの2つの試合では、もう「ふて腐れトニー」はいません。これは17ゴールを挙げた「19-20シーズンのマルシャルに戻った」というよりは、「進化」と捉えるべきでしょう。26歳のマルシャルは、自分のテクニックを存分に発揮させてくれる指揮官とチーム環境を手に入れた可能性があります。もちろん、より重要になるのは「継続性」です。たったプレシーズンの2戦良かっただけですべての評価が一変するわけではありません。ロナウドの去就や新ストライカーの獲得など、まだまだ不確定要素がある中でポイントとなるのは、いかに自分の仕事に集中できるかということでしょう。
試合後、テン・ハーグ監督も
「私は彼がさらに良くなって戻ってこられると確信している。彼は良い選手である為、適切な集中力とモチベを持ち、一生懸命に努めれば、結果を出す事ができる。彼が適切な集中力を持ち、毎日多くの事を達成した時、彼は結果を残すだろう。そうなるかは彼次第だ。」
skysports
と語っています。まさに、この通りだと思います。
④輝くイクバルとサヴェージ

1-2と逆転して前半を折り返したユナイテッド。後半はリバプール戦同様にフィールドプレーヤー10人を入替え臨みました。リバプール戦同様に中盤でコンビを形成したのが、イクバルとサヴェージの19歳デュオです。4-2-3-1のダブルボランチでプレーした2人。サヴェージの方がやや下がり気味で、ビルドアップの場面でパスを散らす役割を担いました。守備面でもカバーの意識や危機察知能力は申し分ないレベルで、フィジカル的にも19歳にしては上出来でしょう。
イクバルの方は、リバプール戦よりもよりボックス付近でプレーするシーンが多かったですが、高いボールスキルとキープ力を披露。57分には、奪いに来る相手2人をターンで躱してクロスを上げ観客を沸かせました。前半の右サイドの3人同様、イクバルもチョン、レアードとの連携が意識されており、戦術の中でもキャラクターが出せているのも好印象です。
Embed from Getty Imagesこの2人に共通しているのは、ボールを持った時の落ち着きです。メルボルンだけでなくリバプール相手にもその資質を見せている事が、レベルの高さを物語っています。またメルボルン戦後半で、チームの中心となっていたのがこの2人です。ラッシュフォードやファン・デ・ベークがいた中で、あれだけ存在感を出せるというのは特筆すべきでしょう。この19歳デュオは、テン・ハーグ体制の変化の象徴の1つです。順調に成長すれば、フレッジ、マクトミネイと段階的に入れ替わる可能性すらあるでしょう。中盤のポジションは、フレンキー・デ・ヨング加入の可能性や、怪我で出遅れたガーナーもいます。現実的には、そこまで多くのチャンスは来ないかもしれませんが、今もところ、新シーズンのアカデミー組でトップチームに食い込むのはこの2人ですね。
⑤ラッシュフォードは9番
メルボルン戦は後半から出場し、チーム3点目となるゴールを挙げたラッシュフォード。左ウィングでの出場でしたが、ラングニック体制での不調の一因に、右サイドでの起用があったことが最近報道されていました。テン・ハーグ監督は、恐らく左ウィングでラッシュフォードを使うと思いますが、プレシーズンの2戦を見る限り、左ウィングとして効果的な動きができているとは思えません。リバプール戦は、それなりにシュートチャンスを得ましたが、サイドバックとの連携やボールを持った時の判断にはまだ完全復活という印象には遠く、メルボルン戦ではかなり薄い存在感となりました。
しかし、3点目のゴールを挙げたあと、続けてゴール前でヘディングを放つシーンがありました。実はラッシュフォードはゴール決めた78分の直前にアマドとポジションを入替え、トップの位置に入っています。その直後にバイリーの縦パスに完璧なタイミングで抜け出し、ゴールに流し込みました。80分にはナツメグを決め、82分にはマラシアのクロスに頭で合わせるなど、突如存在感が増しますが、この背景にはポジションチェンジがありました。
Embed from Getty Images左ウィングの時のラッシュフォードは、相手ディフェンダーの裏を狙うことしか考えていません。もちろんそれが最大の武器ではあるのですが、ボールが裏に出て来なければプレーに絡むことは不可能です。トップの位置にいると、必然的に様々なプレーの選択肢ができるので、逆に裏抜けの動きも効果を発揮します。最終的には左ウィングでも構わないのですが、自信を取り戻し、チームの中で機能するようになるまではトップの起用をお勧めします(誰やねんww)。以前にも記事にしていますが、ラッシュフォードの本来の資質はストライカーだと思います。これはエランガにも言えるのですが、テン・ハーグスタイル下ではボールを持てるウィンガーがより必要とされます。
*ラッシュフォードの記事はこちらを参照!
👿まとめ
早い時間に失点し、引いた相手を崩すという昨シーズンまでの課題への挑戦となったメルボルン戦。結果的に4得点を挙げ、逆転勝利を収めたことでハードルクリアといったところでしょう。今回は5つのポイントで試合を振り返りましたが、テン・ハーグ監督の下、変化、改善しつつある面がありながら、昨シーズンの悪いクセもまだ見られるということで、今後もやるべきことはまだまだありますね。ただ、このツアーでチームの結束や、コーチ陣との信頼感、トレーニングによる手ごたえは確実にあるので、新シーズンに向けて期待は高まります。
プレシーズンマッチは残り4試合。まだプレーできていないガーナーやガルナチョ、ハンニバルなどの若手選手の起用と、エリクセン、リサンドロ・マルティネスがいつから合流できるのか楽しみは尽きませんが、次戦からは対戦相手のレベルは上がっていきます。引き続き、戦術面での成熟度もチェックしていきます!

次戦はメルボルン・クリケット・グラウンドでのクリスタル・パレス戦。7月19日(火)19:10キックオフ。カモン!ユナイテッド!!
最後まで読んで頂きありがとうございました!
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