こんにちはMasaユナイテッドです。
6月14日、23-24シーズンの夏の移籍市場が開幕しました。ユナイテッドはオーナー交代問題もあってか、未だに新規の獲得はありません。しかしながら、水面下では各ターゲットにアプローチしている事が予想され、その中でも中盤の獲得ターゲットであるチェルシーの24歳MF、メイソン・マウントの獲得交渉が大詰めを迎えているようです。移籍市場に精通しているイタリア人ジャーナリストのファブリッツィオ・ロマーノ氏によると、ユナイテッドは最終オファーを提示したようです。チェルシーの要求額が高いこともあり、獲得の可能性は五分五分といったところですが、個人的には加入してほしい選手でもあるのでマウントの記事を作成しました。
🚨 Manchester United are set to submit third official bid in excess of £55m for Mason Mount. #MUFC
— Fabrizio Romano (@FabrizioRomano) June 23, 2023
Sources feel this is going to be the final proposal after two bids rejected in the recent weeks.
Man Utd want quick resolution — also, 100% agreed personal terms.
More to follow. pic.twitter.com/DghgGwcI7F
今回は、メイソン・マウントのスカウティング・レポートをお届けします。交渉の結果次第では全く意味のない記事となる可能性を秘めているので早めに読んで頂けると幸いです(笑)。
以下項目です。
①プロフィール
選手名:メイソン・トニー・マウント(Mason Tony Mount)
生年月日:1999年1月10日(24歳)
国籍:イングランド
身長:181cm
ポジション:AM/LM
チームキャリア:チェルシーユース(2005~2019)→フィテッセ(2017~2018ローン)→ダービー(2018~2019ローン)→チェルシー(2019~)
利き足:右
契約終了年:2024年6月30日
市場価値:60m€(TransferMarktのデータより)
1999年1月10日、ポーツマスで生まれたメイソン・マウント。彼の父はノンリーグのサッカー選手であり、引退後はハヴァント・タウンとニューポートの監督を務めていたそうです。メイソンは4歳で地元のボアハントFCのアカデミーでサッカーを始め、6歳でチェルシーのアカデミーに入団。15-16、16-17シーズンにはFAユースカップで優勝を飾り、イングランドU-19にも召集されました。しかしながらチェルシーのトップチームへの昇格は認められず、他の多くのアカデミー選手と同様にローンオプションを選択することになります。17-18シーズンにはエールディビジのフィテッセへローンで加入。公式戦39試合13得点を記録し、クラブの年間MVPに選出されました。ちなみに同シーズンよりアヤックスを指揮していたテン・ハーグ監督の目に留まり、後に獲得を試みた経緯があるようです。
Embed from Getty Images18-19シーズンはフランク・ランパードが指揮するチャンピオン・シップのダービー・カウンティにレンタル移籍。公式戦42試合に出場、11ゴール5アシストを記録する活躍を見せました。19-20シーズンはダービーでの活躍が認められチェルシーにレンタルバックすることになり、またランパード監督もチェルシーの指揮官に就任することが決まった。マウントは19-20シーズン、開幕のユナイテッド戦でプレミアデビューを飾ると、プレミア37試合に出場し7ゴール6アシストを記録し、チャンピオンズリーグでも8試合に出場しました。続く20-21シーズンも主力としてプレー。公式戦54試合に出場し8ゴール8アシストを記録しています。シーズン途中にランパードが解任。トーマス・トゥヘルが引き継いだチームはCL決勝に進出し、マンチェスター・シティと対戦。この試合でマウントはハバーツの得点をアシストし、優勝に貢献しました。
21-22シーズンは53試合に出場。ノリッジ戦では初のハットトリックを達成し、プレミアでは11ゴール10アシストと2桁得点2桁アシストをマークしました。また2シーズン連続でクラブ年間最優秀選手に選ばれています。22-23シーズンはトゥヘル監督がわずか5節で解任され、グレアム・ポッターが新監督として就任します。また、マウントはイングランド代表としてカタールワールド・カップに参加。4試合に出場しました。しかし、ワールドカップ再開後、3月になると以前から抱えていた骨盤の怪我の手術を受け、シーズン終盤まで離脱することとなり、公式戦35試合3ゴール6アシストと大きくパフォーマンスと出場時間を落としました。
②スカウティング・レポート
