【23-24PL第2節】トッテナムvsマンチェスター・ユナイテッド この敗戦は深刻か?【マッチコラム】

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こんにちはMasaユナイテッドです。

23-24プレミアリーグ第2節 トッテナム・ホットスパー・スタジアムでトッテナム(以下スパーズ)と対戦したユナイテッド。試合は前半、ユナイテッドがガルナチョ、ブルーノ、ラッシュフォードがゴールに迫りますが決定機を決められません。スパーズも前半終了間際にペドロ・ポッロがクロスバーを叩くシュート、続けてペペ・マタ・サールのクロスがディフレクトして再びポストに弾かれるシーンがありましたが決められませんでした。しかし0-0で折り返した後半、49分にサールに決められ先制を許します。ユナイテッドは66分にサンチョ、エリクセン、ダロトを投入。スパーズも70分にベン・デイビス、イヴァン・ペリシッチ、ピエール・エミール・ホイビアーをピッチに送り出し、両チームともに得点を目指します。すると83分、デイビスのシュートがリサンドロ・マルティネスに当たってゴールに吸い込まれ、オウンゴールでスパーズが追加点を挙げます。ユナイテッドはマルシャル、ペリストリを入れてゴールを目指しましたがゴールを奪えず。2-0でホームのスパーズが勝利。ユナイテッドは開幕2戦目で黒星となりました。

*試合のハイライトはこちら

今回は、スパーズ戦を受けてのマッチコラム。開幕2戦目にして早くも敗戦となったユナイテッド。開幕2試合での低調なパフォーマンスを受けて「大丈夫か?」と不安になっているファンやサポーターも多いでしょう。このスパーズ戦の敗戦は深刻なものなのか...?筆者の考えをコラム形式で!

以下項目です。

👿ラインナップ

23-24PL-2 スパーズvsユナイテッド ラインナップ

①昨シーズンのユナイテッドは?

昨シーズン、テン・ハーグを新指揮官に迎え、カラバオ・カップのタイトルとプレミアリーグ3位という期待以上の好成績を収めたユナイテッド。テン・ハーグ体制2年目となる23-24シーズンは、当然ながら昨シーズンを上回る成績が求められます。そして迎えたシーズン開幕。開幕1週間前に監督交代となったウルブスと対戦し、苦戦しながらもなんとか1-0の勝利を収めたユナイテッドは、続く第2節、今シーズンから指揮を執るアンジェ・ポステコグルー率いるトッテナムとアウェイで対戦しました。スパーズは1週間前にクラブレジェンドであり、絶対的エースであったハリー・ケインを失っていますが、そのスパーズに2-0で敗れ、早くも第2節で土が付いた形となった新シーズン開幕のユナイテッド。昨シーズンの開幕2戦でも連敗スタートを切っているユナイテッドですが、昨シーズンはテン・ハーグ監督がやってきたばかりであり、選手達も新たなスタイルを学び始めたばかりでした。さらに言えば、開幕2戦はカゼミーロもアントニーもまだ加入していない時期でもあり、多くの「言い訳」が可能な状況だったのも確かです。いきなり「テン・ハーグ・スタイル」を実戦で使用し、機能しなかった開幕2戦を経て3節リバプール戦ではブロック守備からのカウンターという「現実的」な戦い方で勝利し、その後3連勝を飾りチームは軌道に乗ります。

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さらに9月にはエリザベス女王が逝去し、リーグは約1ヶ月中断に。この間にテン・ハーグ監督は戦術面での落とし込みが可能となり、11月から12月にはワールドカップによる中断で代表招集外の選手に指導する時間も確保できました。こういったこともあり、徐々にユナイテッドはテン・ハーグ監督が望むようにプレーできるように変化し、ワールドカップ以降の冬の時期に快進撃を始めることとなります。しかしながら、全てが順調に進んだわけでもありません。アウェイやヨーロッパの戦いでは低調なパフォーマンスに終始し、特にシティやリバプールにはアウェイで大量失点で敗れるなど、難しい時期もありました。にも拘わらず、開幕2戦の連敗後のようにスタイルの追及を諦め、「現実的」な戦い方にシフトすることなく、ユナイテッドはテン・ハーグ監督の課すプレー原則やルールに基づいてプレーする努力を続けることを選択してきました。その結果、プレミア屈指のダイレクトスピードを誇る「トランジッション戦術」に特化したチームへと進化を遂げています。

ユナイテッドのアタッカー陣はもともとスピードに優れ、スペースを突く攻撃を得意とする選手たちが多く在籍しています。ラッシュフォード、マルシャル、サンチョを始め、エランガやガルナチョ、そしてアントニーもどちらかというと素早い攻撃を得意とするタイプです。こういった選手たちの良さを活かす面でも、またブルーノやエリクセンの視野の広さを活かすという面でもこの戦術はチームにフィットするものだったことは言うまでもありません。この戦術において、最も重要なフェーズとなったのが「プレッシング」であり、「ポジティブ・トランジッション」でした。奇しくも失敗に終わったラングニック前監督の戦術の柱となるこの2つのフェーズをテン・ハーグ監督は粘り強くチームに植え付けていきました。この2つのフェーズが機能した試合でのユナイテッドのアタックは、相手に恐怖を与えるのに十分な強度を誇り、特にホームでは無敵の強さを取り戻したのが昨シーズンのユナイテッドです。

②スパーズ戦のユナイテッドは?

そして迎えた23-24シーズン。プレシーズンマッチのインタビューでテン・ハーグ監督は今シーズンの戦い方を問われて「どうなりたいか?我々は世界最高のトランジション・チームになりたいと思っている。ダイナミックでスピードのあるプレイがしたい。それがユナイテッドだからだ」と語っています。プレシーズンではそれなりにボール保持にも変化や工夫が見られ、オナナの加入によりポゼッション面も強化されるのかと思いましたが、開幕2戦を見る限りでは昨シーズンからほとんど変化がありません。恐らく、ウルブスの新指揮官となったオニールは、ユナイテッドがどのようにプレーするのか予測できたでしょうし、ポステコグルーにしても、簡単にユナイテッドのハイプレスを回避する策を持っていました。昨シーズンから「ハイプレス」のフェーズは進化したと言えるのですが、個人的には何度も指摘しているようにユナイテッドのハイプレスには欠陥があります。ボールと逆サイドのサイドバックはがら空きですし、スパーズは両サイドバックをナローに立たせているにも関わらず、ビスマの降りる動きで簡単にポッロまたはウドジェはフリーになっていました。

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83分の失点シーンは81分からはじまるスパーズのビルドアップからですが、この時もユナイテッドはボールサイドである左サイド(スパーズの右サイド)でオーバーロードを作りますが、逆サイドのベン・デイビスはフリーとなっており、そこから前進を許しています。かなりボールを繋がれ、最終的にファイナルサードでフリーとなっていたペリシッチにマディソンがパスを出し、アンダーラップしていたデイビスを誰もマークすることなくシュートを打たれています。ユナイテッドは確かに前線の高い位置でボールを奪いショートカウンターで仕掛けるシーンもかなりありますが、それ以上にサイドから簡単に進行されることも多いと思います。そのターンオーバーからの攻撃ですが、ウルブス戦でも、スパーズ戦でもこの形から何度かチャンスを作り出しています。3分のアントニーのファーストシュートはポッロからボールを奪ったところから発生し、13分のラッシュフォードのシュートも中盤でマウントがボールを奪ったところからでした。

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そして、この2つのシュートを始め、14分ガルナチョ、23分ラッシュフォード、36分ブルーノのヘディングなど決まっていてもおかしくないシュートを全て逸しています。前半はビッグチャンスが3回、後半1回。ユナイテッドはこの2試合で6回のビッグチャンスを作り、これはブライトン、ニューカッスルに次ぎ3番目の多さですが得点はわずかに1と、昨シーズンから続く得点力不足を今シーズンも引きずっているのは明らかです。さらに、1失点目のシーンでも前線の選手の緩慢な戻りのために大外のクルゼフスキをどフリーにしています。ウルブス戦でもネガティブ・トランジッションの問題を指摘しましたが、スパーズ戦では中盤のバランスは少し改善されたとはいえ、守備強度の低さの問題は続いています

③解決しない問題

なぜ、ユナイテッドは昨シーズンと同じ問題を解決できずにいるのでしょう?今シーズンは、より良い成績を掴むためにプレシーズンを精力的にこなし、連携を深めるために「Aチーム」「Bチーム」に分けました。プレシーズン前には、フィットネスを上げるための「しごき」もおこない、また、テン・ハーグスタイルを深めるために、マウント、オナナ、ホイルンドという指揮官希望の3選手をスカッドに加えてもいます。プレシーズンの、特にAチームのパフォーマンスが良くなかったのは確かですが、恐らくは綿密に組まれた「計画」の下開幕に向けて準備を整えたいたはずです。アンジェ・ポステコグルーが既にスパーズを昨シーズンとは全く違う方法でプレーさせているのに、あるいはロベルト・デ・ゼルビがブライトンをあっという間にリーグトップにさせているのに、なぜテン・ハーグ監督は、チームを自分のシステムに適応させるのにこれほどの時間を必要とするのか...。その答えはまだ誰も導きだせていないのかもしれませんが、個人的にはコンディションが大きく関係しているように思えてなりません。

スパーズ戦も前半は決して悪くないパフォーマンスでしたが、後半になり失点し、秩序を失ったから多くの選手が疲れ果てているように見えました。スパーズ戦のスプリント回数は、前半スパーズ93回に対してユナイテッド70回。後半スパーズ98回に対してユナイテッドは57回だったというデータがあります。走行距離はスパーズ115kmに対してユナイテッドは110kmです。昨シーズンの罰走の要因となったブレントフォード戦程ではありませんが、明らかに最後まで走れていないと言えます。ラッシュフォードはスパーズ戦の交代に不満を露わにし、ファンやサポーターは「いやいや、ならしっかり走れよ!」と喝を入れましたが、交代直前のラッシュフォードは延長戦か?というぐらいヘロヘロでした。後半の失速、明らかに良くないコンディションの選手でラインナップを組んでいるというのも、昨シーズンと同じ兆候を示しています。