メイソン・マウントの分析をするに当たってメインで参考にするのは20-21シーズンと21-22シーズンにしたいと思います。昨シーズンのマウントはチームの混乱と、自身の怪我により本領発揮には程遠いパフォーマンスとなりました。スタッツデータサイトのFBrefのデータでは、21-22シーズン2.2回/90分だったキーパスは22-23シーズンには1.6回/90分となり、2.8回/90分だったシュート数は1.8回/90分に低下しています。プレミアで11ゴール10アシストだった成績もわずか3ゴール2アシストに留まるなど、昨シーズンのパフォーマンスの分析ではマウントの良さを十分には解明できないでしょう。マウントはプレミアデビューシーズンとなった19-20シーズンから3シーズン連続でリーグ戦30試合以上に出場しています。最初の1年半はランパードの下で、その後の1年半はトゥヘルの下でプレーしました。ランパード政権下ではマウントは主に4-3-3の左IH(インサイドハーフ)か4-2-3-1の左ウィングでプレーし、トゥヘルはマウントを3-4-2-1のシャドーとして起用しています。ランパードとトゥヘル、それぞれがマウントに求めた役割には違いがありました。以下で詳しくみていきます。
2-1.アタッキング
左IHと左ウィングでプレーしたランパード監督の下でのマウントは、平均的なアクションエリアはピッチのより深い位置となっており、ビルドアップやプレーの進行にも関与していました。しかし、トゥヘル監督の下では、彼のアクションの大部分はボックス付近のどちらかのサイドで行われており、それは2シャドーの左または右のスタートポジションによって決定されていました。トゥヘルはマウントにもっとボックス内に侵入して得点に絡むことを求めており、実際マウントはその期待に上手く応えたと言えるでしょう。20-21シーズン(プレミア)のマウントはxAG(アシストゴール期待値)は8.2で4位の成績(1位はブルーノの11.4)であり、キーパス(チャンスクリエイト)は87本でブルーノの95本に次ぐ2位の成績です。さらにSCA(ショット・クリエイティング・アクションズ)も169回で2位となっています。このように高いチャンスメイク能力を示していますが、特徴的なのはプログレッシブパスも233本で5位、プログレッシブ・キャリーも131回6位の成績を残している点です。半年をランパード、半年をトゥヘルの下でプレーしたシーズンですが、特にランパード政権下では攻撃的な8番としてボールを前進させる役割も担っていたという事です。
Embed from Getty Imagesマウントの能力は実に多才ですが、ウィンガーさながらのドリブルテクニックも有しています。基本的なボールテクニックは非常に高く、狭いスペースでも低い重心のドリブルとスムースなターンを駆使して難なくプレッシャーを掻い潜るシーンが見られます。特にランパード時代にはビルドアップの出口として積極的にボールを引き取り、前を向いてボールを前進させる役割も担いました。そしてファイナルサードへボールを進め、ボックス付近ではハーフスペースを利用してボックス内侵入、ラストパスやシュートを打つ仕事をこなしています。スペースを見つける能力は非常に高く、4-2-3-1の左ウィングで起用されていても巧みにハーフスペースへ入り込む傾向にあります。トゥヘルはその能力を最大限に活かすためにマウントをシャドーのポジションで起用しました。その後のマウントの活躍を見ると、トゥヘルの起用法は当たりだったと言えるでしょう。また、マウントはチェルシーでプレースキッカーの役割も担っています。20-21シーズンは合計124回のコーナーキックを蹴り、シュートに繋がったのは38本、アシストは3つとなっています。

続く21-22シーズン、11ゴール10アシストと2桁得点2桁アシストを記録したマウントは、アシストランキングでサラー、アレクサンダー=アーノルドに次ぐ3位となっています。チャンスメイク数は前のシーズンの87回から58回へと減少していますが、xA(アシスト期待値)は変わらず6.9です。そして10アシストを記録しているということはチェルシー自体の決定力が上がっているのもありますが、マウントのプレーの効率が改善されているとも言えます。ペナルティエリア内へのパスは61本で7位。GCAは19回で3位の成績です。トゥヘルの下でシャドーとしてプレーしたマウントはボックス近辺でプレーする機会が増え、このようなスタッツになったと推測できます。さらに興味深いのはシュートに関して。21-22シーズンは11ゴールを挙げたマウントですが、前シーズンに比べてシュート総数は81本から75本に減少しているにも関わらずショット・オン・ターゲットは30.9%から36%に上昇。ゴール/ショットも0.06から0.13に上昇しています。シュートの平均距離は20-21シーズンが21.1ヤードなのに対して21-22シーズンは17.9ヤードになっています。つまりは、よりゴール近くでのシュートが増えたことにより、決定力も上がったということです。これは、同シーズン10ゴールを挙げたブルーノを上回る数字です。