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そして、フィニッシュ精度の低さ、アウェイでの大人しいパフォーマンス、後半の疲労、ウィンガーの改善しないオフザボールのランニング、欠陥のあるハイプレス、ボールの進行を止められないミドルプレス、失点を許すと原則を無視して個人技で打開しようとするアタッカー陣、自分たちのパフォーマンスではなく判定にばかり噛みつく選手達など、昨シーズンと同じ問題を抱えています。では、このスパーズ戦の敗戦は深刻なものなのか?と問われれば、それは違うと思います。単純にまだ開幕して2試合だというのももちろんあります。ただそれだけではありません。上にも書いたように「トランジッション戦術」はフィットネスに大きく左右されるためです。恐らくは、コンディションが上がってくればより強度とスピードを持ってプレーすることができるようになり、結果も付いて来るでしょう。間違いがあったとすれば、Aチームのコンディション調整を開幕に合わせることができなかったということす。

④テン・ハーグの目指すところ

ならばBチームの選手、例えばサンチョやマクトミネイ、エリクセンなどを先発させろと思うかもしれませんが、そこはテン・ハーグ監督の「頑固さ」なのだと思います(笑)。プレシーズンから同じチームでプレーすることに強い拘りを持っていたテン・ハーグ監督。たった1試合負けただけで方向転換する監督ではないというのは昨シーズンを見てもわかるでしょう。粘り強く、結果が出るまで取り組む。なのでフォレスト戦、アーセナル戦も怪我で離脱するマウント以外は基本的に同じメンバーで臨むのではないかと予想します(ショーも怪我してしまいました…泣)。そして、監督がチームに課している今シーズンのテーマは「よりチームになる」ということなのだと思います。そのためのキャプテン交代であり、後半開始時の円陣なのだと思います。戦術的には基本同じで、抱えている問題も昨シーズンと同じかもしれませんが、よりチームとして戦えるようになることで解決する問題もあります。

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テン・ハーグ監督は、開幕前に「世界最高のトランジッション・チームになりたい」と宣言しましたが、半分本気で半分は嘘でしょう(笑)。というよりも、ボール保持の局面を進化させることでよりターンオーバーでの攻撃が威力を増すはずです。まずは「チームとなる」ことで組織的なボール保持の土台を作り、遅攻も速攻もできる、そんなチームを目指すのではないでしょうか。というか目指してほしい(笑)。そうでないと、この試合数をトランジッション戦術だけで乗り切るのは体力的に厳しいというのもありますね。

最後に、ネガティブなことが続いているユナイテッドですが、ポジティブなことも探せば見つかります。新ストライカーのホイルンドはまだデビューしていませんし、移籍市場もまだオープンで、少なくともフィールドプレーヤーをあと1人は獲得するのではないかと思ってます。さらに10月には念願のオーナー交代劇も本当に起こりそうな気配が漂い始めました。確かに思うようには運んでいないユナイテッドですが、まだテン・ハーグ体制2年目に突入したばかり。多くの問題については迅速に対応する必要かあるのは確かですが、ファンやサポーターはもう少し長い目でチームを見る必要がありそうです。

👿まとめ

スパーズ戦に敗れたユナイテッドですが、個人的には前半のパフォーマンスは素晴らしかったと思っています。決定機を決まらなかったのは頂けませんし、明らかなハンドを見逃されたことへの憤りもありますが、ウルブス戦のアンバランスはマウントのポジションを下げることで解消していました。後半の早い時間で失点し、冷静さを失ったのは「悪い癖が出たな...」というところですが、やはり後半のパフォーマンス低下はコンディションも大きく関係しているように感じました。ウルブス戦もそうでしたが、デュエルやボールタッチの場面で上手く行っていない選手が多く見られるのは明らかでしょう。

そんな中でもショーやブルーノ、途中出場のサンチョやエリクセンなどはパフォーマンスの面で上向き傾向に見え、今後の試合において期待感があります。他のチームがうまく行っているように見えるので焦ってしまうのもわかりますが、他のクラブもうまくいかなくなる時が必ず来ます。そしてユナイテッドは必ず調子を取り戻します。今シーズンはまだ始まったばかり。まずは次節のフォレスト戦、勝利を信じて応援しましょう!

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23-24PL-2 スパーズvsユナイテッド スタッツ
23-24PL-2 試合結果

次節は、オールドトラッフォードでのノッティンガム・フォレスト戦。8月26日(土)23:00キックオフ。カモン!ユナイテッド!!

最後まで読んで頂きありがとうございました!

コメント

  1. いんこ より:

    結構落ち込んでましたがこの記事読んでポジティブになれました。たしかにコンディションの問題とトランジション戦術の相性は最悪ですよね。昨季2連敗から建て直したテンハグですしじっくり待つことにします

    • Re.いんこさん
      コメントありがとうございます!いや、本当にその通りです。コンディション整ってないとトランジッション戦術はキツいですよね。必ず復調すると思うので気長に待ちましょう。でも次節は勝ってほしい(笑)!!

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