Embed from Getty Imagesこの上記2シーズンでのゴール期待値とアシスト期待値に関して最高の選手を調べてみると、興味深いリストが得られます。この2シーズンで、ケビン・デ・ブライネ、ブルーノ・フェルナンデス、リヤド・マフレズ、モハメド・サラー、ジャック・グリーリッシュ、ラフィーニャ、マウントの7選手が平均90試合あたりのゴール期待値とアシスト期待値が0.2以上でした。言い換えれば、20-21シーズンと21-22シーズンにおいて、これら7人の選手は最も安定したクリエイターであり、安定してゴールを脅かす存在でもあったということです。マウントは攻撃に関して、ボールキャリーからチャンスメイク、フィニッシュ、プレースキッカーまで高いレベルでこなす能力を有していると言えるでしょう。
2-2.ディフェンス&総括
また、守備に関してもマウントは攻撃的MFの枠に留まりません。マウントはチェルシーのプレス戦術において重要な役割を担ってきました。マウントの守備におけるエネルギーと激しさはMFの中では特筆に値しますが、それだけでなくボール予測とプレスのタイミング、そしてボールを奪い返すためのタックルの強さと技術の高さはマウントを特徴付ける要素の1つでしょう。特に、4-2-3-1の左や4-3-3のIHでプレーした20-21シーズンは総タックル数であのカンテに次ぎ2番目の75回を記録しており(チェルシー内)、タックルの成功数も2番目の数字を残しています。マウントは、中央を封鎖しサイドにボールを追い込み、味方との連携から進行方向を限定してボール奪取するというチェルシーのプレス構造において中心的な働きをしていたということです。さらに、マウントはボールを奪うとそのまま単独でボールを前進させることができるので、トランジッションのフェーズにおいても重要な選手となっていました。トゥヘルになってからはポジションが前目に変更になったので、タックル数自体は減りましたが、アタッキングサードでのタックル数ではチームトップとなる14回という数字を残しています。
Embed from Getty Images見てきたように、マウントは実に「多才」なミッドフィールダーだと表現できます。そしてそれは、マウントの持つ戦術的な柔軟性に起因します。ランパード監督の時とトゥヘル監督の時でプレースタイルに明確な違いがあり、なおかつしっかりとタスクをこなすことで数字(結果)も残しています。これはそう簡単なことではないのは言うまでもありませんが、マウントがもともとマルチな才能を有しているとも言えますし、監督の要求に真摯に向き合い応えていく中で身に着けたところもあるでしょう。多くの監督がマウントを積極的に使いたがる理由は、マウントが最も勤勉で成熟した選手の一人であり、どの試合でも全力を尽くす選手の一人であるためだと思います。それはオフボールでの献身性に最もよく表れていると思います。加えて戦術的な観点から見ると、マウントはさまざまな役割をこなすのに長け、規律ある方法でこれらの役割を遂行する明瞭なパーソナリティを持っています。これにより監督は、ラインナップの選択とチームの構成においてより柔軟になり、まず先発ラインナップのバランスを整え、さらにチームの長所を最大限に生かしながら、相手の弱点を突く最適な布陣を組むことが可能になります。
③ユナイテッドでの役割
以上が新シーズン、ユナイテッドが獲得を目指すメイソン・マウントのスカウティング・レポートです。これを読んでいただければ、なぜテン・ハーグ監督がマウントを欲しているのか明らかではないでしょうか。ビルドアップに関与でき、ボールを前進させられ、アタッキングサードでは中間ポジションでチャンスメイクし、自らフィニッシュにも持ち込める。加えてプレスやタックルを献身的にこなしポゼッションを回復でき、監督の要求や規律に忠実に応えることができる。まさに完璧な「8番」の選手であり、テン・ハーグ監督好みの選手でしょう。もしマウントがユナイテッドに加入となれば、メインはエリクセンの代替えということになるでしょう。現在のユナイテッドは4-2-3-1と4-3-3の中間といったフォーメーションですが、ランパード監督と同様に左IHでの起用が多くなりそうです。ただ、見てきたように多彩な才能を持っているので、左ウィングやトップ下での起用も可能です。特にブルーノ不在時の代役としては最適でしょう。そして見てきたようにどのポジションで起用されても、その時に求められるタスクを高いレベルでこなしてくれるはずです。

6月24日現在、ユナイテッドはマウントと個人面では合意に至っており、チェルシーとのクラブ間合意に向けて3度目となる最終オファーを出したと報道されています。オファー金額は5500万ポンド+5mだと言われていますが、これをチェルシーは拒否したようです。チェルシーの要求額は5800万ポンド+7mだとロマーノ氏は言っています。ユナイテッドは迅速な解決を望んでおり、このオファーが拒否されたとなればターゲットを変更する可能性が高いでしょう。チェルシーとの契約延長の意志のないマウントは、来シーズンにフリーでユナイテッドに加入することになるかもしれません。いずれにせよ、マウント獲得の件は間もなく白黒が付くと思われます。個人的にはマウントに是非ユナイテッドの一員になってほしいと思っています。2~3年後のプレミア制覇に向けて24歳のマウントは最適なミッドフィールダーだと考えています。
最後まで読んで頂きありがとうございました!
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